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中飛車左穴熊

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(2023年2月)

中飛車左穴熊(なかびしゃひだりあなぐま)とは、浮き飛車型5筋位取り中飛車居飛車穴熊をミックスした戦法。対振り飛車中飛車を採用した相振り飛車で指される他、相居飛車戦でも採用が可能。

今泉健司がアマ大会での活躍、およびプロ合格の原動力となったことで知られる。

しろさんかく後手 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂   金       桂 香 一
  王 銀   金     角   二
  歩 歩   歩 銀   歩   三
      歩   歩   飛 歩 四
歩       歩   歩     五
    歩   飛     歩   六
歩 歩 角 歩   歩 歩   歩 七
香 銀 金     銀       八
玉 桂 金         桂 香 九
さんかく先手 なし
図はさんかく2六歩まで
中飛車左穴熊基本図

飛車が中央にいるからこそ玉を左右どちらにも囲えるという面を活かして、他の振り飛車にはできない中飛車ならではの戦法といえるが、中飛車左穴熊を最初に指したのは小池重明らしく、その後この戦法に目をつけ、システムをまとめていったのが当時立命館大学に所属し、学生強豪であった桜井英孝だという。それを見た東京大学の小林知直がやりだすと他の東大部員も指し始め、こうして東大将棋部の部員の発案と活躍がきっかけで広まったため、東大流左穴熊とも呼ばれていくが、プロ棋士が採用し始めてさまざまな工夫が加わったこともあり、現在は東大流と呼ばれることは稀になる。

その後対策が進み、穴熊に囲わない中飛車左玉例えばelmo囲い+中飛車なども登場する。

特徴

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(2023年2月)

5五の位をとった中飛車にしておくことで、相手からの仕掛けを封じながら安定して堅い穴熊に囲うことができる。これは5五歩により角道を遮断しているため相手が角交換から暴れてくるのを防いでいるためで、角道を遮断する手段として他に先手ならさんかく6六歩もあるが、6筋を突くとさんかく7八金型ではなくさんかく6七金型穴熊になりがちなので、より硬い穴熊には組めなくなるからである。

対振り飛車だけでなく対中飛車を除くどの振り飛車相手にも採用できる。特に初手さんかく5六歩からの中飛車に対し三間飛車が優秀とされていたため、三間飛車対策を模索していた中飛車党が目を付けた戦術として知られる。その後、3手目さんかく7五歩からの石田流が流行していた頃には、4手目しろさんかく5四歩からの相振り飛車でも後手番中飛車左穴熊が採用されることとなる。先手番中飛車左穴熊との違いは、三間飛車側が初手からさんかく7六歩しろさんかく3四歩さんかく7五歩しろさんかく5四歩さんかく6六歩しろさんかく5二飛と進行するため、先手振り飛車側は6筋の歩を突くことになる。

もともと相振り飛車では中飛車特有の短所について、左の金を玉の守りに使いたくても飛車が邪魔をして移動させづらいため玉形が相手よりも弱いまま戦いになることがあり、互いの攻めている場所の関係でみると、中飛車の対振り飛車はほとんどが三間飛車か向かい飛車であったが、この2つは中飛車よりも相手玉に近い場所を攻めることが出来、もし、同じタイミングで攻め合うということになると、敵玉に近い場所を攻めているほうがより早く相手玉にたどり着くということになる他に、先ほどの金を守りに使いづらいというデメリットも合わさるため、より厳しい攻めを食らうことになるため、相振り飛車になると中飛車は勝ちづらいという印象があったので、相手が早々と中飛車を構えたら相振り飛車に誘導すればよい状態が続いていた。特に初手さんかく5六歩として先手中飛車を目指す場合はこの問題が常にあったのである。

この戦術の対応策として、前述の飛車を振る他に角交換を迫るしろさんかく5四歩と突き返す戦術がある。これは5五歩で角道を遮断しているため相手からの仕掛けを封じながら安定して堅い穴熊に囲うことができるという中飛車穴熊の逆を突くという発想からしろさんかく5四歩(先手ならさんかく5六歩)と突く戦い方が広まっていった。

他方、堅さ負けしない堅陣に組むという戦術もあり、その代表格としてダイヤモンド美濃と三間飛車穴熊がある。とくにダイヤモンド美濃は戦術が優秀で、プロ棋界での採用が多い。また『藤森流中飛車左穴熊破り』(藤森哲也 著)では早くしろさんかく3四飛からしろさんかく7四飛に振って7六の歩を狙う戦術・藤森流パックンチョ戦法や鬼殺し風藤森スペシャル、陽動居飛車型の振り戻し戦術などが紹介されている。

振り戻し戦術は、袖飛車に振り直すネオ藤井システムなどが知られる。

この他、いつでも仕掛けられるようにしておく戦術で、代表的なのがしろさんかく3三銀からしろさんかく4四銀の活用を図れる角道オープン型石田流があり、左銀を3三〜4四と上がっていく際、相手が隙を見せればしろさんかく5四歩やしろさんかく4五銀、もしくは5五銀などから仕掛けることができる攻撃的な布陣で『藤森流中飛車左穴熊破り』の他に『相振りレボリューション』(2010年、杉本昌隆著)でも解説されている構想。自玉の囲いを美濃囲いから高美濃囲いとともに石田流へと進展しながら機を見て右銀から浮き飛車を攻めて石田流十分とされる。そのため、角道オープン石田流に対して中飛車左穴熊側は飛車浮きを急がなくなっていく。

対振り飛車

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(2023年2月)

先手の中飛車として説明すると、第1-1図のようにゴキゲン中飛車の出だしから相手が相振り飛車を明示し、相振り飛車模様となるが、中飛車側はさんかく4八銀からさんかく6八玉〜7七角〜7八玉、と左に囲う。そして後手がしろさんかく3二飛に対してさんかく5六飛と飛車を浮くのはこの戦法の骨子になっており、相手方の不用意な構えに対してさんかく2六飛などの回る手も含んでいるほか、このように5筋の浮き飛車の守備力で穴熊を左に組もうという狙いがある。

第1-2図は石田流の例。通常は両者が漠然と組んでいると、左穴熊側がよくなる。第1-2図ではしろさんかく1三角としたので先手はさんかく2六飛としてしろさんかく2四歩を突かせたもの。この他石田流で注意するのはしろさんかく3六歩の筋で、これに対してさんかく同飛は交換後しろさんかく2八飛と先着され駒組早々桂香を取られる。さんかく同歩もしろさんかく2四飛がある。しろさんかく3六歩にはさんかく2六歩が正着で、以下しろさんかく3七歩成にさんかく同銀とし、しろさんかく3八歩ならさんかく6六角で受かる。したがって右銀は囲いが整備されてから、さんかく5七銀とするほうがよくなる。

穴熊に対するしろさんかく1三角型(先手なら9七角型)の石田流はどこかのタイミングでさんかく1五歩しろさんかく同歩さんかく同香しろさんかく1四歩さんかく5四歩しろさんかく同銀さんかく1四香しろさんかく同飛さんかく3三角成しろさんかく1八飛成さんかく1四歩という筋がある。

しろさんかく後手 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂 銀 金 王 金   桂 香 一
  飛           角   二
歩 歩 歩 歩 歩 銀   歩 歩 三
          歩 歩     四
        歩         五
    歩             六
歩 歩   歩   歩 歩 歩 歩 七
        飛 銀       八
香 桂 銀 金 玉 金   桂 香 九
さんかく先手 なし
図はさんかく4八銀まで
第1-1図 対振り飛車
しろさんかく後手 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂   金       桂 香 一
  王 銀   金         二
  歩     歩 銀     角 三
    歩 歩   歩 飛 歩 歩 四
歩       歩   歩     五
    歩         飛 歩 六
歩 歩 角 歩   歩 歩 歩   七
香 銀 金     銀       八
玉 桂 金         桂 香 九
さんかく先手 なし
図はしろさんかく2四歩まで
第1-2図 対振り飛車石田流
しろさんかく後手 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
王 桂 金           香 一
香 銀   金       角   二
歩 歩 歩 歩 歩 銀 桂 歩 歩 三
          歩 飛     四
        歩   歩     五
  角 歩 銀 飛         六
歩 歩   歩   歩 歩 歩 歩 七
香 銀 金             八
玉 桂 金         桂 香 九
さんかく先手 なし
図はさんかく6六銀まで
第1-3図 対振り飛車相穴熊

第1-3図は相穴熊での例であるが、相穴熊で急所の一手になるさんかく8六角がこの戦形でも急所であり、5筋の弱みを狙えることになる。しろさんかく3一角ならさんかく5四歩。以下しろさんかく同銀ならさんかく同飛しろさんかく同歩さんかく3一角成がある(もしさんかく5七銀型ならここでしろさんかく4五桂があるので注意)。しろさんかく1四歩ならばさんかく6五銀と出て、しろさんかく4五歩ならばさんかく5四歩しろさんかく同歩さんかく4二角成しろさんかく5二金さんかく同馬しろさんかく同銀さんかく5四飛しろさんかく同飛さんかく同銀が進行の一例。

対矢倉

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(2023年2月)

この戦法は対矢倉にも応用が利く。第2-1図のように5筋位取り中飛車の出だしで、さんかく4八銀。以下は第2-2図のように組めれば理想的となる。対振り飛車戦と違い、飛車を浮くことはしないで、右銀を素早く5六の地点までもっていくのがこの戦形の骨子。

しろさんかく持ち駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂   金 王 金 銀 桂 香 一
  飛   銀       角   二
歩   歩   歩 歩 歩 歩 歩 三
      歩           四
  歩     歩         五
    歩             六
歩 歩 角 歩   歩 歩 歩 歩 七
        飛 銀       八
香 桂 銀 金 玉 金   桂 香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-1図 さんかく4八銀まで
しろさんかく持ち駒 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 飛           桂 香 一
            金 王   二
角   桂 銀 歩 金   歩   三
歩   歩 歩   歩 歩 銀 歩 四
        歩         五
    歩 歩 銀 角 歩 歩 歩 六
歩 歩       歩       七
香 銀 金             八
玉 桂 金 飛       桂 香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-2図 さんかく4六角まで
しろさんかく持ち駒 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香             桂 香 一
  飛       角 金 王   二
    桂 銀 歩 金   歩   三
    歩 歩   歩 歩 銀 歩 四
歩       歩 歩   桂   五
    歩   銀   歩 歩 歩 六
歩 歩 角 歩           七
香 銀 金             八
玉 桂 金 飛         香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-3図 さんかく4六角まで

駒組の途中である第2-4図のしろさんかく5一角などは次にしろさんかく8四角〜しろさんかく3九角成を避けるようさんかく6六角またはさんかく6六歩を必要とする。またしろさんかく5一角-しろさんかく9四歩の態勢は次にしろさんかく9五角として角交換を狙っているので、7七の角を移動してさんかく7七金などのガードを用意し、角交換を避ける必要がある。

しろさんかく持ち駒 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂     角     桂 香 一
  飛         金 王   二
歩     銀 歩 金 銀 歩   三
    歩 歩   歩 歩   歩 四
  歩     歩         五
    歩   銀   歩   歩 六
歩 歩 角 歩   歩   歩   七
香 銀 金   飛         八
玉 桂 金           香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-4図 しろさんかく5一角まで
しろさんかく持ち駒 角歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香 桂           桂 香 一
            金 王   二
歩     銀 歩 金 銀 歩   三
  飛 歩     歩 歩   歩 四
      銀 歩         五
    歩     歩 歩   歩 六
歩 歩   歩       歩   七
香 銀 金   飛         八
玉 桂 金         桂 香 九
さんかく持ち駒 角歩
第2-5図 しろさんかく8四飛まで

後手の狙いの一例として先手がさんかく6六角と構え、さんかく4六歩からさんかく4五歩を狙うのはしろさんかく6五歩さんかく同銀しろさんかく8四角さんかく同角しろさんかく同飛でしろさんかく4七角を狙う順(第2-5図)などがある。

しろさんかく持ち駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香         金   桂 香 一
    飛   金 銀 王 角   二
歩   桂 銀 歩 歩   歩 歩 三
    歩 歩     歩     四
  歩     歩         五
    歩 角 銀         六
歩 歩 桂 歩   歩 歩 歩 歩 七
    玉 金 飛         八
香   銀 金       桂 香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-6図 さんかく7七桂まで
しろさんかく持ち駒 なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香         金 角 桂 香 一
  飛         王     二
    桂 銀 歩 金 銀 歩   三
    歩 歩   歩 歩   歩 四
歩 歩     歩         五
    歩 角 銀 歩 歩   歩 六
歩 歩 桂 歩     桂 歩   七
  銀 金   飛         八
香 玉 金         桂 香 九
さんかく持ち駒 なし
第2-7図 さんかく3七桂まで
しろさんかく持ち駒 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1  
香         金   桂 香 一
        金 銀 王 角   二
歩   桂 銀 歩 歩   歩 歩 三
    歩 歩     歩     四
        歩         五
  飛 歩 角 銀         六
歩 銀 桂 歩   歩 歩 歩 歩 七
    金   飛         八
香 玉   金       桂 香 九
さんかく持ち駒 歩
第2-8図 さんかく8七銀まで

上図のように後手がしろさんかく7二飛と急戦矢倉模様にきた局面。以下さんかく6六角しろさんかく7三桂にさんかく7七桂としてひとまず急戦を回避することができる。こうなると穴熊にはできかねるが、先手は以下さんかく8九玉-8八銀-7八金-7九金とミレニアムに組むことができる。また後手しろさんかく8六歩から飛車先交換に来た際にはさんかく8七銀として、銀冠に移行する指し方もある。

脚注

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外部リンク

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居飛車
相居飛車
矢倉
相掛かり
角換わり
横歩取り
対振り飛車
舟囲い急戦
振り飛車
中飛車
四間飛車
三間飛車
向かい飛車
その他
囲い
居飛車
相居飛車
対振り飛車
振り飛車
対居飛車
相振り飛車
その他
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