血液検査結果の解釈に一苦労?
2012年04月09日 up
健康診断でお馴染みの「血液検査」、スウェーデンの医療機関でももちろんありますが、表示の方法や単位が日本と異なるものも多いので、結果を読むのも一苦労することがあります。
例えば糖尿病の判定基準となる「血糖値」は、日本では「血液1dl中に何mg」と表現し、空腹時の基準値は80〜100mg/dlなので、日常的には整数2桁か3桁で言いますね。
しかし、スウェーデンでは「血液1リットル中に何ミリモルあるか」です。つまり単位はmmol/lと変わり、空腹時の基準値は5〜7mmol/l、通常は小数点第一位まで算出します。
したがって、日本で測定した血糖値の数値をスウェーデンの医療機関で言っても、その意味が伝わることはごく稀です。
コレステロールについても、日本では総コレステロールが220を超えると高いなどと日常的に言いますが、単位はmg/dl、つまり1dlの血液に何ミリグラムのコレステロールがあるかを表現しています。
コレステロールに関してはスウェーデンでも最近は日本同様にmg/dlで表現することも多くなってきていますが、それでも血糖値同様にmmol/lと、モル単位を用いることもあります。その場合「総コレステロールが5.0mmol/lを超えると高い」などと言われます。
モルで表現された数値を日本でおなじみのmg/dlに換算することも理数の知識があれば可能ですが、一般には単位が違うと紛らわしくなるものです。
また貧血の基準となるヘモグロビン量も、日本では通常、400ml献血するには男性13.5以上、女性12.5以上というように、小数点以上は2桁で言いますが、スウェーデンでは135、125のように3桁です。
しかしこれは10倍しただけなので、一般の人にも理解しやすいように思います。日本のヘモグロビン量の単位がg/dlであるのに対し、スウェーデンはg/lなのでこのような差異が出るわけです。
ヘモグロビンや血小板数など血球計数検査は桁が違うだけなのでそれ程違和感がありませんが、生化学検査では、日本で馴染みのないモル表現が広く普及しているので、わかりにくいものです。
特に肝機能の数値でおなじみのALT(GPT),AST(GOT)は、ALT、ASTやGPT、GOTどちらの言い方をしてもこの言葉自体がなかなか通用しないもの、スウェーデンではそれぞれ、ALAT、ASATと言われています。
日本で献血すると送られてくる血液検査結果、肝機能やコレステロール、グリコアルブミン(2009年3月〜)などの生化学検査7項目に加え、400ml献血と成分献血では赤血球数やヘモグロビン量、血小板数など8項目の結果も通知されます(個人情報は伏せさせていただきます)スウェーデンではヘモグロビン量は献血時に教えてもらえますが、それ以上は何も通知されません
しかしスウェーデンでは医療機関で血液検査を行っても、知らされるのは異常の有無だけの場合がほとんどです。異常を伝えられる場合でも「コレステロールが高い」「肝機能の数値が高い」といった漠然とした表現の場合が多く、数値まで詳しく教えてもらえることは少ないのが現状です。
日本では数々出回っている病院の検査の数値の見方を一般向けに書いた本も、スウェーデンでは専門家向けのものしかみたことがありません。
そのため血液検査の数値の読み方自体が一般人の間ではあまり馴染みのないもの、医療分野で臨床的に利用するためのもの、といった観念のほうが強いようです。
レポーター「山本 グィスラソン 由佳」の最近の記事
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