アラブ風優勢の卸問屋街におけるオランダ式スナック販売機
2012年11月26日 up
サンパウロのヴィンチシンコ・デ・マルソ通りにある、ブラジルで数少ないオランダ起源のスナック自動販売機
サンパウロ市の卸問屋街として有名な通称「ヴィンチイシンコ」と言われる地域があります。
ヴィンチシンコは平日や週末、祝日前などは人で溢れかえります。人ごみの通り沿いではとてもゆっくり落ち着いて飲食できる雰囲気の地域ではありません。通りに並ぶビルの階上にレストランもありますが、「早くて安い軽食」の存在がしっくりとくる地域です。
サンパウロにある少数のオランダ式スナック自動販売機
ヴィンチシンコはもちろん、サンパウロの町中で最も庶民に幅を利かせている飲食店は「バール」です。コーヒーやアルコール、簡単な軽食がカウンター越しに食べられ、ブラジルのポピュラーな昼食なども食べられます。
そんなバールを横目に、以前からヴィンチシンコの一角に、オランダ起源のコインロッカー式のスナック販売機が置かれるようになりました。「Quickies」と名付けられています。まさに、混雑する中でも早く安く食べられるスナック自動販売機です。
ワンコインを一枚か数枚入れれば、ロッカーが開けられ、コロッケのような揚げ物やフライドポテトなどが手に取れます。
人目を引く通り沿いにあるため、思わず利用するお客さんはいつもいますが、多くのバールがある中で、このスナック販売機はたった一ヵ所しかありません(もう一軒は少し離れたところにある)。
オランダらしい合理的な自動販売機ですが、人間臭たっぷりの卸問屋街で、サンパウロの一般庶民の感覚には好奇心はかき立てられても、置いた大きなおもちゃのような存在になりそうな危うさも...軽食産業で、バールが圧倒的な存在感を示すブラジルでは、このスナック販売機の拡大は絶対とは言い切れない様に見えます。
サンパウロのヴィンチシンコにあるレバノン人が経営するバール兼レストランのカウンターで販売されるエスフィッハ
ヴィンチシンコはアラブ色の強い地域です。19世紀後半から、主にシリアやレバノンを中心としたアラブ人移民によって、ラテンアメリカの卸売市場の中心地として発展してきたためです。
昨今は、インターネットで様々な商品が工場に直接注文できるようになり、卸売店の必要性が低くなったことや、アラブ人移民の子孫が商売以外の道に進むようになったことなどから、同地区の大半を占めていたアラブ人の商店も、今は50%くらいという見方をする人もいます。代わって、近年では中国人の小売店が目立つようになっています。
ヴィンチシンコもブラジルらしいバールがあります。オーナーがアラブ系の店が今も存続しています。
バールのカウンターではスナックが販売され、ブラジル一般のバールと同じように「エスフィッハ」が置いているのが目につきます。ヴィンチシンコのエスフィッハは、特に生地のタイプや具の風味がアラブ風のものも目立ちます。
エスフィッハはミニピザのような生地に肉やチーズなどの具をのせたものや具を三角形に生地で包んだ状態のものが一般的です。中東が起源の料理と言われています。
基本的に焼きあがったものがカウンターの保温機能を備えたガラスケースの中に置かれていて、注文すれば、すぐに店員さんがお皿に乗せて出してくれます。
ヴィンチシンコの界隈で、もう一つのおなじみの食べ物は、アラブ式(もしくはトルコ式)と思われる肉焼き機で焼かれた肉をナイフでそぎ落とし、パンに挟んでくれるサンドイッチです。肉焼き器はいつも回転して焼かれているため、出来たて感を味わえるサンドイッチです。サンパウロでは「シュラスコ・グレーガ(ギリシアの焼肉)」の通称で呼ばれています。
通り沿いの店では、エスフィッハもシュラスコ・グレーガも注文してから30秒以内で食べられ、直接、人が応対してくれます。お会計は食べた後になります。
オランダ式スナック販売機も裏では人がいて、ロッカーに食べ物を入れていますが、基本的に接客されることはなく、先に機械にコインを入れて食べ物を取り出すだけです。
終日人で賑わうサンパウロの卸問屋街で、アラブ風とオランダ風のスナック販売方式では、どうひいき目に見てもアラブ風が今のところ優勢です。
【Quickies参照サイト】
http://www.quickies.com.br/
サンパウロのヴィンチシンコの一角で見かけられる「シュラスコ・グレーガ」と呼ばれるサンドイッチ
終末や祝日前は人で溢れかえるサンパウロの卸問屋街であるヴィンチシンコの様子
レポーター「大浦 智子」の最近の記事
「ブラジル」の他の記事
0 - Comments
Add your comments
Archives
- 2025年10月(1)
- 2025年5月(1)
- 2025年4月(2)
- 2025年3月(2)
- 2025年2月(3)
- 2025年1月(2)
- 2024年12月(5)
- 2024年11月(6)
- 2024年10月(1)
- 2024年9月(2)
- 2024年8月(5)
- 2024年7月(1)
- 2024年6月(4)
- 2024年5月(1)
- 2024年4月(2)
- 2024年3月(4)
- 2024年2月(3)
- 2024年1月(3)
- 2023年12月(2)
- 2023年10月(2)
- 2023年8月(4)
- 2023年3月(2)
- 2022年8月(3)
- 2022年7月(1)
- 2022年6月(2)
- 2022年5月(2)
- 2022年4月(5)
- 2022年3月(3)
- 2022年2月(6)
- 2021年12月(3)
- 2021年6月(3)
- 2021年5月(2)
- 2021年4月(2)
- 2021年3月(3)
- 2021年2月(1)
- 2021年1月(1)
- 2020年11月(4)
- 2020年10月(1)
- 2020年9月(3)
- 2020年8月(4)
- 2020年7月(3)
- 2020年6月(3)
- 2020年4月(5)
- 2020年3月(2)
- 2020年2月(2)
- 2020年1月(2)
- 2019年12月(3)
- 2019年11月(1)
- 2019年10月(1)
- 2019年9月(4)
- 2019年7月(3)
- 2019年6月(3)
- 2019年5月(1)
- 2019年4月(3)
- 2019年3月(1)
- 2019年2月(5)
- 2019年1月(4)
- 2018年11月(2)
- 2018年10月(3)
- 2018年9月(6)
- 2018年8月(4)
- 2018年7月(4)
- 2018年6月(6)
- 2018年5月(7)
- 2018年4月(6)
- 2018年3月(3)
- 2018年2月(4)
- 2018年1月(7)
- 2017年12月(5)
- 2017年11月(5)
- 2017年10月(2)
- 2017年9月(1)
- 2017年8月(3)
- 2017年7月(6)
- 2017年6月(4)
- 2017年5月(4)
- 2017年4月(4)
- 2017年3月(1)
- 0000年0月(1)
- 2017年2月(1)
- 2017年1月(9)
- 2016年12月(2)
- 2016年11月(2)
- 2016年10月(4)
- 2016年9月(4)
- 2016年8月(4)
- 2016年7月(1)
- 2016年6月(5)
- 2016年5月(2)
- 2016年4月(4)
- 2016年3月(2)
- 2016年2月(2)
- 2016年1月(3)
- 2015年12月(4)
- 2015年11月(1)
- 2015年10月(4)
- 2015年9月(5)
- 2015年8月(3)
- 2015年7月(2)
- 2015年6月(3)
- 2015年5月(4)
- 2015年4月(6)
- 2015年3月(1)
- 2015年2月(5)
- 2015年1月(7)
- 2014年12月(4)
- 2014年11月(2)
- 2014年10月(7)
- 2014年9月(3)
- 2014年8月(8)
- 2014年7月(3)
- 2014年6月(3)
- 2014年5月(3)
- 2014年4月(3)
- 2014年3月(5)
- 2014年2月(3)
- 2014年1月(10)
- 2013年12月(5)
- 2013年11月(7)
- 2013年10月(5)
- 2013年9月(5)
- 2013年8月(7)
- 2013年7月(5)
- 2013年6月(6)
- 2013年5月(3)
- 2013年4月(9)
- 2013年3月(3)
- 2013年2月(8)
- 2013年1月(3)
- 2012年12月(9)
- 2012年11月(4)
- 2012年10月(6)
- 2012年9月(8)
- 2012年8月(7)
- 2012年7月(3)
- 2012年6月(4)
- 2012年5月(7)
- 2012年4月(3)
- 2012年3月(7)
- 2012年2月(5)
- 2012年1月(7)
- 2011年12月(9)
- 2011年11月(8)
- 2011年10月(6)
- 2011年9月(1)
- 2011年8月(1)
- 2011年7月(9)
- 2011年6月(10)
- 2011年5月(7)
- 2011年4月(8)
- 2011年3月(11)
- 2011年2月(10)
- 2011年1月(12)
- 2010年12月(14)
- 2010年11月(13)
- 2010年10月(9)
- 2010年9月(11)
- 2010年8月(10)
- 2010年7月(14)
- 2010年6月(12)
- 2010年5月(11)
- 2010年4月(10)
- 2010年3月(8)
- 2010年2月(6)
- 2010年1月(10)
- 2009年12月(7)
- 2009年11月(9)
- 2009年10月(7)
- 2009年9月(8)
- 2009年8月(8)
- 2009年7月(5)
- 2009年6月(7)