台湾・五大都市の統一地方選挙の結果
2010年11月29日 up
TVの報道チャンネルより
以前紹介させて頂いた台湾・五大都市の統一地方選挙の投開票が27日行なわれました。
再選を果たした現職の郝龍斌(ハオ・ロンビン)台北市長(TVの映像を撮影)
高雄市と近郊の高雄縣が合併した高雄市、台南市と近郊の台南縣が合併した台南市は、それぞれ民主進歩党の候補が当選しました。
近郊の台中縣と合併した台中市は、以前紹介した現職で國民党の胡志強(フー・ジーチャン)台中市長が当選しました。
そして、前回紹介した台北市と新北市の市長選挙は、どちらも國民党の候補が当選しました。私が住む台北市は、上の写真の現職の郝龍斌・台北市長が再選を果たし、新北市は朱立倫(ジュー・リールン)・元行政院副院長が当選しました。
従って、五大市長選の結果は3勝2敗で國民党が政権政党としての面目を保つ格好になりました。
しかし、その傍らで國民党だけでなく、有権者にとって喜べない事も起きました。
選挙前日の26日に銃撃され、重傷を負った連勝文氏(TVの映像を撮影)
前日の26日、新北市のある市議会議員選挙の候補者の応援集会での事でした。
応援演説中、國民党の中央委員を務める上の写真の連勝文(リェン・ションウェン)氏が、男に顔を銃撃される、という事件が起きました。また、その流れ弾が集会に来ていた車いす乗車者である一般男性の頭にあたり、その方が命を落とすという悲劇も起きました。
台湾の報道によれば、連勝文氏は一命を取り留めたそうですが、完全回復には相当の時間を要するようです。
銃撃された連勝文氏の父で、元副総統の連戰(リェン・ジャン)氏(TVの映像を撮影)
ちなみに、連勝文氏の父親は上の写真の連戰氏。
連戰氏は、李登輝(リー・ドンフイ)政権時代に副総統を務めた事もある大物政治家の1人。落選したものの、2000年、2004年の総統選挙にも立候補した事があります。
今回の事で思い出されるのが、2004年の総統選挙直前に起きた当時現職だった陳水扁(チェン・スイビィエン)総統の遊説中に起きた銃撃事件です。
このときは、陳水扁陣営の劣勢が伝えられ、当時の連戰候補に当選のチャンスがあったと言われてましたが、わずか3万票余りの差で落選。
選挙直前に起きた陳水扁銃撃事件の影響で、「事件の同情票が相手陣営に流れたのではないか」、という憶測から、連戰候補の陣営は下の写真のような支持者を巻き込んで激しい抗議行動に出た、という事がありました。
写真は2004年3月22日に起きた抗議行動の様子
それから6年が経った2010年。
被害に遭われた方々には大変申し訳ないですが、皮肉にもその逆の事が起きた、という感じの事件が起きてしまいました。
この事件の後、國民党側の各候補者のコメントが一斉に報道されるようになりました。それは、選挙直前の絶好のCMの機会になったと言えます。
その効果があったかどうかは分かりませんが、台北市、新北市と台中市は國民党の候補が当選しました。
しかし、全都市の市長選挙の総得票数を見ると、國民党が3,369,052票(全体の44.54%)で民主進歩党が3,772,373票(全体の49.87%)。各都市の市議会議員選挙でも、國民党と民進党の総獲得議席数は、ともに130議席。
2008年の総統選挙の勝利後、1年前の統一地方選挙で國民党は得票率を大きく落とし、民主進歩党に肉薄されました。その選挙を受けての今年1、2月の立法委員(国会議員に相当)の補欠選挙も、1議席のみで、6議席は民主進歩党が獲得しました。
今回の選挙で、政権与党の國民党の低迷ぶりが改めて顕著になってきたとも言えます。
この選挙が終わり、台湾は一気に2012年に行なわれる総統選挙モードになります。
果たして、どんな結果が待ち受けているでしょうか。
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