優先座席なんて必要?
2010年11月29日 up
妊婦や子ども連れなどにはスブテ(地下鉄)でも必ず席を譲ってくれる
アルゼンチンで子育てがしやすいと思う理由を自分なりに探っていくと、子どもを連れて外出しやすい社会環境があるからではないか、との結論にいきつきました。
もちろん社会設備の面では、日本や北米ほどではありません。電車やスブテ(地下鉄)でもエスカレーターがある駅はまれで、赤ちゃんをバギーに乗せて一人でそれらを利用するときには、誰かの助けなしには何もできません。
でもかかわらず、外に出ると必ず助けてくれる人がいるので、外出をしていて困ったことはない。バギーを引いて階段にたどり着くと、いつでもそこに居合わせる人達がいとも自然な成り行きという感じで「運びましょうか」とバギーを持ち上げて階段上まで運んでくれます。
電車やバスに乗り込んだ時も、その扱いは同じで、脚を踏み込んだとたん、「こっちに座りなさい」と誰かが必ず席を空けて誘導してくれるのです。
周りが助けてくれるので外出がしやすい環境がある
できるだけ避けたいとは思いながら、混んでいる時間帯に電車やバスに乗らざるを得ない時もあります。
それでも、人はいやな顔一つせず、助けてくれるし、たまたま座っている人が携帯電話をチェックしてたりして子連れママや妊婦さんが乗車してきたことに気付いていなくても、周りが必ず言います。「誰か席をかわってください」と。
こういう社会の助けは妊娠期の女性や子育て中のママにはとてもありがたいもの。社会が当たり前のように、必要な人に手を差し伸べるために、インフラの弱さを充分に足るだけカバーしています。
もちろん、これらの自然なヘルプは妊婦や子連れに限らず、お年寄りや体の不自由な方などにも適用されます。当たり前のことですが。
日本では「優先座席」というものがありますね。そしてそこでは上記のような席を優先的に必要な人は、席を「要求」できる、と聞いています。
それはそれで素晴らしい策かもしれませんが、優先座席など必要なく、必要な人が必要な場所で人間としてきわめて普通の譲り合いが成り立っているアルゼンチのケースを知ると、考えさせられるものがあります。
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