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2020年4月19日 (日)
残念な「今年度」の全国学力調査見直し
文部科学省が、今年度の全国学力・学習状況調査(全国学調)を実施しないことを正式に発表した。非常に残念だ。とはいえ新型コロナウイルス感染症の影響で全国的に休校が続く中では、抽出調査も難しいだろう。ぜひ来年度、しっかりした調査を望みたい。
もっとも本社は、かねてから全国学調は任意参加にすべきだと主張してきた。悉皆(しっかい)によって教育の結果(アウトカム)を国が責任を持って検証せよ、と宗旨替えしたわけではない。あくまで「今年度」の話だ。
今年度の全国学調は、通常の国語と算数・数学のテストや質問紙調査に加え、経年変化分析調査と保護者調査が行われる予定だった。とりわけ保護者調査には今回、学力と社会経済的背景(SES)との関係を探る明確な目的があった。
家庭(個人)レベルのSESが高いほど学力も高くなる傾向にあることは、これまでの全国学調の追加分析でも裏付けられてきた。一方で、学校(集団)レベルのSESから期待される以上の成績を上げている「学力格差を克服している学校」(力のある学校、効果のある学校)の存在も明らかになっている。とりわけ後者の意義が重要だ。
義務教育として一人一人の子どもの資質・能力を伸ばすには、多くの学校を「力のある学校」にしなければならない。そうした教育政策を立案するための重要なエビデンス(客観的な証拠)を得ることが、今年度学調の重要な位置付けであった。
保護者調査は、5〜6月に抽出で行われるはずだった。ゴールデンウィークまで休校が続く状態では、調査どころではない。テストも含めて実施せよ、というのは酷だ。
しかし、感染のパンデミック(世界的大流行)によりリーマンショックどころか大恐慌以来の世界同時不況が到来するとさえささやかれている。そうでなくても仕事の休業を余儀なくされた保護者には収入源と雇用不安が広がっている。ただでさえ子どもの貧困・格差が社会問題となっている中、ますますSESの格差拡大が懸念される。だからこそ、今年度の調査が重要だった。
そうであればこそ、来年度の調査はしっかりやってもらいたい。むしろ来年度こそ、悉皆が必要かもしれない。ただし、結果によって集団SESの低い学校に人的・物的支援をセットで行うことが不可欠だ。
いつかアベノミクスの暖かい風が全国津々浦々に吹き渡る――安倍政権はそう言って、国民に幻想を振りまいてきた。現実には、深刻な格差を固定化、拡大してきただけだ。今般の緊急経済対策にしても、さらなる国債の増発で財政はますます悪化しよう。もはや「終息後のV字回復」などと言われても信用できない。
安倍政権の7年間で教育条件整備が進まず、教員の多くが過労死ラインを超えて働く勤務実態が常態化してしまったことも見逃せない。やせ細った現場こそ教育力の「再生」が必要だ。経済も財政も厳しい中だからこそ、教育投資をおろそかにしてはならない。それこそが国として責任ある教育政策であり、経済政策ではないか。
なお本社はこれまで「全国学力・学習状況調査」の略語を、他社と横並びで「全国学力テスト」としてきた。今後も配信記事では基本的に変更はないが、本社独自記事では「全国学調」に統一する。同調査は都道府県や市区町村を競わせる学力コンクールでも何でもなく、あくまで改善のための調査であるということを明確にする上でも「学テ」は使わない方がいいと判断したまでである。コンクールと見なす向きがいまだに強いことは、誠に嘆かわしい。
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