ルビジウム
一般特性 | |
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名称, 記号, 番号 | ルビジウム, Rb, 37 |
分類 | アルカリ金属 |
族, 周期 | 1, 5 |
密度 | 1.53 g/cm3 |
色 | 赤色 |
原子特性 | |
原子量 | 85.468 u |
原子半径 | 265 pm |
酸化数 | 1 |
一応なるべく国際単位系使用 及び標準状態下。 |
ルビジウムとは、宝石として高値で取引されるルビーに赤色を与える元素である。
概要[編集 ]
ラテン語で「赤」を意味するrubidusに由来する名を持つルビジウムは、アルカリ金属の一つでありながら赤みを有する。単体で銀白色でない金属は珍しく、他には銅、金ぐらいしか存在しない。
赤い顔料は古い歴史を持ち、原始時代には赤銅など自然界でも得やすいものを砕いて粉末状にしたものが用いられていた一方で、アカネなど植物の根から赤い液体を取り出して用いることもあった。しかしこれらはいわゆるベタ塗りした赤であり、しかも一部は時間経過により黒変するなど歴史に残るような作品には不向きであった。それが19世紀に入り、ルビジウムを分離する技術が確立されると、これを用いた顔料によって透明感を持つ赤が実現された。これを用いた著名な画家としてはアンリ=マティスがおり、彼は野獣派の一人としてフォーイズムを確立した。
ルビジウムを用いた芸術作品[編集 ]
上図は先述したマティスの代表作、「ダンス」である。大きく描かれた5人の女性が手をつなぎ、自然の中で奔放に舞踊している姿が描かれている。
5人はそれぞれ微妙に違った色合いで描かれており、これはルビジウム顔料特有の扱いやすさに起因している。つまり、ルビジウム顔料は簡単に混色することが可能なのだ。各人のシルエットそのものは単調でありながら、それぞれにアイデンティティを付与することができている。
特に注目すべきは奥側、左から二番目の女性である。ルビジウム顔料が持つその躍動感によって、女性が本質的に持つ生命力が我々にも直観的に感ぜられる。彼女は妊娠しているようにも見え、乳房も他の人物よりも強調して描かれているが、そこに卑猥さを感じさせることなく生命の躍動を強調することにマティスは成功したのだ。
これはルビジウムを使用した絵画の中でも屈指の名画とされ、マティス以降ルビジウムレッドは広く用いられるようになった。当初は分離技術に多額の費用がかかったため、ウルトラマリンをラピスラズリを粉末化して作っていたように、ルビジウムレッドもルビーを粉末化して取り出されていた。
展望[編集 ]
現代では、カドミウムなどを用いた赤色顔料が主流で、ルビジウムはその特権的な地位を退いた。しかしながらカドミウムはイタイイタイ病の原因になるなど環境汚染の原因になることが指摘されており、美術的進歩に寄与するといえども持続可能な社会に盾突く行為は社会的に許容されなくなりつつある。そこで、界隈で次に来る顔料と見なされているのがこのルビジウムで、著名な画家の中にはこれを用いた実験的習作をすでに制作し始めているものもいる。
Amazonなど諸処のショップではまだ取り扱われていない、いわばマイナーな知る人ぞ知る顔料ではある。しかしながら、次世代の顔料として復権しうる力を秘めているのがルビジウムである。
関連項目[編集 ]
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8 | 119 | 120 | *3 | |||||||||||||||||||
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*1 ランタノイド: (Lanthanoid) |
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*2 アクチノイド: (Actinoid) |
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*3 超アクチノイド: (Superactinide) |
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