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大人の事情で学生にダメージ 関東学連の出場枠が大幅削減 トップの責任問題に発展か

[ 2024年12月10日 05:20 ]

ついに実力行使に動いた。日本学生ゴルフ連盟(日本学連)が、関東学生ゴルフ連盟(関東学連)への"ペナルティー"を来年から実行に移す通知文を出したことが分かった。日本学連が関東学連に求めていた、ガバナンス(組織統治)改革の動きが指定の期限を過ぎても見られなかったため、日本学生などへの出場枠を大幅に削減する。学生にとっては大きな痛手で、今月1日に新会長を決めた関東学連の対応に注目が集まる。

×ばつ ×ばつ

もはや妥協の余地はなかった。日本学連は7日に常任委員会と総会を開いて、9月に関東学連に通達していた内容を実行することを決めた。その決議の通知文を総会後に関東学連の理事、監督、学生に送った。

日本学連の責任者である学生委員長は「常任委員会、総会には関東学連の委員(学生)も出席していました。でも何の反論もありませんでした。全会一致で決定しました」と説明した。

これにより、関東学連に今年まで配分されていた、日本学生や日本女子学生などのビッグトーナメントの出場人数枠が、男女ともに15人(文部科学大臣杯争奪日本女子学生王座は10人)ずつ削減されることになった。高いレベルで競い合う場を求める学生にとっては、悪夢のような事態だ。

「スポーツ庁や日本ゴルフ協会(JGA)のかたとも話をしました。今の(関東学連の)規約に関しては、改訂した方が良いという結論が既に出ています。それを出席者に伝えて、これ(出場人数の削減)で行きますとなりました」

日本学連がここまで厳しい態度で関東学連に、ガバナンス改革を求めたのには理由があった。

関東学連は昨年5月に黒須一雄氏が会長職を突然辞任。22年度の副会長だった北口博氏が、当時未定だった副会長職を代行した上で、さらに会長職も代行する異例の事態に陥った。

関東学連は学生が主体の団体。そのトップである会長は学生が総会を開いて選ぶルールになっている。しかし、その肝心の総会がなかなか開かれなかった。

関東学連の規約では、総会の開催を決めるのは、社会人の理事が大半を占める理事会。その理事は会長が副会長を指名した上で、会長と副会長が合議して選ぶシステムになっている。学生がそこに口を挟むことはできない。

結局、北口会長代行と黒須前政権の時に指名された理事による"暫定政権"は1年半以上も続く。

一部の監督や学生からは「どうして早く新会長を決めないのか?」と疑問の声が上がり、スポーツ庁やJGAも事態の収拾に乗り出す事態になった。

それでも、なかなか新会長を決める理事会が開かれなかったため、学生ゴルフの全国組織の日本学連が"強硬手段"に動いた。
日本学連の見解としては関東学連の混乱は、ガバナンスに問題があるとの認識だった。そのため、9月に出した通達文では、関東学連にスポーツ庁のガバナンスコードにのっとった方法で理事を選ぶことを求めた。

日本学連に支援金を出しているJGAからも「1人(会長)が理事全員を指名できるというのは、独裁政治になりかねない。民主的にやってほしい」とガバナンス改革を期待する要望が出ていた。
一方で関東学連の常務理事会は、新会長を決める総会を開けなかった理由について、加盟校の学生にあてた文書で次のように主張していた。

「一部の方が一方的な個人的考え方を基に本連盟の運営を妨害しており、その結果規約に基づく方法で新たな執行部を設立できない状態が続いている」。ただ、その文書には具体的な妨害内容の記述はなかった。

そうした中で、ようやく1日に関東学連は総会を開き、北口会長代行を新会長に選んだ。

しかし、日本学連が求めていたガバナンス改革については、最終回答期限の今月7日になっても何の連絡もなかった。さらに日本学連の関係者の耳には、北口新会長の信任案の採決に至るまでの過程で見過ごせない事例があったという声まで入っていた。両団体の溝は埋まらなかった。

混迷を深める今回の騒動。1日の関東学連の総会に出席した関係者によれば、日本学連の通達が撤回されなかった場合、北口氏はその責任を取って辞任する考えを明言していたという。

一方で日本学連の学生委員長は「25年1月1日から25年12月31日まで、日本学連では(出場枠削減の)変更の議論自体を禁止するとしています」と強い口調で話す。

「僕は学生のために動かなきゃいけない立場ですし、学生のために動きたい。だから心配で何度も何度も(関係者に)どうなの?どうなっているの?と聞いてきました」と苦しい胸の内を明かす学生委員長。

公益法人ではない学連は任意団体。その運営は学生が主体となって行い、会長や理事などの大人はそのサポート役に回るのが理想的な形とされている。

一連のゴタゴタで最も胸を痛めているのは、出場枠を減らされる学生であり、その処分を決める作業に動かざるを得なかった学生たちだ。そうした事態を招いた大人たちの責任は重い。

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