地域の国際化については、地方公共団体において、1980年代後半から「国際交流」と「国際協力」を柱として推進されてきました。
昭和62年に自治省が策定した「地方公共団体における国際交流のあり方に関する指針」等に基づき、海外地域との姉妹自治体交流や外国青年招致事業(JETプログラム)等を中心に地方公共団体の国際交流施策が進められました。その後、国際交流の実績を背景としつつ、互いの地域の発展のために地域レベルで協力し合う「国際交流から国際協力へ」という新たな潮流が起き、この流れを受けて、平成7年に自治省が「自治体国際協力推進大綱の策定に関する指針」を策定し、当該指針等を踏まえ、自治体職員協力交流事業(LGOTP)等による研修生の受入れ等人的協力の分野を中心に地方公共団体の国際協力施策も着実に進められてきました。
1990年代以降、外国人住民数が急激に増加し、平成17年末には在留外国人数が10年前の約1.5倍となる約190万人となり、今後更なる増加も予想されたことから、外国人住民施策が全国的な課題となりつつありました。
そのため、総務省では、国籍などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていく、「地域における多文化共生」を地域の国際化の第3の柱として推進するため、平成18年に、地方公共団体における多文化共生の推進に係る指針・計画の策定に資するよう「地域における多文化共生推進プラン」を策定し、多くの地方公共団体においてこのプランをモデルに多文化共生の指針・計画が策定され、地域における多文化共生施策が推進されてきました。
近年、外国人住民の更なる増加や多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性・包摂性のある社会実現の動き、デジタル化の進展、気象災害の激甚化等、多文化共生施策を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しています。こうした中、政府においては、平成30年に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめるなど、外国人の受入れと共生社会づくりに政府全体で取組を進めています。また、地方公共団体においても、多文化共生の推進に係る指針・計画を改訂し、地域社会での活躍推進等の新たな視点を盛り込む動きも見られています。
こうした状況を踏まえ、総務省では、各地方公共団体が地域の実情を踏まえて多文化共生の推進に係る指針・計画の見直し等を行い、更なる多文化共生施策の推進を図ることができるよう、令和2年に「地域における多文化共生推進プラン」の改訂を行ったほか、令和3年には多文化共生推進の優良事例を紹介する事例集を作成するなど、多文化共生の更なる推進に向けた取組を進めています。