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ナラ枯れについて

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ナラ枯れについて

ナラ枯れ被害について Q&A

Q 紅葉には早い時期に山の木々が赤くなって枯れているが、原因は何ですか。


近年、奈良県でも、ナラ類やシイ・カシ類の木が枯れる「ナラ枯れ」という被害が広がっています。

これは、カシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」という)という昆虫が「ナラ菌」という病原菌を木の中に運び込むことよって引き起こされる樹木の伝染病です。


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(左:葛城
市ふたかみパーク付近 右:二上山 共に平成29年9月末撮影)



しろまる ナラ枯れのメカニズム

カシナガは、体長4.55mm程度の小さな虫で、メスの背中にはマイカンギア(菌囊)とよばれる、餌となる菌を貯蔵・運搬する器官をもっており、このマイカンギアに餌となる菌の胞子のほか、ナラ枯れを引き起こすナラ菌の胞子が含まれ、木の中に運び込まれます。

カシナガは、6月上旬頃〜ナラ類の幹に穿入し、樹幹内で産卵を行いますが、この時にナラ菌の胞子も木の中に持ち込まれます。ナラ菌は、カシナガが掘った坑道を伝って蔓延し、その結果、ナラ類がナラ菌の蔓延を防ごうとして通水機能を止めてしまうことにより、7月〜8月頃葉がしおれて茶色に変色し枯死に至ります。

木の中で成長・羽化した新成虫は、翌年の6月上旬頃〜ナラ菌を持って脱出し、健全なナラ類に飛来・穿入を行うことで、被害が拡大してしまいます。


saikuru

(注記) マスアタックを伴わないカシナガの穿入では、枯死しない場合が多い。

しろまる 被害を受ける樹種

ナラ枯れはブナ科の樹種で確認されており、特にミズナラやコナラの落葉広葉樹で集団的な被害が発生しています。また、常緑樹のシイ・カシ類でもナラ枯れの被害が発生していますが、落葉広葉樹に比べて集団的被害を呈することは少なく、樹種によって枯れ方や被害の程度には違いが見られます。


konara コナラ

kunugi クヌギ

しろまる 被害の特徴

木が枯れる原因は、ナラ枯れ以外にも、気象やその他の病気による場合もあります。

ナラ枯れを見分けるには、被害が発生している樹種、発生した時期(梅雨明け〜8月頃)、葉が委縮して赤褐色に変色している等の特徴のほか、木の幹(地上〜4m程度の位置)にカシナガが穿入した穴があり、木の根元にフラス(カシナガの排泄物と木くずが混じったもの)が貯まっていることが大きな特徴です。

furasu 被害木の根元に貯まったフラス

sennyukou カシナガの穿入孔


カシナガの穿入孔の直径は約2mmで、形は真円です。爪楊枝を中に差し込むと、やや斜めに入り、5mm程度で突き当たる感じがします。

Q 防除対策はあるのですか。

対策には、大別して予防と駆除があります。

予防とは、保護したい対象木に対して行う、枯死を防ぐための対策です。

駆除とは、カシナガの殺虫ならびに被害木の処理、被害拡大を防ぐ為の対策です。


yobou kujo


Q 全国および奈良県の被害状況を教えてください。


しろまる
全国:

ナラ枯れ被害は、平成2(1990)年前後より、日本海側を中心に被害が 目立つようになりました。平成12(2000)年頃より、被害は拡大の傾向を見せ、10年後の平成22(2010)年度には被害量がピークとなり、その後被害量は減少傾向にありましたが、平成27(2015)年度以降、拡大傾向となっています。
R3年度ナラ枯れ 全国被害量

(林野庁HPより)


しろまる 奈良県:

奈良県では、平成22年に奈良市川上町(若草山周辺)において被害が確認されました。その後、平成27年度までは県北部地域において被害が拡大し、平成28年度以降は県中部及び南部・東部地域にも被害が拡散しましたが、平成30年度以降は北部地域で被害の減少が見られ、県全体として被害が減少しています。

しかしながら、南部・東部地域では広葉樹林が小面積で分散しているため、局所的な被害ですが、被害区域は拡大傾向となっています


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(葛城山 平成29年9月初旬撮影)



Q 被害が急に拡大した原因は何ですか。カシナガは外来種ですか。


カシナガは日本に昔からいた在来種で、ナラ枯れ被害も1930年代、1950年代の記録がありますが、一部地域で数年で終息していました。しかし、1980年代以降に発生した被害は終息せずに拡大しています。

その原因は明らかにされていませんが、ナラ類やシイ・カシ類の高齢化・大径化によりカシナガが繁殖しやすい森林環境になったことが被害拡大の要因のひとつと考えられています。
私たちの生活様式の変化により薪炭林等が放置された結果、カシナガの繁殖に適した森林が増加したため、全国的な被害に発展したのではないかと考えられています。

Q 奈良県はどのような対策を取っているのですか。


しろまる
ナラ枯れ対策協議会:

県では、関係機関や市町村との情報共有や連携を目的に、ナラ枯れ対策協議会を開催しています。

平成27(2015)年度は、既に被害が確認されている市町村や今後被害の拡大が懸念される県北中部の市町村を対象に3回の協議会を開催しました。

平成28(2016)年度以降は、被害の拡大傾向が収まらないことを踏まえ、全市町村を対象として協議会を開催しています。当年度の被害は梅雨明け以降に急速に明らかになり、紅葉が始まると被害状況が分かりにくくなるため、現在被害が発生していない市町村においても事前の情報共有や対策の検討が重要と考えられます。

しろまる 被害木調査:

7~市町村や関係機関からの被害情報の収集

9月下旬~10月上旬ヘリコプターを使っての被害木探査を実施


(左:黒滝村 右:御所市
共に令和元年9月上旬撮影)


Q 県や市町村で枯れた木を伐採してもらえるのですか。


被害木の処理は、森林所有者の責任で行っていただく必要があります。国有林については国が、県有林、市町村有林については県や市町村の管理者が対策を行うことになりますので、土地の所有者・管理者にご相談ください。

Q 対策を取るための補助制度はあるのですか。


県では、平成30年度まで、県森林環境税を活用した緊急森林対策事業の中で、市町村が実施する対策に加え、市町村が一般からの申請を取りまとめて代理申請される場合に、一般の方が実施する対策への補助制度を実施していましたが、平成31年度より、国から各市町村へ森林環境譲与税が譲与されることを受け、県による補助制度は終了しています。

補助制度の有無、内容については、森林のある市町村にご確認ください。

Q 枯死木の危険性を教えてください。


枯死木が発生した場合、落枝や倒木の危険があります。枯死後数年で枝が落下し、倒木を起こす危険性があり、通行人や家屋への被害だけではなく、送電線や道路・線路等への被害の発生事例も確認されています。できるだけ速やかに、伐倒処理を行うことが推奨されます。
また、1年以上前に枯れた木では葉っぱの色が薄くなったり落葉して目立たなくなるため、伐採等の対策がすぐに行えない場合、通行人に対して倒木や落枝の危険性について注意喚起を行うこと等も必要です。


touboku

その他、ナラ枯れが発生した森林では、被害発生時または数年後に、猛毒性のカエンタケが多く発生することが確認されています。ナラ枯れとの関連性は明確には分かっていませんが、毒性が強く、食べても触っても有毒であり、死亡例の報告もあり、注意が必要です。

kaentake カエンタケ

Q 被害木を処理する場合のやり方が分かりません。


被害木は大きい木が多く、また森林では急な斜面に生えていることも多いため、木の伐採については専門の業者に委託されることをおすすめしています。また、薬剤の使用も使用量や禁止事項等の確認を行い、間違いのないようにしましょう。(登録農薬の使用基準外での使用は法律で禁止されています。)

県や市町村では業者を紹介することは行っていません。

参考:奈良県森林病害虫等防除事業では、以下のような仕様を定めています。(一部省略)

(注記) 県の事業を実施する仕様であり、個人で実施される場合に義務づけられる内容ではありません 。



ナラ枯れ被害伐倒駆除・くん蒸

1.実施時期

駆除の時期については、カシノナガキクイムシ(以下カシナガという)の発生時期までに実施すること。

2.作業の内容

(1)伐倒:伐倒に当たっては、周辺の施設等に被害をあたえないよう適切な措置を取るとともに「もたれ木」等のまま放置しないよう完全に伐倒すること。

(2)枝払い、玉切り:伐倒した被害木は、集積が可能な程度の長さ(2m程度)に枝払い、玉切りを行なうこと。

(3) 切り込み:くん蒸薬剤のガスを丸太及び伐根内部に確実に作用させるため、玉切りした後にチェンソーで切り込みを入れるものとする。切り込みは末口φ30cm以上が左右各6箇所、末口φ30cm未満は片側6箇所とする。(末口:丸太の細い方の切り口)

(4) 地上部切り込み:地上に残存する伐根については、チェンソーで左右両側各3箇所5.5cm程度の切れ目を入れてからくん蒸する。

(5) 集積:枝払い、玉切りをした枝条及び材はくん蒸処理が適切に行なえる程度に集積する。


(6) くん蒸:くん蒸処理に当たっては、直径10cm以上枝条についても集積したうえで、被覆資材が風等によりめくれないよう裾を十分土等で押さえるなど、確実に密閉された状態で処理すること。

(注記) 薬剤はNCSを使用し、使用上の注意事項を遵守すること。

(注記) 作業着手前には、注意標識等で表示し、入林者(関係者以外)が作業箇所に近づかないよう等周知すること。

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玉切りし、切り込みを入れて集積

3.薬剤の使用について

薬剤の使用にあたっては、容器等に記されている安全使用基準等遵守するとともに4.に定める留意事項を厳守のうえ安全使用に努めること。

くん蒸にあたっては、被覆容積1m3当たり1Lのくん蒸薬剤を使用すること。なお、くん蒸期間は、14日以上とする。

(注記) NSCくん蒸材はガス化が著しいため、薬剤のラベルに記載のある注意事項を遵守の上、特に皮膚や目に付かぬよう作業を行うこと。


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4. 作業実施上の留意事項
(1)伐倒作業にあたる従事者は、ヘルメットを着用し、事故のないよう安全作業に努めること。

(2)薬剤の散布等にあたる従事者は、ヘルメット、マスク、ゴム手袋等を着用すること。

(3)労災保険について
作業の安全には、特に留意するとともに万一の事故に備え、従事者に対する労災保険に必ず加入すること。

(4)薬剤の管理

使用する薬剤は、農薬登録の際の貯蔵上の注意事項等を遵守し安全に管理すること。

使用後の空容器については、放置せず、安全な場所に廃棄する等適切に処理すること。

5. 材積の測定

材積の測定は、実施場所ごとに次により実測するものとする。直径は2cm括約で測定する。

(1)対象地の駆除を行なうすべての伐倒木の根元直径(地際から10cmの高さの最小径)を測定し、伐根に当該年度及び通し番号をペンキ又は番号札で表示し、整理記録のうえ別表5の3(pdf 55KB)により算出する。なお、根元直径は表皮を含むものとする。


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(2)伐倒前に胸高直径を測定して材積を算出する場合は、調査指導員に連絡し検査を受けてから伐倒を行なうものとする。この場合も該当木のすべてに通し番号をつけて別表5の4(pdf 55KB)により算出する。

なお、搬出等により番号が後日確認できなくなる場合は、上記(1)に準じて、伐根にその番号を移し替えておくこと、これにあたっては当該年度も表示すること。


6.記録写真

実施場所毎に次により写真による記録をしておくものとする。
伐倒前写真、伐倒後写真

(1)伐倒、枝払い、玉切りの状況

(2)伐根(当該年度及び番号を入れたもの)の状況
(3)くん蒸処理の状況(シート被覆状況、生分解性シートでない場合は撤去後の状況)

(4) 薬剤の空き容器



ナラ枯れ被害ビニールシート被覆

1実施時期
駆除の時期については、カシナガの発生時期までに実施すること。

2作業実施上の留意事項

従事者は、ヘルメット等を着用すること。

3 被害防除作業に伴いビニール被覆を行う際は、次に十分留意すること。

作業の手順

(1) 対象立木の被害状況に応じて、地際から2mまたは、4mまでビニールシートで被覆すること。地際部、最上部はカシナガが穿入できないよう特に細心の注意を払ってテープにより固定すること。防除効果は、処理が早いほど高いと考えられるため、なるべく早期に実施すること。


(2)労災保険について:作業の安全には特に留意するとともに万一の事故に備え、従事者に対する労災保険に必ず加入すること。


(3)実施木については、通し番号をつけて、整理記録すること。


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Q 伐採した被害木は利用可能ですか。


枯れた木を粉砕したり、薪にしての利用が可能です。ただし、伐採したり玉伐りしただけでは幹の中のカシナガは生存しており、翌年脱出して健全な木へ被害が拡大するため、粉砕や焼却により利用する場合は、できるだけ羽化脱出前までに処理していただくことをお願いしています。

(薪状に縦割りする場合、乾燥によりカシナガ幼虫の多くが死滅しますが、完全に殺虫出来る訳ではありません)

特に他人に販売したり譲渡したりする場合、被害木であることを伝え、羽化脱出前に適切な処理がなされない場合、未被害地域への移動は行わないようにしてください。


奈良県ナラ枯れ被害材の利用に関するガイドライン(pdf 518KB)

関連HP等



林野庁HP https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare_R3.html

森林環境課

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共生推進係0742-27-81150742-27-8115 新たな森林環境管理制度の推進、森林環境税の活用、森林病害虫、緑化推進、林業技術の改善普及、森林経営管理法に関すること
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