アセトバクター属酢酸菌は1954年に日本の伝統的な静置発酵法による食酢醸造現場において、米酢もろみ上の発酵菌膜から分離された酢酸菌で、高い酢酸生産能力と耐酸性を備えており、多くの研究実績があります。その後、発酵研究所(IFO)そしてNBRCで維持されてきましたが、長年にわたる継代培養により、表現型が異なるコロニーが混在することから、ゲノム配列にもバリエーションの存在が推察されていました。
ゲノム解析の結果、約2.9 Mbの環状染色体と6個のプラスミドからなることが確認できました。さらに配列のバリエーションとして、トランスポゾンの挿入の有無、SNPs、そしてタンデム配列の繰り返し数の違いが見つかり、少なくとも7種類のゲノム配列が存在することが確認されました。継代によってもたらされたゲノム配列の不安定性を示す興味深い例と言えます。
ゲノム解析に使用したIFO 3283 (= NBRC 3283)と、この株から新たにコロニー分離を行ってゲノム配列をそれぞれ確定した菌株(NBRC 105184〜105190の7株)をNBRCから提供しています。また最もオリジナルの配列に近いと推定されたNBRC 105190のゲノム情報をDOGANより公開しています。
Acetobacter pasteurianus 電子顕微鏡写真
村松(NITE NBRC)撮影
ゲノムサイズ(bps) | 3,337,040 |
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ORF | 3,046 |
GC含量(%) | 53.1 |
データベース | DOGAN |
NBRC番号 | 105190 |
代表共同研究先 | 山口大学 |