多くの開発途上国では、経済発展や人口増加、都市化の進展に伴い、廃棄物処理や水質汚濁、大気汚染などの環境問題が従来以上に深刻化しています。また、気候変動は、世界のあらゆる国々の安定と繁栄、人間の安全保障にとって脅威となっています。しかし、環境問題の多くは複雑な要因が絡み合って発生しており、短期的な解決策を見出すことは困難であるほか、環境問題・気候変動の科学的な分析、対処のための法制度設計、政策実施上で検討が必要な事項は多岐にわたっています。そのため、開発途上国における環境問題や気候変動への対処を考察し、自然科学分野で蓄積された最新の知見や方法を取り入れながら、開発協力の現場での経験やデータを踏まえた研究が重要です。
このような状況の中、当領域では、気候変動の適応に向けた経済的手法の検討や、プロジェクト開発における環境影響評価の手法に関する研究を行っています。さらに、SDGsの達成に向けて、ASEAN諸国を対象とし環境および気候変動に関する政策提言に向けた研究を開始しています。