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海洋地球研究船「みらい」

前身は日本初の原子力船「むつ」。1995年に船体を切断の上、原子炉を一括撤去された「むつ」は、再利用しない部分の解体やアスベスト除去が行われたのち、1996年8月21日に通常のディーゼル機関を搭載した海洋地球研究船「みらい」と命名され生まれ変わりました。
優れた耐氷性、航行性を有し、広域かつ長期にわたる観測研究が可能な特徴を生かして、北極海や太平洋、インド洋など亜熱帯・亜寒帯海域での海洋調査を専門に、海洋地球研究の最先端国際洋上基地、多様な海洋地球データ発信基地としての役割が期待されています。

ミッション

(1) 海洋の熱循環の解明
海洋は大気とのやり取りや海水の循環などを通じて、地球全体の熱のバランスを支配しています。特に、海水温や海流の変動は異常気象や気候変動の原因となります。「みらい」は、海洋変動のメカニズムなどを解明するのに使われています。
(2) 海洋の物質循環の解明
地球の温暖化は、大気中の二酸化炭素等の増加によって進行しますが、荒天海域を中心とした海洋がそのかなりの部分を吸収していると考えられています。「みらい」は、二酸化炭素等の大気と海洋間の交換量や海洋中の循環のメカニズムを解明し、地球温暖化を予測するのに役立っています。
(3) 海洋の生態系の解明
プランクトンなどから成る海中の生態系は、地球環境変動に影響を及ぼすことが予想されます。「みらい」は、この関係を解明していきます。
(4) 海洋底ダイナミクスの解明
海底の堆積層には、地球の活動の歴史が積み重なっています。海底の地形や地質構造を調べ、地球の環境変動や海洋底プレート運動など、地球の活動を解明していきます。
(5) 海洋観測ブイの解明
「1. 海洋の熱循環の解明」「2. 海洋の物質循環の解明」を推進するため、西太平洋からインド洋にわたる海域に海洋観測ブイ(トライトンブイ)を計18基を展開しています。
[画像:トライトンブイ]
トライトンブイ

特徴

広域・荒天域の観測調査が可能な大型海洋観測船
世界でも最大級の大型海洋観測船です。耐氷構造の採用や減揺装置の搭載により、極域や荒天時の観測も行えます。
大型観測装置を搭載
ドップラーレーダを常設しており、大型海洋観測ブイ(トライトンブイ)を14基搭載できる他、大型採水器やピストンコアラーを搭載しています。
[画像:ドップラーレーダ]
ドップラーレーダ

主要目

全長 128.5m
19.0m
深さ 10.5m
喫水 6.9m
国際総トン数 8,706トン
航海速力 約16ノット
航続距離 約12,000マイル
定員 80名(乗組員34名/研究者46名)
主推進機関 ディーゼル機関 1,838k×ばつ4基
推進電動機 700k×ばつ2基
主推進方式 ×ばつ2軸

研究者のための設備

しかく海洋観測研究設備
研究室(13室)、音響航法装置(送受波器昇降装置付)、マルチナロービーム測深装置、音響式流向流速計、地層探査装置、海洋レーザーシステム、電波航法装置、CTD採水装置、20mピストンコアラー、プロトン磁力計、船上重力計、船上磁力計 、衛星データ受信システム(NOAA,GMS 等)
しかく海洋観測研究補助設備
Aフレームクレーン(22トン)、観測ウインチ(7基)、トラクションウインチ(3基)、スウェルコンペンセータ(3基)、気象関係観測室(3室)
しかく気象観測研究設備
気象関係観測室(3室)、総合海上気象観測装置、大気ガス採取装置、ドップラーレーダ

主な経歴

2009年1-9月 太平洋を横断した観測航海「SORA2009」を実施
2008年8-10月 「国際極年北極観測」として北極航海を実施
2007年1月 インド洋における大規模雲群発生の観測に初めて成功〜マッデン・ジュリアン振動現象の解明に大きく前進〜
2003年8月-2004年2月 南半球周航観測航海BEAGLE2003を実施
2002年 AMVERに関する表彰を受ける
2002年8月 西部北極海国際共同観測JWACS実施
トライトンブイ18基展開完成
2001年10月 インド洋東部にてトライトンブイ設置
2000年5月 北極点へ我が国初めて氷海観測用小型漂流ブイによる観測に成功
2000年3月 アルゴ中層フロート投入開始
1999年6,7月 国際集中観測Nauru99に参加
1998年10月 公募による研究航海実施
1998年9月 最初の北極海研究航海を実施
1997年 竣工

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