チェンジ・リーダーたるには
予期せぬ成功の追求と
そのための予算が必要である

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ダイヤモンド社刊
2310円

「最初から完璧なものはありえない。必ず予想しなかった問題が出てくる。逆に大きな障害と思ったものがたいしたことがなく、あるいはまったく存在しないことがある。仕事というものは、初めに考えていたものとは必ず違ったものになる」(『明日を支配するもの』)

特に、真に新しいものには、それをつくった者には想像できなかったニーズと市場がある。

その代表例が、ジェームズ・ワットの実用蒸気機関だった。炭坑の排水用に開発したものが、紡績で使われて予期せぬ成功を収めた。紡績会社が蒸気機関を使い始めるや、綿糸の価格が7割下がった。近代工場が生まれ、近代経済が生まれた。それが、産業革命だった。

新しいものには、新しい市場と新しい展開があるとするならば、すべて新しいものは、小規模に始めなければならない。見通しを得るための紙上のアセスメントでは不足である。

新しいものはすべて小規模にテストしなければならない。つまりパイロットしなければならない。そして予期せぬ成功があれば、それを追求しなければならない。

加えて、変化の先頭に立つには、そのための予算が必要である。しかし現実には、あらゆる組織が、景況に合わせた1種類の予算しか持っていない。その予算を、好況時には一律に増やし、不況時には一律に減らしている。

ドラッカーは、そのようなことでは、チェンジ・リーダーたることはできないという。

未来を築くには、未来のための予算が必要である。好不況にかかわらず、一定に保つべき予算である。その規模は、全予算の10〜20%であろう。
未来のために何かをやろうというのであれば、そのための予算が必要なことは当然である。

成功を追求するための予算も、この未来予算に含まれる。成功したからそれでよしとしてはならない。成功したからこそ、継続して力を入れなければならない。

「われわれは、報告に基づいてマネジメントしがちである。したがって、チェンジ・リーダーたるには、予期した以上の成果をあげている分野、予期せぬ成功を収めた分野、機会のある分野に焦点を合わせた報告が必要である。さらには、未来を生みだし、変化の先頭にたつことを見込んだ予算が必要である」(『明日を支配するもの』)

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