東京ディズニーでバイトする高学歴大学生たち、東大、千葉大、法政大卒業後の「意外な進路」
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それから数カ月して、内野君からある滞在型ホテルチェーンに内定が決まったという報告をもらった。
その日の帰り、イクスピアリのカフェに立ち寄り、内定祝いと称して、コーヒーとケーキをご馳走した。わがことのように嬉しく、「おめでとう。よかったじゃないか」と声をかけると、ただただ照れて笑っていた。その反応もまた彼らしかった。
週5勤務のバイトリーダー
米ディズニー社への転職ルートなどない
週5日勤務の準社員だった浜田君(仮名)は真面目で正義感の強い人柄で、笑顔が印象的だった。前述した小泉さん(仮名)への注意など、年齢に関係なくリーダーシップを発揮していた。ユニバーシティ・リーダーも経験して、仕事に取り組む姿勢は同僚の模範だった。
浜田君はディズニーが大好きで、つねづね「アメリカのディズニーで働きたい」と語っていた。しかし、オリエンタルランドの準社員から、アメリカ・ディズニー社への転職ルートなどない。
彼はアルバイトの準社員を続けていることに不安を抱いているようだった。老婆心ながら、私は自分の会社員時代の経験なども踏まえながら、正社員として働くことの重要性を説いた。
その後、浜田君も就職活動を始め、中堅の不動産会社から採用された。彼も採用が決まったと大喜びで私に報告に来てくれた。その日の仕事終わりに新浦安駅のコーヒーショップに行った。
「いやぁ、おかげさまで正社員で就職が決まりました」内野君よりも如才なく、彼はそうあいさつした。
「浜田君にピッタリの仕事かもしれないよ。最初は仕事が多少つらく感じることがあるかもしれないけど、自分に合うかどうかはすぐにはわからないから、ある程度辛抱することも大切だよ」
サラリーマン時代の私は、仕事は基本的につらいもので、ときどき達成感を味わうことができればよいと考えていた。ある先輩から「おまえのもらう給料の中には"我慢代"も含まれている」と言われたことがあった。
仕事が楽しいというのは理想であるが、そんな仕事に巡りあえる人はそう多くはない。であれば、自分が取り組む仕事の中にどれだけ喜びを見つけ、達成感を得られるか、それが重要だと考えていた。達成感を得るためには仕事に真剣に取り組まねばならない。それはディズニーランドでもそれ以外の仕事でも変わらない。コーヒーショップで彼にそんな話もした。
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