国税庁の「タワマン節税」封じでマンションバブル崩壊?規制強化の直撃エリアを大胆予想!

ダイヤモンド編集部
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タワーマンション写真はイメージです Photo:PIXTA

国税庁は、マンション購入により節税効果が得られる「マンション節税」や「タワマン節税」を封じるべく、相続税の算定ルールを見直す方針を固めた。節税スキームを封じることで税負担の公平性を担保するのが狙い。しかし、これはバブル経済を上回る絶好調なマンション市況に冷や水を浴びせかねない動きともいえ、業界関係者は「マンションバブル」崩壊に身構えている。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

タワマン節税封じで
絶好調なマンション市況に冷や水

マンションを巡る相続税の評価については、マンションの市場価格と相続税評価額に大きな乖離(かいり)があり、税負担が公平でないと問題視されていた。

国税庁が調べたところ、例えば東京都にある築9年43階建てマンションの23階(67.17平方メートル)の部屋の市場価格は1億1900万円。これに対し、相続税評価額は3720万円。市場価格と相続税評価額の差である、いわゆる「乖離率」は3.20倍だった。

マンションの市場価格と相続税評価額の差を利用し、現金で相続するよりマンション購入によって資産を"圧縮"して節税するスキームが近年、富裕層を中心に活発化していた。マンションの階数が上に行けば行くほど、節税効果が期待できることから「タワマン節税」という言葉がブームとなった。

しかし、税負担の公平化を図るべく、2022年12月に決定された今年度の与党税制改正大綱では、タワマン節税を封じる方向性が明記された。

これを受けて国税庁は今年1月、マンションの相続税評価の算定ルールを議論する有識者会議を設立。過去3回の有識者会議での議論を経て、国税庁は6月末、市場価格に基づいてマンションの相続税評価額を引き上げる新たな算定ルールを決定した。

具体的には、保有するマンションの築年数、総階数、所在階、敷地持ち分の4項目について指数化し、乖離率が1.67倍になるよう相続税評価額を補正。これによって「マンション節税」を封じる。新たな算定ルールは、24年1月からの適用を目指す。

こうした"お上"の動きには反発も上がる。「実需でも投資でも相続でも節税でも、どんな目的であろうとお客様であることに変わりない。一部だけ狙い撃ちにする政策は好ましくない」。あるマンションデベロッパー関係者は、そう吐き捨てる。

実は、国税庁の「タワマン節税封じ」に対し、マンション業界は戦々恐々としている。というのも、タワマン節税封じが好調なマンション市況に冷や水を浴びせかねないからだ。

「いわゆる節税目的でマンションを購入するのは、全体の1割もいない。(タワマン節税封じによる)市況への影響は限定的だ」。ある大手マンションデベロッパーの関係者は、そう強がるものの、規制強化がバブル期超えを記録した足元の絶好調のマンション市況に水を差しかねないとの懸念は根強い。

実のところ、限定的とはいえ、タワマン節税封じがマンション市況に影響を及ぼすエリアが出そうだ。では、その影響が出そうなエリアは、果たしてどこなのか。

次ページからは、業界関係者への取材を基に、タワマン節税封じでマンション市況に影響が出そうなエリアを大胆に予想する。そして、規制強化前にもマンション市況全体が動く可能性がある。市況の先行きについてもお届けする。

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