ウクライナリスク「安全資産」は?米株・ドル円・債券・ビットコイン...
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過去の常識が通用しない市場
合理的な「安全資産」は?
ロシアによるウクライナ侵攻で、金融市場に不安心理が高まっている。日経平均株価は、2月24日にロシア軍のウクライナ攻撃開始が伝わると一時2万5700円台と1年3カ月ぶりの安値を記録した。
その後、日経平均は持ち直し、2月28日の終値は2万6526円。米欧諸国が国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網からロシアの一部銀行を締め出す方針を打ち出したことで、日経平均の下げ幅が200円を超える場面もあったが、ウクライナとロシアが停戦協議に入るとの期待感もあって、同日後場は買戻し優勢となった。
ただし、市場関係者の多くが語るように、このまま金融市場が安定を取り戻すとは期待しにくい。
2月28日の日経平均オプション市場では、3月10日が最終売買日の3月限の権利行使価格2万0500円のプット(売る権利)で10円程度の価格がついた。足元の日経平均が2万6000円を超えているのに、20%以上も低い価格のプットに10円もの価格がついているのは、過去の常識が通用しないとの見方が根強い証左といえる。
多くの有識者が指摘するように、ウクライナ情勢の先行きを的確に見出すことは難しい。ロシアが経済制裁を受けてウクライナから手を引くと期待したくもなるが、もはや失うものがないとばかりに、ロシアがウクライナへの攻撃を強め、核攻撃の可能性すら示唆する展開もありえなくはない。ウクライナへ派兵せず、武器供与にとどめている北大西洋条約機構(NATO)が、ウクライナを助けるべく派兵に踏み切ることで、ロシア対NATOによる第三次世界大戦に突入する可能性を合理的に否定できる者は存在しない。
もちろん、ここがチャンスとばかりに、待機資金を使って金融市場に買いで入る者も存在する。しかし、ウクライナ情勢の今後を合理的に予期できない状況の中で買い向かう行動は、今後の結果次第で、利益を得るかもしれないし、損失を被るかもしれないという点で、丁半博打と変わりはない。
金融市場は、予期しがたい事態に対して非常に脆弱である。誰もが「そんなバカな」と思うようなことが現実のものとなる可能性が高まれば高まるほど、金融市場で資産を売却し、いわゆる「安全資産」に逃避するのが合理的となる。
悩ましいのは、現状において安全資産と言い切れるものが見出しにくいことだ。
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