「会社がオーナー家に牛耳られている!」東証1部・天馬の社外取締役が実名告発
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家庭用収納ケースの「Fits」ブランドで知られる東証1部上場のプラスチック製品メーカー、天馬が監査等委員の選任を巡り紛糾している。その渦中の人物、天馬の社外取締役で常勤監査等委員の北野治郎氏がダイヤモンド編集部の単独取材に応じた。天馬の取締役会に「中立性・公正性に欠く」と指弾された北野氏は、「私は取締役をチェックする監査等委員としての職務を全うしているだけだ」と反論。むしろ天馬の取締役会が、コーポレートガバナンス(企業統治)の向上を目的に2015年に導入された、監査等委員会設置会社の制度をないがしろにしていると主張した。その根拠は一体何か――。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
ベトナム贈収賄疑惑を発端に表面化
金田家vs司家、創業家が骨肉の争い
「典型的なオーナー会社だな」
2019年6月、天馬の独立社外取締役として監査等委員に着任した北野治郎は、新たな"職場"にそんな印象を抱いたという。
実際、天馬は創業家4兄弟の強烈なリーダーシップにより、東京都荒川区にあったゴム製履物などの町工場から創業42年で東証1部上場にまで成り上がった大手プラスチック製品メーカーである。
北野が取締役に就任した当時、社長はプロパー社員出身の藤野兼人だったが、2代目社長(創業家二男)の子である金田保一が会長、そして3代目社長の司治(同四男)が名誉会長に君臨し、厳然たる影響力を保持していた。
一方、北野は日立製作所のグループ会社を定年まで勤め上げた「典型的なサラリーマン」である。退職後に取引先企業の内部監査室長に就いていた19年3月、62歳の時に人材あっせん会社から天馬の紹介があり、藤野との面接を経て天馬への"転職"が決まった。着任すると金田からこんなことを言われた。
「毎週1回は司名誉会長のところへ挨拶に行ってほしい」
わけが分からないまま司の部屋を訪ねて世間話をし、その会話の内容を逐一報告するよう金田と藤野に求められた。司は天馬の発展をけん引した功労者であり、業界への影響力も絶大だ。天馬の経営陣の誰もがカリスマ経営者の意向を気にしている様子が、サラリーマン出身の北野には手に取るように感じ取れた。
その時点で北野は、司家と金田家が敵対する"お家騒動"に巻き込まれることになるとは、みじんたりとも思っていなかった。
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