2021年、円高ドル安は進むのか?「金利差なき世界」で持つべき大局観
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激動の局面でどう動くか
2021年の金利と株式
感染症に始まり、感染症に振り回された2020年が終わった。政治、経済、金融、いずれを語るにせよ、歴史に残る1年だったと言って差し支えないだろう。こうした激動の局面において為替市場をどう見通すべきか、というのが本稿のテーマとなる。
しかし、為替を見通す上では金利見通しが決定的に重要になるので、まずは金利を語り、またそれに影響を受けるであろう株価についても、解説を先に付しておきたい。
金利見通しは、基本的にFRBのスタンスに追従することになる。この点、FRBは2020年9月に新たな政策枠組み「アベレージターゲット」を導入しており、インフレ率が「平均で」+2%に到達した段階で物価安定と見なす構えをとっている。現状の経済・物価見通しを前提とすれば、この評価が可能になるのは2024年後半との予想が多く、裏返せば「2024年まではゼロ金利継続」が既定路線となりそうだ。
2020年の金融市場では「実体経済と株価の乖離」が話題となったが、これもFRBの描く既定路線に沿った価格形成である。市場参加者(運用者)目線に立てば、「定期的にインカムを生むアセットが株(あとは不動産)くらいしかない」という状況が定着しており、株が物色されやすい局面が続くと考えたい。
とはいえ、図表1で示すように、株式時価総額が実体経済に対して強くなるという構図は今に始まったことではない。これはリーマンショック以降、10年以上にわたって見られる話だ。
この期間、共通要因として存在したのは「世界で定着した低金利」くらいではないか。「金利の低位安定」と「実体経済と乖離した株高」は、2021年以降の世界でも継続するニューノーマルと筆者は割り切っている。こうした状況をバブルと呼ぶかどうかは重要ではない。仮に「バブルである」と断定できたとしても、現時点で「だから潰す」という政策判断はできないからだ。議論すること自体があまり生産的ではない。
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