メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)は、気分や知覚(周囲の物や状況に対する認識)に変化をもたらす合成麻薬のひとつです。
覚醒剤や幻覚剤に似た化学的性質を持っており、高揚感や多幸感、親近感を生じさせる一方、感覚や時間に対する認識を歪めます。
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MDMAが持つその他の危険性としては、エクスタシーや「純度の高い」モリーとして販売されている錠剤やカプセル、粉末には、MDMA以外の薬物が含まれている場合があるということが挙げられます。
アメリカでは警察が押収したモリーの大半には、コカインやケタミン、メタンフェタミン、市販の咳止め薬、合成カチノン(俗称「バスソルト」)といった薬物が含まれていました。
これらの物質は知らないうちに摂取すると大変危険です。
また、MDMAと併用しても危険です。大麻やアルコールといったその他の薬物と、このような混合物を意図的または知らずに併用した場合、有害な健康被害を引き起こす危険性を高めてしまう場合もあります。
MDMAは脳内の3つの化学物質の働きを活発にします。
・ドーパミン:活力や行動力を高め、報酬系システムに作用してある一定の行動を強化します。
・ノルエピネフリン:心拍数や血圧を上昇させるので、心臓や血管に疾患をもつ患者にとっては特に危険です。
・セロトニン:
気分や食欲、睡眠その他の機能に影響を及ぼします。また、性的興奮や信頼感に影響するホルモンを誘発します。MDMAを使用するとセロトニンが大量に放出され、親近感や高揚感、他者との共感が生まれます。
その他の健康上の影響には以下のようなものがあります。
・吐き気
・筋肉のけいれん
・無意識の歯ぎしり
・視力障害
・悪寒
・発汗
MDMAの効果は3〜6時間持続しますが、使用者の多くは最初の服用時の効果が減退すると、2度目の服用を行います。使用後一週間程度のうちに以下のような症状が現れます。
・易怒性
・衝動性および攻撃性
・抑うつ状態
・睡眠障害
・不安症状
・記憶および注意力の障害
・食欲の減退
・性欲の減退および性的快感の減退
これらの症状は、MDMAとその他の薬物、とりわけ大麻との併用によって起きる可能性があります。
MDMAを使用する場合、通常はカプセルや錠剤で摂取しますが、液体を飲んだり、粉末を鼻から吸引する場合もあります。俗称の「モリー」(「分子」を表すスラング)とは、「純度の高い」MDMAの結晶粉末のことを指す場合が多く、通常はカプセルで販売されています。
しかし、モリーという名で販売されている粉末やカプセルを購入しても、実際には合成カチノン(俗称「バスソルト」)など他の薬物が代わりに入っていることも多いようです。アルコールや大麻と一緒にMDMAを使用する場合もあります。
高用量のMDMAの服用は体温を調節する能力に影響を及ぼす場合があります。
これにより体温が急上昇し、肝不全や腎不全、心不全を引き起こすこともあり、さらには死に至る場合もあります。
しかも、MDMAは信頼感や親近感を引き起こすため、特にシルデナフィル(バイアグラ)と併用すると、危険な性的行動を助長する場合があります。これによりHIV(AIDS)、肝炎などに罹患・感染する危険性を高めます。