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世界を主導できるだけの先見性、論理性、leadership、と、日本に足りないものがアメリカにはある。
競馬で云うと、逃げて勝つ馬は強い。風の抵抗を一身に受けて、自らpaceを作る。馬群に飲まれて前に出られない心配はない反面、脚を溜めて追走してきた他馬に差される可能性は強い。
アメリカはハナを主張するぶっちぎりの逃げ馬ってところか。日本は番手追走、世界を主導するなんて難しい大任は避けながら、経済活動に専念しているのが向いているだろうと思う。
これを読んでいて、加藤諦三の本に書いてあった、アメリカの低所得層の精神的安定感という話しを思い出した。最強国家アメリカの市民であることの誇りが心理的安定感となっているのだろうと感じたが、本書にも、あるBusinessmanの語る言葉の端々に、それを感じた。
「日本は戦争に負けて退却することを転進といったり、解雇を転籍といったり、変な民族だね。大事なことは本質を動かしていくことだが、日本の文化が本質をストレートにいうことを歓迎しないのだろうね。この分では、あと十年は日本はアメリカに追いつけないよ。今のアメリカの経済状況が、日本の十年前のバブルに似ているだって?冗談じゃない。日本のバブルは、アメリカの七十年前の大恐慌直前の活況に似てるのさ。アメリカは、それほど先に行っているということだ。
八〇年代に、レーガノミクスのせいでアメリカ経済が少しおかしくなったのは、冷戦末期の当時、世界の途上国を自由陣営につけようとムリにアメリカの市場を開放したためさ。当時のアメリカにとっては、明日の経済より五十年単位の国家戦略の方が重要だったんだ。日本はそのとき、アメリカに経済戦争で勝ったと騒いでいたが、アメリカはそんなちゃちなものはどうでもよくて、もっと大きなものと戦っていた。細川首相がアメリカに対して『大人の関係』といったのには笑ったね。居候息子が、少し金ができたからと、オヤジに『大人の関係』といっているようなもんだ。ま、ソビエトもなくなったし、アメリカはこの先自由世界のために大きな犠牲を払う必要がないから、当分日本はアメリカに勝てないね。」(pp97〜98 第二章 ビジネスマンとサラリーマンの間)
やはり、ハナを主張するのは難儀である。日本人は向かない。面倒な問題はのらりくらりとやり過ごすのが利口であろう。 つかみどころのない日本の外交手腕も、こう評価している向きもあるようだ。
日本は国際社会に対して責任を果たさず犠牲も払っていない、まだ子どもの国だが、金と屁理屈でここいらへんををうまく逃げ回る日本は、ガキでもなかなか侮れない「ませたガキの国」だというのだ。pp212 第四章 アメリカという国のかたち)
へたに矢面に立つより、おいしい立ち位置ではある。
特におもしろかったのは、第二章ですか。情報が90年代のものであるため、今のAmericanはもうちっと、しんどいことになってそうだが、自殺率等の数字で見れば、やっぱり相対的に日本人より楽観的なのだろう。
第三章のアメリカ人の財布の中身も、おもしろいんだけど、日本のサラリーマンは働くのがアホらしくなっちゃうんじゃないかね。
最後に著者の警鐘というんですかね、
急激な社会構造の変化に伴い、あまり宗教的なよりどころをもたない日本人の精神的弱さが露呈されるようになるだろうと思う。(pp219〜220)と云われていますね。
まぁ、八百万の神さんよろしく、宗教団体がわんかさございますけど、どこを見ても日本を変革しうる可能性を感じる組織はないですね。日本人と官僚主義の親和性は凄い、てか、骨の髄まで官僚主義が染み込んでる感じですな。これに満たされない人たちの救いになるどころか、日本社会に染み付いたものを組織に持ち込んで、結局できたのは上意下達の官僚主義組織という始末。
そんなこんなで、反発も与えやすい立場ではあるAmericaですが、それも先頭を行く国の宿命と達観している感じもありますね。globalization=americanizationとも揶揄されるわけだけれども、Americaに憧れがあっての反発でもあるわけで。移民が引きも切らずにやってくる現実がそれを示していると云えるので、世界がAmerica化する流れは変わらんでしょう。
あと、日本企業がAmericaの訴訟被害を受けて酷いことになってるという話しをよく聞くけれども、当のAmericanも訴訟大国化の被害者ではある様子が第一章に記されていて、この流れは日本に来て欲しくないな〜、と思いましたね。
Newtype 2014年3月15日 (土) 22時45分 書籍・雑誌:☆ | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
[画像:Photo_2]中見 利男:著、KKベストセラーズ(2003
読後感:☆
【ローマ法王が謀るブッシュ転覆のシナリオ。国連を支配し、中東や北朝鮮に眠る金脈の独占を目論むアメリカ。その欺瞞を見破り、この一極支配を打倒しうるバチカンの秘策。そして、日本がとるべき究極の選択肢とは。】
なにやら陰謀論めいているが、そうでもない。著者はキリシタンではないとのことだが、世界(特に欧米)の動きの背景にあるものを理解するには、聖書になにが書かれてあるかが分かっていなければならいとのことから、結構勉強したようである。
バチカンには黒い噂もあるため、これを読んだだけでは勿論理解できない。が、バチカンにはカトリック信徒10億人とも云われる、情報網があり、これは各国の諜報機関も舌を巻く程であるというのは確かのよう。戦中の日本も、昭和天皇を筆頭に、バチカンを通じて連合国との和平を模索していたとのことである。
表紙にブッシュがいるのを見てわかるとおり、ブッシュ(ネオコン)政権が悪の枢軸(イラク)をフルボッコにしようと画策していたころの世界情勢の下で読んでこそ、面白みもあるといえる。今読んでも、「ブッシュ・ネオコン政権はハルマゲドンを起こす気」だったと云われても、なんだかんだで、終わりなき日常が流れっていってしまっているわけで、緊迫感は薄い。
要約すると、
1バチカンはアメリカのネオコン宗教(キリスト原理主義)と政治の結びつきを憂慮しているらしいこと。キリスト原理主義とは、メシアの再来の為には、最終戦争が起きなければならないと本気で思っているキリスト教の一派のことである。
2バチカンは宗教対立、民族対立、政治対立etc、あらゆる対立を乗り越える象徴として、故マザー・テレサの影響力を利用(良い意味で)しようとしている。
3ネオコン宗教とバチカンにおいて、ヨハネ黙示録の預言にある、東の果ての国の果たす役目について、見解が異なるものの、その国が日本であると考えているらしいこと。
ヨハネ黙示録の預言に対する異なる見解であるが、引用すると、
ネオコン宗派(キリスト原理主義{聖書原典主義派})の考える、日本が果たすべき役目は、 ヨハネ黙示録 16の12〜16より、
「つまり彼らネオコン宗教にとっては、日の出る方角、つまり東の果てから王たちが軍隊を引き連れて来なければならないのである。これを成就するために最も困難なことは、憲法九条のある日本から軍隊を出せるようにしておかなければならないということだ。」p192
バチカンの考える、日本の果たすべき役目は、ヨハネ黙示録 7の2〜3より、
「つまりこの部分だけでなく、聖書の根本理念には、一貫して救世主は東から来るという考え方「が強くある。ということは、ネオコン宗教の計画を打ち破るためには、軍隊を送り込むのではなく、東の果ての国が破壊をやめるよう世界に向かって声をあげなければならないということだ。」p194
無宗教の国に、世界の調停者になることを期待しているというのが、著者の語るバチカンの姿である。
オレが思うには、聖書記述者の居た当時の世界観は、聖書にも反映しているはずで、であるなら、東の果ての国って日本のことじゃないんじゃないの?、ってこと。預言とは神から預かる言葉のことだが、潜在意識にあるものとか、前知識とか、いろいろ影響あると思う。
*これとあわせて読みたい本として、
http://www.amazon.co.jp/%E6%A0%B8%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%82%92%E5%BE%85%E6%9C%9B%E3%81%99%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%B3%E3%81%A8%E2%80%95%E8%81%96%E6%9B%B8%E6%A0%B9%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E6%B4%BE%E6%BD%9C%E5%85%A5%E8%A8%98-%E6%9C%9D%E6%97%A5%E9%81%B8%E6%9B%B8-%E8%B6%8A%E6%99%BA-%E9%81%93%E9%9B%84/dp/4022594861
と、「バチカンの秘密―見えざる世界帝国の真実 赤間剛 著 三一書房」
http://books.rakuten.co.jp/rb/187317/?scid=af_pc_etc&sc2id=108238854
もお薦めしたい。
Newtype 2014年3月 7日 (金) 00時29分 書籍・雑誌:☆ | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
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