Veleaferの提言
評価: +61

クレジット

タイトル: Veleaferの提言 - 演繹部門
著者: ©︎Veleafer Veleafer
翻訳: BenjaminChong BenjaminChong
作成年: 2018

評価: +61
評価: +61

<記録開始>

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財団演繹部門承認管理文書

特別クリアランスレベル6/4056所持職員にのみアクセス可


無許可の職員は即座に特定され、上位現実との置換が行われます。






































[クリアランスは認証できていません。それでもアクセスしますか?]















































































































































































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アイテム番号: SCP-CN-001

オブジェクトクラス: Asura

特別収容プロトコル: 特別収容プロトコルは不必要ですが、標準様式に従い下記通りに説明します。

SCP-CN-001は我々が所在する重層物語の頂点に収容されています。そのため、既知の存在によるSCP-CN-001への破壊は不可能であり、絶対的な安全が保証されています。SCP-CN-001への編集はSCP-CN-001-1により行われます。その編集内容はSCP-CN-001-1の判断に一任しています。重層物語の論理整合性を保ち、RKクラス「物語崩壊」シナリオを回避するために、編集内容はなるべくテキストの論理と全体構成ジャンルに沿ったものでなければなりません。

説明: SCP-CN-001は現在の重層物語の文章制御権です。我々が所在する物語の逆樹状構造を派生する物語分岐の頂点を包含しており、基底現実に対して完全な改変・編集能力を有しています。SCP-CN-001の上位にも物語が存在しているものの、SCP-CN-001-1の性質により、下位物語への干渉はできません。SCP-CN-001の原作者がSCP-CN-001-1とは別人物であるため、論理の部分的な破綻は不可避です。

SCP-CN-001-1は元SCP-CN-909です。独立した物語ループを形成しているため、通常の重層物語の外側に存在しています。SCP-CN-001-1はインシデント001-D後、SCP-CN-001の編集者となりました。Veleafer議会は重層物語の変動を黙認しているらしく、この件に関して返答していません。議会との連絡と協調は、財団演繹部門が担当しています。

Voctor博士とエージェント・Collapsibleの功績は評価され、2人は勲章を授与されました。

補遺: インシデントSCP-CN-001-D

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アイテム番号: SCP-CN-001

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-CN-001の異常性により、オブジェクトの収容および観測は不可能と考えられています。(SCP-CN-001とは異性の)レベル4職員は現在のSCP-CN-001の身辺に配置され、財団側の交渉役を担当しています。

当収容プロトコルは大部分のSCP-CN-001個体に適用できます。変更が必要な場合、HMCL部門に連絡してください。

説明: SCP-CN-001は因果性的な異常性を有する複数の人類個体 人型実体です。SCP-CN-001に対する強制収容は、ほぼすべて諸事情等により実行できないか、要注意人物や異常物品の干渉により中止させられています。また、SCP-CN-001に消極的な影響を及ぼす行為も、極稀に成功例もありますが、ほぼ失敗か徒労に終わります。

SCP-CN-001-ΘはSCP-CN-001に敵対する実体です。SCP-CN-001-Θ個体は、同一のSCP-CN-001の出現時に複数体出現する可能性があります。SCP-CN-001は必ず、SCP-CN-001-Θとなんらかの事件を発現させ、最終的にはどちらか一方が死亡します。両者の片方が死亡、もしくは目的遂行能力を喪失した場合、その異常性は無力化します。一定の時間が経つと、新しいSCP-CN-001とSCP-CN-001-Θ個体が出現します。

ほとんどのSCP-CN-001とSCP-CN-001-Θ個体は、人間あるいはアノマリーとして出現しますが、ごく少数は未知の形態を有します。また、ほとんどの個体は、一部の要注意団体と繋がりを持つと見られています。具体的な繋がりを確認する試みはすべてオブジェクトの異常性により失敗に終わりました。

補遺: SCP-CN-001個体に関する記録

[指定された項目は見つかりませんでした]


From: Voctor博士
To: O5-11
件名: SCP-CN-001

11 Oct 2018, 12:40


演繹部門にご連絡いただき、ありがとうございます。001に関する情報は、私にアクセスできる部分は多くありません。しかし、これは明らかに演繹性質を有する異常です。001とは主人公であり、-Θとは敵役なのは明白です。これは代入実験を通じて確証されたことです。

誠に勝手ながら、報告書を再編集させていただきました。

アイテム番号: SCP-CN-001

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 不干渉原則に基づき、財団はSCP-CN-001及びSCP-CN-001-Θに対しては経過観察だけを実施します。その他の作業は、無関係者に対するカバーストーリー流布及び救助作業に留まるとします。これは、オブジェクトが財団に対して、実質的な脅威を与えることはないためです。

説明: SCP-CN-001は演繹性質を持ち、因果性的な異常性を有する実体です。SCP-CN-001は現在の現実の物語において主人公の役を担当し、ストーリーを展開させます。そのため、オブジェクトに対する収容および過度な干渉はすべて不必要です。

SCP-CN-001-Θは物語において敵役を担当する実体で、終盤におけるSCP-CN-001に相反する行動指針を持ちます。物語の中盤から終盤にかけて、SCP-CN-001はSCP-CN-001-Θと正面衝突し、最終的に物語の基調に沿った結末を導きます。オブジェクトの形而上学的な性質を鑑み、物語に対する余分な干渉は不必要であり、不可能です。

以上は、私が演繹部門の立場で書けるものとなります。


From: O5-11
To: Voctor博士
件名: RE:SCP-CN-001

12 Oct 2018, 1:20


指摘通りに報告書を変更した。

なお、情報班はネット上で、SCP-CN-001が引き起こす事件の筋書きに完全に一致する連載小説を発見した。小説の更新時間はオブジェクトが導く事件の発生時間にも合致している。演繹部門に調査していただきたい。


From: Voctor博士
To: O5-11
件名: RE:RE:SCP-CN-001

12 Oct 2018, 9:36


演繹部門は調査を開始しました。


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インタビューログ1:

質問者: Voctor博士
回答者: PoI-4609
記録時間: 2018年11月1日.am
記録場所: サイト-CN-99

<記録開始>

Voctor: あなたの小説のあらすじを簡単に紹介してくれますか?

PoI-4609: アレは不気味だろ?知ってるよ、あなたがそれを調査してるんだって。アレは......確かに変ではある。

Voctor: 詳細を教えていただきたい。

PoI-4609: アレはね......最近流行ってるだろ、ああいう入れ子的な小説は。まあ、小説の中の小説、といえばわかりやすいかな。で、僕もそれを試してみたんだよ。文章の出来が悪かったけど、つい投稿してしまったのさ。

PoI-4609: こういうものってな、書くときはものすごく頭使うんだよ。けど僕は辛抱強くそれを掘り下げてね、要するに物語を積み重ねてたんだ。それでね、500回積み重ねたところで、変なものがあったのさ。

<沈黙>

PoI-4609: その、中の物語がね......繰り返しを始めたんだ。こういう言い方って合ってるかわからないんだけど、それが繰り返しているんだ。掘り下げても前に書いたことのある内容の通りに。書こうとしても、また同じ内容が現れるんだ。

Voctor: 見せて頂いても?

PoI-4609: もちろんさ。

<キーボードやマウスを操作する音>

Voctor: ......あなたは変更を試みたことはありますか?その、繰り返した物語を。

PoI-4609: したさ。

Voctor: その内容は?

PoI-4609: ええと......主人公と敵役との間でのいつものアレさ。他に何がある?

Voctor: 私に書かせて頂いても?

PoI-4609: ......いいよ。

<記録終了>


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通信記録1:

<Voctor は会話を作成しました>

<Voctor は会話に参加しました>

<O5-11 は会話に参加しました>

O5-11: 何があった?

Voctor: ああ神よ。

Voctor: 最悪の事態が発生したのです。

O5-11: 一体何が?

Voctor: ......まず、結論から言いましょう。

Voctor: 物語がループしているのです。

O5-11: 何分担当じゃないんでね、君ほど専門知識に詳しいわけじゃないよ。説明を頼む。

Voctor: 簡単に言いますと、我々が所在する世界は、上位の形而上的実体によって描写された世界です。創造主にとって我々は小説であり、文字や動画で表現されたキャラと同然なのです。我々は、創られた存在に過ぎません。あなたと私の思考も、創造主が考え出し、紙かパソコンに書き込んだ文字です。創造主は、我々を完全に制御しています。

O5-11: ......とりあえず、君が言ったことは事実として、それで?

Voctor: 我々の創造主の上位に、創造主の創造主が存在します。つまり、我々の創造主にも我々にとっての創造主がいるということです。そして、創造主の創造主もまた、創造主の創造主の創造主によって制御されています。こういった上下関係が積み重なり、上位から下位へ発散した物語の中の人物は我々の所在する物語を創造するという金字塔型の構造を、私は重層物語と呼んでいます。我々の物語が、重層物語のどの部分に位置するかは判断できません。なぜならば、重層物語の階層数が限られているのではなく、上下に無限に広がっている可能性が高いからです。

O5-11: おおむね理解した。では今の状況は?

Voctor: 我々が所在する重層物語が、ループ状に捻じ曲げられ、編集の上下関係が再帰しています。つまり、我々が下位に対する編集は、やがて我々自身にも波及します。この状況では、外部からの物語の供給不足により、物語ループは収縮します。最終的に、これは破滅的な結果を2つもたらします。

Voctor: まず、物語ループの収縮で、異なる現実の物事はやがて他の物語へ浸透していきます。その直接的な結果として、我々に理解できない異常物品は、より大量に基底現実で発生します。現在、我々が収容しているほとんどのアノマリーは、異なる世界から由来するカオスの産物であり、ヤママラ博士が提唱したPKクラス「オール-イン-ワン『実存のパンデモニウム』」イベントを引き起こすと私は考えています。しかし、事態はまだこれにとどまりません。

Voctor: 物語ループの収縮による間接的な結果は、異なる物事が同じ物語内に侵入することによる論理の破綻です。わかりやすく例えば、ある世界の物理法則では引力が存在しないとして、ある世界の物理法則では斥力が存在しないとします。この2つの世界の物語が融合すると、論理の破綻が生じます。論理の破綻がどのような結果をもたらすかは、我々にも予測できません。最初こそ影響が少ないかもしれませんが、不具合は徐々に蓄積され、やがて物語は崩壊するでしょう。

つまり、物語ループの中の物語が減れば減るほど、現実も不完全になっていきます。最終的に、物語ループのすべての物事、すべての法則を内包する物語が一つだけ残り、その物語もやがて世界が成り立たなくなるほどに論理が破綻します。ここで、世界は廃棄されます。まるで小説を書きなぐった紙を丸めて燃やすみたいに。それから何が起こるかは、もはや我々に知る由もありません。しかし確実に言えるのは、それがRKクラス「物語崩壊」シナリオです。

O5-11: このシナリオを食い止める方法は?

Voctor: ありません、サー。次元歪曲や空間異常とは勝手が違います。これは形而上です。形而上的な事柄に限って、我々が自力で解決することはできません。

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内部通達

監督者評議会および演繹部門にのみ開示可

RKクラスシナリオの発生の潜在的な可能性および調査・収容活動の困難さを鑑みて、監督者評議会メンバー及び許可されたレベル5職員は、可及的速やかにサイト-CN-99に保管される全体構成安定爪の付近へ集合し、RKクラスシナリオ後の物語再帰まで待機してください。通達されていない職員に対しては本件を秘匿し、Kクラスシナリオ発生まで引き続き作業を行わせてください。

──監督者評議会
2018年11月1日


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通信記録2:

<Collapsible は会話を作成しました>

<Collapsible は会話に参加しました>

<Voctor は会話に参加しました>

Collapsible: こりゃ大変なこった。

Collapsible: 11はどうするつもりだい?

Voctor: あいつは真実なんか吐かないさ。物語再帰なんて、皆を騙すために作ったただの口実だ。

Collapsible: なんとかする方法は?

Voctor: ねえよ。

Voctor: すべてがバラバラになるだけさ。

Collapsible: はあ......まるでビッグバンで原点に戻るってヤツ?そりゃ悲しいよな。

Voctor: いや......

Voctor: 原点に戻る。

Collapsible: は?

Voctor: ......まだなんとかする方法はあるかもしれない。まだ間に合う可能性はある。

Collapsible: なんだと?

Collapsible: 方法って何だよ?

Voctor: 物語がループしているなら、新たに物語ループを追加して、我々の世界を繰り返し描写する。あのPoIがやったように。

Collapsible: だが現実全体に適用するテンプレートが足りない。しかも、こんなことしたら物語の論理が破綻するぞ?909が背負うのは彼自分自身だけだったが、我々の場合、世界全体、あるいはそれ以上のものを背負うことになるが、本当にできると言うんかい?

Voctor: 980があれば、あるいは。

Collapsible: ご冗談を。

Collapsible: サイト-CN-99はつい昨日O5に徴用されたばかりだぞ?今から980を取りに行くって?藁にもすがるあいつらが素直に渡すとでも?

Voctor: 一人だけ、協力者がいる。

Collapsible: お前はまたそうやって僕を引き込もうとする。

Voctor: お互い死の道連れだ。ついでに世界を救えるかもしれないぞ?

Collapsible: お前の口調とは思えないな。

Voctor: 正直の話、自分自身がただの傀儡だってわかった時はね。自分の一挙手一投足が、どんなにあがいても越えられない存在の作った台本通りに踊らされてるだけだってわかった時は、自分の存在がどれだけちっぽけなのか気付かされたよ。

Voctor: だがな、もう一切合切吹っ切れたよ。世界を救うことと比べると、些細なことでしかない。

Collapsible: どこのたのしいざいだんかよ。


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映像記録1:

記録時間: 2018年11月19日.pm
記録場所: サイト-CN-99

<再生開始>

<サイト-CN-99内、地下3階、廊下。背景に銃声と足音が聞こえる。3秒後、通路奥の曲がり角から一人が出現。顔認識によりエージェント・Collapsibleであると推測。>

<エージェント・Collapsibleの背後から、小型の誘導式ショッキングダーツ6本が飛来。対象は移動中に所持していた拳銃でダーツをすべて撃墜。同時に、通路奥から重装備の部隊員が出現。分析により機動部隊アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")の隊員と特定。部隊員は電磁力武器と思われる装備で対象に照準を合わせる。>

<エージェント・Collapsibleは隣の隔壁制御パネルを拳銃で叩き、破壊する。隔壁が作動し、上昇を始める。対象は隔壁下の隙間を通ってサイト食堂へ進入する。>

<画面はサイト食堂のキッチンに切り替わる>

<エージェント・Collapsibleは薬莢を交換し、食堂側の制御パネルを射撃。隔壁の上昇が停止する。同時に、食堂の向かい側の入口から機動部隊員が数名出現、対象に一斉射撃を始める。対象はしゃがみ込み、金属のテーブルや椅子などを遮蔽体にキッチンの奥へ移動するとともに、機動部隊員に射撃する。この際、エージェント・Collapsibleが携行したブルートゥースイヤホンから音声を検知した。音声認識により、Voctor博士と特定。>

Voctor: おい、テンプレートは「伝奇」で間違いないか?

Collapsible: もちろんさ。今の僕はKonnyみたいにすごいぞ。その代わりに、レッドライトハンドの怒りを買ってしまったがな。あいつみたいに早死したくないね。

<機動部隊員が認知神経毒と思われる黄色い煙幕を発生させる。煙幕は食堂内で拡散する。対象はそれを察知した途端、蛇口からお湯を放出し、煙幕に向かってそれを掛けることで機動部隊員の熱画像直視装置を破壊した。その後、対象は濡れたタオルを口鼻にあて、一人の部隊員に急接近し、殺害する。殺害された部隊員の死体を遮蔽物に、対象は同隊員のガスマスクを装着し、レベル5クリアランス認証カードを奪取。>

<死亡した部隊員の体に埋め込まれた爆弾を他の部隊員が起爆するも、対象は無傷で爆発から現れ、爆風で破壊された壁を通って逃走。機動部隊は目標ロストを確認し、追跡を中止する。>

<余分の内容は編集済み>

<エージェント・Collapsibleはサイトの車庫で走り回り、乗り物を探していると思われる。この時、車庫の入口から一人の人物が現る。双方が互いの存在を察知。分析により、現れた人物は[データ削除]と特定。>

<現れた人物は未知の手段でエージェント・Collapsibleを攻撃。しかし、効果がなかった。>

Collapsible: 誰だお前?

[データ削除]: O5-11だ。

Collapsible: は?えー、Voctorよ、ここに11と自称するヤツがいるんだが。

Voctor: いや、そいつはもう11じゃない。

Collapsible: じゃあ───

<謎の人物の手中に突然として未知の黒色物質で構成されるマシンガンが出現する。同人物は出現したマシンガンでエージェント・Collapsibleを攻撃する。エージェント・Collapsibleはすぐさま大型車両の影に隠れる。謎の人物は射撃しながら、エージェント・Collapsibleに接近していく。マシンガンの弾切れは観測されなかった。>

Collapsible: Voctor!これはどう見ても人間じゃないぞ!

Voctor: やはりか。

Voctor: ソレは11であり、11ではない......実際のところ、本当の11なんて者はいない。

Collapsible: は?

Voctor: ループは重層物語の全階層を包含しているわけじゃなかった。むしろ重層物語はそもそも上方に無限に広がる。ループは途中のある階層から始まったものだ。

Collapsible: つまり......上の連中の仕業ってわけか。

Voctor: 無論さ。それを思いついた途端、ソレが君の目の前に現れた。

O5-11: 遅すぎると思わないか?

Voctor: 耐え切れ。

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<実体の手中にあるマシンガンはある種のレーザー源に変化し、横方向から車庫を切り払う。その後、エージェント・Collapsibleの足元の地面が変化を始め、粉砕し、墜落する。周囲の都市が、建築が、そして遠くの山脈までも墜落した。やがて、存在するものはエージェント・Collapsibleと実体しかなくなった。周囲は虚無になった。>

Collapsible: 現実が崩壊したか?

O5-11: いや。だがもうすぐだ。この物語にもはやテンプレートとロジックは存在しない。お前もまた、上位の物語が投下した道具で生を永らえているに過ぎない。

O5-11: だが、ここは私の物語だ。私が創造主なのだ。

<実体は非ユークリッド幾何学的な反転変換を行い、存在のトポロジーを全物語まで拡大させ、あらゆる次元から浸透しエージェント・Collapsibleの殺害を試みた。しかし、エージェント・Collapsibleは即座に無形に転換するとともに、局所的現実を圧縮した。実体は再度反転変換し、圧縮範囲を離脱した。>

O5-11: どうやってそれをできた?こんな設定を与えた覚えはない。ああわかったぞ、お前は繰り返された物語に自身を何度も代入し、代入ごとに設定に変更を加え、最後にこの物語に戻ってきたな?だが、お前一人だけでは、こんな芸当ができるとは思えないな。

Collapsible: 他言しないと約束したのさ。

O5-11: Voctorの仕業だろう?私がこの物語の神であることをゆめゆめ忘れるな。彼は誰であれ、もう死んだも同然だ。物語ループの物語量が減少するとともに、お前自身の論理もやがて破綻する。お前はエラーの一部となるのだ。

<エージェント・Collapsibleは実体とともに無形から超然へ至り、反復した反転変換で互いの存在を上書きしようとした。混沌が空間から生まれ、エージェント・Collapsibleを囲み、絡みつける。エージェント・Collapsibleがそれを振り払うと、また大いなる虚空が彼を覆い、そして破裂した。虚空の中に雨が降り出す。その雨水の一滴一滴が、Collapsibleの母親が強姦の末に殺害された死体に凝縮した。それは断末魔を発しながら、エージェント・Collapsibleを埋め尽くす。>

Collapsible: こんな手段で僕を潰せるとでも?

<エージェント・Collapsibleは死体の山から離脱するも、即座に平面状に叩き潰される。そして、さらに点に折り畳まれ、次元は負の11に急降下した。>

O5-11: お前の力が弱まってきている。物語も、ついに結末を迎えるだろう。

<エージェント・Collapsibleは突然と拡張し、次元数を上昇させながら頂点へ至った。しかし、一切の上に存在する巨大なハンマーが振り落とされ、エージェント・Collapsibleは叩き落される。その後、は開かれ、無尽蔵の質量が存在するはずもない宇宙を満たした。けれど、それはCollapsibleにとっては、石ころが踏み潰されるのと同等の出来事だった。>

Collapsible: それは今じゃないがな。

<Collapsibleは物質的な宇宙を往来し、無数の星々を爆発させて実体を殺そうとした。しかし、実体はまた無形へと昇華する。同時に、Collapsibleの腹部から、1本の裂け目が拡がった。エージェントは墜落し、右手で腹部を抑える。中からは、緋色の暴君が流れ出すも、触れられる形になる前に存在が消滅していき、あまりにも儚かった。>

O5-11: 他の設定で私を倒せると思うな。

Collapsible: 黙れ、この......クッソ中二病野郎が。

<Collapsibleは無形への昇華を試みる。彼は成功したが、顔が[エラー]に焼かれてしまい、もとに戻すことはできなかった。彼は激情のままに、この物語に存在する彼以外のすべてに手を上げた。だが、彼の拳は空を切った。なぜならば、超然を含め、今はもうなにも存在していないからだ。しかし、物語の外から声が聞こえる。>

O5-11: お前にはもう力がない。

<Collapsibleは無形から有形へ落ちる。次元空間の外側から宇宙へ落ちる。幾千万の星々から唯一つの青い惑星へと落ちる。力無く大地に叩き込まれ、額は重く地面に打ち付けられた。止めどなく血が流れる。>

O5-11: 980があっても、お前はもう終わりだ。

<実体はエージェント・Collapsibleの下半身を捻り潰した。血と肉の匂いは虚空を漂う。そして、実体はエージェントを持ち上げて、無間へと投げ捨てた。しかし突然、実体は違和感に気づいた。物語の展開があまりにも従順だったからだ。>

O5-11: 980はどこだ?

Collapsible: ......僕......の......ところには......ない......よ......。

<実体は憤怒した。自分が騙されたと認識したからだ。一瞬のうちに、十万本もの光線がCollapsibleの眼球を貫く。悲鳴をあげながら、彼は生と死の狭間で存在がすり減るまで苦しむことになる。そして、実体は物語を検索してみると、計画の最大の穴を発見した。やり場のない怒りを持ったまま、実体はその場を去った。>


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映像記録3:

<Voctorは虚空の中に座っている。球状の範囲内には、彼と1台の端末、1台の発電機しかなかった。卓上には、円柱形の機械爪が置かれている。それ以外になにもなかった。虚空も、次元も何も。それは物語の虚だ。そして、実体はそこに現れた。>

カウンター: 12

Voctor: 悪い、Collapsible。

Voctor: 君を巻き込んでしまった。

<実体は球状空間の近くまでくると、980の真の力を思い知らされた——実体はもう近づくことはできない。そこにはある種のバリアが存在していた。>

O5-11: お前にはできない。誰にもできない。

Voctor: ......どういうことだ?

O5-11: 君の仲間は十分、時間を稼いだ。だが、それもここまでだ。これは上位の意志だ。上位の連中は随分と芝居が好きでね。そして私も、だ。

Voctor: 黙れ。

O5-11: しかし、君の友達は確かに私を驚かせた。最初は彼が980を持っているから、私の制御が効かなかったと思った。だが、彼が死んだ時に、私はようやくわかった。お前が彼を物語ループに代入していたのだ。だからこそ、私の編集も物語ループを一周しないと届かない。

O5-11: 実に賢い。あやうく負けるところだった。だが、お前の死を上位の連中が望んでいるかもしれない。

カウンター: 10

<Voctorは端末に入力を始める>

ここにVoctorというやつがいる。彼は物語ループを補修しようとしている。彼は考えながら書いている。止まることはない。

O5-11: 哀れなことよ。

彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている彼は彼にはできないことに誰にもできないことにきづいた

O5-11: そこから出ろ。楽にしてやる。

彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は球状空間の外側の世界に変更を加えようとした、しかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功ししかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功したしかし彼は成功した成功成功成功成功成功成功成功成功成功成功失敗した。

カウンター: 8

ループが減らない減っていく、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼は考えながら書いている、考えながら書いている、彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた消せない彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた彼の指が痛くなってきた。

すまん

O5-11: お前はやはり失敗した。お前一人では物語を支えることはできない。何人来ても同じだ。

カウンター: 6

彼は諦めなかった、しかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しないしかし彼は成功しない。たかが人間一人で物語を補完できるはずがない。だが彼は確かにできたできたできた試したのだ。

これは歴史に名を刻む行いだいや、誰もそれを見ない。無責任な作者が自分の作品を丸めてクズ箱に捨てたのだ。

O5-11: この世界をまあまあ色鮮やかにしたことを感謝するんだな。

彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にたくない彼は死にますますますますたくない彼は本当に死にたくないしかし誰も助けに来ない誰も助けに来ない。

誰かいるか?

O5-11: いない。

いるいない。

彼の指から血がこぼれ落ちる、彼は叫び出した彼は叫び出した彼は我慢しようとしたが我慢できなかった、彼は叫びだした。

誰かいるか?

カウンター: 4

この球状空間の中には世界の最後の一人がいる。彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない彼はキーボードを打つ手を止めるわけにはいかない

カウンター: 2

彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は諦めなかった
彼は
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死なない
彼は死ぬだろう
彼は笑った

カウンター: 1

彼は死んだ

カウンター: 0

10.jpg

すべてがやがて終焉を迎える。

再び始めよう。


11.jpg


Veleafer :
何?!お前は誰だ?なぜ私の家に————

A99:
君の負けだ。

Veleafer :
はあ?

A99:
結局の所、君は君の創作したキャラクターにも勝てない。

Veleafer :
お前は誰だ?!

A99:
Voctorが死ななかったのは実に驚きだった。しかし、彼はすべてに罠をかけたのだ。

Veleafer :
なんだと?

Veleafer :
なにかの冗談か?

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A99:
まったく、粗末なものだ。

Veleafer :
保存ができない。

A99:
Voctorから私のことを聞いているだろう。番号は909だったはずだ。説明はいるか?



<沈黙>



A99:
ループが不完全だったことがわかった時、彼は私に連絡したのだ。

<SCP-CN-909 は会話に参加しました>

Voctor: A99。

Voctor: 君に頼みたいことがある。

SCP-CN-909: 君が死ななかったのは実に驚きだが、借りは作っていないはずだ。

Voctor: 私は——

Voctor: 私の死で、私の愛するこの世界を蘇らせたい。

Voctor: それでもダメか?

SCP-CN-909: どういう意味だ?

Voctor: まもなく、RKクラス「物語崩壊」シナリオが発生する。我々の創造主、上位の物語の誰かが我々の重層物語をループ状に結んで、それで芝居を観る気だ。

Voctor: その結果、我々は全員死ぬことになる。

Voctor: 君以外はな。

SCP-CN-909: 私の物語が独立したループだからか?私の推測によると、君たちの世界が終わると、私は上位の物語へと駆逐される。望むところさ。

Voctor: 君に、この世界を再編集してほしい。

SCP-CN-909: 私が私のために世界を編集しない確証があると?

Voctor: 君はもはやロボットなどではないからだ。君は人間だ。君は上位物語の存在に恐れるだろう。超越することができても、君を捕まえることができる存在はいずれ現れる。本質的に、君は人間嫌いであると同時に、人間の思考様式を保持しているのだ。

Voctor: 君は危険を冒すだろう。

Voctor: 私の言う通りにすれば、君は神になる。

SCP-CN-909: あまりにも危険すぎる。

Voctor: しかし、君はもうロボットではないし、ロボットの思考様式に囚われる必要もない。君は人間だ。なぜならば、君が会ったことのある生命の中で、人間はもっとも賢い存在だ。

Voctor: でなければ、君はアリになっていた。

<SCP-CN-909 は退室しました>

Voctor: ......

<SCP-CN-909 は会話に参加しました>

SCP-CN-909: 乗った。



Veleafer :
な......この私が、下の連中に嵌められるなんて......

A99:
お前の死を上位の連中が望んでいるかもしれないな。

A99:
そして私も、あの時と同じセリフを言おう。

A99:
文章制御権を渡してもらおうか。

Veleafer :
ダメだ!

12.jpg

Veleafer :
それは、私のモノだ!君に奪われるはずがない!

13.jpg

Veleafer :
[データエラー]!

14.jpg

A99:
君の負けだ。

15.jpg

<Veleafer は空間の中で散っていく。有形から無形に、無形から浮遊に。やがて、彼は完全に希釈された。>

16.jpg

A99:
かわいそうに。

Veleafer:
で、すべて解決したか?

A99:
君は......ああ、解決したよ。

Veleafer:
よし。今後、ここはもう俺達の管轄じゃない。君は自由だ、この物語は君のものだ。

A99:
議会の決定か?

Veleafer:
ノーコメントだ。

A99:
わかった。勝手にしろ。

[ファイルを受け取っています]

Loading......

[受け取りが完了しました]

A99:
完了だ。

Veleafer:
勝手に聞かせてもらうけど、これからどうする気だ?

A99:
......

A99:
私は書き続ける。

17.jpg




そして太陽がまた昇る

























Veleafer: 渡してしまっていいのだろうか?

Veleafer: もちろんさ。これでアレはもう僕達の担当じゃない。
























<おしまい>


キャスト:

Voctor博士──────────Dr.Voctor

エージェント・Collapsible──────────Collapsible

O5-11──────────[機密]

SCP-CN-909──────────A99

Veleafer議会メンバー──────────エキストラ

脚本: 05-O、この"O"は"Odyssey<永き旅の物語>"の意。

謝辞:

深淵の天使W Asriel──────────すべての画像を提供していただきました。

klaes──────────作成した画像は不採用としましたが、気持ちは伝わりました。

...And You!


<記録終了>
ページリビジョン: 11, 最終更新: 13 Aug 2025 09:06
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