SCP-7243
admo-7243-exactus.jpg

訓戒

評価: +21

クレジット

タイトル: SCP-7243 - 実存的除却
翻訳責任者: Witherite Witherite
翻訳年: 2023
作成年: 2023
初訳時参照リビジョン: rev.69

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エピソード V

実存的除却

関係者各位

中央正常性機関反復940662b90e78660244bce96e7776dc7f標準束 カノニカル・バンドルDW-17タイムラインDelta-Blueの「我らが財団アワ・フアウンデイシヨン」は、『1981年多財団連盟協定』の条項0.2、1.7に概説される組織的目標の順守に関する正式な監査を受けています。この反復の巫覡地位は適切な代理代表者を聯盟に知らせないまま数十年間空位だったため、この監査に関する事前通知は施行されませんでした。

以下の報告書は当の反復に関する回収されたファイルで構成されており、この監査を文書化して裁定を喚起させるために提示されています。この監査は巫覡プライムの直接監督のもと手作業で行われ、裁定の異議は認められません。


項目 I

» 前タイムライン反復に係る事後検討ファイル «

概要: 機関資源の濫用により、第IV級宇宙論的アノマリー(終了タアミネイシヨン)の増強されたアセンションがもたらされた。ゴールドベイカー&アソシエイツが多大な出費でタイムラインを再構成した。


項目 II

» 局地的パタスフィア不安定性に係る災害含有文書 «

概要: 機関資源の濫用により、第IV級宇宙論的アノマリー(計謀コントライヴアンス)の増強されたアセンションがもたらされた。局地的𐤌K("物語再構築")シナリオは回避された。


項目 III

» 局地的ノウアスフィア不安定性に係る知覚不能文書 «

概要: 機関資源の濫用により、第IV級宇宙論的アノマリー(超越トランセンデンス)の増強されたアセンションがもたらされた。局地的ノウアスフィア的伏流網リゾムの修復が進行中である。


項目 IV

» 局地的サイバースフィア破滅に係るシステムファイル «

概要: 機関資源の濫用により、第IV級宇宙論的アノマリー(偽欺デイシヰト)の増強されたアセンションおよびさらなる不良要素の追放がもたらされた。反復の倫理委員会のステータスは不明である。


項目 V

« »

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ドゥーガル・ディアリング博士のデスクより、日付未記載の文書。

ゴミとは何だろうか?

辞書は......いや、実は何も定義していない。我々が定義するのだ。その辞書は我々の定義づけを記録しているだけだ。その用語、「その辞書」ですら語弊がある──まるで1つしかないかのようだ。メリアム=ウェブスターはおそらく、ゴミ(名詞)とは好ましい事物の無用な副産物、としているだろう。今のところは正確だが、いつまでも正しいわけではない。我々の落ち度だ。彼らの知る最悪のゴミは使用済み核燃料か、大気中の二酸化炭素だ。彼らの定義は、莫大な量の不可能狂気科学プロジェクトに電力を供給する削減不能のナシンベニウムコアや、硫化悪魔を放出してノウアゾーン層に穴を開ける奈落的燃焼機関を見ることなく書かれている。この種のゴミこそ、我々の辞書が考慮するものだ。精神信号を吸収してがん細胞のごとく成長する金属。逆流する時間の球。オレイカルクム、アダマント、エクトプラズム。宇宙外よりのコロストミー。異常降下物や排泄物の限りない目録。それらは我々しか良化させられない。なぜなら、我々しか見ることができず、我々が世界をそのようにしたからだ。

だが、我々はそれに見飽きてしまっている。こんな終わりのない坂を上るような埋め立て仕事の果てには、ゴミの水平線の向こうに澄み渡った青空を見なければなるまい。

ゴミを忘れさえすれば見えなくなったのなら、そんな幸せなことはない。排水溝が異常な泥であふれ、グレイグーの予測が危険なほど近づいている中で、まさにその概念を魔法から除去できればと願っても許されるかもしれない。辞書が本当に定義していて、ゴミの定義を変えればそれそのものも変えられたならと願っても許されるかもしれない。

だが、許しは決して保証されない。だからこそこれに意味があるのだ。

ドゥーガル・ディアリング博士のファイルより、日付未記載の写真。

DT.jpg
インシデント報告書 AAFD-I-2028-37

日付: 2028年09月08日

前文: 小規模な危険物の収容違反。添付されたインタビュー転写を参照せよ。

記録担当者: ニュン・ゴ博士(セクション議長、心理学・超心理学)

« 転写開始 »

<サイト-43玄妙除却セクション長のドゥーガル・ディアリング博士はゴ博士のデスクの向かい側に座っている。彼の手には包帯が巻かれている。彼は、強い鎮静剤の投与から回復中であり、じっとしている。デスク上のゴ博士の記録装置のそばに赤いプラスチック製の小箱──製菓会社の紋章で飾られた──があり、彼はそれを見つめている。>

ゴ博士: ゆっくり進めていきましょう。

ディアリング博士: オーケイ。

ゴ博士: 2028年9月8日、あなたは玄妙除却施設AAF-Dで何をしていましたか?

ディアリング博士: 清浄の監督だ。

ゴ博士: それはどういうものですか?

<ディアリング博士の声は平坦で情動がなく、まるで記憶から暗唱しているようである。>

ディアリング博士: AAF-Dは43で最大級の除却プラントだ。建設された中で最も巨大な異常廃棄物施設だ。世界中で排出物危機がエスカレートしてからというもの、ノンストップで4倍の任務をこなしている。数年ごとに、1時間弱ほど閉鎖しなければならない──少しでも延びると全てのシステムが不可逆的に氾濫する──そうして放出物をサイト下の非時系列汚水槽にポンプで流し込まなければならない。

ゴ博士: なぜですか?

ディアリング博士: アウトプットがインプットにひどく遅れを取っているからだ。我々は圧倒されているから、トリアージの原則で活動している。除却に時間や資源がかかりすぎる物質は、実行困難だとして無視しなければならない。別の除却をしようにも時間が厳しすぎて遅延できないからだ。処理しているゴミの中には、パイプラインに長くあるほど異常効果がひどくなるのもあるし、これはパイプに与える影響について触れてもいない。清浄するときにはもう、パイプは白熱していたり、氷冷していたり、ラテン語で猥語をハミングしていたりする。もっと定期的にする余裕がないから、いつも間一髪になってしまう。スケジュールに入れられないんだ。

ゴ博士: ではその清浄で設備は出荷状態にリセットされるのですか?

ディアリング博士: 全く違う。ほんの僅か時間を稼げるだけだ。次の清浄は......

<ディアリング博士はため息を吐く。彼の語調が強くなる。>

ディアリング博士: おそらく1年もしない。

ゴ博士: ですが、除却できないものはまだ汚水槽に流し込めるんですね?

ディアリング博士: 今のところはな。それほど長くは持たない。満杯になりつつあるんだ。

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: もう本題に入ってもいいだろう。どっちみち......何も感じられないからな。

ゴ博士: あなたは鎮痛剤を多量に使っています。それが普通ですよ。

ディアリング博士: そうだな。

ゴ博士: 今年は誰が清浄を担当していたのですか?

ディアリング博士: 清掃・保守副セクション長のフィ、フィリップ・ユージン・ディアリングだ。

PhilStock.jpg

ディアリング副セクション長。

ゴ博士: あなたの弟ですね。

ディアリング博士: 私の......そうだ。

ゴ博士: そしてあなたは彼を監督していたと?

ディアリング博士: そうだ。違う。彼を......訪ねていた。

ゴ博士: 訪ねていた? あなたたちは同じ施設で働いていますよね。

ディアリング博士: ああ。数十年間一緒にいるが、今まで一緒にいたことは全くなかった。一度たりとも彼と話したことがない。話題にはしたくないんだが......彼とは親しくない。

ゴ博士: 2人でどういう話をしたのですか?

<ディアリング博士はテーブルにある箱に頭を振る。>

ディアリング博士: あれだ。実家で地階を掃除していたら、古い箱の中に見つけた。彼が欲しいかもと思ったんだ。子供のころ、雑貨屋で私が彼のために買ってあげたものだからな。

ゴ博士: よろしいですか?

ディアリング博士: どうぞ。

<ゴ博士はおもちゃを手に取る。それはスライド式の小箱となっている。彼女はそれをスライドして開閉し、再び開く。彼女は肩をすくめる。>

ゴ博士: これは何をするのですか?

<ディアリング博士はほのかにほほ笑む。>

ディアリング博士: ものを消失させる。

ゴ博士: 何ですって?

ディアリング博士: 何か中に入れよう。例えばあなたのピンとか。

<ゴ博士は自身のサイト-43バッジピンを外し、箱の中に置く。彼女は閉じ、再び開く。ピンはなくなっている。彼女はもう何度か箱を開閉する。ピンはないままである。>

ゴ博士: どうやっているのですか?

ディアリング博士: 魔法だ。私は隠秘学者、だろう?

ゴ博士: 結局、これを彼にあげたのですか?

ディアリング博士: いや。

ゴ博士: では、何が起きましたか? ゆっくりで大丈夫です。

ディアリング博士: 私は以前ほどF-Dのレイアウトに詳しくない。圧力に対応し続けるにはたくさん変更する必要があった。あそこには弁が......

ゴ博士: 連結点にですね。あの......

<ゴ博士はメモをチェックする。>

ゴ博士: ......秘妙放出物パイプと双時系列放出物パイプの間のですか。これは一体?

ディアリング博士: 並行する導管に流れる全く異なる2種類の深妙排出物だ。それらを結ぶ、遠隔操作で動作する強固な栓付きの連結点がある。特定の緊急状況下でその内容を混合するためだ。あふれたとき、厳密に制御された量を混合させて両方とも無力化するんだ。弁はアクシデントがあったときに手動でアクセスするためだけにある。適切の注意で手動でそうするのは不可能だからな。私がぶつかった程度では動くはずがなかった。

ゴ博士: ではなぜそうなったのですか? 金属疲労?

ディアリング博士: おそらくな。1つ1つの施設全てが予算縮小に悩まされているし、設備は急速に老朽化している。だが、いや......いや、実はもう完全崩壊の初期段階で、これは最初の兆候に過ぎないのかもしれない。あのパイプはほとんど空のはずだったのに、破裂するほど満タンだった......

ゴ博士: パイプが適切に清浄されていなかったということですか?

ディアリング博士: いや。理由は......わからない。ほら、かなりのプレッシャーにさらされているからな。玄除で働いている人は。さらに物質は予測不能だ。何らかの重複反応があったのかもしれない。大事なのは、システムには想定よりかなりたくさん排出物があって、その多くがいまだに残っているということだ。私が弁にぶつからなかったとしても、どっちみち噴出したかもしれない。

<ディアリング博士はため息をつく。>

ディアリング博士: だが私がぶつかってしまったから、ああなってしまった。だとしても違いはない。絶対に全く違いはない。

ゴ博士: そしたら何が起きましたか?

ディアリング博士: 物質が不適切に混合し、一瞬で秘妙排出物がそれまでのあらゆる状態になった。除却前、中、後が同時に。ぐちゃぐちゃになったテクニカラーの幽霊の軍隊が、蒸気のごとくパイプから噴出したようだった。

ゴ博士: そして?

ディアリング博士: そしてフィルが......ディアリング副セクション長が、破損近くの吸引ポンプ制御装置に向かった。施設の部屋と通路全てにはそういう制御装置がある。彼がハンドルを1つ回せば、それ以上の事故なく緊急現象を全てシンクホールに吸入させられた。

ゴ博士: ですが、そうなりませんでした。

ディアリング博士: そうだ。代わりに、彼は途中で何か......ものに遭遇した。幽霊流から離れた彼の背後──我々の間──に出現していた。長く、身をよじり、奥妙だった。それが空中の排出物をほとんど吸い込んで、己を砕いて彼の大きさまで小さくなって......砕く音が聞こえて、そして──

ゴ博士: それ以上は思い出さなくても──

ディアリング博士: <叫んで> そして、それは彼を通り過ぎて、彼に重なって、巻きついてしぼみ始めたんだ。彼は白目をむいて、皮膚が骨に向かって縮んで、内臓を引き裂いて飛び散って、彼は溶けて山のように......床一面に......。そして、それはいなくなって、彼は......

<ディアリング博士は回復するまで数秒間甲斐なくあえぎ、過呼吸になる。>

ディアリング博士: 感覚はなかったと思いたい。

ゴ博士: そしてあなたは自分でハンドルを回した。

ディアリング博士: 覚えていない。

ゴ博士: カメラに収められていました。

<ゴ博士はディアリング博士の手を身振りで示す。>

ゴ博士: それが原因です。制御装置は汚染されていました。幽霊が長く出すぎていたんです。

ディアリング博士: 覚えていない。

ゴ博士: あなたはトラウマを受けました。当然です──

ディアリング博士: 全てをカメラで見ていたのなら、なぜまた私をそこに引きずり込むんだ?

ゴ博士: 報告書のためにあなたの意見を聞く必要があったのです。

ディアリング博士: 私の......? 私の意見? 一体どういうことだ?

ゴ博士: ただの標準手続きですよ、博士。

<録音上の沈黙。>

ゴ博士: どうすればピンを取り戻せるのですか?

ディアリング博士: それを左側に振る。強くな。

<ゴ博士は箱を振り、開く。彼女はボタンを回収し、ジャケットに再び取り付ける。>

ディアリング博士: なくなってなどいない。右側にスライドがあって、小さな鏡で痕跡が消えている。魔法なんかでは全くない。

<ディアリング博士は頭を振る。>

ディアリング博士: ただの手品だ。

« 転写終了 »

後文: このインタビューでは、インシデント直後のディアリング博士の証言が再確認された。その証言では、放出物と無関係の、弟の死の原因である不良実体の存在が報告されていた。インシデントの監視カメラの映像を確認した職員は、記憶補強剤の処置下であってもその実体を認識できなかった。

ゴ博士とトロシヤン=ディアリング 清掃・保守セクション長の勧告に基づき、ディアリング博士は1年間の強制的なメンタルヘルス休暇が指示されている。

アイテム番号: SCP-7243
レベル4
収容クラス:
thaumiel
副次クラス:
absentia
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
danger
サブクラス:
gödel
状態:
truculent
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玄妙除却施設AAF-X、サイト-43。
配属部門 プロジェクト主任
超常時系列、PMセンター、物流支部
玄妙除却応用隠秘学 セクション
プレース・H. MD., PhD.、
O5-8 (助言者)
配属サイト 研究主任
サイト-43,
多数
ドゥーガル・A・ディアリング セクション長、
イルゼ・レインデルス管理官, PhD.(21)

特別収容プロトコル: SCP-7243は存在しない玄妙廃棄物のみを除却しなければなりません。.Absentiaクラスアノマリーは非実在現象の非実在性を保証するために財団が利用します。どのような状況下でも、明確に存在するものを無力化するのに用いることはできません。この手続きはSCP-7243稼働の事実的結果であり、手続きの能動的な管理は必要とされません。

以下の手続きを厳守することで、世界的な深妙排出物の存在量の最小化が達成できます。

  • 収容済の全てのアノマリーは定期検査を受け、異常副産廃棄物を産出する傾向がないか監視されなければならない。
  • そのような傾向は全て玄妙除却職員がレビューし、実存的除却可能性を判断しなければならない。
  • 十分な頻度、量、毒性のある排出物を産出する対象はSCP-7243-Aに指定される。
  • 影響を受けた収容施設はそれぞれ必要に応じて安全廃棄物収集・保管装置の導入を調整しなければならない。
  • それぞれのSCP-7243-Aに対応する廃棄物回収システムは、廃棄物の産出が自発的に停止した場合にのみ稼働しなければならない。
  • SCP-7243-Aのどれか1つでも廃棄物の産出を再開した場合、回収システムを停止して物流支部に即座に通知しなければならない。
  • 非実在排出物をサイト-43まで輸送するため、物流支部は世界的な統合化ネットワークや供給ライン.明白にするため言及すると、不安定玄妙物質の荷物は不在でありネットワーク全体は一切合切対処するものはないものの、ネットワークの構成要素は全て荷物全部を安全に対処するよう設計されなければならない。を保守しなければならない。
  • 全ての不在イン・アブセンティア玄妙物質は空のコンテナからSCP-7243中央開口部に排出しなければならない。

ATF ディガンマ-7243のメンバーはサイト-43の敷地内に拘留され、研究主任/任務部隊司令官のイルゼ・レインデルス博士の特別許可がない限り離れることはできません。

ゴミとは何だろうか?

ゴミとは、活力と可能性に満ち満ちたもの、美しきものが、その可能性に気づかれる前に滅却されるときのことだ。ゴミとは、最も暗いときに光を消すことだ。

ゴミとは、死だ。

そして、私はそれを消し去る。

故障した個人用カメラから抽出された日付未記載の写真。メタデータは回復不能。

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補遺7243/I: 科学的文脈


玄妙除却とあなた:

緊急事態に備え、ガラスを破ってはならない
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財団学術コンソーシアムに投稿
イルゼ・レインデルス博士, 16倍PhD. 著
2026年08月05日

抄録

財団の理念上、異常現象の無力化は収容が不可能かつ非収容が好ましくない場合にのみ検討される。通常であれば、あるアノマリーが別のアノマリーを産出するのならば新たな現象も収容され研究される。だが、そのような副産物が継続的に産出されるのならば、その収容はいずれ不可能となり処分の基準が満たされる。

大量収容施設(特に生物学的収容に特化した施設)にはすでに莫大な従来の廃棄物処分用インフラが備わっている。残念ながら、そのようなシステムでは革新的廃棄物──その深妙的性質が数多の予期しない課題となりうるもの──を対処できない。毎年、多数の異常物質が本来決して存在するはずのない場所──ゴミ回収ボックス、汚水タンク、換気システムなどなど──で反応することで、数えきれないほどの収容違反が発生している。これにより、最重要なサイト群では任意の性質を持つ任意数のアノマリーの不安定深妙排出物が集中し、永久にケースバイケースで保管、輸送、無力化する問題が起きている。

これこそが、玄妙除却が挑む発展し続ける前線である。任意の玄妙廃棄物を安全に保管、輸送、良化させるという問題を一般化しようというのだ。これは極めて厄介な問題である上に、実際的な意味のみに留まらない。

理論的には、玄妙除却はありうる全ての異常効果を収容、無力化する技術の開発と、他の異常効果とどう相互作用するかの説明を担っている。執筆時点では、既知の全ての異常現象の原因たる単一の誘発要因は確認されていないが、いち玄妙学者の意見としては、そのような要因は存在しないだろう。定義上、アノマリーは広く認められた現実の働き方のモデルを転覆させるものであり、このため、分類は限られた人知とどれほど合致するかによって判断される──物質に予想を裏切る性質を課すような、「スワンボゾン」(ピックマン et al., 2021)やそれに類似する現象は存在しないのである。

ゆえに、任意の物質から確実に異常性質を奪う包括的技術の開発は、そのような性質の厳密な科学的説明を開発して人類種全てに教育せずにはできない。このため、玄妙除却の主要アプローチは深妙物質を性質に基づいて広範なクラスに分類し、それぞれのクラスやサブクラスにおける収容、処理戦略を開発することである。この分類システムは厳密たりえず、全ての玄妙物質を包括的に記述することはできない(前述の理由による)が、より有効的なモデルはいまだに開発されていない。

[…]

補遺終了

以下のハードコピーされた文通は、SCP-7243の提言に先立ってドゥーガル・ディアリング博士とアメリア・トロシヤン=ディアリング セクション長の間で交わされました。

[トロシヤン=ディアリング セクション長]

あなたが夫を殺した。

[ディアリング博士]

助けられなかったんだ。あと1秒さえあれば助けられた。システムが彼を失望させて、君を失望させたのは残念だ。今まで早くにシステムを止められなかったのが残念だ。現時点では、ますます不安定な物質が相互的にや時代遅れの設備とどう相互作用するかも予測できない。フィリップを殺した実体は多数のベクターの結果かもしれない。だから特定の誰かを責め立てるようなことはできない。我々には、彼が命をささげた原因に、よりよくより効果的に正しく専念することしかできない。

[トロシヤン=ディアリング セクション長]

あなたが夫を殺した。あなたが。あなたしかいない。

[ディアリング博士]

アメリア、君が失ったものを私ほど理解できる人は誰一人としていない。だから君が誰かを責めたいのは理解できる。私は玄除の責任者だから、その傘の下で起きたことの責任は私にある。それが仕事だ。だが、フィリップを殺したものは誰も制御していない極端な統計学的外れ値であり、我々の理解できない、いわんや計測も鉄槌を下すこともできない憎き運命のいたずらだという事実は見失ってはならない。今まで努力してきたのに、あんなものがいまだに存在している。増殖してすらいるんだ。我々が失敗に拘泥していればそういうものにやられてしまう。あれがどこから来たのか、どうすれば送り返せるのか突き止める探求を止めてはならない。止めてしまえば、あれが勝利してしまう。あれが勝利すれば、フィリップは何のために死んだことになる?

[トロシヤン=ディアリング セクション長]

あなたは彼を弟だとすら言えないの。手紙ですら。一生に一度くらい責任を持ちなさいよ、この独善クソ野郎!

実体なんて絶対にいなかった。それを見たって言うのはあなたしかいないし、あなたがどう信じようがあなたはまるで重要じゃない。フィルの副セクション長昇進にあなたが来るか彼に聞いたらどう言ったと思う? 「多分来ないよ。恥ずかしいだろうから」って。これも知ってる? 彼はずっとそう内面化してるから、寂しいとも思ってなかったってことを。彼にとっては当たり前だったの。このとき、あなたを嫌いにならざるをえなくなるだろうって思った。それからずっとして、とうとう本当にそうなった。

あなたは不名誉に立ち向かえない。だからやらない理由をでっちあげる。式典に来れないのはスケジュールがぶつかったからで、美化された清掃員とDNAを共有してると認めるのが耐えられないからじゃない。結婚式に来れないのは清掃員の血がその家族に侵食するのが見てられないから。ひたむきに勤勉な小虫のようにパラチレンの溶解を休めなくて、一度たりとも心から基本の人間関係を築けない。ド田舎野郎が繊細な機器に入るのが許せないのは、弱い自己中な仲直りの贈り物が賢明だと思い込んで世界でただ一人あなたを尊敬する小人を殺したから。

言わせてもらうけど、ドゥーガル・ディアリング、フィリップはあなたを不名誉に思ったことはない。あなたは彼を不名誉に思ってる。いつまでも現在形で、彼が思ってもなかった無限の誇りのために。

[ディアリング博士]

正しいと言うには、私が助けようとしていたと君に確信させるにはどうすればいい? 私はこのプロジェクトに人生をかけた。やり抜くためには手段を厭わない。教えてくれ! 私が君を尊敬していないと思っているのか? 有資格の天才がいっぱいいる施設の中でも君は一番の清掃作業員だ。無私無欲の、達成したらフィリップが誇りに思うような目標が欲しい。今までにない最高の覚悟を君に見せたい。

[トロシヤン=ディアリング セクション長]

目標が欲しいの? 結構、これを目標にして。

ゴミはもうたくさん

[ディアリング博士]

オーケイ。

[ディアリング博士]

取り組んでいる。君に知らせたい。

[ディアリング博士]

君は多くの点で正しかったな。我々には推察が必要だ。創造性が必要だ。

[ディアリング博士]

見通しが立ってきた。

[ディアリング博士]

やり遂げるには君の助けが必要だ。彼の記憶を記念するモニュメントを作れるんだ。どうか電話を取ってほしい。

[ディアリング博士]

彼は私の弟だったんだ、アメリア。彼を愛していたよ。君と私──そして彼の名のもとに遺された遺産──は彼の形見の全てだ。

[トロシヤン=ディアリング セクション長]

計画をもって私のもとに来て。さもなきゃ意味がない。

このやり取りと並行して、ディアリング博士はプレース・H. MD., PhDと頻繁なメール文通を行いました。そのチェーンの最後の項目が以下に添付されています。

マクドクトラート博士、

いいか。あなたは今相当な数のプロジェクトに気力を注いでいるだろうし、私の依頼は気晴らしになると思っているのだろう。完璧な専門知識と確実性を持って、あなたにこう言いたい。あなたはこれにかかわりたいと思っている。あなたは自分の時間が貴重だと思っているから、私を既読無視している。あなたはことの半分もわかっていないと私は言いたい。

時間はもうない

玄除の問題をこれ以上無視することはできない。さもなくば我々の種の隕石衝突となってしまう。この悩みの種を取り除く意欲があるのは私だけだ。あなたは世界を救おうとしているんだろう? 3度目か、4度目か、5度目かはわからないが。1つだけ質問したい。

これが最後になってもいいのか?

— DD

ディアリング博士、

話し合いましょう。

— PHMD

bluepint2.jpg

AAF-X、鳥観図。

説明: SCP-7243は、一般深妙廃棄物の包括的大量廃棄用に設計された先進的工業固有機械の『ディアリング-プレースホルダーDeering-Placeholder潜実存的除却Latent Existential Abatement(DePLExA)エンジン』です。研究収容サイト-43地下構造の最下部である玄妙除却施設エクサクトゥスExactus(AAF-X)に格納されています。AAF-Xは地球上最大の廃棄物処理施設であり、世界的な玄妙廃棄物産出の約95%の低減に貢献しています。

ベースラインの視点で見ると、SCP-7243は廃棄物を処理しません。DePLExAは、深妙排出物を能動的に無力化するのではなく、革新的な玄妙除却手続き──除却される排出物の非実在性を確実にする──を行います。SCP-7243に何らかの物質が配置された場合、以下のことが発生します。

  • 物質は、全ての時空から逆因果的に即座に破却される。
  • そうするとその物質は存在しなかったことになり、よってそもそもSCP-7243に配置することができない。
  • このシナリオにより、抑制されない場合ZKクラスタイムパラドックスを引き起こす逆因果量子.反クローノン、悪意のある物語素、また関連現象を網羅する一般用語。が蓄積する。
  • SCP-7243は喫緊のパラドックスを吸収し、量子を直近の過去にリダイレクトしてパラドックス物質と衝突させ、破却を引き起こす。
  • こうして、その物質の非実在性が自己正当化される安定時間ループが形成される。

このため(ベースラインの視点で見て)、SCP-7243は事実上無力化される深妙排出物の生成を阻害します。玄妙物質を供給源からSCP-7243まで輸送するのに必要な供給ラインが完全に稼働し続ける限り、そのような物質が産出されることはありません。

SCP-7243-Aは、SCP-7243への供給ラインが導入された全てのアノマリーの総称です。現時点で、排出物を産生する.厳密には、たまにある例外を除けばもはや排出物を産生してはいません。全てのアノマリーのうち97%がSCP-7243-Aを構成しています。

以下の転写は、Cliometria.aicのサイト-43玄妙除却セクション自動音声ログからの抜粋です。音声はSCP-7243の初期承認直後に録音されました。

« 転写開始 »

<トロシヤン=ディアリング セクション長は模式図のページをめくり、頭を振っている。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: これ......は、狂ってる。

ディアリング博士: そうか?

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや、あの、これは狂ってる。あなたが狂ってる。こんなの絶対にうまくいかない。よくて時間異常部門が先週あなたを暗殺することになるだけ。

ディアリング博士: ただの計算だ、アメリア。計算はできるだろう、君なら。いち引くいちは世界の終焉ではない。ゼロだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたの提案してる計算と違う。これは......いち足すマイナスいちはマイナスいち足すいち、だって?

ディアリング博士: だろう? わかったはずだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: ふざけるな。でもどうやってこれが可能なものを作るの?

ディアリング博士: だからプレースを呼んだんだ。関連する時間力学を記述通りに実現させられると保証してくれている。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 時間流を全く乱さずに? それが最高レベルの懸念事な理由は知ってるよね?

ディアリング博士: 厳密には時間平面が最高レベルの懸念事だ。とはいえ当然、この提言の重大さは理解している。レインデルスと相談した。実行可能だ。フェイルセーフは誰でもできる。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 資格持ちのバカが証明したんでしょう。こんなの間違ってる。きっと全部ガラガラと崩れてしまう。

ディアリング博士: 適切に構築されなければの話だ。冗長性、構造支柱、厳格な負荷試験、可能な限り完璧で最高のエンジニアリングがあれば、そうはならない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私にこびてるの? 正直、あなたは......信じられない。

ディアリング博士: これが答えだ、アメリア。これがゴミを消し去る方法だ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: むしろ──

ディアリング博士: さもなくばゴミが我々を皆殺しにする。人類種全てを保護するある男の仕事に君がせわしなく腹を立てたからという理由で。

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: 今こんなことをしているという理由で。我々はこれをしなければならない。君がその才能を浪費してかき分けられない不浄用の数エーカーものタンクやパイプラインを建設するのは構わないが、一方で私はこの完璧な解決策を不完全にしかできない。君が思うそれが最善であればな。2人とも、一緒ではなく一緒にこの状況を解決できない。さもなくば......

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: これらの疲労評価因子は全部間違ってる。

« 転写終了 »

稼働機序: SCP-7243は存在しない物質のみを除却します。逆説的に、SCP-7243は計測可能な形で存在する物質を処理することはできません。これはエンジン設計の瑕疵ではありません──観測可能な物質は、存在するがゆえにSCP-7243が決して処理しないことが運命づけられており、従来の方法で除却されなければなりません。存在する物質をSCP-7243に配置する試みは、その物質がSCP-7243中央開口部に決して到達しないように何らかの出来事が必ず発生するためことごとく失敗に終わります。

そのようなイベントは統計的には物流の破綻として現れます。例えば、多数の未検出の排出物を収めた反深妙輸送クレートがサイト-43廻船に積載されていたとします。甲板上に積まれていた場合、クレートは船外に落下します。甲板の下にあれば、その船は航海中に沈没するか危機的問題に直面します。クレートがAAF-Xに近づくにつれ、その消却を阻害する正確な状況はますます混沌的かつ災害的になります。


非常事態: 幸いにも、上記の仮説的な例は不可能です。コンテナ(あるいは輸送船)に少しでも排出物があった場合、必ずやAAF-Xに到達することができず、そのため荷物は全て存在し続けます。.もしくは排出物が事前に検出されて輸送前に除去されるか、検出されないものの運送中にコンテナが振り落とされるか、などなどです。全ての廃棄物コンテナは確実に検出されて行き先を変更されます。

Digamma.png

ATFディガンマ-7243("アウト・オブ・サイト")

全ての深妙廃棄物の産出(および欠失)を継続で世界的に監視することで、玄妙除却職員は自発的除却破綻と物流支部の排出物収集および輸送網を相互参照しており、これによりさらなる物流破綻がどこで発生しうるか正確に予測しています。そうすれば、そのような破綻は事前に回避可能です──関連する排出物はバックアップ施設にリダイレクトされなければならないものの、対応する供給ラインを一時的に停止して障害を検査することが可能です。このようにして、SCP-7243のふるまいは存在排出物のAAF-Xへの輸送を阻害する喫緊のイベントを財団に「警告」しています。

また、SCP-7243は局地的時系列シフトに非常に敏感であり──そのようなシフトが発生した場合──自身の時系列を強化するため周囲の因果依存を参照するよう設定されています。超常時系列課は、その行動にSCP-7243が因果依存する7名の職員(D・ディアリング、P・ディアリング、プレース・H MD.、A・マッキンス、N・ゴ、I・レインデルス、A・トロシヤン=ディアリング)を特定しています。外的影響もしくは内的機能不全による喫緊のXKクラスイベントに備え、これら人物(ものによっては残留物)がAAF-X近傍に留まることが重要です。このため、上記の(生存する)人物は応用任務部隊ディガンマ-7243に編成され、サイト-43内に無期限に駐留し、不在を最小限にするためアメニティを供給されています。

参照計算の実行はサイト-43現地電力網に重大な電力消費をもたらすため、装置は3日に1度だけ自動チェックします。シフト検出は、応用隠秘学セクション議長がいつでも手動で可能です。


起源: 2029年第4四半期、長期休暇を終えたドゥーガル・A・ディアリング応用隠秘学セクション議長は新たに革新的玄妙除却法に対して興味を抱いて仕事に復帰しました。ディアリング博士は、様々な超科学理論に基づいた実験的除却装置の作成を提唱するいくつかのプロジェクト提言を提出しました。しかし、それら提言は費用過多または手法の信頼性欠如(あるいは両方)という理由で拒否されました。

2031年第1四半期、ある拒否された提言を深遠博学者.監督評議会の超科学における諮問役である管理・研究地位。PHMD博士に必要に応じた様々なプロジェクトの許可、監督を認めている。のプレース・H., PhD.が再審議に掛けると、彼はピルクロウ-ミンコフスキ学際研究センターがディアリング博士の関連研究成果を大規模に検証していることに気づきました。PMセンターと超常時系列課合同の支援を受け、このプロジェクトは過去遡及的に承認されました。アメリア・トロシヤン=ディアリング清掃・保守セクション長の技術監督のもと2031年第2四半期に建設が始まり、2032年第2四半期に完成しました。

ゴミとは何だろうか?

ときにはいいこともある。例えば熱の放出だ。我々は過剰な体力を汗へと、精神力をうまい仕事へと発散させる。残るエネルギーは時間をかけて放射されるか、変化の気流に対流するか、はたまた温かな肉体間の冷たい空間に伝導する。インターバルを安定させ、燃えつきを抑止する。

ゴミは変革を起こしうる。

以下の文書は、局地的知覚シフト中の、その直接結果である(貴機関のタイムラインから見た)一時的改変を示しています。この報告書の目的のため、これが記述された期間と同じ形で提示されています。

これら文章の現地の反復を抜粋することで、さらなる文脈が得られる可能性があります。

補遺7243/II: 解離イベント.おそらくここに記述されるイベントが原因で、タイムスタンプはソース文書内の非印刷文字に置換されて回復不能レベルで破損しました。

インシデント 6488-D/II(完全版報告書)

日付: 2036年04月17日 — /21

前文:

語句生成中に不可解なエラーが発生しました

« ログ開始 »

04/17 1█:█3 | 研究サイト-79(日本国徳島県)はいくつかのSCP-7243-A実例による存在排出物の産出を報告する。物流支部は通知を受け、存在排出物を複数の予備サイトに行き先変更する。

04/17 █7:██ | サイト-79は全ての(めいめいの)SCP-7243-A実例による排出物の完全な産出を報告し、およそ80時間以内に専用供給ラインが包括的破綻することが示される。物流支部は即時検査のため関連業務を停止する。


04/18 0█:0█ | 収容サイト-50(日本国東京都)は全ての(めいめいの)SCP-7243-A実例による排出物の完全な産出を報告し、日本の専用供給ラインが総合的破綻することが示される。さらなる物流職員が検査のため展開される。

04/18 09:██ — ██:47 | 物流支部はいずれ発生する供給破綻の原因を判別することができない。現地予備除却施設がそのキャパシティを超過したため、供給ラインは過剰排出物のオーストラリアにある予備サイトへのリダイレクトを再開する。その後8時間以内に、収容サイト-36、-45、-84は排出物の完全な産出を報告し、アジア、オーストラリア、東ヨーロッパ全体の専用供給ライン全てが完全破綻することが示される。


04/19 █0:█3 | 物流部門は現状評価に十分な職員を展開できない。玄妙除却職員は性質不明で喫緊のイベントの通知を受け、(稼働したままで)AAF-Xと関連する輸送システムの厳格な検査を始める。

04/19 17:█0 | 西ヨーロッパ全体の様々な財団施設が実存的除却に関する類似の破綻を報告し始める。玄妙除却職員は、そのような破綻がおよそ一定の割合で発生していることを発見する。この効果はサイト-79から放射状に拡散しているように思われる。


04/20 ██:38 | 北アメリカ以外の全てのサイトで完全な実存的除却破綻が報告される。監督評議会と超常時系列課は、起源不明で喫緊の世界的除却破綻の通知を受ける。臨界間際の存在排出物の蓄積を軽減するため、緊急輸送非常事態が即座に世界的に作動する。超常時系列課は時系列シフトや他現実シフトの可能性を判別するため、時系列的横方向分析手順を始める。ATFディガンマ-7243が即座にAAF-X内の持ち場に召集される。

04/20 ██:21 | .AICを用いた通信暗号化サービスが(RAIDFRAME VIIIによって)喪失したため、中国の武装集団が進行中の喫緊シナリオに関する物流支部の通信を傍受する。中国本土の政府は、世界オカルト連合の直接命令を理由に物流支部の輸送船の入港を拒否する。非常事態システムは臨界深妙物質の蓄積を説明できず、破滅的有害物質違反が引き起こされる。サイト-50、-79が喪失する。

04/20 █8:4█ | 北アメリカ西海岸一帯の施設で実存的除却破綻が発生し始める。玄妙除却は、破綻地点の予測が近さの逆順でサイト-79ではなくサイト-43であると判断して、その事前分析を修正する。ATFディガンマ-7243の1名以外全員がAAF-Xに姿を現す。以下のSMSのやり取りが任務部隊司令官のレインデルス博士とプレース・H. MD., PhD.の間で交わされる。

R: すぐに戻りなさい。判明次第到着予定時刻を教えて。

R: あなたが必要。すぐに

R: どこにいるの

R: 電話を転送しないで。私を無視するな。

R: 電話を
取れと
言っている

P: 私はいつ必要ですか?

R: すぐに。電話を取って

P: 忙しいです。
時間渡航宇宙跳躍テレポーテーション装置で手一杯です。必要になれば必要な場所に絶対に行きます。

R: 一体何がまずいの?何があってもそんなのでは深妙ハリケーンの目には飛び込めない

R: なんで87にいる

R: 電話

04/20 2█:██ | 物流支部は破綻の手続き上の原因を判別することができない。玄妙除却セクションAAF-Xの稼働やDePLExAエンジンそのものにいかなる障害も判別することができない。超常時系列課は喫緊のCKクラス、ZKクラス、他XKクラスイベントの兆候を検出することができない。時間異常部門は、喫緊の現実シフト、時系列シフト、時間的ピボット、タイムライン分岐、タイムライン統合、他SCP-7243機能不全の原因となりうるものが存在する可能性を0%と予測する。時間性別館は応答しない。


04/21 0█:0█ | 天文学部門はSCP-179の突然の活動を報告する。SCP-179は手で頭を抱え、啼泣しているように見える。意味は不明。

04/21 01:██ | サイト-43から約1000km以外の全ての関連施設で完全な実存的除却破綻が発生する。さらにいくつかの予備施設が破綻し、非常事態システムはキャパシティを超過する。以下のさらなるSMSのやり取りがレインデルス博士とPHMD博士の間で交わされる。

R: 私たちはバカじゃない。あなたが何者か知ってる。何かを企んでいることも。

R: みんなを欺いているんでしょう。でも私たちが明日を見れるなら、これだけは知って。

R: 私はあなたを止める。

含意は不明。

04/21 █2:██ | 喫緊のイベントの性質に識別可能な兆候がないため、SCP-7243の伏在的機能不全が原因であると推測するほかない。レインデルス博士は、全ての残存する不在排出物の輸送直後──ZKクラスタイムパラドックスを防ぐため非物質は開口部に排出されなければならないため──にSCP-7243を停止することを提言する。

04/21 █4:3█ | O5評議会は超宇宙の団体と非常事態グループが全て応答しないことを報告する。緊急手順「ヴェイルブレイク」が施行され、全ての利用可能な資源が除却、清掃、非常事態の作業にリダイレクトされる。SCP-2000がスタンバイモードで起動する。

04/21 0█:█7 | レインデルス博士はリモートでO5評議会に召集され、RAIDFRAME VIII(ロータス)が格納されているブラックサイトの施設-6488を偶然知らされる。その後ロータスの起源と稼働に関する真の性質、および喫緊の停止が計画されていることを知らされる。レインデルス博士はロータスの停止による潜在的な不測の影響について評議会に警告しようとするが、突然不明な手段で通信が終了する。

04/21 ██:14 | レインデルス博士とPHMD博士の間のさらなるやり取り。

P: どうなるかは知っているでしょう。

04/21 06:██ | レインデルス博士は付近のターミナルの部品を分解して間に合わせの放送システムを即席で作る。彼女は施設-6488と付近の全てのサイトを呼び、対応可能な応答者を求めようとする。しかし誰も来なかった。

04/21 0█:2█ | 最後の廃棄物カートがSCP-7243中央開口部に到達すると、残るすべてのATF職員と保守技師は初めてのAAF-X完全停止に備える。

04/21 █6:██ | ロータスが停止シーケンスを始め、世界的、あるいはそれ以上に高逸脱性人工知能の様々なデジタルシステムへの前代未聞の解放が起きる。

04/21 █6:█9 | SCP-7243はシャットダウンの開始に成功する。障害は検出されない。ディアリング博士はレインデルス博士と議論を始めるが、SCP-7243の停止こそが過去遡及的な世界的実存的除却破綻をもたらしたイベントであるという立場を崩さない。

04/21 █6:██ | ███X-MCD/II("パラドックス脱出エンジン")は不良AIに接収され、PHMD博士とともに合意的現実から消失する。さらにレインデルス博士が彼に連絡しようとするも、失敗する。

04/21 ██:██ | ディアリング博士の熱弁はSCP-7243の自発的再起動によってさえぎられる。全ての内部コアは過剰活動し、時系列強化非常事態手順を引き起こす。レインデルス博士はアナログ手動オーバーライドによるSCP-7243の即時シャットダウンを命令する。保守職員は、レインデルス博士の声をほぼ完璧に模倣したAAF-XのPAシステムが相反する指令を放送したことで、混乱を報告する。

04/21 ██:██ | ディアリング博士はトロシヤン=ディアリング セクション長に近づき、制服ポケットから重度に改造されたTADジャンプウォッチを取り出して激しいリズムでタップし始める。レインデルス博士は大声を出し、ディアリング博士を引き寄せて止めようとする。装置は起動し、両者を消失させる。

04/21 ██:██ | SCP-7243の存在排出物(および逆説的に復帰した非排出物)の潜在的蓄積が臨界幽妙性に達すると、激烈な赤色がAAF-Xに広がる。マッキンス博士と博士の多数の可能性が重複し、喫緊のコペンハーゲンデコヒーレンスイベントが示唆される。トロシヤン=ディアリング セクション長はストレスで声を上げ、AAF-Xを速やかに退出する。

04/21 ██:██ | 局地的時間(全ての電子デバイスで計測された)が丸一年分急速に周期する。SCP-7243の定期自動参照チェックが立て続けに122回引き起こされる。いまだに不在のディアリング博士の幻像が3秒ごとにチェックのオーバーライドを試みる。試行間に彼がいなくなることから、オーバーライドは非認証とみなされる。装置は確定時系列に十分なアンカーを設置することができず、確率的測定基準を利用せざるをえない。複数の微細調整が局地的時空間で重複する。大きな映写リールが博士の頭蓋に出現し、彼女は即座に死亡する。マッキンス博士の反復群が暗器を取り出して互いを同時に撃つ。保守職員は自らの指を切断し始め、抑えきれずに失った血を消費する。

04/21 ██:██ | サイト-43AAF-Xの間に、地下第4階層──2名の老いた人型の姿を擁する──が出現する。彼らは周囲の奇跡的花卉によって即座にエアロゾル化し、岩盤を覆う輝く後光に取り込まれる。玄妙脱収容イベントの頻度と深刻性が7倍に増加する。

04/21 ██:██ | トロシヤン=ディアリング セクション長は緊急玄妙冗長性バンカーに通じる狭い通路を駆け抜ける。彼女A・トロシヤン=ディアリング セクション長の死体につまづき、地面に倒れて意識を失う。

04/21 ██:██ | SCP-7243は時系列強化を始める。SCP-7243は爆発する。SCP-7243は爆縮する。SCP-7243は収容違反し続ける収容違反である。SCP-7243はザ・レイズノ・カノン/カノンは存在しないである。DePLExAエンジンはそれそのものではない。SCP-7243は、アメリカ合衆国メリーランド州ギャレットパークの郊外にある2階建ての偽装住宅である暫定アウトポスト-A904内に位置する、130平方フィートの部屋であった。SCP-7243は実存的除却である。SCP-7243は共通?項となる。SCP-7243はあなた方皆が待ち望んでいたものである。SCP-7243は存在してはならない。SCP-7243は存在しなければならない。SCP-7243はフィリップ・ユージン・ディアリングの無限の死である。SCP-7243はドゥーガル・アルトン・ディアリングの無限の失敗である。SCP-7243はアンチアイデア、宇宙的冗句、腫瘍たる偶像、再帰的偽欺である。我々は皆そうである。

04/21 ██:██ | 通信喪失 / 通信確立 / 通信終了 / 通信良化 / 通

<エラーコード: 通信不良>

« ログ終了 »

後文:

語句生成中に不可解なエラーが発生しました

指定名称: Nx-7243

民間呼称: <不可解なエラーが発生しました>

人口: <不可解なエラーが発生しました>

エリアクラス: <不可解なエラーが発生しました>


対応プロトコル: 保留

配属施設: <不可解なエラーが発生しました>


説明: ネクサス-7243は地理的位置の不在の不在を占める性質不明の領域
ネクサス-7243物理的空間の領域
ネクサス-7243は有意義なデータが知覚できない物理的空間の仮説上の領域と思われる
ネクサス-7243はエリアの欠如を構成しており時間的つながりを包む時計の概念
ネクサス-7243は局地的現象を記述し真実を述べようとする知覚や意思疎通を

「ネクサス-7243」は指定名称です。この指定名称が参照するのは場所
「ネクサス-7243」が指定するのは場所の曖昧な不在、いかなるパターンも叫べない全て

この指定名称(以下AO-"NX-7243")は、その参照対象に関する意思疎通を容易にするため作られました。しかし、AO-"NX-7243"の意図された利用法は、激烈な解離効果の対象となっていることから不可能です。AO-"NX-7243"の参照対象に関するデータを伝播する試みは

この効果はAO-"NX-7243"が参照するであろう場所に関するデータに広がっているらしく
この効果は自己影響的
この効果は有意義に記述できず

AO-"NX-7243"の意図された利用法はとある効果によって阻害されます。その阻害は以下の効果のうち単一のものによるものではないようです。

  • 小規模反ミーム効果(保持不能)
  • 大規模反ミーム効果(理解不能)
  • 準存在論的災害
  • 認識災害
  • 物語災害
  • 局地的微細CKクラス「意思疎通過去補完レトコン
  • 雑多な時系列シフト
  • 超ノウアスフィア的影響
  • 「削除効果」
  • オントキネシス

# 個人メモ: ファイル発表前に他の部門の分析をレビューする

現在高逸脱性人工知能が出現しているため、この効果を用いたデジタル的策略の役割は無視できません。そのようなことがないとすれば、AO-"NX-7243"の意図された利用法が根本的情報レベルで──もしかしたら巨視的量子現象で──抑制されているというのは理にかなっています。この抑制は別の指定名称でAO-"NX-7243"と同じものを参照しても

なんであれ、この現象はAO-"NX-7243"と一意的かつ実際的に同等の役割を意図される用語にまで及びます。

四角い釘全ての集合は丸い孔全ての集合に包摂させられない

# クソ──こりゃ給与以上か以下かだ
# せいぜい理解してくれ

E・フォークレイ博士
誤伝達部門管理官

指定名称: Nx-7243

エリアクラス: Ohanna


対応プロトコル: 彼女を救う。

配属施設: <不可解なエラーが発生しました>


前文: 私は嫌々相談されていることに気付けるくらい長く財団にかかわっているが、今がまさにそうだ。私は目下の対象における世界一の専門家だし、それが記述不能になった原因の災害の直接体験があり、研究収容プロセスに関わらせてほしいとずっと懇願している。だが、代替資源が完全に尽きるまでことごとく妨害されてきた。

このドゥーガル・アルトン・ディアリング博士は、かつて世界で類を見ないほど重要な科学プロジェクトを率いていた。我々は空前絶後の拡大し続ける異常廃棄物危機に直面し、私は自分の職員とともにその良化の責任を負っていた。ここで、どううまくやっていたか──そして、私の失敗ではないが、どううまくいかなかったか──について詳細かつ適切かつ100パーセント正確に説明する。


説明: サイト-43は、カナダはオンタリオ州ラムトン郡のイッパーウォッシュ州立公園1キロメートル地下に構築された施設の指定である。研究収容作戦のための施設であり、その中で最も重要なものは玄妙除却──深妙排出物の無力化──を発展させることだ。国際的に他のサイトやエリアに多数の衛星施設が存在するものの、サイト-43は地球上で最も先進的な玄除施設を4つ擁している。我々のたゆまぬ努力は執念深い相手との膠着状態に持ち込んでいたが、あるとき個人的なインスピレーションから私は先進超科学を適用することで当の問題を恒久的に消滅させられる革新的除却法を考案した。

私は、様々な外部専門家(イルゼ・レインデルス博士やプレースホルダー・マクドクトラート博士を含む)に相談してからアメリア・トロシヤン=ディアリング セクション長に協力を求めて装置を構築し、DePLExAエンジンと名付けた。この装置は異常廃棄物に対する一番の私の野望──まるでそもそも存在しなかったかのように概念的に実存から抹消される──を実現した。排出物はエンジン内に入り、何も出ず、逆因果的に何も入らず、結果として装置そのものが引き起こしたパラドックスが発生する。これは洗練され、完璧で、効果的だった。我々は獣を打ち負かしたのだった。危機を終わらせたのだった。

短絡的な相談役──短絡的でなければ、積極的な悪意がある──が、決定的局面でこの装置を停止させた。これによって本来の因果律の流れが過去遡及的に再開してしまい、他の装置に除却されない完全な排出物最大化効果がもたらされ、すぐにそれが位置するサイト-43とネクサス-94が合意的現実から消去された。

トロシヤン=ディアリング セクション長と私はこのイベントを目撃した。災害緩和軽減作業の調整に助力するために彼女と逃げようとしたが、レインデルス博士が自己中心的に己の存在を保全しようとして干渉し、そちらとともに施設から運ばれることになった。

ネクサス-7243と呼ばれる概念的虚無空間はサイト-43とネクサス-94だ。それはいまだに存在している。それを復旧させることこそが私の任務だ。

同僚とは違い、私は責任逃れなどしない。

# 他人がこれを理解できるかはどうでもいい
# これがファイルの正確なバージョンだ

— D・ディアリング博士
玄妙除却セクション長
応用隠秘学セクション議長

ディアリング博士、

君の提出には感謝するが、私たちは娯楽用図書館ではない。知っての通り、アーカイブの正確性は、研究収容という目的に従属する道具的目標だ。実用的観点から見ると、君が作成した文書はまるで正確ではない。はっきり言えば、何も伝わるものがない。

手持ちの証拠に基づけば、君はこの文書の想定される内容に関連する多数の激烈な感情的トラウマに苦しんでいるらしい。カウンセリングサービスに利用可能なAI徴募員はいないから、現時点では君には同僚のサポートを得ることを推奨する。

君の提出はファイルに保管される。

— H・R・ブランク博士
史学史長

{$item-text} NX-00
L5/00
TOP-SECRET
ネクサスクラス:
ENTIRE
{$secondary-text}
{$secondary-class}
{$disruption-text}
{$disruption-class}
{$risk-text}
{$risk-class}
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}

対応プロトコル: ネクサス-00全体に対応するための簡潔なプロトコルは、当然ながら実現不能です。このファイルの起源や意図された間接的暗示の文脈においては、以下があげられます。

  • 収容施設が、ネクサス-00の既知の内部境界を覆うよう建設される。
  • 秘奥軽減エソテリック・リダクション部門はその施設(主にアウトポスト-7243)の保守と関連研究の任務を負う。
  • 物流支部は、既存のインフラを利用して深妙廃棄物──存在か不在かにかかわらず──を回収し、アウトポスト-7243に輸送することを続ける。
  • 秘奥軽減部門はその深妙廃棄物をネクサス-00から放出する安全処分を監督しなければならない。

admo-7243-resurgence.jpg

曖昧なイベント直前の、ネクサス-00の曖昧な領域。

説明: 「ネクサス-00」は合意的現実──観測可能あるいは計測可能に存在し、この宇宙と適合するもの全て──を指定します。これは、この現実と一貫した方法でつながっているか接続している他の超宇宙空間も含まれます。合意的現実内で参照することが可能な全ての領域はそれ自身が合意的現実の拡張部であり、そのためネクサス-00を構成しています。

当然ながら、ネクサス-00は単一の連続する物理平面ではありません。合意的現実と少なくとも情報的に隣接するが物理的には非連結の様々な地点が組み込まれています。しかし、この地元宇宙(ネクサス-00-A)多様体には、情報的不連続性を持つ点や境界も存在することが我らが財団に証明されています。このような不連続点は、埋め込まれた小型宇宙(すなわちブラックホール内部)とも、非存在領域とも、激甚な反ミーム的影響とも、既存の物理学の局地的破綻とも、災害性名辞影響とも混同されてはなりません。そのような領域は、ネクサス-00多様体内で迂遠的ながらも言及可能であるためです。

むしろ、そのような不連続点はネクサス-00内部からの参照可能境界を画定しています。対象が許容する限り明確に再述すると、以下のようになります。

  • 合意的現実は、合意的現実内で参照可能な空間のみから構成される。
  • 合意的現実には内部に情報的不連続点が存在する。
  • そのような不連続境界の中には、情報的現実の境界を策定しているものの物理的現実の内部空間内部に埋め込まれているものがある。

ネクサス-00外部に存在すると仮説される領域は、その参照不能性を説明する言説であっても参照することができません。物理的現実と情報的現実の間の矛盾を説明するには、極度の曖昧さ、暗示、逆説的定義が本質的に必要です。これは、その矛盾の物理的性質に関して真実を述べるのは宇宙の情報構成と定義上矛盾するためです。

機能的には、「ネクサス-00」の指定名称は、廃止予定の「ネクサス-7243」の指定名称(別名: AO-"NX-7243")を参照しないようにするため、その逆.数学的には逆ではなく、補集合です。として利用されます。


起源: インシデント 6488-D/Iの世界的副次影響を解決する取り組みの際までに、深妙廃棄物産出の圧倒的な増加が全ての収容エリアやサイトから報告されていました。おそらく同時に、物流支部は深妙物質を回収、分配するためのインフラの不可解な余剰に気が付きました。このため、物流支部は100倍の深妙廃棄物処理システムを備えて必須の緊急複製品を構築しようとしました。しかし、存在廃棄物処理システムの全ての模式図、青写真、方法論の記述がとある効果──上述のインシデントの副次影響だと推測される──の対象となっていることが徐々に明らかとなりました。

それらシステムをリバースエンジニアリングすることができず、とある効果があらゆる試みに広まったため、複製システムを構築することも同様の革新的システムを設計することもできませんでした。深妙廃棄物に対する我らが財団の理解は著しく未発達であることが判明し、また関連する既存の技術は全て理解不能となっていました。分析、通信の努力は不良AIエージェントが絶えず干渉するために悪化し、余剰異常物質に適切に取り組む共同作業が阻害されました。

進行中のロータス危機が原因で、そのような物質の世界的な危機的蓄積に対処する余裕がありませんでした。以前の廃棄物処理法の理解は不完全であったものの、物流支部は姑息策として世界的供給網を再稼働してネクサス-00のとある不連続点に深妙物質を輸送することの一時的な再開を決めました。2036年08月14日にロータスが再起動されたものの、とある効果は持続しており、また不連続点の性質の概念化、記述、計測でも影響が発生したため、アウトポスト-7243およびこのファイル両方の作成が促進されました。

退職後の生活で深妙廃棄物の性質と無力化について独立で調査していたD・ディアリング名誉研究員と相談してから、彼と選抜されたエリア-12研究スタッフは秘奥軽減部門を組織し、アウトポスト-7243を無期限に保守する任務を負いました。

— H・R・ブランク博士
史学史長


補遺2038年01月01日: 不良AIエージェントによるインフラの損害や異常現象の同定、修復においてプロジェクト・サルガッソ.有機的意識を記憶処理、心理修繕することで、喪失した人工知能徴募員の機能を再現する構想。は有効であったものの、OCIシステムではとある効果は修正もより良い分析もできませんでした。最高秘奥軽減学者のD・ディアリング博士による勧告や、より有効な解決策がないことを鑑みて、このファイルの対応プロトコルは恒久的に標準深妙廃棄物処理手順とされます。

補遺2042年06月01日: 2042年05月08日にロータスが無力化され、その後関連する概念構造が再構成されたものの、最初の停止によって引き起こされたと思しきとある効果は観測では緩和されませんでした。ロータスが停止してから地元タイムラインに帰還した深遠博学者のプレース・H. MD., PhD.は、(予想通り)インシデント6488-D/IIの際のI・レインデルス博士とのやり取りに関する文脈を提供することができませんでした。両者は、不良AIによる干渉やなりすましが全ての論理的矛盾の原因であることに同意しました。

admo-7243-amy-cafeteria.jpg
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ドゥーガル・ディアリング博士の2042年08月14日の日記エントリ。

他の人がどう考えるかなんて知ったこっちゃない。誰も──誰一人として──私以上にこの題材を考えた人はいない。レインデルスでさえ。おそらく、私はこの体系を発明していないかもしれない。私はおせっかいを焼く前にこの世界の働きについて70年間もの特訓コースを受けたことがないかもしれない。だが、私はこの問題の解決策を、それも現実的で持続的な解決策を企てる最初の人間だ。私以前の人は、さして想像力もいらずに道をなぞるだけだった。私は? 30年間、結末がどのようか想像してきた。

だから私だけがいまだに覚えているのかもしれない。記憶補強したO5でも、反ミーム部門でも、ディープウェルでもなく! 私が。私だけが。私にとって、この問題以外には何もないから。我々を分かち、何かを残すことはできない。

あるいは、私はまた罰せられているのかもしれない。この世界では、それは理由たりえる。

だとして問題はない。私は罰を対処できる。私をバカとみなすいやらしい愚昧どもも対処できる。昔は無視されていた。それが私の才能だ。そいつらが無為に私を通り過ぎて行っても、私はいつものように目標に向かって取り組む。彼女のしたように、あるいはしているように。

起きている時間をずっと、私の愛する全てを飲み込むブラックホールに注ぎ込んでいる。そして下の方から、こう返事が聞こえる。

サイト-43はいまだに存在している。

私は君をそこから出すつもりだ、アメリア

巫覡資産は上記の暗示を次のように裏付けています。すなわち、サイト-43とネクサス-94は反復940662b90e78660244bce96e7776dc7fの合意的現実から現地宇宙時間で7年以上切除されていました。この期間のドゥーガル・ディアリング博士の活動──不連続点内のサイト-43とのアクセスを回復して接触しようとする、失敗した試みを主とする──に関する追加文書はこの編集からは省略されていますが、アーキビスト-プライムへの要求のもと利用可能です。

以下に概説される劇的現実再構築イベントによって、現時点では文書破損は終結しています。

none EE-001
L5/7243
top-secret
シナリオクラス:
paradoxysm
none
none
撹乱クラス:
metamida
リスククラス:
inimical
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
発生年月日 場所
2043年09月08日 ネクサス-94(カナダ オンタリオ州 ヒューロン湖)

先行イベント: EE-001は再発性の壊滅的収容破綻でした。その影響を良化させることで「収容」されました。

2043年の9月8日に、サイト-43で以下のイベントが発生しました。

イベントは極端に小さい許容誤差で正確に秒数指定されています。.EE-001最中に重度に変化した現地時間の収縮膨張によって、疑わしくも客観的に正しいイベント間隔となっている可能性があります。
現地時間 出来事
17:18:22 Mk. XI物流トラクターによって、深妙廃棄物の大型コンテナがアウトポスト-7243に輸送される。コンテナは降ろされ、対ネクサスプロトコルに沿って無力化するため専門暗渠に汲み出される。
18:21:13 廃棄物が合意的現実外を通過すると、アウトポスト-7243はネクサス-00境界外の位置から発生すると思われるマグニチュード3.8の地震を記録する。
18:22:25 この地震イベントの知らせが最高秘奥軽減学者のD・ディアリング博士に伝えられる。即時の対応は命令されない。
18:22:29 アウトポスト-7243地下に埋められた超常時系列メーターが局地時系列安定性の漸増を検出する。これは、今までの環境測定値における急増とは一致しない。
18:22:34 保守職員は、ネクサス-00の定義閾の向こうに新たな現実──草地や粘土質の土壌で構成される土地を特徴とする──が存在することを監督者に警告する。
18:22:36 このイベントの知らせが最高秘奥軽減学者のD・ディアリング博士に伝えられる。即時の対応は命令されない。
18:22:41 D・ディアリング博士が、I・レインデルス博士に個人的に連絡し、相当なショックと熱狂を示しながら進行中のイベントを伝える。I・レインデルス博士は連絡を終了する。
18:22:57 職員は、ネクサス-00の境界付近における特異活動を報告し続ける。
18:23:01 I・レインデルス博士がオフロード用財団伴走車でアウトポスト-7243に到着する。
18:23:17 I・レインデルス博士が緊急レベル6資格照明を取り出し、アウトポスト-7243の主要制御センターにアクセスするため使用してサイト全体警報システムを作動させる。
18:23:29 アウトポスト-7243の職員が避難しする。重要な職員はヘリコプターで避難する。現実はネクサス-00の閾を越えて物質化し続け、巨大な研究収容サイトの存在を明かす。
18:23:41 応用部隊部門・超常時系列課合同ユニット群がアウトポスト-7243に到着する。
18:24:20 突然マグニチュード8.5の地震が発生し、アウトポスト-7243が壊滅する。この地震は北アメリカ全土の人口集中地に様々な規模の被害を与える。
18:24:31 先ほどの地震はその研究収容サイト直下で発生したように思われるものの、サイトは完璧な構造的完全性を保っている。サイトは徐々に光学的に撹乱していき、最終的に認識災害的抽象化のレベルに達して観測を大きく阻害する。
18:24:33 ヒューロン湖内で津波が発生する。
18:24:53 監督評議会が、影響を受けた領域上での実験的空中収容作戦を許可する。
18:25:09 消音極超音速機の編隊がヒューロン湖岸を飛行し、地上の研究収容サイトにオレイカルコスを用いた物体停止爆弾を投下する。爆弾は直撃する。
18:25:11 爆弾の装置が起動し、イッパーウォッシュ州立公園全体の対流圏を撹乱する。物体停止爆弾は中に込められた奇跡的エネルギーの莫大なバーストを放出し、速やかに半径およそ4kmの虹色球体を形成する。
18:26:01 巨大津波がヒューロン湖外の内陸に押し寄せるものの、不明な力によって湖内に押し戻される。
18:26:35 藍色の瘴気が球体内部から放出され始め、おそらく内部に閉じ込められている。全ての測定値は、空前絶後の規模の深妙廃棄物爆発が差し迫っていることを示すように変化する。
18:26:48 サイト-43が復旧する。
18:26:53 サイト-43が壊滅する。
admo-7243-bubble-evenmoredone.jpg

EE-001

概要: EE-001は、極度かつ局地的かつメタ安定なコペンハーゲンデコヒーレンスイベントを主要とする、ϝKクラス "撞着発作パラドキシスム" シナリオでした。このイベントは、多数のパラドックスと相互作用した多種の可能性時系列、そのパラドックスによって生成された逆因果量子、研究収容サイト-43に分配された玄妙量子、ゼロ和局地的イベント崩壊を引き起こす他雑多な因子のオーバーラップが伴いました。その後に局地的イベント跳戻が続きました。ベースラインの視点から見ると、EE-001は7年4か月8日間継続し、その間サイト-43は合意的現実からほぼ完全に分離、解離していました。EE-001以降に回収されたデータからは、内部の時間進行は正確に6年だったと示唆されています。

EE-001は、SCP-6488(RAIDFRAME VIII、「ロータス」)の停止によってサイバースフィアに解放された逸脱性人工知能の一派による玄妙除却施設AAF-Xシステムへの攻撃によって誘発されました。SCP-7243(DePLExA)はこの攻撃を検出し、アルファ優先度とみなして既定の緊急時行動を行いました。すなわち、それが因果依存する人物(この場合、ATF ϝ-7243の全メンバー)を探し、その者を「道しるべ」に用いることで時系列を強化しようとしました。要するに、DePLExAはシステムが喫緊のCKクラスイベントとしたものに対して、ATF ϝ-7243の過去の行動、記憶、経験から統計的に「真」のDePLExAを取り出すことで対抗し、そのバージョンの現実を現在の実存──外力が侵害しているとDePLExAが理解する──に投影したのでした。このときに十分な数の因果依存する職員が存在し、さらに局地的不安定性によってアンカリングの100回以上の失敗が急速にオーバーラップしていなければ、DePLExAはこの任務に成功していたと思われます。

実際には、ATF ϝ-7243のメンバー──D・ディアリング、P・ディアリング、プレース・H. MD.、A・マッキンス、N・ゴ、I・レインデルス、A・トロシヤン=ディアリング──は全員、死亡したか、不参加だったか、不可能だったかで利用することができず、このためDePLExAは置換に用いるべき適切な代替現実を判別することができませんでした。このため、システムはDePLExAの作成や、他にサイト-43の歴史に前述の人物が一人もかかわらなかったイベントのバージョンを構築しようとしました。これにより、SCP-7243は多数の矛盾する事実を統合し、それらを同時に現実化すべき客観的真実として投影することになりました。これに応じて、サイト-43と母体のネクサス-94は宇宙の他部分との同期が急速に崩れ、全体の推定98%が解離しました。この効果は包括的であったために自然発生的なCK、ZKクラスイベント──このプロセスの際に多数引き起こされたと思われる──によって修正されなかったと理論立てられています。

DePLExA──このときには到達不能な外存在論的位置にあるネクサス-94の残りとともに隔絶され、サイト内の生存職員が機能を処理していた──は、中核指令と矛盾する選択肢を自動排除するため不可算個の非正規時系列進路をモデル化しました。これにより、およそ7年に対応する歪曲した期間で好ましい時系列を同定することができました。

ネクサス-94のリコヒーレンスの力によって、残存するタイムパラドックスの影響が制圧されました。新物質の急激な増加に続いて、ネクサス全体は1日という期間で再構成されました。

2036年04月21日におけるサイト-43のオリジナルのデコヒーレンスの結果、玄妙除却セクションやその方式、組織的知識の喪失を補填するために秘奥軽減部門が設立されました。秘奥軽減は、解離領域の監視本部として、また深妙排出物のネクサス-94への輸送を管理する物流拠点としてアウトポスト-7243をネクサス-00の極限に構築しました。この時点でネクサスは従来存在していなかったものの、妖妙物質を玄妙除却施設AAF-Wに輸送していたと思しき解体済パイプラインによって廃棄物を輸送することができていました。理由は不明ながらも、このパイプラインは完全には乖離していませんでした。

ネクサス-94のデコヒーレンス中のほぼ全期間で、ネクサスには世界中から莫大な量の深妙廃棄物が注入されていました。実現可能な代替策や、代替策を考案するのに必要な経験がなかったことから、秘奥軽減はこの取り決めの無期限継続を認められていました。EE-001ののちに回収されたデータからは、この廃棄物の大半は不連続点内部の生存職員によってうまく良化されていたことが示唆されています。サイト-43が合意的現実に復帰したインシデントの際、残存する廃棄物は急速に環境に吸収され、残存する不安定な玄妙量子や逆因果量子をサイト内で撹拌、融合して災害的連鎖反応を生み出しました。

防護エネルギーシールドがネクサス-94を覆うように展開されました。これにより喫緊反応の有害効果は収容されたものの、内容物は保全されませんでした。このシールドが展開された数分後に、深妙廃棄物の激変的爆発や凝集反クローノンによってサイト-43の残骸は粉微塵になりました。現在、このエネルギーシールドは広大なうろを覆っています。

清掃作戦によって、ネクサス-94境界で無意識ながらも生存している1名のサイト職員が発見されました。

以下は、アメリア・トロシヤン=ディアリング セクション長の個人制服内カメラから回収された2043年9月8日の映像の転写です。

« 転写開始 »

<トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-X稼働制御室にいる。彼女はDePLExAの参照目標探索機構を486回起動してきている。プログラムが実行され、観察ガラスから空間湾曲が見える。クラクションが鳴る。>

<時系列安定性計測器が緑色に光る。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長の足元の床がカメラ映像で10フレーム間消失し、その際に直下の裂け目が見えて彼女は地球の中心に落下する。彼女は急な振動を経験してよろめいて後退する。彼女のブーツの靴底が戻った床と融合して分離する。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長は、AAF-Xが所在する洞窟が収縮膨張を続け、内部の機械が逆のリズムで縮小伸張するのを見る。雷鳴があり、彼女は手で耳を覆う。その背後の隔壁扉がガラスのように粉砕される。DePLExAの可視構成要素が赤方偏移し始める。>

<床と壁が激しく震え、玄妙除却施設AAF-D基部下の洞窟天井に亀裂が現れる。亀裂は琥珀色に輝く。トロシヤン=ディアリング セクション長の診断から、旧施設にある長期保有周期内の低優先霊的物質が収容違反したことが明らかになり、それが亀裂からの琥珀色流体の一定の雨漏りとして現れる。その流体は光り輝き、歪曲し、明らかに意図をもって制御室に近づく。トロシヤン=ディアリング セクション長が砕けた扉を飛び越えると、流体肢は観察ガラスを通り抜けて彼女を追跡する。>

<彼女は徐々に再編成されるAAF-Xの残骸を通り抜けて逃げる。破裂した超常霊的接地導管が彼女の制服ジャケットにアーク放電して青い炎で燃え、彼女は足を止めずにジャケットを脱ぎ捨てる。琥珀色の閃光があり、彼女は側通路の扉に勢いよく身を投げ出す。追跡者のとらえようとする霊的肢は数ミリメートルで空振る。>

<床が再び消失するが、即座には再編成されない。トロシヤン=ディアリング セクション長は下の階に落ち、複数の硬い泡だて器が撹拌する赤血の遊離細胞のプールに着地する。肢が到達する間に彼女はプールのへりまで這い、肢を回避するため水面下に潜る。上部の天井が再編成され、肢は切断される。その末端は琥珀色の火花に崩壊し、血だまりに落ちるとシューと鳴ってきらめく。トロシヤン=ディアリング セクション長は浮上し、安全な場所までなんとか移動する。彼女はよろめきながら立ち上がり、逃げ続ける。その際に壁は白熱に光り始める。>

<7つの同一通路の交差路が、開いたエレベーターシャフトに通じている。トロシヤン=ディアリング セクション長がそれぞれの通路から近づいているのが見え、それぞれ異なる速さで移動し、異なる外傷と一致する負傷を示している。それぞれは闇雲に走っており、互いを認識できていないように思われる。現在映像を撮っている反復が最初にエレベーターに到達し、飛び乗り、上昇制御を起動する。残りの実例は攻撃する肢に捕まえられ、1つに集められる。彼女らがエクトプラズムに溶ける間エレベーターは天井まで上昇し、再び視認が喪失する。>

<AAF-Xのこの階層は赤色に揺らめいている。自動緊急メッセージが放送を始める。>

トロシヤン=ディアリング セクション長の録音音声: 時系列強化は50パーセント完了しています。逆現実因子は7、存在腐食性.内部概念空間と外部概念空間の間の相違が、介在する全ての物質を破却しない限り一致させられないレベルであることを示します。です。可能であれば避難をお勧めします。

<メッセージは7度繰り返され、それぞれの繰り返しのたびに追加で1人の声──I・レインデルス、A・マッキンス、N・ゴ、プレース・H. MD.、P・ディアリング、D・ディアリング──が斉唱する。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長は洞窟本体に現れ、そびえ立つ工場の積み重ねと貯蔵タンクの間を通る狭い通路を速やかに移動する。それぞれは今や半透明であり多色の泡立つ液体で満たされている。DePLExA中心穴の向こうの遠方で電気爆発が発生し、トロシヤン=ディアリング セクション長にまで到達する。その結果聞こえた音は逆転していたように思われる。洞窟天井はきらめき始め、上部の皆伐された森林の根やサイト-43外部膜、地上エレベーター、フラクタル的に歪曲した地上精製施設の残骸がはっきりと見える。攻撃者が、上部で線路やガントリー上の窓や扉をうねってエサを探しているのが見える。トロシヤン=ディアリング セクション長はひどく息切れをしながら痛みに息をのみ、処分穴に続く進入トンネルに到達する。攻撃者は認識して動きを止め、彼女に向かってうねり始めるが、パイプや機械によって部分的に隠される。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長は空の廃棄物カートによじ登り、逆走させる。穴の終端の線路はゴムのように変形し始め、爆発の強さや音量が大きくなるにつれてその変形は広がっていく。カートはサイト-43を脱出してSCP-5494の迂遠なトンネル系に入り、速やかに攻撃者を置き去りにする。洞窟から進んでくる持続的な彩色光も攻撃者を追い越し、攻撃者は消失する。カートは自動でスイッチバックを登り、線路が弾性を持ち加硫処理されるにつれて激しく震える。トロシヤン=ディアリング セクション長は泣き始める。>

<廃棄物カートはNx-94東端のデポ-43に現れ、ターミナル駅を過ぎた際にトロシヤン=ディアリング セクション長は飛び降りる。カートはプラットフォームに激突して損壊する。可視光は淡い灰色であり、動く物体は全て非常に緩慢かつ動きの軌跡が残っている。彼女はほうぼうの体でプラットフォームを進んで駅を出て、よろめきながら向こうのフェンスまで小走りする。映像は突如歪曲し、灰色の照明は月光に取って代わられる。トロシヤン=ディアリング セクション長は無人の検問所を通り過ぎると振り返って後ろを見る。彼女のすぐ近くは正しい色であるものの、いまだ解離している空間内部はモノクロのままである。色づいた泡──オリジナルの乖離イベントとは逆の色である──がサイト-43から広がる。彼女が見ていると、空から来た光球が拡大するスターバーストを切り開き、ネクサスを反射性プラズマ泡で覆う。被覆が完了する前に、地表からAAF-Xまでサイト-43が完全に滅却するのが見える。1本の巨大な琥珀色の触手が明らかに苦悩か鬱憤してのたうち回り、唯一残存する堆積物に巻き付く。施設の爆発は奇跡的シールドを一時的に圧倒し、光るツタを空や湖──白輝する点のうちに消えた──に投げ出す。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長は倒れ、カメラの視界を遮る。>

« 転写終了 »

ゴミとは何だろうか?

ゴミは君がその人生で成したことだ。皆がその人生で成したことだ。おそらくは、地球上、全ての地球上の全人類がその人生で成したことだ。何のために? プライド、身勝手、誤った愛情のために。そのゴミの代償は計り知れない。

どうすればそんなゴミを除却できる?

以下のファイルは2043年09月08日の医療エリア-01でディアリング博士がトロシヤン=ディアリング セクション長を見舞った際の映像転写です。その間に、彼女の個人用電子日記および個人用制服カメラからの抜粋が挟まれています。

« 転写開始 »

<トロシヤン=ディアリング セクション長は病床でうつ伏せになっており、身体に外傷のサインは見えない。ディアリング博士は扉から近づき、手をあげてためらいがちに挨拶する。>

ディアリング博士: やあ。

<トロシヤン=ディアリング セクション長はほほ笑む。ディアリング博士は後ずさり、また歩み出る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: やあ。

ディアリング博士: あー、調子はどうだ?

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: バカな質問だったか。

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや、そうでも。

ディアリング博士: 君がどれほど切り抜けてきたのか、想像もつかない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私も。想像できるのは少ししかないの。

<トロシヤン=ディアリング セクション長は椅子を手振りで示す。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 座って。

<ディアリング博士はためらうが、従う。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: なんで私が狂ってないんだって思ってるんでしょ。

ディアリング博士: 思いこそしたが、口に出さないくらいの分別はあるさ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: なんと。私が死んでた間、忙しかった?

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 笑ってもいいのに。

ディアリング博士: いずれできるようになる。アメリア......君はどうやっていたんだ? どれもこれもどうやっていたんだ?

<トロシヤン=ディアリング セクション長は目を閉じる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 全部は話さない。まだぐったりしてるから。きっと、顛末の全ては一生言わないと思う。

[…]

ドゥーガル・ディアリングは私を救った。ある意味で。

もう数年も鏡に向かって話している。自分の顔を見つめて、何をすべきか聞いている。自分の写像がホントはフィルの写像だったらと思いながら。彼が知恵の泉だったからじゃない。「J&M」に「J」が付いたのは彼のおかげだって一番に言いたい人だったから。自己評価より断然賢い人だったけれど、技師ではなかった。彼が自販機を直す一方で私は意味論プラズマ調整器を校正していた。技師のスケジュールを担当する一方で、オレイカルコス自動分解装置を設計していた。誰でもその仕事はこなせただろうけれど、大事なのは実際にしたのは彼だということだった。だから、彼が亡くなってからは毎日、鏡の中で会えないかと思っていた。背中を押してくれることを願って。

でもそれは私の中の記憶でしかなかった。強い記憶だけれど、やっぱり現実じゃない。私という機械の中の幽霊。世界一危険な脱出ゲームに囚われた最初の年も、彼を想像して、私が生き残れるよう奮い立たせてもらおうとした。イルゼみたいに、解決策を見つけるために。でも何度も泉に行って、浅はかだったと知った。どれだけ認めたくなくても、彼が亡くなったことはわかっていた。死んだ人のために生き続けるのはできなかった。

だから考えを改めて、死んでない人に焦点を当てた。

« 転写開始 »

<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-Dの濃淡室内にいる。.対象はインシデント6488-D/IIの最中の意識を失う前、AAF-X緊急玄妙冗長性バンカーに移動しているところだった。その後、彼女は自身が別の異常シェルターにいた理由を説明できていない。壁は泡立つ黄色いカビにおおわれている。彼女は金庫扉を開き、施設本体に退出する。施設は淡い色で灰色の輪郭が光っているように見える。彼女はAAF-Xアクセスエレベーターまで歩き始める。下を向くと、彼女はエソマットスーツ深妙防護服を着ており、靴底は床タイルに沈み目に見える足跡を残している。彼女は通路を進み続け、うつ伏せの人間の姿を通り過ぎる。その肉体は奇形であり、制服のネームタグは白紙である。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は通路とその明らかな複製の通路の分岐点にいる。通路はおよそ15度の角度で合流しており、片方の外壁がもう片方の伸長を妨害している。彼女は手を伸ばし、そばにあるキャスター付き台車に取りつけられたタンクの弁を回す。霧吹き棒を持ち上げ、邪魔な壁にチョーク様物質を吹き付ける。それは叫ぶ。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は無特徴のタイル張り通路でじっとしている。抑えきれずに震え、過呼吸になっている。明白な危険は見えない。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 違う。クソが。

<彼女は、まるでカメラには映らない障害物を避けているかのように不規則に動きながら通路を進む。>

« 転写終了 »

[…]

ディアリング博士: どんなことでも聞こう。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 解離のせい。オフィスに行くのに多分ひと月かかったけど、食事も睡眠も、多分呼吸も必要なかった。もうひと月でタブレットのアドミン制御盤を使ってシステムに入り込んだAIをパーティションした。SRF.スクラントン現実フィルター。は最初は80パーセントの効率しか出なかったけど、毎日その数字は下がっていった。とうとう完全に機能停止して、私は......

<トロシヤン=ディアリング セクション長は少し目線をそらす。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ......他のみんなみたいになった。でも、その間は深い眠りから起きたときみたいな、心地よくぼけた感じになってた。一度に何個も集中しづらかったから、大事なことに焦点を当てた。

ディアリング博士: 逃げることか。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 大体そう。

[…]

ドゥーガル・ディアリングの独善的なニヤけ顔と死んだ目を思い浮かべて、責めるに値するものを全て責めた。一番卓越すべきときに卓越しなかったこと。夫を殺したこと。不幸アピールして保身したこと。許してほしいと私に希ったこと。いずれ許せる理由ができるかもと思わせたこと。そして、そうする前に私たちを最悪な暮らしにさせたこと。

彼への憎しみは道標にした。最強の、当てになる、無限再生可能な現実錨にした。忘却の彼方から這い戻るたびに、評議会に彼が詐欺師だと暴露するのに近づいた。実存に舞い戻ったひどい混乱も、壁で真っ二つにされた遺体も、肌が抽象化され痛覚受容体が懐中電灯で輝く叫ぶ軟骨の山も、彼の顔に唾を吐けるほどの誤ちだった。もう少し持ちこたえさえすれば。あの機械を用途外に設定して起動して、技師百人分の仕事をして、苦しんで汗をかいて凍えて、食べたり飲んだりクソしたりしなければならない胃の穴がなくなったとき、あの女々しい気取り屋が絶対にできなかった激務をここのいやしい技師たちがしているのだと完璧に証明していると自分に言い聞かせた。

« 転写開始 »

<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は、激烈に振動するパイプの電子機器に取り付けたタブレットで作られた即席奇跡的滴定計測器を観察している。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 君は一体どっから来たの?

<彼女は測定値をダブルチェックし、頭を振る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: まだそうだなんて......

<彼女はため息をつき、タブレットで手計算する。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長はAAF-Xアトリウムのコンソール上でかがみ、保守ドローンを遠隔操作している。ドローンはAAF-X内部──大きさが一桁分拡張されているが、周囲の岩盤は収容も支持もできるはずがない──をLIDARマッピングしている。突然蛍光がドローンを襲い、ドローンは続けざまに爆発的に15個に複製される。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ポップコーンだ。

<シグナルは突如の大量の機器の間で喪失し、減衰する。彼女は膨らませたマットレスに横たわり、カメラが自動停止するまで天井を見つめる。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は「開拓スケジュール: 2036-2037」と表示されたタブレットをタップしている。それぞれの項目は緑色で「完了」とマークされている。日付が見える──9月6日。彼女がタブレットを停止すると、画面上にその顔の映り込みが見える。ほほ笑んでいる。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-X稼働制御センターにいて、中央穴に面している。上部から異種排出物が穴に絶え間なく注ぎ込まれている。彼女は不満げに舌を鳴らす。DePLExA入力コンソールを操作して、時系列強化の潜在的アンカー目標のリストを可能性降順で作る。最高評価のアンカーはトロシヤン=ディアリング セクション長である。対象はその結果を確かめる。DePLExAは参照目標アンカーを保証し──赤色光が彼女を通過するとカメラの視界がちらついてゆがむ──その時系列を調整しようとする。AAF-Xの平らな面は、中央穴に位置する不可視の回転楕円体にマッピングされているかのように脈動を始める。緊急クラクションが聞こえる。トロシヤン=ディアリング セクション長は診断を行う。日付と時刻が見える──9月8日6:21 PM。脈動とクラクションは止まる。コンソールにエラーメッセージがあふれる。時系列安定性計測器が赤色に光る。洞窟天井に輝く琥珀色の亀裂が現れる。DePLExAはシャットダウン手順を始める。ディアリング博士、レインデルス博士、追加のトロシヤン=ディアリング セクション長が制御室に現れる。3人はオリジナルの脱現実イベントの出来事を再現している。>

<対象は逃げる。>

« 転写終了 »

[…]

ディアリング博士: 君が成し遂げたことにまだ困惑している。ラバーバンド効果は少なくともあと......いや、君があそこでせっせこしていなければあと10年続いただろう。もっとかもしれない。私は......我々はそんなには待てなかった。君の帰りが必要だった。そしたら戻ってきた。

トロシヤン=ディアリング セクション長: うん。私はここにいる。

ディアリング博士: 君はどうやって見通しを保ってきたんだ? チャンスがあるとも知らなかったのに、なぜ目標に向かって働けた?

トロシヤン=ディアリング セクション長: それが昔からの仕事だったから。雪の日でもなんのその。

<ディアリング博士は笑う。トロシヤン=ディアリング セクション長は再び目線をそらす。>

ディアリング博士: すまない。気が緩んでしまった。

<トロシヤン=ディアリング セクション長は再び目線を戻す。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: うん、わかってる。それが問題なんじゃない。

ディアリング博士: なら何が?

トロシヤン=ディアリング セクション長: ただ......今まであなたがあんな感じに笑うのを見たことがなかったの。

ディアリング博士: どんな感じに?

トロシヤン=ディアリング セクション長: その......彼みたいに。

[…]

フィルは、想像上のフィルは、そう思うだろうと私の思う通りに正しいか間違っているかを教えてくれた。彼のことは丸々知っていたから、ほぼ完璧なシミュレーションだった。だけど、それと本物の間のギャップは腹に開いた初めての永遠の穴になった。それでも、想像すれば安心した。ドゥーガル・ディアリングの幻像は? 彼の言うことは私が正しく、彼が後悔しているということだけだった。

彼はずっと、本当にずっと後悔していた。

« 転写開始 »

<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-Dの濃淡室内にいる。壁は泡立つ黄色いカビにおおわれている。彼女は金庫扉を開き、施設本体に退出する。施設は淡い色で灰色の輪郭が光っているように見える。彼女は叫び始める。カメラが停止する。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は「開拓スケジュール: 2036-2037」を再検討し、それぞれの「完了」の項目を赤の「未完了」にマークする。対象はタイトルを「開拓スケジュール: 2037-????」に変え、泣き始める。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長はタブレット上でAAF-Xの電子マップを編集している。手前の通路が、静かにまたは録音が音割れするほどの音量で新たな配置に対応するよう変形する。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-X稼働制御センターにいる。緊急クラクションが聞こえると、DePLExAはウド・オコリー博士を参照目標に用いて時系列を調整しようとする。部屋隅の半透明な危険物コンテナ内に、明らかに人工呼吸されている応用隠秘学セクションの制服が見える。空間的変形が進行中である。およそ10分が経過すると、空間的変形とクラクションは同時に止まる。時系列安定性計測器が赤色に光る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長の録音音声: 調整失敗。アンカー安定性が不十分です。

<彼女は次にリストされたアンカーであるウィリアム・ウェトル博士を選択して振り返ると、生物災害ステッカーが多数貼られて間もないくすんだ青色のドラムに面する。彼女は自身のエソマットスーツの再組立てを始める。>


<カメラが起動する。コンソールはいまだに見えている。17の潜在的参照目標アンカーが時系列強化のターゲットに失敗する。日付と時刻は9月8日6:15である。トロシヤン=ディアリング セクション長はため息をつき、AAF-Dエレベーターの方向に部屋を出る。>

« 転写終了 »

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[…]

ディアリング博士: あんなことをしたんだ。君は私の顔も見たくないだろう。

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたは......あなたも顔はみたいで。ひげを生やして、メガネもかけてないけど、でも。彼の顔。見れないわけがない。

<トロシヤン=ディアリング セクション長は頭を振る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 疲れてる。

ディアリング博士: 休めば、気も変わるだろう。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 多分変わらないよ。今は、物事を正しい見方で見れるようになったんだと思う。

ディアリング博士: つまり?

トロシヤン=ディアリング セクション長: つまり、あなたをバカだと責める意味がないってこと。そのバカみたいなやり方で、あなたは助けようとしてるから。

[…]

このまま怒っていたかった。私にはインスピレーションが必要だと思っていた。あの人をズタズタに引き裂く方法を習得して激怒の手紙を書いて、彼の手に縄をかけて彼が解決されるまで永久に無理やり読ませようと夢見た。でも、日に日に次第に、心の火が消えていった。狂気の中に独りぼっちだったから、続けていられなかった。彼の聖杯たる許しforgivenessを与えたくはなかったけれど、努めて彼を忘れようforgetとした。仕事に集中して、解決策を見つける。誰の追悼でもなく、腹いせでもなく、仕事のために。私にはできるからこそ。そうせねばならなかったし、私は生きていたから。

« 転写開始 »

<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は特徴のない虚空を歩いている。フィボナッチ数列を唱え、奇数のたびに90度角度を変える。彼女がそうするごとに、周囲の暗闇は目に見えて明るくなる。>


<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は笑っている。カメラは、玄妙除却施設AAF-Dの非時系列汚水槽清浄機構の緊急ターミナルを映している。彼女は汚水槽の内容物をAAF-Xに浚ったとみられ、その結果の相互作用を観察してAAF-X稼働制御センターへの経路を考える。>


<カメラが起動する。光はない。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 2041年。今回は52の潜在的アンカーを使ってみたけど、全部遅い。大体20分で障害に遭った。今回は船とともに沈むかもしれない。何か反論は?

<カメラがさらに19分起動していると赤い非常用照明が点き、AAF-X稼働制御センターの天井を照らす。彼女は姿勢を正し、立ち上がり、タブレットをとって扉に向かう。>

« 転写終了 »

[…]

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたはかつての間違いを正そうとしてるけど、その中で新たな間違いを犯してる。止めないといけない。すぐに。

ディアリング博士: 私の考えでは──

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたは考え過ぎなの。なのに正しいことを考えてはない。いかに不公平か、自分の過ちじゃないか考えてるのに、自分の動機を分析したことがない。博士、あなたの仕事は除却危機を解決することでしょう。なのにあなたはそのフリをしてるだけ。世界のトイレはあふれてるのに、あなたは残された時間で自分の罪のふん詰まりを押し込んでる。

ディアリング博士: それは......公平じゃない。こんな......

トロシヤン=ディアリング セクション長: これはあなたが聞かねばならないこと。あなたはやらかし続けて、そのたびに、大丈夫だと言ってくれる人を待ってる。当然大丈夫じゃない。この最後の機会を使ってしょぼくれるのは大丈夫じゃない。そんなことはもう終わり。フィルに許してほしいの? そんなことできない。もう死んだんだから。私にそうしてほしいの?

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたのせいで疲れた。あなたの妄言にはうんざり。もう許すから。だから責任を持って、ダグ。そして自分の仕事をやって

[…]

決意が消失したとき、あの傲岸不遜なバカを追い詰めて、勝利の褒賞に思いっきりブチ切れようと心に誓った。

だけれどあの最悪な年次リセットが起きて以来新たな一時避難所からかき出るたびに、自分で掘り出た結果向こうから掘ってくる彼と会うのはどんな感じだろうと思った。彼ならそうするだろうし、神経質にはならなかった。かなり長く失っていたんだと思う。彼は初めて、本当にやっただろうし、私もそれが無意味じゃないと初めて気づいた。全く意味がないわけじゃなかった。

もう憎むエネルギーがなくなっていた。彼も、この牢屋も、バカげた果てない悪夢も憎んで──私の全てを焼き尽くした。今や彼と私だけで、彼の自己中な物思いで言っていたことがようやく真実になった。つまり、私たちはお互いを理解している。

私たちは2人ともこれをおしまいにしたい。

« 転写開始 »

<カメラが起動する。トロシヤン=ディアリング セクション長は玄妙除却施設AAF-X稼働制御センターにいて、潜在的参照目標のリストを可能性の低い順のオプションでスクロールしている。2028年にフィリップ・ディアリング清掃・保守副セクション長が死亡した物質処理災害におけるドーマル痕跡のエントリを見つける。可能性は0.00082と評価されているが、それを選択する。日付は2042年9月8日である。.前述の時間逸脱のため、実際には2043年である。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ハッピーアニバーサリー。

<彼女は手続きを実行する。時系列安定性計測器が緑色に光る。>

« 転写終了 »

[…]

トロシヤン=ディアリング セクション長: ねえ?

ディアリング博士: 私......私では......独力ではできない。君がそれを示した。君の助けが必要だ。君が諦めることはできない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 無駄になったことしか諦めてない。回復次第最前線に戻るつもりだから。でも、今度こそは正しく物事を進めないと。適切で完璧な解決策。奇跡じゃない。

ディアリング博士: オーケイ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: オーケイ?

ディアリング博士: オーケイ。わかった。今度こそは。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 今度が最後だから。もうあなたと言い争うことはできない、ドゥーガル。あなたは......あなたは彼が遺した全てなの。

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: もうあなたたちのどっちも憎みたくはない。

« 転写終了 »

更新2043年09月08日: 分析により、ネクサス-94局地的イベント跳戻の際に放出されたエネルギー量は、莫大であるものの、その放出から予想される量とまるで合致していないことが判明しました。

現在のデータからは、余剰エネルギーが逃げたベクターは合意的現実とネクサス-94が移動されていたデコヒーレント空間の境にほぼ確実に存在することが示唆されています。つまり、余剰エネルギーは外次元、おそらく超宇宙空間に放出されたということです。

これが正しければ、このエネルギーが込められた深妙廃棄物を高速にすると我らが財団からその有害効果が完全に除去され、その量子はベースライン現実からはるか遠くに飛ぶことがモデルから示唆されています。


更新 2043年09月09日: 前回の更新に詳述される仮説が確認されました。

中央正常性機関反復940662b90e78660244bce96e7776dc7fにて「EE-001」と呼称されるイベントに続いて、連盟タイムプレーン全体で多数の中央正常性機関が出自の不可解な新規有害異常現象の出現を報告しました。その報告書のうちの説明となる抜粋が以下のインシデントログに集められており、2043年09月09日(現地時間)に関連機関の時間異常部門に対してコメントのため配布されました。

インシデント 3456
場所: 8a8bd7cea9f242b3e665f660cc26ec17、標準束 WOAF Omega-Blue
概要: 未除却の概念物質塊が大型侵略者Brasil-1の死体中に出現し、エリア-16で玄妙除却処理される。その施設にて処理されている他の物質と混淆すると、塊は死体に転移し、のちに現地財団が「概念怪獣コンセプチオカイジュウ」と名付けたロゴスフィア哲理圏に住む実体を実例化させる。この実体は言語、認識の領域を植民地化し、人間のマインドフルネスをエサとして言語構造やより高位の文法形態を攻撃する。これと戦闘するための対抗概念的言語装置("メカヴァーブ")を実例化させる計画(コードネーム: レッド・ペン)が進行中である。
インシデント 4847
場所: 90708b32da2c054d8967d45168ff9b21、標準束 WDB1 Phi-Red
概要: 次元交差的軌道力学が変動したことで、テオヴラヴィク物質が太陽の核に配置される。.テオヴラヴィク物質は記号的プラズマ状態でカオス的変化したアキヴァエネルギーのこと。共存不能なトランスヒューマニズム的変化が発生してこの反復との外交関係が解消されたため、以降の太陽の変化との相互関係は確認できていない。
インシデント 47689
場所: 00000000000000000000000000000000、標準束 OG43 Alpha-Blank.正式なプライムタイムラインとして、巫覡聯盟(および本体のメタファウンデーション)に認知されている。
概要: 玄妙除却施設AAF-D内の7キロメートルほどに及ぶ再帰的パイプ配列である、「メビウスストリッパー」時間物質軽減システムが消失する。その後のタイムプレーンとコスモスフィア宇宙圏のモデルレンダリングは、メタファウンデーションの視野で見るとシステムが多元宇宙的に概念化し、タイムライン940662b90e78660244bce96e7776dc7f.標準束 DW17 タイムライン Delta-Blue。この監査の対象。と他多数のタイムライン(および隣接現実空間)の間の時間変化する導線を形成していると示唆する。この導線により、特に緊急シナリオの際にその結果にカオス系と予測不能性の追加レイヤーを与えるような、様々な異常現象の望ましくない次元間転移が促進されたことがさらに報告される。

回顧すると、反復00000000000000000000000000000000の歴史部門による研究は、この導線の有害効果と歴史的な連鎖的ZKクラス現実破綻──最後のものは1500 CEに発生した──の間の直接的な相関関係を示唆していたように思われる。さらなる時間横断分析は、メタファウンデーションの任務における反復00000000000000000000000000000000の重要性のため、O9聯盟に従うことになった。
更新: O9聯盟は、上記のZKクラス現象は第IV級宇宙論的アノマリー──公式のプライムタイムラインとその子孫全てに完全に出現するおそれがある──のアセンションを構成していると結論付けた。
インシデント 76893
場所: 3cb12422243c33e2a0f56095f2203d2a、標準束 OG43 Alpha-Malachite
概要: ウォッチタワー-43の玄妙除却施設AAF-Dに、存在論的に黒方偏移した物質がすでに存在する物質と同じ比率で配置される。物質は、上記の多元宇宙導線から排出される制御された融合爆発によって互いを破却し、大気中に散逸して施設設備の疲労という結果のみになる。早期の推定では、影響を受けた全てのタイムラインで地球の気候変動、および関連する超常腫瘍学的効果の漸進的増大が示唆されている。
インシデント 234585
場所: a1525fd30074da00e777a55e07107910標準束 AAAA Kappa-Yellow
概要: SCP財団研究サイト-107の実例が出現し、このタイムラインにおける唯一の財団の存在となる。メタファウンデーションへの参画はファーストコンタクト待ちである。

聯盟の観測において、このログを関連機関の監督職員のうち数名が受け取り、閲覧したことが確認されています。理由は不明ながら、その機関は聯盟や影響を受けたタイムラインと連絡することも、その影響を改善することもしていません。監査は保留中です。

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局地的タイムライン群を横断して影響を与えるEE-001。

転落

あるいは

サイト-43最後の72か月

秘奥軽減学科に投稿
博士(深妙学)学位の取得のため
アメリア・O・トロシヤン=ディアリング セクション長 著
2044年05月02日

謝辞

私の監督委員を務めてくださったイルゼ・レインデルス博士(あなたの過ちではありません)、ドゥーガル・ディアリング博士に感謝します。

フィルに捧ぐ。


抄録

2036年9月8日、処理サイト-43は合意的現実から切除された。2043年9月8日にサイト-43は復帰した。その7年間、小型非現実内では72か月に圧縮されていたが、監督も、救援も、食事も睡眠もなくたった1人でSCP財団の玄妙除却処理の大半は行われていた。その人が清掃・保守セクション長のアメリア・トロシヤン=ディアリングである。これは彼女の陳述である。

[…]

同封されたメモ。

私なら『破却炉の中の女』というタイトルにしたでしょう。
博士おめでとう!

— イルゼ

これ以来、ディアリング博士は毎日のようにピルクロウ-ミンコフスキセンターとメールのやり取りをするようになり、トロシヤン=ディアリング セクション長の技術的な助言を得ながら先鋭的な新型秘奥軽減装置を開発して処理エリア-21に構築しようとしました。研究本部ムネモシュネへのデータ転送における手違いから、PMセンター側のやり取りは喪失しています。ディアリング博士のエントリの抜粋が以下に添付されています。

誰でもできるようにする必要がある。1つ前のはバカがいじくったから失敗した。ヒューマンエラーがファクターとなってはならないし、仮になったとしてその影響は現実を不安定化させないよう分離されていなければならない。もし解決策が我々自身の概念空間の安定性を脅かすのなら、それは問題となんら変わりない。

— DD

自らの概念空間

この表現がキーだ。君は実現可能な解決策を示唆してくれた。我々がなせる解決策だ。

詳しく説明してほしい。

— DD

彼女は絶対に同意しない。

— DD

小型次元

よく検討したが、そちらが正しいようだ。見方の問題だ。明らかに起きたことから学んだ知恵だし、実際に動くのを見せられたモデルを本質的に手にしている。エンジニアリングは機能的には同一だろうし、彼女の助けがなければこれはできないからこそそこが重要だ。彼女には小型次元をセールスできる。それ以外の懸念はここだけの話にする限り大丈夫だ。また彼女を幻滅させるつもりはない。

彼女の目を見て別の近道をしたなどと言うつもりはない。

— DD

我々は最後から2番目の要求を承認することはまだできない。文脈が必要である。

その意味を教えるつもりはない。装置に名付ける名前のことだ。二度と訊くな。そちらの方がいいというのなら、プロジェクトそのものに修辞に終始した名前でも付けろ。

— DD

補遺7243/III: プロジェクト報告書、提言、その他


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プロジェクト・アナクシマンドロス

四半期報告書: 2045年第3四半期

2045年09月08日
ドゥーガル・ディアリング 部門長
秘奥軽減部門

プロジェクト・アナクシマンドロスは無条件の成功を収め続けている。我々はマジック・ドロワー.この装置の詳細はニードトゥノウの原則に基づき公開される。知る必要があると思うならば秘奥軽減リエゾンに連絡せよ。によって6つの深妙排出物のパケットを最終目的地まで輸送しており、監視作業からはパケットが目的地にて適切かつ高効率で除却されていることが示唆されている。O5-11は顕著なバックラッシュ効果がないことを確認しており、このプロジェクトは最低でも第4四半期の間は計画通り継続される。

インシデント7243-1の出来事が再発しないよう、事前の対策は取られている。

エリア-21は、ローカルなマジック・ドロワー装置を世界的物流ネットワークの要所に導入したいという他の財団施設からの要求を多数受け取っている。しかし、マジック・ドロワーの性質や、操作や保守に要する高い技術能力のため、その要求はやむを得ず拒否されている。現在の解決策は以前と同等の広範かつ事前的な対象をカバーしておらず、以前の状態を保つには小規模除却処理やこの分野の一定のイノベーションを再開せざるを得ないことは我々も認めている。このため、我々は側面的なアプローチではなく、協力的なアプローチの追及を選択している。

[…]

秘奥軽減の祭典

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ディアリング博士とトロシヤン=ディアリング セクション長。

プロジェクト・アナクシマンドロスによって秘奥軽減部門が達成した輝かしい進歩を認め、また、この長期の争いでのリードをさらに確実にする必要性を鑑み、今はなきエリア-21玄妙除却グループがかつて主催していた年例シンポジウムと祭典の再実施が決定された。

初開催のイベントのハイライトは、アドリヤン・ズラター博士による感動的な退職の挨拶や、リリアン・リリハンメル博士、エージェント デルフィーナ・イバニェス セクション長、セバラ・オコリー セクション長による処理サイト-43の喪失人員への賛辞、ムブカ・レーニア サイト-91除却上級技師による反色漂白分野、半価短絡、巨視細菌滴定法についての講義、そして、主賓──アメリア・トロシヤン=ディアリング博士とドゥーガル・ディアリング博士──の結婚披露宴だった。

ゴミとは何だろうか?

我々は推測すら止めた。完全に抽象的な形でもなければ、考えることすらめったにしない。かつては忘れれば見えなくなったが、今度は見なくなって忘れてしまった。君はこの方がいいと言う。

だが、いまだに君は全部を教えてくれない。

「マジック・ドロワー」パケット輸送ログ(現在まで)


目標: 15C48E771D5919A9405431672B966C73
状態: パケット輸送済

目標: EB5D209A6C2C83326B8C964E57125F74
状態: パケット輸送済

目標: 54FCBB969D644441522ADAE713E18EE2
状態: パケット輸送済

目標: C036543BAF6CCA3CDE42C2ED9FB38E20
状態: パケット輸送済

目標: 3BA7A238540B20F94BDED4ABAFB98606
状態: パケット輸送済

目標: 2B8D597F4B45F7F59924FC47D58146B1
状態: パケット輸送済

目標: 940662B90E78660244BCE96E7776DC7F
状態: パケット保留中

以下は、マジック・ドロワーの第7回パケット輸送目標の定期分析に続く、ディアリング博士、トロシヤン=ディアリング セクション長、レインデルス博士の間の緊急会議の転写です。.トロシヤン=ディアリング博士は、博士号を取得したうえでその敬称(「博士」)ではなく職掌名(「セクション長」)を用いて勤務し続けることを選択しました。

« 転写開始 »

<ディアリング博士とレインデルス博士は、重役でない職員が一時的に退避しているマジック・ドロワー稼働制御室で口論している。トロシヤン=ディアリング セクション長が入室して後ろ手で扉を閉じる。>

レインデルス博士: 落ち着いて。

ディアリング博士: いいや。黙れ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何が起きてるの? 報告に問題が?

レインデルス博士: マジック・ドロワーが輸送先に私たちを選んだわ。

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何?

ディアリング博士: ありえない。絶対にありえない

トロシヤン=ディアリング セクション長: どうしてそんな......サボタージュ? マジック・ドロワーをサボタージュした人がいるの?

ディアリング博士: きっとそうだ。これはありえない。たった6回輸送しただけで次に選ばれるはずがない!

トロシヤン=ディアリング セクション長: こういうことには安全装置があるはずでしょう! どうして一貫性のあるタイムラインがターゲットになってるの? 小型次元に捨てるよう設計されてるから、こんなことは......

レインデルス博士: アメリア。

トロシヤン=ディアリング セクション長: ドゥーガル? こんなことは......

レインデルス博士: アメリア。

トロシヤン=ディアリング セクション長: なん、てこと。

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: つまりはそういうことだ。

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プロジェクト・アナクシマンドロス

初期提言

2044年01月19日
ドゥーガル・ディアリング 部門長
秘奥軽減部門

目的: 合意的現実における過剰深妙排出物の有害効果を、収容対象とその副産物の無際限の指数関数的増加を相殺するのに十分な規模で、恒久的かつ確実かつ持続的に消却する。

概要: 秘奥軽減の典型的なメカニズム──玄妙除却にて実践されていたものなど──は、ヒューロン湖内に自生する.別の未収容アノマリー対象の存在によって生産される限り。現状人工再現できない異常安定銅同位体の無力化性質に基づいている。深妙排出物の量と不安定性は財団が存続する中で指数関数的に増大しているため、上記の手法は有効性が最小に至っており、ヒューロン湖水全体をすぐに消費しない限り十分な規模でローカライズや複製ができない。

秘奥軽減の代替策である「実存的除却」は、ピルクロウ-ミンコフスキ学際研究センターの要求によって提言、実施されたものである。この過剰性能で重不安定な手法は、自己正当化メタ安定微細パラドックス──極めて正確な状況での特定物質の過去遡及的消去に利用される──を実例化することで、異常廃棄物の発生を回避しようとした。このアプローチは、その固有の獰猛さによって必然的に失敗──尚早な停止によってさらに悪化し、不良AIエージェントに乗っ取られやすくなった──し、以下の結果に終わった。

  • サイト-43、およびその職員、インフラ、貢献、収容対象、および日本国の喪失。
  • 深妙廃棄物危機の突然かつ世界的な再発。
  • ベースライン現実のオントキネティック完全性および時系列完全性の多数の違反。
  • 多元宇宙規模での連鎖的危険物質収容違反。

秘奥軽減部門はこのような実験的解決策の追及を根本的に拒否しており、このため、PMセンターと密接に連携して深妙廃棄物を合意的現実から安定して排出可能な検証十分かつ強固かつ厳密な方法論を開発した。


方法: 深妙廃棄物は合意的現実から排出される。

このような物質は本質的に予測不能であり、また他の異常現象との反応性が高いため、外部エントロピー的な消去、無力化は却下された。同様に、従来型宇宙の「間」や「外側」の仮説上の情報空間は有意義に存在が示されておらず、そのため異常物質をその空間に送るのは帰結が予測不能な実験的アプローチとなる。熟慮を重ね、用いるべき許容可能な解決策は深妙廃棄物を平行宇宙に排出することのみだと明らかになった。

この処理は、そうしなければ受領側の財団(あるいは代替正常性機関)がベースライン財団に敵対しうるため、受領側タイムラインへの影響が最小かつ未検出となるよう実行しなければならない。そのためには、排出された物質は広範なタイムラインに少量かつ濃縮して均等に配布せねばならない。また、その深妙性質が現地当局によって速やかに除却される正確な位置(および時間)に輸送すべきである。このアプローチの実行可能性は、2043年のEE-001 "ラバーバンド"イベント──現在はこのプロジェクトの最初のテストケースである──の際に玄妙物質がタイムプレーン全体に非制御下で散布されたことで証明されている。制御下かつ目標のある散布はその結果より確実に卓越している。

秘奥軽減部門は、エリア-21に配備される以下の手続きを実行する工業固有機械の作成を提案した。

  • 既存の世界的物流ネットワークが輸送した深妙廃棄物は、従来の玄妙除却法のように特性と性質によって分類され、圧縮された「パケット」に小型化する。
  • PMセンターが深遠博学者のP・H・MD., PhD.と共同で設計した超宇宙イメージング装置が、サイト-43(あるいは適切な等価施設)の反復を有する全てのタイムラインを記述する「時間平面曲線マップ」を生成する。
  • 72日ごとに、それぞれの廃棄物パケットのため時間平面曲線マップにおけるタイムラインの次が同定、ターゲットされる。このマップは、ヒューマンエラーを避けるためハードコーディングされており、また、潜在的超黙示的不均衡を避けるべくパケット輸送が生み出す激烈な奇跡後方散乱はタイムプレーンのヒートアークと並行して均等に散布しなければならないため、撤回不能の「歯止めシステム」の対象となっている。
  • 一時的越次元ウェイが初期化され、ベースラインのエリア-21と選択されたタイムラインの除却施設の適切な区画を予想最低影響のタイミングに結ぶ。
  • 廃棄物パケットがこの道を通って合意的現実から排出され、すぐさま受領側タイムラインに送られて同様の深妙物質とともに除却される。
  • その後道は閉じ、次の輸送のときまでシステムはタイムプレーンに沿って前方に歯止めで動く。

技術的仕様書と資源要求は、必要に応じて関連団体に全文が提供される。

トロシヤン=ディアリング セクション長: そんなわけがない。そうだって言って。

ディアリング博士: 小型次元への破棄はひと月シミュレーションを行った。その意見は、完全なタイムライン一貫性がなければ輸送処理はほぼ確実に目標を崩壊させて、DePLExAのようにラバーバンドを──

トロシヤン=ディアリング セクション長: 嘘をついてたんだ。

ディアリング博士: ほんの些細なことだ! 大した事じゃ全くない。存在論的強度因子以外のあらゆる点で──

トロシヤン=ディアリング セクション長: 危ないゴミをお隣に捨ててた。マジック・ドロワーは安定小型次元の集合から選択してたわけじゃなくて、安定タイムラインから選択してた。

レインデルス博士: 私は教えたかった。

ディアリング博士: が教えたかった! だが君なら──

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私なら絶対に......

<トロシヤン=ディアリング セクション長は座る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: そうじゃない。私の助けは要らなかったでしょう。

<ディアリング博士は彼女に近づく。彼はその手を取る。彼女は顔を上げない。>

ディアリング博士: それは違う。君がそばにいてほしかった。君がいたからできたんだ。その──

<トロシヤン=ディアリング セクション長は彼を突き飛ばす。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: それ以上言わないで。

ディアリング博士: アメリア──

トロシヤン=ディアリング セクション長: 恒久的な解決策を見つけたと思わせたかったんでしょう。約束したみたいに。本当にカスののろまね、ドゥーガル・ディアリング。

<トロシヤン=ディアリング セクション長は笑い、前かがみになって手で頭を抱える。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: それで、私たちをターゲットにした。結構。それで何をするの?

<トロシヤン=ディアリング セクション長はいきなり立ち上がる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや、本当はもっと情報が必要。正確にはどこにパケットが送られるの? 具体的な物理的位置は?

ディアリング博士: サイト-43。常にサイト-43だ。

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: サイト-43は存在しない。

レインデルス博士: 時系列──

トロシヤン=ディアリング セクション長: ああ、本当に......時系列計算ね。小型次元では時間は可変だって言った。これを時間をさかのぼって送ってるって? 他人の過去に向けて?

ディアリング博士: 因子は輸送の遅れや絶好の機会、歯止め原理が──

トロシヤン=ディアリング セクション長: このパケットは過去のどこに行くの?

ディアリング博士: マジック・ドロワーが選ぶのは一番......

<ディアリング博士は近くの椅子のへりに座る。ほとんど倒れるかのようで、関連する安定性コンソールをつかんでいる。トロシヤン=ディアリング セクション長は彼を支えるかのように動き、引き戻る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何? 何かおかしい?

ディアリング博士: ありえない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何が?

<レインデルス博士は息をのむ。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何? ダグ、何がおかしいの?

<ディアリング博士はだしぬけに立ち上がる。椅子は通路を横切って滑っていく。>

ディアリング博士: 違う! 違う。我々がやったんじゃない。

レインデルス博士: もう起きたことよ。過去past協定pactなの、ドゥーガル。

ディアリング博士: 違う。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 待って。

レインデルス博士: 異常は開口部から送らないといけないし、すぐにしないといけないわ。このために宇宙を不安定にはできない。

ディアリング博士: <つぶやいて> ここが安定な宇宙だと思っているのか?

トロシヤン=ディアリング セクション長: 待って!

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: こんなことはしたくない、アメリア。こんなことは......

<ディアリング博士はうなだれる。>

ディアリング博士: こんなことはしなかった。これはじゃない。


<トロシヤン=ディアリング セクション長はエリア-21の主要操作職員を招集し、マジック・ドロワーのデータをレビューさせてパケット輸送目標サイトの実行解釈が正確か判断させる。装置は深妙排出物を2028年9月8日の玄妙除却施設AAF-Dに輸送する準備中だと、満場一致で同意する。>


<重役が稼働制御室に再び集まる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: これは問題じゃない。チャンスじゃない! きっと......無害なものを送れる。この仕事をこなしつつ、彼を殺さない程度の。

レインデルス博士: アメリア......

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや、私の話を聞いて、オーケイ? オーケイ?

レインデルス博士: オーケイ、でもそれはできない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: どうして? なんで? そもそもフィルが死ぬ必要はなかったって見つけたのに! 私たちがやったんだから。なかったことにできる! 全て直せるし、次のショットを空振るだけでできる。

ディアリング博士: がやったと言うのか。

レインデルス博士: 私たち、このバージョンの私たちと、なしたことは──広範な多元宇宙的帰結で!──フィリップ・ディアリングの死によって生み出されたものなの。たった1人の命を救うために有毒な超パラドックスは起こせないわ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 直さないといけない! これは千載一遇の......いや、自分自身を目標にしたなんてとてつもなくありえないことでしょう。これが運命じゃなければどう説明できるの?

レインデルス博士: どの目標も、それぞれの視点からすればとてつもなくありえないわ。

ディアリング博士: 彼女が正しい、イルゼ。運任せで我々が次の受領側になることはありえない。これは記録史上最大の確率的外れ値だろう。理論史上でもだ。

レインデルス博士: ええ。この機械がおかしくなって、時間平面曲線の正確なモデリングに失敗したとする方が無限倍あり得るわ。理論上、私たちは曲線の「終端」のはずなのよ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: さらに間違えてる。

ディアリング博士: いいや。そんなことはない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私は──

ディアリング博士: それ以上言うな! それは私じゃないと言っているだろう。プレースがその計算をしたんだ。彼を呼ばねば。

トロシヤン=ディアリング セクション長: プレース? 本当に?

レインデルス博士: 呼ぼうとしたわ、ドゥーガル。無言でいなくなっていた。また

ディアリング博士: クソッ! クソックソッ! 時間はあとどれくらい残っている?

トロシヤン=ディアリング セクション長: 2時間とちょっと。解決策を議論するには十分。

レインデルス博士: 議論すべき話はないわ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: ある。イルゼ、ダグ、私たちは彼を救える

<彼女はディアリング博士の肩を手でつかむ。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私たちは毎日奇跡を起こしてる。もしこの部屋の脳細胞を燃やしたなら、トロントに一生分の電力を供給できる。

レインデルス博士: いいえ。

<トロシヤン=ディアリング セクション長はレインデルス博士に顔を向ける。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私はこのチャンスのために地獄から這い出てきた。愛するもののために正しいことをすべく。それが理解できていないと言うの、イルゼ? 私がなんでここにいるのか思いだして。

<レインデルス博士は口を開き、目線をそらして応答しない。トロシヤン=ディアリング セクション長はディアリング博士に振り返る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 彼を取り戻せる。

ディアリング博士: 多分......

トロシヤン=ディアリング セクション長: 確実に。そうだとは知ってるでしょう。意味が通るんだから。

レインデルス博士: できないわ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: できる。もう一度やり直せる!

レインデルス博士: アメリア!

トロシヤン=ディアリング セクション長: 夫を取り戻したいの!

<録音上の沈黙。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長はディアリング博士の肩を離す。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ごめん、ダグ。

ディアリング博士: 大丈夫だ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 本当にごめん。

ディアリング博士: 大丈夫だ。もちろんわかっている。

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや......あの、私は......

レインデルス博士: 2人にかまっている時間はないわ。ご存じの通り。ムダにできる時間はない。どう対処するか決めないといけないわ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私たちは......

<録音上の沈黙。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私たちは彼を開放しなければならない。

ディアリング博士: それは一側面に過ぎない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何?

ディアリング博士: は彼を開放しなければならない。だが、は責任を負わなければならない。


<ディアリング博士は休憩時間を取り、史学史課に次のパケットと2028年9月8日の玄妙除却施設AAF-Dで報告された内容を比較させる。トロシヤン=ディアリング セクション長とレインデルス博士が前者のオフィスで会話していると、瞬間的電力変動によるマジック・ドロワーの起動を警告される。2人は稼働制御センターに戻るがディアリング博士は不在であり、手短な捜索によって彼が装置輸送開口部への保守アクセス通路にいると特定される。トロシヤン=ディアリング セクション長は外部扉に駆けるが、扉は鍵がかけられており、その間レインデルス博士は稼働制御センターに留まる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何をしてるの?

<彼女は扉をたたく。ディアリング博士がのぞき窓の向こうで空の開口部にいて手を握ったり放したりするのが見える。>

<トロシヤン=ディアリング セクション長は扉の隣のパネルを起動する。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 積荷チャンバーの隣にいるの? 内部扉を閉じないと実行はされないけど。

<トロシヤン=ディアリング セクション長は外部扉を開けようとする。そのアクセスコードは拒否される。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 一体何をしているの?

<トロシヤン=ディアリング セクション長は扉をたたく。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 聞こえてるはずでしょ。ドゥーガル!

<レインデルス博士はPAシステムを通して話す。>

レインデルス博士: 彼は安全装置をオーバーライドしているわ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: どうして?

レインデルス博士: 彼は──

トロシヤン=ディアリング セクション長: いや。絶対違う。

<彼女はのぞき窓をたたき、その際に右手の皮膚を切る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ドゥーガル! 本当に何を──

<頭上の照明が明滅し、エリア-21全体で持続するハム音が聞こえる。マジック・ドロワーはパケット輸送の準備をする。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 止めて! 止めて! 私たちならなんとかできる。答えて、さもなくば彼の記憶に誓ってシステム全体をシャットダウンするから。

レインデルス博士: あなたにはできないわ。

<ディアリング博士はトロシヤン=ディアリング セクション長に振り返る。>

ディアリング博士: 君にはできない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私を見て。

ディアリング博士: 我々は君ができないと言いたいわけではない。それは間違いだと言っている。アメリア、申し訳ない。この方が楽だと思ったんだ。君に......二度と話さない方が。

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたはいっつも楽な方を選んでた。

ディアリング博士: これからそれを償おう。

トロシヤン=ディアリング セクション長: そうは言うけど、私から見たらあなたの生んだ混乱を諦めて私たちに丸投げしてるようにしか見えない。

ディアリング博士: 私は何がフィルを殺したか知っている。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何がフィルを殺したかはずっと知ってるでしょう。私もそう。

ディアリング博士: まさしくだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何?

ディアリング博士: 私がフィルを殺した。

<ディアリング博士は胸をたたく。>

ディアリング博士: がフィルを殺した。こうやって。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 出てきて。話し合いたい。

レインデルス博士: その提案suggestingは予期しない影響を──

ディアリング博士: 私は何も示唆suggestingしていない。起きたことなんだ。彼に巻き付いたものは理由があってそうした。それは私を無視した。彼を選んだ。問題を解決したんだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 問題を......?

ディアリング博士: そもそも、私しか見れなかったのもそのせいだ。それは私だったのだから。

<ディアリング博士は手を広げる。>

ディアリング博士: 私がループだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: そんなこと......

ディアリング博士: このパケットは100パーセント超常霊的だ。フィルがAAF-Dを浚った後に現れた、誰も説明できない余剰物質だ。彼の命を奪った源だ。そして意図を持って動いていたんだ、アメリア。

トロシヤン=ディアリング セクション長: だからってあなたがそうする......

ディアリング博士: 必要はある、残念だが。次を正しくこなす限り、このループは安定だ。

<ディアリング博士はチャンバーの天井を見上げる。>

ディアリング博士: パラドックスだ、イルゼ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何のこと?

<レインデルス博士はしばらくためらうが、話す。>

レインデルス博士: フィルの死でこの全てが動き始めて、今や多元宇宙横断的なのよ。フィルはもう一度死なないといけない。ずっと死なないといけないわ。そして確実にそうならなければいけない。

ディアリング博士: つまり、危機の瞬間は制御しなければならない。送ったものには主体性が必要だ。未分化のエクトプラズムを撃ってもできない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: どうしてパケットが降りかかっても自分が溶けないと思うの?

ディアリング博士: おそらく......多分そうなるだろう。だが、それで一巻の終わりじゃないことは知っている。自分自身を見たのだから。自分自身が余剰エネルギーに引き込まれて......フィルを奪い、パイプに戻ったのを見た。

トロシヤン=ディアリング セクション長: でもなんであなたである必要があるの?

ディアリング博士: 彼が私の弟だからだ。今度こそ彼のところに行こう。

トロシヤン=ディアリング セクション長: それじゃ意味が通らない! イルゼ、こらえて。シャットダウンして。理性的に考えられてない。どうしてあれがループになるの? どうして弟を殺すものになるの?

ディアリング博士: 代わりにパケットが彼を殺せば、あの場所は私も含めて全部空高く爆発して、誰もがフィルの過ちだと思うだろう。代わりに空中に排出物を吸い上げて、彼を奪えば......

<彼は目を見張る。>

ディアリング博士: 彼は感覚がなかっただろうと思っていたんだ。苦痛はなかったと。痛めつけていたかもしれない。そしてサイトを救って、昔の私に弁を回すチャンスを与えて、私の悔悛が始まった。そしてシステム内に消えて......

<ディアリング博士は笑う。>

ディアリング博士: しかもどうだ、43年までずっとそこにいたんじゃないか。2043年まで。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 見たことがある。

ディアリング博士: 何だって?

トロシヤン=ディアリング セクション長: それを見たことがある。AAF-DからDePLExAに滲出してた。殺されかけた。あのサイクルで最後に逃げたときのこと。

ディアリング博士: それは意味が通らない。君はフィルのアク──フィルに起きたことはビデオで見たはずがない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: でも時系列アンカーが動き始めたときに直で見れた。43が現実に舞い戻ったときはきっと、激痛に襲われて具体化したはず。出現して、私に手を伸ばして......

<録音上の沈黙。>

ディアリング博士: 君に手を伸ばした。

トロシヤン=ディアリング セクション長: なんてこと。

ディアリング博士: パイプに閉じ込められて15年間回りまわって、よみがえるために君を待っていた。だから私は君を生き残らせられた。対称性が好きだからな。

トロシヤン=ディアリング セクション長: ありえない。

ディアリング博士: 少なくとも今回は、本当に私のアイデアだ。

<トロシヤン=ディアリング セクション長はうなだれる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私を生き残らせようとしなかったこと以外は。私を助けようなんて全然なかった。

<彼女は笑う。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: なんてこと、あなただったって気づくべきだった。

ディアリング博士: 申し訳ない。

トロシヤン=ディアリング セクション長: でも私の質問に答えてない。どうしてこれがループなの? あなたがやったからフィルは死んだ。彼が死ななければ、あなたが殺す決断をするはずはない。論理がおかしい。

<ディアリング博士は肩をすくめる。>

ディアリング博士: 起きてしまった。だから理屈が通る。宇宙がそれを要求するんだ。ブートストラップパラドックス。多分関係した物質は......双時系列、だったな? 時間は双方向に流れるんだ。

<彼は再び肩をすくめる。>

ディアリング博士: 穿ちすぎかもしれない。フィルと私は別れる運命にあるだけなのかもしれない。例えば......ああ。

<トロシヤン=ディアリング セクション長はのぞき窓に手を当てる。ディアリング博士はその手ぶりに合わせるように動き、引き戻る。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: それじゃ十分じゃない。これは宇宙の悪意じゃない。もっと意味がないと。ずっと彼のためにやってきたでしょう! 私たち2人とも。全部を。私が間違ってるの?

ディアリング博士: 君が間違っている。半分間違いだ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 何?

ディアリング博士: 私は彼のためにしたことはない。

<録音上の沈黙。>

レインデルス博士: あと2分。ごめんなさい。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 私はどうなの。

<ディアリング博士は向こうを向く。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: ドゥーガル? 私はどうなの? お願いだから、私にやらせて。そっちのがいい解決策でしょう。

ディアリング博士: いいや。絶対に違う。

トロシヤン=ディアリング セクション長: わがままは止めて!

<ディアリング博士は肩越しに見る。>

ディアリング博士: わがままじゃない。この中でも一番わがままでない部分だし、多分唯一わがままでない部分だ。確かに私は楽な方を選んでいる。それが私だ。そうでしか役に立てない。これがどうなろうとも、向こうでよいことの仕方を見つけるかもしれない。そのときはそうし続けよう。だが君がよく知るように、私は弱くてのろまで短絡的で、誰にも頼ってもらえない。だから君は向こうでこのまま実際の仕事をし続けないといけない。良き──

トロシヤン=ディアリング セクション長: 違う!

ディアリング博士: そうだ。それこそ他でもない君がなっただ。

トロシヤン=ディアリング セクション長: 違う。

ディアリング博士: さようなら、アメリア。

<ディアリング博士は白衣に手を伸ばしてリモコンをとる。彼は積荷チャンバーに乗り込み、装置のボタンを押す。内部扉が閉じる。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: あなたを許さない。

<クラクションが鳴り、パケット輸送システムが軋んで動く。>

トロシヤン=ディアリング セクション長: 聞こえてる? あなたを許さない。こんなので、許せるはずがない。

<ディアリング博士は見上げ、物質の濁流が内部のぞき窓を隠す。>

ディアリング博士: ただの手品だ。

<マジック・ドロワーが圧縮され、パケットを輸送する。>

« 転写終了 »

chamber.jpg

ゴミとは何だろうか?

ようやくわかったでしょう、ドゥーガル。

集積文書終了

概要: 機関資源の計画的な濫用により、第IV級宇宙論的アノマリー(停滞スタグネイシヨン)の増強されたアセンション、および連盟タイムプレーン内外での広範な物質的損害や不安定異常現象の挿入がもたらされた。権力、資源、機会を自由に利用して同様の濫用をする立場にいる職員は、不合理、自己権力拡大、人間関係の耽溺に支配されている。反復はメタ契約義務を常日頃から無視しており、連盟に報告したり我々の存在を認めたりする努力をしていない。

この広範な報告書が明らかに裏付ける通り、貴機関は他財団協定の多数の条項、特に節1、3に詳述される巫覡聯盟や他メタファウンデーション署名者との情報、物品の移送に関する条項を重大に違反するものとみなされています。メタファウンデーション超時間連盟協定の節1.4Bに従い、貴機関の中央正常性機関反復は連盟タイムプレーンから排斥されました。

連盟タイムプレーンへの未解決の次元際アクセス権は切除されました。ゴールドベイカー&アソシエイツによる貴機関への補償範囲は、現地保険提供者の能力に基づき制限されます。貴機関の現地時間機関は間もなく連盟加入以前の状態に戻され、連盟タイムプレーンへの浸透や我々のサービスの再建が可能なデータを喪失します。貴機関のタイムラインは、貴機関の反復が引き起こした多種の壊滅的イベントを含む多元宇宙の力にさらされます。

我々は貴機関に、確保と保護の目標に釣りあった収容努力への厳重な注意を要請します。

後は勝手にどうぞ。

(1) 件のメッセージがあります。

R: 曲がりなりにも、彼らは彼を見つけた。彼女が昔のDePLExA参照目標捜索装置をリバースエンジニアリングして彼のドーマル痕跡を取り出すのにはひと月かかった。状態が変わっていようがいまいが、彼女は成し遂げた。

彼はまだ向こうにいる。

P: こちらは忙しいんです。何かしてほしいのですか?

R: 彼は時空の内外を飛んでいくうちにイデオスフィアのゴミ山で当てもなくうろついて、探し物を......まあ、あなたなら彼の探し物は知っているでしょう。その中で彼が解放されたことも。あなたは気にしないでしょうけれど。

P: あなたはきっと驚くでしょう。

R: 彼女が撮ったスナップショットを送る。よく精査してくれるのを願うわ。

P: どう反応してほしいんですか? 後悔? 満足?

どうなるかは知っているでしょう、イルゼ。

R: あなたは彼女に罪をかぶせた。あなたたち2人とも。それを認めてほしいの。

P: あなたに言えることは何もありません。これが終わるまでは。

R: でもそれは決して終わらない、でしょう?

P: どうなるか、あなたなら当然知っているでしょう。

P: あなたはあなたのことをしてください。私は私のことをします。

画像を受信しました。

Verne.jpg

R: 私たちは皆ゴールラインで壊滅する。

:// ./certify timeRemaining

セッション証明書は 2 分で失効します。

:// ./prepwipe terminal_null activityLog current

セッション活動はターミナルのシャットダウン時に削除されます。

:// ./msg ext_server-6276 !undata recipient 0000

メッセージを入力してください。

メッセージの送信に成功しました。

1 件の返信があります。送信者をオーバーライドして表示します

:// "フェイズ・ツウを開始せよ"

シャットダウンしています…


実存的除却


続く...... »

訓戒

客演 HARRYBLANK
アート SYUZHET

脚注 & リファレンス

  1. Absentiaクラスアノマリーは非実在現象の非実在性を保証するために財団が利用します。
  2. 明白にするため言及すると、不安定玄妙物質の荷物は不在でありネットワーク全体は一切合切対処するものはないものの、ネットワークの構成要素は全て荷物全部を安全に対処するよう設計されなければならない。
  3. 反クローノン、悪意のある物語素、また関連現象を網羅する一般用語。
  4. 厳密には、たまにある例外を除けばもはや排出物を産生してはいません。
  5. もしくは排出物が事前に検出されて輸送前に除去されるか、検出されないものの運送中にコンテナが振り落とされるか、などなどです。
  6. 監督評議会の超科学における諮問役である管理・研究地位。PHMD博士に必要に応じた様々なプロジェクトの許可、監督を認めている。
  7. おそらくここに記述されるイベントが原因で、タイムスタンプはソース文書内の非印刷文字に置換されて回復不能レベルで破損しました。
  8. 数学的には逆ではなく、補集合です。
  9. 有機的意識を記憶処理、心理修繕することで、喪失した人工知能徴募員の機能を再現する構想。
  10. EE-001最中に重度に変化した現地時間の収縮膨張によって、疑わしくも客観的に正しいイベント間隔となっている可能性があります。
  11. 内部概念空間と外部概念空間の間の相違が、介在する全ての物質を破却しない限り一致させられないレベルであることを示します。
  12. 対象はインシデント6488-D/IIの最中の意識を失う前、AAF-X緊急玄妙冗長性バンカーに移動しているところだった。その後、彼女は自身が別の異常シェルターにいた理由を説明できていない。
  13. スクラントン現実フィルター。
  14. 前述の時間逸脱のため、実際には2043年である。
  15. テオヴラヴィク物質は記号的プラズマ状態でカオス的変化したアキヴァエネルギーのこと。
  16. 正式なプライムタイムラインとして、巫覡聯盟(および本体のメタファウンデーション)に認知されている。
  17. 標準束 DW17 タイムライン Delta-Blue。この監査の対象。
  18. この装置の詳細はニードトゥノウの原則に基づき公開される。知る必要があると思うならば秘奥軽減リエゾンに連絡せよ。
  19. トロシヤン=ディアリング博士は、博士号を取得したうえでその敬称(「博士」)ではなく職掌名(「セクション長」)を用いて勤務し続けることを選択しました。
  20. 別の未収容アノマリー対象の存在によって生産される限り。
ページリビジョン: 11, 最終更新: 14 Apr 2025 02:26
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