クレジット
タイトル: SCP-6925 - 牢破り
翻訳責任者: C-Dives C-Dives
翻訳年: 2025
著作権者: GreenGolem GreenGolem
原題: SCP-6925 - Jailbreak
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 11
元記事リンク: ソース
IRCチャンネルのpeppermint_legos peppermint_legos とGlassAutomaton GlassAutomaton 、ありがとう!
そしてもちろん、これを実現させてくれたwinkwonkboi winkwonkboi とDeadcanons Deadcanons 、ありがとう。
この作品は彼らがいなければ成り立ちませんでした。
アノマリーを財団司令部に対して従順にさせるためにAEEDが利用されている、という発想が好きなので、財団から盗み出されるのを実は望んでいない潜在的超兵器についての短いコメディを書いてみました。
他の作品を読みたい方は、著者ページも見に来てくださいね!
アイテム番号: SCP-6925
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-6925は高度保安体制が整ったサイト-183で、現時点では異常存在交流課 (AEED) が監督しているセクター内にある標準的なヒト型生物収容室に収容されます。
SCP-6925に付与されている特権には以下が含まれます。
- SCP-6925が日常生活を記録するための日記 1冊。
- ビデオゲームコンソール 1台 (ゲーム予算は毎月20ドルまで) 。
- ジグソーパズル 数点。
- イエネコ 1匹 (SCP-6925自身が世話をするという条件付き)
SCP-6925の警備予算は、標準的なAEED担当アノマリー予算の75%増額されます。AEEDの標準機動部隊であるオミクロン-20 ("ラブバーズ") は、SCP-6925収容室への侵入を防ぐために厳戒態勢を敷くものとします。
説明: SCP-6925は"マシュー・マクヘイワード"という名前を持つ身長1.6mのヒト型実体です。鮮やかな紫色の皮膚を除いて、SCP-6925には人間との身体的差異がありません。SCP-6925は現在、財団職員に協調的であり、敵意を示していません。
SCP-6925は、これまで提示されてきた全ての音響的・視覚的な財団製認識災害に対して、生来の完全な免疫を有します。 財団が直接的に製作していないミーム認識災害には通常通りに反応します。
SCP-6925の出自に関する調査は、その異常性の由来をGoI-003 ("カオス・インサージェンシー") まで遡ることができました。SCP-6925は、重要なデータベースファイルを保護する財団製認識災害を回避できる人工アノマリーの創造を目標に掲げた実験の産物です。
補遺6925.1: 事件のタイムライン
SCP-6925は財団のデータベース保安体制を単独で無効化できるという固有の危険性を呈していました。これはGoI-003にとって襲撃を計画する絶好の機会となりました。一連の事件を時系列順にここに掲載します。
2020年12月5日: GoI-003による最初の施設襲撃 (後日SCP-6925の関与が判明) がサイト-53で発生する。
2021年1月3日: データベース漏洩でGoI-003が3GBの機密情報を入手する。当時、財団職員は漏洩の原因を特定できなかった。
2021年1月17日: ある機動部隊が、訓練・演習中に正体不明の外部勢力部隊との小規模戦闘に巻き込まれる。約45名の死傷者が発生し、部隊は指定された地点への退避を余儀なくされる。襲撃者は追跡・捕獲を逃れるが、その連携体制と計画性、並びに当該事件とデータベース漏洩の時期が非常に近かったことから、何らかの繋がりがあると判断される。
17件のエントリを省略。
2021年6月5日: 捕縛されたカオス・インサージェンシーのエージェント数名を尋問した後、SCP-6925の存在が確認され、更なる調査によって裏付けられる。SCP-6925の捕獲が達成されるまで、ORDERへの資金拠出が125%増額される。
2021年6月15日: 財団職員とカオス・インサージェンシーの小規模衝突と、それに続く外部情報漏洩の結果、複数の無関係な要注意団体がSCP-6925の情報を入手する。隠蔽工作が試みられるが、成果は最小限に留まる。
2022年7月1日、カオス・インサージェンシーが管理する施設への襲撃で、財団はSCP-6925をはじめとする複数の異常なアイテムを回収しました。再び要注意団体の手に渡らないようにするため、SCP-6925はAEEDの一部管轄下に置かれています。
補遺6925.2: 盗難未遂
SCP-6925の収容中、外部の要注意団体による17件の収容違反が記録されています。うち1件の事例サンプルを以下に掲載します。
序: 2022年2月23日、蛇の手による収容違反が発生。構成員らは保安体制の迂回に成功し、SCP-6925の収容室に短時間侵入した。
[記録開始]
照明が消灯され、SCP-6925が毛布を被って寝ている様子が映っている。収容室のドアから衝撃音が響く。
6925: [独り言] うぅーん...?
ドアが破られ、ローブを着た3人の人物が収容室に突入する。警報が鳴り始め、室内の赤い閃光灯が起動する。
6925: ...なんだぁ?
ローブの人物らはSCP-6925を担ぎ上げ、室外に運び出そうとする。
6925: お、おい、手荒な真似すんじゃねえよ!
SCP-6925がもがきながら喚き始め、やがて侵入者らはSCP-6925を床に落とす。
6925: お前ら、何しに来やがったんだ?
ローブ姿の人物ROBED FIGURE1 (RF1): 何をしに来たように見えます? あなたを脱出させに来たんですよ。
6925: お前らがやるべきなのは、今すぐ出てって、抜け出してきたスターウォーズオタクのコンベンションかなんかに戻ることだけだよ。
RF3: オーケイオーケイ、変な服装だとも、分かっているさ。さあ、来たまえ。君を助けたい。
6925: 本当に助けてくれるのなら、食堂でなんか買ってきてくれないか。今日はタコス・チューズデーなんだ!
RF2: よく聞け、奴らが君の記憶を弄って権威に服従させているのは明らかだ。俺たちと一緒に来い!
6925: ワオ。イカレてやがる。
RF1: 私たちの話を聞いてないんですか?
6925: あーはいはい、聞いてるとも。セカンドオピニオンが必要だからちょっと待ってくれ。
RF1: ...セカンドオピニオン?
SCP-6925は部屋の端まで歩いて行き、壁を叩く。
6925: よう、フィル!
隣室のアノマリーADJACENT ANOMALY (AA): [壁でくぐもった声] なぁに?!
6925: また変な連中が俺を盗もうとしてんだけど!
AA: フードコートのエサで釣ってみた?!
6925: おう、でもダメだったよ!
AA: ハ! 残念だったねえ!
RF3: あり得ない。どうして君はこんな状況に安穏としていられるのだ?
6925: どういう意味だ? ここではタダで飯が食えるし、ビデオゲームは山ほど遊べるし、毎週金曜の夜にはゲーム交流会だってあるんだぜ。今さら俺が外に出て税金を払ったりしたいとでも?
RF1: でも図書館でなら -
6925: 図書館でなら? 何ができる? 読書か? どうせお前らも他の奴らと同じように、俺を冷え切った独房に放り込むだけさ。
RF3: しかし -
2人目のローブ姿の人物が、苛立った表情で3人目を押し退け、前に踏み出す。
RF2: もういい、時間の無駄だ、それにエージェントがすぐ駆け付ける。否が応でも連れて行くぜ。
2人目のローブ姿の人物は電気ショック警棒を取り出し、SCP-6925を攻撃しようとする。しかし、行動に移す前に、オミクロン-20隊員らが室内に突入し、侵入者らを終了する。ネコがシャーッという声を上げて部屋の反対側に走っていき、SCP-6925はゆっくりと歩み寄ってネコを宥める。
6925: 今回は随分と遅かったじゃねえか。ちょっと用務員を呼んで後始末をしてもらえねえかな?
[記録終了]
補遺6925.2: 日記エントリ
22/2/3
どっかの変人が俺の部屋に押し入って、俺は囚人だから一緒に来いとか言い始めて、結局カーペットに落ちそうもない血痕が染み付いちまった。あんなゴタゴタはもう真っ平だ。こっちはただスナックでも食ってのんびりしてたいだけだってのに、マジで勘弁してほしい。
本ページを引用する際の表記:
「SCP-6925」著作権者: GreenGolem、C-Dives 出典: SCP財団Wiki http://scp-jp.wikidot.com/scp-6925 ライセンス: CC BY-SA 3.0
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