クレジット
タイトル: 実験ログ5702
翻訳責任者: C-Dives C-Dives
翻訳年: 2024
著作権者: LordStonefish LordStonefish (複数ユーザーによる合作)
原題: Experiment Log 5702
作成年: 2020
初訳時参照リビジョン: 18
元記事リンク: ソース
SCP-5702を利用する全ての研究員は、映画関係者が関与しない映画を生成する際の適切な手順に従い、Dクラス職員のみを被験者としてください。ログを作成する際には、適切な手順に従ってください。
実験ログ フォーマット:
実験内容は次の形式で記録してください。
実験#:
入力データ: ___________ は ____ 年の ______ の ____________ 映画。監督は ______________ 、脚本は _________ 。出演は ______________ 、 ________________ 、 ________________ 、 ______________ 、 ________________ 、 ________________ 、 ______________ 、 ________________ 、 ________________。
注記:
生成した名前:
結果: この欄は必ず、映画の内容の短い説明から開始し、異常な効果が確認された場合は全て記載してください。第2に、視聴した職員が映画をどのように評価したかを記述してください - 財団職員はSCP-5702生成映画を少なくともある程度楽しむ傾向があることに留意してください。第3に、職員評価との対比のため、Wikipedia様式の記事にどのような批評が引用されているかを記述してください。最後に、レッド・ディール・ピクチャーズの社名が映画とどう関連付けられているかを記述してください。
実験#: 001
入力データ: "白の海へ" (原題: To The White Sea) は1999年のアメリカ・日本合作の戦争ドラマ映画。監督・脚本はジョエル及びイーサン・コーエン。出演はブラッド・ピット、ジョン・グッドマン、役所広司。
注記: 職員はまた、この映画がジェイムズ・ディッキーの同名小説を原作としている旨と、コーエン兄弟の映画の定番撮影スタッフ (作曲家 カーター・バーウェル、編集者 ロデリック・ジェインズ、撮影監督 ロジャー・ディーキンス) の名前も入力した。
生成した名前: 無し。
結果: 生成された映画はディッキーの原作小説の翻案であり、ピットは第二次世界大戦中の荒廃した日本国内で生き延びようとする落下傘兵/元サバイバリストを演じている。映画の雰囲気は"ノーカントリー"と同様の簡潔さと暴力性を予感させ、ディッキーの原作小説における宿命と霊性のテーマを強調している。本作の製作過程は極めて過酷だったと記述されている。引用された批評は非常に肯定的であり、映画評論家のロジャー・イーバートは本作をコーエン兄弟の最高傑作の1つかつ"彼らが成熟してきたという証拠"だと述べている。レッド・ディール・ピクチャーズの名前は資金提供元として記載されている。
実験#: 002
入力データ: 実験001と同一。
注記: 職員は、撮影スタッフの名前を1993年の映画"シンドラーのリスト"と一致するように変更した (作曲家 ジョン・ウィリアムズ、撮影監督 ヤヌス・カミンスキー、編集者 マイケル・カーン) 。プロデューサーとしてスティーヴン・スピルバーグ、製作会社としてアンブリン・エンターテインメントの名前が追加された。
生成した名前: 無し。
結果: 生成された映画はやはりディッキーの原作小説の翻案だが、研究員らはこの映画から"ぎこちない雰囲気"が感じられると述べた。この映画はスピルバーグの作風と強く似通っており、本作の雰囲気はスピルバーグとコーエン兄弟の中間を取っている。本作の製作過程は"非常に愉快"なもので、コーエン兄弟はスピルバーグの提案を楽しんだと記述されている。研究員らはそれなりにこの映画を楽しんだものの、引用された批評はやや否定的なもので、本作が雰囲気の選択を誤っており、コーエン兄弟の作品としては期待外れだという評価が大半を占めている。唯一、アニー・Q・ピッカーソンという名の学者だけが批評的な観点から本作を再評価している。レッド・ディール・ピクチャーズは今回も資金提供元とされている。
実験#: 003
入力データ: "ディセンション" (原題: Descension) は2017年のアメリカの政治スリラー映画。監督・脚本はデイヴィッド・リンチ。出演はジャン=クロード・ヴァン・ダム、ナオミ・ワッツ、ジュディ・ガーランド、グルーチョ・マルクス、パム・グリア、マコーレー・カルキン、クラーク・ゲーブル。
注記: 研究員らは様々に異なるジャンル・年代から幅広く出演者を選択した。
生成した名前: 無し。
結果: 生成された映画では、ヴァン・ダムがカリフォルニア州の上院議員選挙に立候補する政治家を、ワッツがその妻を、カルキンが息子を演じている。 ゲーブルは対立候補である現職上院議員役で出演する。ある深夜、オフィスに到着したヴァン・ダムは自分と同じ容姿のバラバラ死体を発見する。現場を逃走したヴァン・ダムは、ゲーブルの知人として映画の序盤に登場した政治フィクサー役のマルクスに出会う。マルクスは、ヴァン・ダムが何から逃げているかを知っていると仄めかし、ヴァン・ダムの選挙運動に協力する代わりにそれを"お片付け"してやろうと申し出る。映画のそれ以降の展開は、政治レースに対する両候補の対照的なアプローチを追うが、物語は選挙結果が出る数日前に終了する。ガーランドが登場する場面は1つしか存在せず、ヴァン・ダムとマルクスが出会うレストランのラウンジ歌手を演じている。彼女はバディ・ホリーの楽曲"ザットル・ビー・ザ・デイ"をスペイン語で物憂げに歌い、歌の終わりに泣き崩れる。レストランの客や従業員はこれに反応を示さない。グリアは"女"という役名でのみクレジットされており、劇中の様々な場面でヴァン・ダムに「これがホントにあんたのやりたいことなのかい?」と問いかける。ヴァン・ダムは毎回この質問に対して困惑か無知を示す - 唯一の例外として、最後にグリアがこの問いを投げかける時、ヴァン・ダムは説明のつかない恐怖心に駆られて逃走する。彼はそのままオフィスへ向かい、もう一人の自分と遭遇し、映画の最終シーンでそれを殺害する。エンドクレジットの背景は上述したレストランだが、人の気配は無く、照明は薄暗くなっている。ガーランドが泣く声が聞こえるものの、姿は見えない。
評論家の意見は賛否両論だが、マルクスのいつになく暗く不吉な雰囲気を醸し出す演技は満場一致で称賛されている。レッド・ディール・ピクチャーズは、クレジットの"スペシャルサンクス"枠に記載された唯一の企業である。
実験#: 030
入力データ: "ドーヴァド・ミックステープ" (原題: The Dorvado Mixtape) は2008年のイギリスのコンサート映画。監督はジャック・ウェスレー。出演はリッキー・ウィルソン。
注記: 研究員らは物語性の無さが結果を生みだすかを試験した。入力された名前は全て架空だが、実在のミュージシャンが登場し、映画が異常性を帯びるのを防ぐのではないかという疑いがあった。
生成した名前: 俳優。
結果: 生成された映画は、ロンドンのキュー王立植物園で開催されたと思しき音楽祭、"2007年度ブリーディング・エッジ・フェスティバル"における3時間の公演の短縮版のようである。主な出演者であるリッキー・ウィルソンは、アメリカのニューウェーブ・バンド "The B-52's" でギタリストを務めた同名の故人ではなく、"ダーティ・アウルズ"というイギリスのハードロック・バンドのリードボーカリストである。ウィルソンはダーティ・アウルズと共に、映画のタイトルとなったアルバムの収録曲とされる楽曲を1時間演奏する。また、彼は"クリーピー・カートゥーン・ルーマー"というサイド・プロジェクトと組んで8曲を演奏するが、このバンドにはSAARDISと呼ばれるイギリス人ラッパー/プロデューサーが所属している。SAARDISはサーキック・カルト信者と一致する極度の肉体改造を施しており、ラップやDJをより能率的にこなすことが可能になっている。被験者のDクラス職員は、強制衝動に駆られてむち打ちになるほど激しいヘッドバンキングを行い、視聴体験を楽しめなかったと報告した。研究員らは、音楽は楽しめたが、撮影技法はかなり初歩的で味気ないように感じたと報告した。引用された批評も同意見で、一部の音楽系出版物は、"ウィルソンの叙情主義から来るユーモア"がいかに映画と調和していないかを強調している。また、架空の出版物"オッド・シティ"の批評は、ウィルソンが"あのような大規模なコンサートで危険な操肉師の一人を世間に紹介した"ことを批判している。レッド・ディール・ピクチャーズは配給会社として記載されている。
実験#: 031
入力データ: "ヴィデハムクティ" (原題: Videhamukti) は1997年の大作ドキュメンタリー映画。監督はロン・フリック。出演者無し。
注記: 生成できる映画の限界を試験した。
生成した名前: 監督。
結果: 本作は8時間を超える実験的ドキュメンタリーである。各場面は10〜30分の長さで、いずれも滝、海岸、動物の生息地など、世界各地の自然風景を固定カメラで撮影した映像である。どの時点でも人間の姿は確認できない。サウンドトラックは撮影地の郷土音楽のインストゥルメンタル版から成っており、例としてケニアにある動物の水飲み場の映像では、マサイ族の伝統音楽を木管楽器でアレンジした楽曲が使われている。映画の後半には、深海の熱水噴出孔や、土星の軌道上にある衛星らしき氷に覆われた風景など、一般的な機材では撮影不可能な場面が幾つか見受けられる。それに続いてSCP-3081-1個体の群れの映像が流れるが、そこに付随するサウンドトラックには異常性が確認された [別添資料参照] 。
引用された批評は、この映画を"驚くほど癒される作品"だと述べ、2003年のフリックの死によって続編の製作が中止になったことに触れている。 レッド・ディール・ピクチャーズは製作企業として記載されている。
実験#: 057
入力データ: "監督不行届き" (原題: Lacking Direction) は1943年の短編コメディ映画。監督はデル・ロード、脚本はアンドリュー・ベニソン。出演はカーリー・ハワード、ラリー・ファイン、モー・ハワード。
注記: 雰囲気・作風の点で、"三ばか大将"として知られる同じ出演者グループの既存出演作との一貫性があるかを試験した。
生成した名前: タイトル
結果: 本作は、雇われた三ばか大将が、架空の俳優ローラ・マンフェルドとロバート・ジャッジス (演者の素性は不明) を主演とする長編映画"愛のばか騒ぎ"の撮影を監督させられるという筋書きである。三ばか大将が自ら引き起こす撮影中のトラブルにも拘らず、映画は大ヒットするが、高齢者コミュニティーはその内容をあまりにも"不埒"だと見做し、三ばか大将は年配の女性の大集団から追いかけ回される。
本作の内容は、デル・ロードが監督し、三ばか大将が出演した他の短編映画と似通っている。本作の批評は概ね肯定的であり、レッド・ディール・ピクチャーズは配給会社として記載されている。
実験#: 058
入力データ: "愛のばか騒ぎ" (原題: On Love's Folly) は1943年の恋愛映画。監督はモー・ハワード、脚本はラリー・ファインとカーリー・ハワード。出演はローラ・マンフェルド、ロバート・ジャッジス。
注記: SCP-5702が自ら生成したフィクションの劇中劇を生成できるかを試験した。
生成した名前: 無し。
結果: 本作はニューヨークを舞台に、フランシス・サマーズという書店員に恋した女性、ジョージア・ウィンターズの人生を追う内容である。筋書きは1940年代の一般的な恋愛ドラマだが、撮影セットには時折、"監督不行届き"の作中で発生した騒動の影響と一致する不備が見られる。研究員らは、本作には意図せずして滑稽な印象を与える場面も散見されるが、最終的には恋愛映画として立派に成立していると報告した。全ての批評は架空の出版物から引用されており、賛否両論のようである。大半の否定的な批評は、この映画が"淫乱な"内容であり、また主演男優のロバート・ジャッジスがどうやらトランスジェンダー男性らしいという点を批判している。 より近代の批評は概ね肯定的であり、"ハリウッド・ディライト"誌は、本作が主演男優の性自認に触れていないのを、"今この時代でさえ進歩的なことであり、公開当時ならばなおさら"だと評している。特筆すべきことに、本作はレッド・ディール・ピクチャーズがクレジットで言及されていない最初のSCP-5702生成映画である。
興味深い進展だな。あらゆる劇中劇はレッド・ディール・ピクチャーズと無関係だということか? それとも、レッド・ディール・ピクチャーズが生成した映画の中の架空のメディアだけに適用されるのか? これは、この団体が自分で作った物語の中には存在しないことを示しているのか? 私個人としては、他のメディアの中に存在する架空の劇中劇をもっと再現することを提案したい。何はなくとも、映画を見るだけで面白いだろう。 - アルフレッド・N・マッデン博士
本ページを引用する際の表記:
「実験ログ5702」著作権者: LordStonefish、C-Dives 出典: SCP財団Wiki http://scp-jp.wikidot.com/experiment-log-5702 ライセンス: CC BY-SA 3.0
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