全国の固定電話を繋いでいるNTTの固定電話網は、加入電話の契約数が減少していることや電話の交換設備が2025年頃に維持限界を迎えることなどを背景として、2025年1月までにIP網に移行することが予定されています(下図参照)。
移行後のIP網の姿や移行の在り方は利用者や事業者に大きな影響を与えるものと想定されることから、2016年2月に総務大臣から情報通信審議会に対し、「固定電話網の円滑な移行の在り方」について諮問がなされ、2017年3月・9月に同審議会において答申がとりまとめられました(答申の内容や審議会における検討内容の詳細については、本ページ下部の「関連情報」を参照ください。)。
【固定電話網(PSTN)のIP網への移行イメージ】
IP網への移行により、距離に依存しない低廉な電話サービスが利用可能となるとともに、アクセス回線の光化の進展と相まってブロードバンド等の高度で多様なサービスが提供されることが考えられます。
上記答申で示された主なポイントは以下のとおりです。
「INSネット(ディジタル通信モード)」は販売情報を管理するいわゆるPOS(ポス)システム、EDI(イー・ディー・アイ)と呼ばれる企業間の電子商取引、番組中継や素材配信などのラジオ放送、カード決済端末、エレクトロニックバンキングやファームバンキングなどの電子端末による銀行取引、軽微会社への監視映像通信などに用いられています。
現在の固定電話においては、NTT東日本・西日本のメタル電話の新規契約時に取得した番号についてのみ、利用者が他の事業者へと電話サービスを切り替える場合に番号を持ち運べる「片方向」の番号ポータビリティとなっています。IP網移行後においては、固定電話においても携帯電話と同様に、どの事業者の電話サービス間でも番号を持ち運べる「双方向番号ポータビリティ」の仕組みを早期に導入する必要があるとされました。
また、緊急通報の件数・発信元について、平成28年版の警察白書によると、110番については2015年に年間約923万件の通報があり、そのうち携帯電話からの発信が約7割を占めています。また、平成28年版の消防白書によると、119番については2015年に年間約825万件の通報があり、そのうち携帯電話からの発信が約4割を占めています。
IP網への移行工程・スケジュールについて、NTTから示された考え方をなどを踏まえて、次のように整理されました。 PSTNからIP網への「設備移行」については、事業者における開発・検証や、総務省における技術基準・番号管理などの制度整備といった事前準備を経たうえで2021年1月から事業者のIP網同士を段階的に接続する設備移行を開始し、2025年1月までに完了することが必要。 メタル電話からメタルIP電話へと契約を切り替える「サービス移行」については、事業者における提供条件の詳細・利用者対応の検討や、総務省における利用者保護ルールの整備といった事前準備を経たうえで、遅くとも2022年1月にはサービス移行に係る周知を開始し、2024年1月に一斉に実施すること。 以上が答申の主なポイントです。
総務省は、固定電話網のIP網への円滑な移行が確実に図られるようにするため、上記答申を踏まえ、必要な制度整備や事業者の取組の促進などを進めています。
NTTは、固定電話網の移行に当たっては、
としています。
NTT東日本・西日本とは関係ないにもかかわらずNTT東日本・西日本と称したり、「今までの電話機が使えなくなる」などの事実に反した説明をするなどして、必要のない端末の購入・設置等の契約を強引に迫るなどの悪質な販売勧誘等にご注意ください。