疑問解消! たまごのヒミツQ&A
買う前に知っておきたい、たまごのこと
たまごに関する素朴な疑問を(一社)日本卵業協会 副会長の齋藤大天(だいてん)さんに答えていただきました。
Q1 たまごの構造について教えて。
卵殻の主成分は炭酸カルシウムです。目には見えませんが、ごく小さな穴(気孔)がたくさんあります。この穴があることでヒヨコになるときに酸素を取り入れ、炭酸ガスを吐き出すことができます。また、水分も蒸発します。殻の内側には卵殻膜と呼ばれる薄い皮があります。2重になっていて、たまごの丸いほう(鈍端部)では剥がれて気室を作ります。時間の経過とともに水が蒸発してたまごの中身が少なくなるにつれ、気室は大きくなります。
たまごを割ったときに卵黄(黄身)のまわりの盛り上がった部分の卵白を濃厚卵白といいます。そして、濃厚卵白の外側にある外水様卵白、卵黄を覆う内水様卵白は、どちらも粘性がありません。
たまごを割ったときに卵黄の頂点に少し色が違うところがあります。この部分を胚といいます。胚が精子を受精すると細胞分裂が始まってヒヨコになります。
カラザには卵黄をたまごの真ん中に固定する役割があります。また、少しねじれている部分があるため卵黄は回転することができます。胚の部分は回りよりも少し比重が軽いため胚は常に卵黄の上部にくるようになっています。カラザの成分は卵白とほぼ同じなので食べても問題ありません。カラザにはシアル酸という成分が含まれているため、捨てるのはもったいないです。
市場で売られているたまごは50から70グラムのものが多く、中身の割合はだいたい卵殻1割、卵白6割、卵黄3割となっています。
Q2 新鮮なたまごの見分け方は?
たまごの鮮度を割らないで見ることは困難です。賞味期限を見れば産卵してからどれぐらい経過しているのかがおおよそ分かります。たまごの賞味期限は生食できる期限を示したものです。現在は21日(家庭の冷蔵庫で7日間保管することを含む)を最長としています。賞味期限を過ぎたとしても、割ったときのたまごの状態に問題がないことを確認したうえで、食品全体が70度に達するよう十分に加熱調理すれば食べることができます。
【参考】(一社)日本卵業協会「表示とタマゴの安心」
http://www.nichirankyo.or.jp/ansin/amsin02.htm
Q3 たまごを生で食べるのは日本だけ?
海外にも韓国のユッケやポーランドのタルタルステーキのように生のたまごを用いる料理がありますし、香港やシンガポールでは日本発のたまごかけごはんが食べられています。日本でたまごを生で食べられるのは、食中毒菌の侵入やまん延を許さないよう、国内で生産や加工・流通において、農場や卵選別包装施設の衛生管理の強化、殻付きたまごや液卵の規格基準など、徹底した対策がとられてきたためです。消費者の意識も高く、冷蔵庫で保管し、割ったら早く食べるといった衛生管理が各家庭で行われていることも関係しています。
Q4 たまごの大きさの違いは?
たまごは、産むニワトリが成長するにつれて大きくなっていきます。そのサイズは農林水産省の規格で6つに分けられています。
Q5 たまごの殻の色が違うのはなぜ?
基本的には鶏種によりたまごの殻の色が決まります。羽毛が褐色や黒っぽいニワトリは赤玉を産み、白いニワトリは白玉を産む傾向があります。
Q6 卵黄の色が異なるのはなぜ?
卵黄の色は、ニワトリが食べている飼料によって決まります。黄色の強い草やトウモロコシが多いと黄色が強くなり、飼料用米やマイロ(飼料用穀物)などが多いと淡くなります。パプリカやカニの甲羅の色素を飼料に配合すると赤色が強くなります。卵黄の色の濃淡と栄養価には直接的な関係はありません。
Q7 たまごのおすすめの保存法は?
たまごは割る前であれば、室温においてもすぐに腐ることはありませんが、夏の暑い日などはすぐに劣化してしまいます。また、殻の表面に水滴がつくとそこからたまごの中に微生物が侵入してしまい、腐敗してしまいます。家庭では温度が一定な冷蔵庫で保存してください。置き方は殻が固い尖ったほうを下にすると割れにくくなります。
Q8 卵白が白く濁っていることがあるのはなぜ?
産みたてのたまごは卵白に多くの炭酸ガスを含んでいます。炭酸ガスが溶けていると卵白が濁って見えます。卵白が白く濁っているのはたまごがとても新鮮な状態を保っているためです。このようなたまごを使って調理することに問題はありませんが、ゆでたまごだけは違います。炭酸ガスを多く含んだたまごを茹でると卵殻膜と卵白が接着してしまいきれいに殻がむけません。また、卵白も固まりにくいためボソボソとした食感になってしまいます。ゆでたまごにするときは冷蔵庫で数日おいたたまごを使うほうがおいしく、殻もむけやすくなります。
Q9 赤い固まりがあるたまごは問題ない?
たまごがニワトリの体内で作られるときに卵管が出血し、その一部やたまごに入ったり卵黄膜や卵殻の色素の固まりがたまごに入ったりすることがあります。血が入っているものを血玉、かたまりを肉斑といいます。いずれも安全で食べても問題ありませんが、気になるときは取り除いたあと加熱調理することをおすすめします。
Q10 たまごは毎日たくさん食べても大丈夫?
かつてはたまごを食べると血中コレステロールが上昇し、心臓疾患を引き起こすと考えられていたため、1日1個までということがいわれてきましたが、近年の研究結果からあまり影響がないことがわかってきました。健康な人が1日2、3個食べてもコレステロールの異常を引き起こすことはありません。たまごはタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれている栄養価の高い食品です。また、卵黄に含まれている卵黄レシチンはいろいろな機能性を備えていることが知られています。(一社)日本卵業協会ではこの栄養価の優れたたまごを食べて健康になっていただくために、「たまご2個で、みんなニコニコ」を呼びかけるプロジェクトを展開しています。いろいろな食材をバランスよく食べることは栄養学の基本ですが、そこにたまごを1つ加えてみませんか?
【参考】(一社)日本卵業協会
http://www.nichirankyo.or.jp
column
鳥インフルエンザって何?
世界各地で発生している鳥インフルエンザは、鳥がかかる病気です。いったいどのような病気なのでしょうか。
鳥インフルエンザとはどのような病気なの?
A型インフルエンザウイルスが引き起こす鳥の病気です。家畜伝染病予防法では、ニワトリや七面鳥等(家きん)に対する病原性やウイルスの型によって、鳥インフルエンザを「高病原性鳥インフルエンザ」、「低病原性鳥インフルエンザ」などに区別しており、その中でも、「高病原性鳥インフルエンザ」は感染した鳥の致死率が非常に高い病気です。
発生した農場の家きんを殺処分するのはなぜ?
鳥インフルエンザは致死率が非常に高いだけでなく、感染力が高いことでも知られています。感染した鳥をそのままにしておくと、発生した農場だけでなく、近隣の農場にまで被害が及ぶ恐れがあります。このため、家畜伝染病予防法に基づき、鳥インフルエンザが発生した農場の家きんの殺処分、焼却または埋却、農場の消毒、発生農場を中心とした一定区域の家きんや卵などの移動制限などの防疫措置を実施します。
人間に感染する病気なの?
日本では、発生時の防疫措置を徹底的に行っているため、通常の生活では感染した鳥と接触したり、フンを吸い込んだりするような機会がほとんどなく、国内でヒトが感染する可能性は極めて低いと考えられます。
発生した地域の家きんの肉や卵は食べていい?
日本では、発生した農場において、家きんの速やかな殺処分を実施していることから、発生した農場の家きん肉や家きん卵が市場に出回ることはありません。発生した地域を含め国内の家きん肉や家きん卵を安心して食べていただければと思います。
また、これまで家きん肉や家きん卵を食べて、ヒトが鳥インフルエンザに感染した例は報告されていません。内閣府 食品安全委員会は、「我が国の現状において、鶏肉や鶏卵等を食べることにより、ヒトが鳥インフルエンザに感染する可能性はないと考える。」としています。
なお、家きん肉については十分に加熱して食べていただくようお願いします。鶏卵については、生で食べることを考えて生産されていますが、食中毒を予防する観点から、不安な方や体調の悪い方は、食品全体が70度に達するよう十分に加熱調理することをおすすめします。
【参考】
鳥インフルエンザに関する情報(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
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