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- 「基盤」と「応用」の相乗効果で未来を拓く高度AI人財育成プログラム(K-BOOST)
1.プログラム概要
九州大学の「『基盤』と『応用』の相乗効果で未来を拓く高度AI人財育成プログラム」(K-BOOST)は、科学技術振興機構(JST)が実施する「国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成事業次世代AI人材育成プログラム」事業(以下、「BOOST」)に採択された、博士後期課程学生支援プログラムです。JSTは他にもSPRINGという博士課程学生支援プログラムを実施しており、本学もK-SPRING、そしてその後継のK2-SPRINGとして採択されています。 このSPRINGが全分野の博士学生を支援対象とするのに対し、BOOSTはAI人材の育成にフォーカスしたものとなっており、本学のK-BOOSTもそれに沿っています。ただし、いわゆる情報系大学院でAIの基盤理論・技術を専門とする博士人材だけが対象ではありません。K-BOOSTでは、そうした情報系のAI人材(高度AI基盤人材)だけでなく、それらの原理を理解した上で様々な分野の課題に応用できる人材(高度AI応用人材)も支援対象と考えています。
K-BOOSTに採用された博士学生諸君は、従来の一般的な枠を超えた経済的支援を受けられます。さらに令和3年度より実施しているK-SPRING教育プログラムも活用し、専門を超えて交流・共進化できる機会が与えられます。
図1.本事業の全体像
2.事業統括挨拶
我が国のイノベーションを支える高度AI人財の育成は喫緊の課題です。まず新たな基盤理論・技術を構築できる「高度AI基盤人材」は必須です。AI分野では世界的に熾烈な競争が行われており、その結果、「昨日までできなかったことが今日できるようになる」という驚くべき進化が日々起こっています。その原動力は、数学、情報理論、機械学習理論、データサイエンスなどのAIの基礎を支える理論に加え、プログラミング理論、計算機ハードウエア、データ工学、通信などの情報基盤技術です。
AIの原理を理解した上で様々な分野の課題に応用できる「高度AI応用人材」も同様に重要です。AIを活用したタンパク質構造予測システムAlphaFoldの開発者が2024年のノーベル化学賞を受賞して世界を驚かせました。これはAI技術が生化学分野という異なる学術分野に大きなインパクトを与えたということを意味します。学術分野だけではありません。金融やコンサルティング、設計やデザイン、医療や創薬、製造やロボティクス、農水産業、そして教育や行政など、あらゆる社会インフラやビジネス分野においてAIは利活用されています。九州大学としては、わが国において様々な分野のイノベーションを支える高度AI応用人材を輩出する責務があると考えます。
K-BOOSTでは、こうした「高度AI基盤人材」や「高度AI応用人材」を目指す学生諸君の博士進学を促進し、彼らが安心して学業に打ち込めるような経済的支援を行います。これまで、才能や志ある学生諸君が経済的不安により博士進学を断念する残念なケースがありました。我が国そして九州大学としては、そうしたケースを少しでも減らしたいと考えています。彼らが博士課程という貴重なチャンスを活かし、研究に専念することでAI研究者としての「個」を確立してくれることを祈っています。
K-BOOSTは経済的支援だけではありません。AI研究者としての視野を広げてもらうためのプログラムも実施します。特に「AIリサーチプロポーザル」では、分野の異なるK-BOOST生がペアになってディスカッションを行っていただき、オリジナルの研究を立案していただきます(極力、基盤人材タイプと応用人材タイプの方がペアになるようにいたします)。 普段行っている博士研究とは異なる内容でこの研究立案を行っていただくことは、きっと自分自身の研究や才能を見つめなおす絶好の機会になると思います。楽しみにしてください。
博士課程とは、才能と志ある学生諸君が研究者としての「個」を確立する素晴らしい機会です。K-BOOSTでは、AI研究を軸として、そうした機会をまさにboostできればと考えています。K-BOOST採択生が、本プログラムを通してご自身の研究をさらにエンジョイできることを、心から願っています。
九州大学 理事・副学長 内田 誠一教授
3.カリキュラム
K-BOOSTでは、下記の4科目の履修を義務付けます。
また、K2-SPRINGで提供する各科目を履修することが可能です。
4.プログラム生としての義務
K-BOOST に採用された者は、次の1から8までの義務を全て満たす必要があります。
1. 本プログラムにて提供するカリキュラムにおける必修4科目をすべて履修すること。
2. 支援期間中に、自身の AI 研究について、学会発表や論文発表を行わなければならない(情報系学会での発表が非常に望ましい)。発表した場合は、事務局に発表論文を送付すること。なお、修了予定半年前の時点で、発表の目途が立っていない場合は、いかなる理由があっても、その時点で支援を中止とするので注意のこと(ただし、「当該論文誌が査読中」もしくは「既に論文を投稿したが、不採録となってしまった状況」であれば「目途は立っている」とみなす)。
3. あらかじめ定めた自身の研究計画に基づき、学業及び研究に努めなくてはならない。
4. 毎年度、研究の進捗状況について、事業統括に報告するものとする。なお、事業統括が求めた場合には、研究の進捗状況について必要な報告を行わなければならない。カリキュラム履修状況や研究進捗状況に問題があると判断された場合、支援中止となるので注意のこと。
5. 研究を行うにあたっては、本学が定める諸規則等を遵守し、自らの良心と良識に従って、社会の信頼と期待に応え得る研究活動の遂行に努めなければならない。
6. 本学が指定する研究倫理教育及びコンプライアンス教育を受講しなければならない。
7. 研究成果を発表する場合、本事業により助成を受けたことを表示しなければならない。
※(注記)論文中の謝辞(Acknowledgment)の記載例 (Grant No.は JPMJBS2406 です)
【英文】This work was supported by JST BOOST, Japan Grant Number JPMJBS2406.
【和文】本研究は、JST 国家戦略分野の若手研究者及び博士後期課程学生の育成事業(博士後期課程学生支援)JPMJBS2406の支援を受けたものです。
8. 育成効果(特に、我が国への貢献度など)の検証の為、本プログラム修了後、10年程度の間、本学が実施するキャリア追跡調査に協力しなければならない。
5.支援内容
1 研究奨励費:年額381万円(月額317,500円)
2 研究費:年額9万円
※(注記)本研究費は、本プログラムにおける申請者自身の独自の発想に基づく、次世代AI分野の研究開発を支援するために配分されるものです。
3 授業料:半額免除
4 支援期間:標準修業年限内
なお、月の中途から研究奨励費等の支給を開始する場合、又は、支給を停止する場合の当該月の支給額は、大学が定める基準によります。
6.継続審査
1. 毎年度末に、継続審査を実施し、次年度の継続可否を判断します。
2. 科目取得状況や年次報告書等の内容を鑑み、継続の可否を審査します。
3. 各種書類の提出状況等も審査内容に加味します。
[基準]
1年目審査:必修2科目(創発科目Aと他1科目)取得済であること。
2年目審査:必修3科目取得済であること。
3年目審査(修了判定):必修4科目取得完了していること。また、自身のAI研究について、学会発表もしくは論文発表を実施済みであること。
ただし、各年に基準以上の科目を取得する事を妨げません。
例えば、1年目に修了要件の科目を全て取得しても差し支えありません。
※(注記)上記の審査基準を満たさない場合、特段の事情がないかぎり、次年度以降の支援は打ち切られるため、十分注意ください
7.育成チーム
氏名 | 所属 役職 |
---|---|
内田 誠一 | 理事・副学長 |
君塚 信夫 | 工学研究院 主幹教授 |
横尾 真 | システム情報科学研究院 主幹教授 |
末廣 純也 | システム情報科学研究院 教授 |
倉爪 亮 | システム情報科学研究院 教授 |
稲永 俊介 | システム情報科学研究院 教授 |
瀧本 英二 | システム情報科学研究院 教授 |
備瀬 竜馬 | システム情報科学研究院 教授 |
太田 真理 | 人文科学研究院 准教授 |
川野 秀一 | 数理学研究院 教授 |
溝口 佳寛 | マスフォアインダストリ研究所 教授 |
中島 直樹 | 医学研究院 教授 |
三谷 泰浩 | 工学研究院 教授 |
冨浦 洋一 | システム情報科学研究院 教授 |
伊藤 浩史 | 芸術工学研究院 准教授 |
岡安 崇史 | 農学研究院 教授 |
8.問い合わせ
学務部学務企画課 博士支援学務係
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