特定廃棄物の埋立処分事業についてのよくあるご質問をQ&A形式でご欄いただけます。
A1.福島復興のためには、放射性物質に汚染された廃棄物の問題をできるだけ早く解決することが必要です。10万Bq/kg以下の廃棄物は、安全対策を追加して放射性物質汚染対処特別措置法に定める処分基準を満たすことにより、既存の管理型処分場で安全に処分ができます。このため、これらの廃棄物が大量に発生している双葉郡にあり、十分な容量を有している、旧フクシマエコテッククリーンセンターを選定しました。
A2.国が現地事務所を設置し、現場責任者を常駐させて直接管理します。
A3.放射性物質汚染対処特別措置法の基本方針において、指定廃棄物の処理は当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うこととされていることから、他県においても各県内での処理をお願いしています。したがって、旧フクシマエコテッククリーンセンターでは、福島県内で発生した廃棄物のみを処分します。
A4.10万Bq/kg以下の廃棄物は、放射性物質汚染対処特別措置法の処分基準に基づき、既存の管理型処分場を活用して、安全に処分することが可能です。被ばく線量を評価した結果、処分場の境界に一時的に立ち入ったと仮定しても、あるいは、処分場の近くに居住した場合でも年間1mSvを大きく下回ることを確認しています。
A5.遮水シートは、遮光マットを敷設するなど適切に管理した場合、100年程度は遮水機能を維持できると評価されています。また、仮に耐用年数を過ぎてもすぐに機能が低下するわけではありません。
全ての安全性を遮水シートに委ねることは考えておらず、セメント固型化・雨水の排除・ゼオライト吸着塔による多重の安全対策を実施する計画です。遮水シートは処分場底面に二重に設置してあります。また、損傷を検知するシステムを設置しており、定期的に損傷の有無を確認することとしています。
A6.遮水シートが破損した場合、検知システム等により速やかに漏水箇所を特定し補修します。
仮に、処分場の底面に遮水シート及び岩盤が全くない条件で地下水経路の被ばく線量を評価した場合でも、追加被ばく線量は最大年間0.27マイクロシーベルトとなり、周辺公衆の追加被ばく線量の目安である年間1ミリシーベルト(埋立完了後は年間10マイクロシーベルト)を大きく下回ります。
A7.処分場に搬入する廃棄物については、全て角形収納容器等の収納容器を用いて搬入します。
また、搬入された廃棄物は、容器のまま埋め立てし、一日の作業が終了した時点で、覆土またはシートなどにより開口部を覆うことで飛散防止対策を講じます。
A8.処分場での埋立作業にあたっては、必要な区画のみキャッピングシートを剥がして作業を実施し、その他の区画は常時キャッピングシートで覆うこととしています。
そのため、急に本格的な降雨が始まった場合でも、速やかに埋立作業中の区画をキャッピングシートで覆い、埋立廃棄物層への雨水の浸透を抑制することができます。
A9.埋立区画には、排水勾配を設けた上でキャッピングシートを敷設し、下流側に釜場を設置します。釜場に雨水を集めて水質確認を行い、廃棄物に由来する汚濁物質や放射性物質の溶出がないことを確認後、雨水として洪水調整池に排水します。
汚濁物質や放射性物質が溶出しているおそれがある場合には、浸出水処理施設で浸出水として適切に処理します。
A10. 現在配置しているゼオライト吸着塔は浸出水処理施設の日処理量と同じ処理能力(150m³/日)を有しています。また、処理水貯留槽は4槽あり(800m³)、浸出水調整槽はその86倍の容量(12900m³)を有しています。ゼオライト吸着塔の処理能力・浸出水処理施設の容量は十分に確保されているため、万一放流前に行うこととしている水質検査で、放射性セシウムが基準を超えて検出された場合でも、必ず基準値以下まで放射性セシウムを除去した上で放流することが可能です。
A11.輸送する廃棄物は、収納容器に封入したうえで、遮水シートで覆うなど、飛散防止対策を講じます。
また、輸送経路の近傍で、定期的に大気中の浮遊粉じんをモニタリングするなど、周辺環境が汚染されないよう監視します。
A12.文部科学省が実施した土壌調査の結果から、放射性プルトニウム及び放射性ストロンチウムの濃度は事故前の土壌中の濃度の範囲内に収まるレベルであることが確認されています。
また、環境省が実施した福島県内で発生した焼却灰の調査結果からも、放射性ストロンチウム濃度は放射性セシウム濃度の数百分の1から数千分の1と極めて低いことが確認されています。
したがって、放射性セシウムを対象として丁寧にモニタリングすることが重要であると考えています。
A13.従来の管理型処分場としての環境モニタリングに加え、モニタリングポストによる連続測定も含む空間線量率の測定や放流水の放射能濃度などのモニタリングを丁寧に行います。また、地元住民の方々からの要望も踏まえ、地下水の放射能濃度と、処分場の空気中放射能濃度についても連続的に測定し、監視します。
モニタリング項目や地点の選定にあたっては、安全のためのモニタリングのみならず、安心のためのモニタリングも行うべく、住民説明会や全員協議会等でいただいたご意見・ご要望を反映させています。
A14.粉じんが発生する処理工程については、集じん機や二重扉などを設置し、放射性物質を含む飛灰等が周辺環境に飛散しないように対策を講じた屋内で行い、放射性物質に汚染された粉じん等が外部に飛散することのないように管理をします。
また、セメント固型化施設からは排ガスや排水は発生しませんので、ダイオキシン類が外部に拡散することはないと考えています。
A15.万が一、事故が発生し、周辺環境に被害が生じた、又は、生じるおそれのある場合には、速やかに被害防止の拡大や現状復旧等の必要な措置を講じる等、国が責任をもって対応します。正確な情報を示すことで風評被害が発生しないようにすることが大事であり、まずは、施設の安全性やモニタリング情報の公開等により、風評被害の未然防止に万全を尽くします。風評被害が生じた場合には、国として責任をもって、可能な限りの対策を講じます。
A16.この処分場は、強固な岩盤の上に設置されています。東日本大震災でも、処分場内の主要施設に被害はありませんでした。
また、今回の埋立処分計画については、様々な厳しい条件を設定した上で、埋立法面の安定計算を行い、安定性が確保されていることを確認しています。実際の埋立にあたっては、既存の廃棄物層の支持力を面的に丁寧に確認し、必要な場合にはセメント混合改良を行うなどの対策を講じます。
A17.この処分場は、分水嶺に近い場所に設置されており、流域面積が小さいため、集中豪雨の影響を受けにくい立地環境にあります。雨水については、埋立地周縁に設置した雨水集排水溝を経由し、洪水調整池を通じて放流します。また、埋立区画の全域をキャッピングシートで覆うことにより、埋立地内への雨水の浸入を防ぎます。さらに、土堰堤はモルタル被覆等を実施することにより、法面の崩壊を防止します。
A18.非常用電源を用いて、ポンプにより浸出水を調整槽へ送水し、一時的に貯留させるなどの対策を講じることにより、埋立地内に浸出水が長く滞水することを防止します。電源復旧後、一時貯留した浸出水を処理します。