延享
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延享(えんきょう、旧字体:延󠄂享)は、日本の元号の一つ。寛保の後、寛延の前。1744年から1748年までの期間を指す。この時代の天皇は桜町天皇、桃園天皇。江戸幕府将軍は徳川吉宗、徳川家重。
改元
[編集 ]今回は改元の予定は決まっていたものの、候補が絞り切れず、幕府には7つの案を出してそのうち「天明」「延享」「宝暦」を推挙する形を取った。これに対して幕府は「延享」を推して「宝暦」を次点としたため、その意向に従って改元を行った[1] 。
出典
[編集 ]『芸文類聚』の「聖主寿延、享祚元吉」から。
延享年間の出来事
[編集 ]人形浄瑠璃が最盛期を迎え、いわゆる三大名作のうち『菅原伝授手習鑑』と『義経千本桜』の2作が延享年間に、『仮名手本忠臣蔵』も改元直後の寛延元年8月に初めて上演された。一方、延享4年頃から寛延年間にかけて、全国的に百姓一揆や打ちこわしが頻発するようになった[2] 。
- 寛保4年/延享元年
- 延享2年
- 2月12日:六道火事。死者1323人。焼失家屋2万8000棟[6] 。
- 2月:福島藩29ヶ村の百姓が減免と、豪農・豪商の非道を訴え強訴[6] 。
- 5月:竹内徳兵衛ら多賀丸の漂流民11名が占守郡の温禰古丹島に漂着。
- 8月21日:『夏祭浪花鑑』(人形浄瑠璃)大阪・竹本座で初演。
- 9月25日:徳川吉宗、将軍職を辞し、西の丸に移る(大御所)。
- 11月18日:刈谷藩の百姓、前藩主三浦義理の移封先、三河国 西尾城に押し寄せる。先納金の返還を求めてのことだった[7] 。
- 11月:徳川家重、第9代将軍宣下。
- 二本松藩、人口増加をねらいとした赤子養育制度「出生撫育法」を布達[6] [8] 。
- 大坂堂島で、手旗信号が試みられる[9] 。
- 元文4年(1739年)に禁止された豊後節が再び流行[9] 。
- 延享3年
- 延享4年
- 3月21日:日本左衛門処刑。
- 3月:桑折藩が廃藩。代官所が置かれ、半田銀山が幕府の直轄となる[12] 。
- 5月2日:桜町天皇が譲位。桃園天皇践祚。
- 5月13日:上山騒動、五巴徒党一揆。上山藩で、町人による打ちこわしや百姓による強訴が発生[7] 。
- 7月15日:青木昆陽、評定所儒者に就任[7] 。
- 7月:大垣藩「延享の永御暇」。財政の悪化により11月までに家中177名をリストラ [7]。
- 8月15日:細川宗孝殺害事件。江戸城殿中で旗本板倉勝該が熊本藩主細川宗孝を刺殺。
- 9月6日:大洲藩、藩校「止善書院明倫堂」を創設[7] 。
- 9月15日:田沼意次、小姓組番頭格に就任[7] 。
- 11月:『義経千本桜』(人形浄瑠璃) 同上。
- 『庶物類纂増補』完成。全54巻。
- 延享5年/寛延元年
誕生
[編集 ]死去
[編集 ]- 元年 石田梅岩(享年60)
- 2年 八文字屋自笑(作家 享年不明)
- 3年 松平乗邑(江戸幕府老中 享年60)、富永仲基(学者 享年31)、松岡恕庵(儒者、本草学者 享年78)
- 4年 太宰春台(儒者 享年68)、寺坂吉右衛門(享年83)、初代竹田出雲(劇作家 享年不明)
- 5年 下村彦右衛門(商人 享年60)
西暦との対照表
[編集 ]※(注記)は小の月を示す。
延享元年(甲子) | 一月※(注記) | 二月 | 三月※(注記) | 四月 | 五月※(注記) | 六月※(注記) | 七月 | 八月※(注記) | 九月※(注記) | 十月 | 十一月 | 十二月※(注記) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
グレゴリオ暦 | 1744/2/14 | 3/14 | 4/13 | 5/12 | 6/11 | 7/10 | 8/8 | 9/7 | 10/6 | 11/4 | 12/4 | 1745年1月3日 | |
ユリウス暦 | 1744年2月3日 | 3/3 | 4/2 | 5/1 | 5/31 | 6/29 | 7/28 | 8/27 | 9/25 | 10/24 | 11/23 | 12/23 | |
延享二年(乙丑) | 一月 | 二月 | 三月 | 四月※(注記) | 五月 | 六月※(注記) | 七月※(注記) | 八月 | 九月※(注記) | 十月※(注記) | 十一月 | 十二月 | 閏十二月※(注記) |
グレゴリオ暦 | 1745/2/1 | 3/3 | 4/2 | 5/2 | 5/31 | 6/30 | 7/29 | 8/27 | 9/26 | 10/25 | 11/23 | 12/23 | 1746年1月22日 |
ユリウス暦 | 1745年1月21日 | 2/20 | 3/22 | 4/21 | 5/20 | 6/19 | 7/18 | 8/16 | 9/15 | 10/14 | 11/12 | 12/12 | 1746年1月11日 |
延享三年(丙寅) | 一月 | 二月 | 三月※(注記) | 四月 | 五月※(注記) | 六月 | 七月※(注記) | 八月 | 九月※(注記) | 十月※(注記) | 十一月 | 十二月 | |
グレゴリオ暦 | 1746/2/20 | 3/22 | 4/21 | 5/20 | 6/19 | 7/18 | 8/17 | 9/15 | 10/15 | 11/13 | 12/12 | 1747年1月11日 | |
ユリウス暦 | 1746年2月9日 | 3/11 | 4/10 | 5/9 | 6/8 | 7/7 | 8/6 | 9/4 | 10/4 | 11/2 | 12/1 | 12/31 | |
延享四年(丁卯) | 一月※(注記) | 二月 | 三月※(注記) | 四月 | 五月 | 六月※(注記) | 七月 | 八月※(注記) | 九月 | 十月※(注記) | 十一月 | 十二月※(注記) | |
グレゴリオ暦 | 1747/2/10 | 3/11 | 4/10 | 5/9 | 6/8 | 7/8 | 8/6 | 9/5 | 10/4 | 11/3 | 12/2 | 1748年1月1日 | |
ユリウス暦 | 1747年1月30日 | 2/28 | 3/30 | 4/28 | 5/28 | 6/27 | 7/26 | 8/25 | 9/23 | 10/23 | 11/21 | 12/21 | |
延享五年(戊辰) | 一月※(注記) | 二月 | 三月 | 四月※(注記) | 五月 | 六月※(注記) | 七月 | 八月 | 九月※(注記) | 十月 | 閏十月※(注記) | 十一月 | 十二月※(注記) |
グレゴリオ暦 | 1748/1/30 | 2/28 | 3/29 | 4/28 | 5/27 | 6/26 | 7/25 | 8/24 | 9/23 | 10/22 | 11/21 | 12/20 | 1749/1/19 |
ユリウス暦 | 1748年1月19日 | 2/17 | 3/18 | 4/17 | 5/16 | 6/15 | 7/14 | 8/13 | 9/12 | 10/11 | 11/10 | 12/9 | 1749年1月8日 |
脚注
[編集 ][脚注の使い方]
- ^ 久保貴子「改元にみる朝幕関係」『近世の朝廷運営-朝幕関係の展開-』(岩田書院、1998年) ISBN 4-87294-115-2 P249-251
- ^ 遠藤 2017, pp. 210–211.
- ^ a b c d 山本 2007, p. 118.
- ^ a b 遠藤 2017, p. 207.
- ^ 酒井シヅ (2014). "日本における人痘接種の意義". 日本醫史學雜誌 60 (2): 217. http://jsmh.umin.jp/journal/60-2/ippan/60-2_217.pdf .
- ^ a b c d e f g 山本 2007, p. 120.
- ^ a b c d e f g h i j 山本 2007, p. 122.
- ^ 高橋 1998, p. 42.
- ^ a b 遠藤 2017, p. 208.
- ^ 防災情報新聞社. "2016年4月の周年災害〈上巻〉/日本の災害・防災年表(「周年災害」リンク集)". 防災情報機構. 2021年12月21日閲覧。
- ^ 山本に 2007, p. 120.
- ^ 遠藤 2017, p. 210.
- ^ 遠藤 2017, p. 211.
参考文献
[編集 ]- 遠藤元男『江戸時代年鑑 雄山閣アーカイブス資料篇』雄山閣、2017年4月25日。ISBN 978-4-639-02482-8。
- 高橋美由紀 (1998). "近世の「人口施策」 : 二本松藩赤子養育仕法の検討". 人口学研究 23: 41-53. ISSN 0386-8311 . https://doi.org/10.24454/jps.23.0_41 .
- 山本博文, ed (2007年10月10日). 見る、読む、調べる 江戸時代年表. 小学館. ISBN 978-4-09-626606-9
注1:前の数字は番号。南北朝時代の「南」は南朝、「北」は北朝の元号を指す。慣例に従い南朝を正統とする。 注2:後の数字は元年と末年。源氏政権の「寿永」は元年でなく使用開始年を記し、「正平」は南北統一の年と再分裂の年、「観応」は復活の年、「明徳」は統一の年も記す。 注3:月日を含む換算では赤背景の西暦に1を加算する。 | |||||||||||||
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