メラニオーン
メラニオーン(古希: Μελανίων, Melaniōn[1] [2] )あるいはメイラニオーン(Μειλανίων, Meilaniōn[3] [4] [5] 、ラテン語: Milanion[6] [7] )は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してメラニオン、メイラニオンとも表記される。アルカディアー地方のアムピダマースの子で、アンティマケーと兄弟。女狩人として名高いアタランテーと結婚し[4] [8] 、パルテノパイオスをもうけた[8] [9] [2] 。
神話
[編集 ]メラニオーンはケンタウロスであり英雄たちの教師ケイローンの弟子であり、困難に立ち向かう意志において他の弟子を凌ぐとされた[4] 。碑文によると、メラニオーンはカリュドーンの猪狩りに参加した[10] 。またイオールコス王ペリアースの葬礼競技に参加したことや[11] [注釈 1] 、ケンタウロスのヒュライオスの棍棒[12] あるいは弓矢で傷を負わされたことが知られている[13] [注釈 2] 。
アポロドーロスによるとメラニオーンは従姉妹にあたるアタランテーに恋をした。アタランテーには多くの求婚者がいたが、彼らと結婚を賭けて徒競走で勝負し、負かした者を殺していた。そこでメラニオーンは愛と美の女神アプロディーテーから黄金の林檎を授かって、彼女と徒競走した際にアタランテーが自分を追い抜こうとすると、背後に林檎を投げて注意を逸らし、その隙にアタランテーに先んじてゴールした[8] 。こうしてメラニオーンは競技に勝利してアタランテーと結婚し、パルテノパイオスをもうけた[8] 。ただしパルテノパイオスの父親については異説もあり、軍神 アレースとも[8] 、メレアグロスとも言われる[15] [16] [17] 。
後にメラニオーンとアタランテーはゼウスの神域に入って交わったため、ライオンの姿に変えられたという[8] 。オウィディウスやヒュギーヌスでは、アタランテーに徒競走で勝利し、結婚したのちライオンに変えられたのは、メガレウスの子ヒッポメネースとなっている[18] [19] 。
パウサニアースによると、コリントスの僭主 キュプセロスがオリュムピアのゼウス神殿に奉納した「キュプセロスの箱」には、メラニオーンがペリアースの葬礼競技に参加する姿や[11] 、子鹿を連れたアタランテーとともにいる姿が彫刻されていた[20] 。
系図
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その他の人物
[編集 ]脚注
[編集 ]注釈
[編集 ]出典
[編集 ]- ^ アポロドーロス、3巻9・2。
- ^ a b パウサニアース、3巻12・9。
- ^ "クセノポーン『狩猟について』1巻2". Perseus Digital Library. 2022年7月16日閲覧。
- ^ a b c "クセノポーン『狩猟について』1巻7". Perseus Digital Library. 2022年7月16日閲覧。
- ^ a b スミュルナのクイントゥス、8巻119行-128行。
- ^ オウィディウス『恋の技法』2巻188行。
- ^ プロペルティウス、1巻1・9。
- ^ a b c d e f g アポロドーロス、3巻9・2。
- ^ アポロドーロス、3巻6・3。
- ^ Corpus Inscriptionum Graecarum , 8139, 8185a.
- ^ a b c パウサニアース、5巻17・10。
- ^ プロペルティウス、1巻1・13。
- ^ オウィディウス『恋の技法』2巻188行以下。
- ^ アイリアーノス、13巻1。
- ^ ヒュギーヌス、70話。
- ^ ヒュギーヌス、99話。
- ^ ヒュギーヌス、270話。
- ^ オウィディウス『変身物語』10巻605行。
- ^ ヒュギーヌス、185話。
- ^ パウサニアース、5巻19・2。