原発事故と甲状腺
1986年、旧ソビエト連邦(現:ウクライナ)のチョルノービリ(チェルノブイリ)で起こった原子力発電所(原発)事故では「放射性ヨウ素」が空気中に放出され、それをたくさん取り込んだ子どもたちから甲状腺がんが発見されました。福島県でも2011年に原発事故が発生したことで、甲状腺がんになる子どもが増えるのではないかと心配されました。そこで、福島県では事故当時県内に住んでいた子どもたちの健康を見守るという目的で甲状腺検査を始めることとなりました。
ただし、福島では原発事故による健康被害はほとんど起こらないだろうと考えられています。その理由は、福島とチョルノービリに次のような違いがあるからです。
福島とチョルノービリの違い
- 放射性ヨウ素の放出量
- 避難と食品の規制
- 日常のヨウ素の摂取量
福島で放出された放射性ヨウ素はチョルノービリと比べるとかなり少ない。
甲状腺とヨウ素
出典:UNSCEAR 2020年/2021年報告書 表B1から抜粋し作成
日本では、事故直後すぐに避難や食品に対する規制を行ったため、体内に放射性ヨウ素が取り込まれるのを最小限に抑えることができた。
日本食にはヨウ素が多く含まれている(※(注記))ため、日本人の甲状腺には放射性ヨウ素が入りにくい。
甲状腺とヨウ素
※(注記)Q.なぜ日本食にはヨウ素が多い?
A.ヨウ素は昆布やひじき、海苔などの海の食べ物に多く含まれています。日本では、みそ汁などの食事からヨウ素を摂取する習慣があります。
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福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター
〒960-1295 福島県福島市光が丘1番地
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