本校では、学習科目の3分の1が専門的科目になります。入学して初めて学ぶ専門科目3つを紹介します。
商業科目について
商業高校で学ぶ専門科目とは?
「簿記」〜経理を勉強するための最初のステップ〜
「簿記」って「帳簿に記録する」と書きますが、入学して最初に学ぶ専門科目です。
商店や会社などの企業は、商品を仕入れたり、販売したり、また、広告宣伝を行ったり、従業員に給料を支払うなど、実にさまざまな活動を行っています。
「簿記」とは、このような活動について一定のルールに従って帳簿に、記録したり、計算したり、整理したりする技術のことを言います。この記録がきちんと行われていないと、いったいいくら儲かったのか、また、どのくらい財産を持っているのかがわからなくなってしまいます。
だから、各会社には必ず「経理」を担当する事務の方がいます。また、その会社が正確に経理を行っているか調べたり、アドバイスを行ったりする方もいます。簿記を学習することで、一般事務職や税理士、公認会計士という道が開けます。
「ビジネス基礎」〜商業の基礎基本はここで学びます〜
1年生で必ず学習する科目です。商業で学習するすべての基礎基本がこの科目につまっており、3年間商業を学ぶためのベースとなる科目です。
まず、はじめに商業を学ぶ目的は何か、そしてどのような態度で学習していけばよいのかについてガイダンスを行います。中学校を卒業して、商業科目を学習するのは誰でもはじめは不安になりますが、この科目できっちり学習の仕方や商業の学習分野について説明がありますので安心です。
「情報処理」〜IT社会ではとても重要な学びです〜
小中学校でも、タブレット等を用いて学習に臨んでいますが、会社ではパソコンに関する知識・技術は基本的なスキルになります。
ワープロ、表計算、プレゼン、データベースといったオフィスソフトに加え、プログラミング、動画編集、ネットワーク管理など実務で必要となる学習に取り組みます。
「商業」の語源について(諸説あり)
「商業」の語源を調べてみると、紀元前11世紀に周によって滅ぼされたと殷(いん)の国が出てきます。この殷の国は、『商』とも呼ばれていたことから、国を追われた商の国の人は『商人』と呼ばれ、中国全土に散らばり、様々な取引に携わった商の国の人の生業を『商業』と呼ぶようになったと言われています。
各地を渡り歩き、初めて出会う人にモノを売っていた『商人』は、人との信頼づくりに努め、人と人、人とモノを結びつける重要な役割を担っていました。その後に作り出された英語では、商業を「Commercial」と表しますが、「com」は、共にあるということでお互いが交わることを意味しており、「merce」は、ギリシア神話で出てくる商業と旅の神であり、神々の伝令役という重要な任務を担った「ヘルメス(英語名:マーキュリー(mercury)」が語源のようです。
「商業」を学ぶ私たちは、この言葉に込められた 互いに信頼し合うこと、理解しあうことを大切にしていきたいと思います。
福沢諭吉氏の言葉から「商業教育」の重要さを知る
明治6年(1873年)に米国の複式簿記の入門書を翻訳し、「帳合之法」を出版した福沢諭吉氏が実学の重要さを次のように述べています。
「日本の教育がなに故にかくも齟齬したるやと尋ねるに、その教育を人間世界に用うるの工夫を忘れたるの罪なりと答えざるを得ず(日本の教育は何でこんなに食い違ってしまったんだと尋ねてみると、いかに勉強しても、それを世の中に役立つようにするという、その気持ちを忘れていることが日本の教育がこのように食い違ってしまった理由である)。
これは、学びを実用性のあるものにしなければ、日本の近代化は実現できないという福沢氏の強い気持ちが込められており、現代にも通じる言葉でもあると思います。
実学を学ぶ商業教育は、今後とも、地域の将来を担う人材、「商」の人の育成に取り組んでいきます。