Nature Net:暮らしの引き出し

[フレーム]
[画像:魔法の白い布]

ベッドの生活をしているのに、ベッドメイキングのことを知らないという人は多いと思います。格式あるホテルに泊るのは、そういうことを知るうえで絶好の機会です。どうしてあんなに何枚ものリネンが必要なのでしょうか。

考えてみれば、たくさんの人が次々に宿泊するホテル、見知らぬ人の寝たベッドに寝るなんて、言葉にすると気持ち悪いと思いますよね。なのにシワひとつない真っ白のリネンが整ったベッドを見て、清潔感を受けることはあっても、前夜に誰が寝たかなんて想像する人はいないでしょう。これぞ白い布の持つ不思議な力です。

では、ベッドにはどのようなものがどのように重なっているのでしょう。

ベッドのフレームには、バネなどでクッション性を持たせたマットレスがついています。この上に、マットレスのバネなどをからだに直接感じさせないよう、緩衝の役目と、湿気を吸収して発散する役目を兼ねたパッドを敷きます。その上にベースシーツ(敷布)を広げて、マットレスとパッドを包むように四辺を折りこみます。その上からカバーシーツ(覆い布)を掛けます。人はその2枚のシーツの間に滑りこんで眠りますから、ずれないように足もとをマットレスの下に折りこみます。

カバーシーツの上にはブランケット(毛布)もしくはデュヴェ(羽毛)を載せます。これらの保温を目的とする動物性の繊維や羽毛は、同じものを何日も使うので、顔や肌に直接触れないよう、先ほどのカバーシーツを胸元で折り返すわけです。さらにその上からスプレッド(掛布)で覆います。枕はすべてピローケース(枕カバー)で覆います。

さあ、これで肌に直接触れたり、目に見える部分はすべて真っ白の布で覆いつくされました。ちなみにシーツやピローケースなどのベッドリネンは、ひと揃いに仕立てられたものを使うのがフォーマルなベッドメイキングです。次号は、家庭の気持ちいいベッドのアレンジのしかたを考えます。

サイドメニュー トップ 関連コラム もうひとこと

  • その昔、ヨーロッパではリネンといえば、すなわち白い布のことを意味しました。いまでも直接口や肌に触れるもの、清潔を保つためのものに白い布を用いる理由は、汚れが目立つからです。汚れが目立つということには、どういった利点があるのでしょうか? ほんの少しの汚れやシミ、黄ばみ、ほころびなどをひと目で発見できるため、すばやく対処できます。洗っても完璧に落ちていない部分も、白ならひと目で判別できます。こういった対処の最終手段として漂白剤を使ったり、殺菌のために煮沸しなければならないときでも、白であればまとめて行っても色移りや色落ちの心配をする必要がありませんね。潔癖の象徴である白は、同時に安らぎや信頼の証しでもあるわけです。

  • ベッドにも正装という考え方があります。ヨーロッパのリネン専門店では、亜麻やシルクなどの高級な素材に装飾を施して、ひと揃いに仕立てています。格式ある家では花嫁道具としてひと揃いのシーツを6組、あるいは12組も持ってゆきます。ピローケースやカバーシーツなどに持ち主のイニシャルを刺繍したモノグラムはその典型ですが、ほかにも伝統的なステッチやラインを入れたり、花や動物のモチーフをアレンジして、ベッドメイキングしたときにひとつの美しいパターンを構成するするように仕立てられたものがあります。その方法やサイズはお国柄によってもさまざまですが、いずれも白いリネンのフラットシーツが正統です。
サイドメニュー ボトム
NatureNetは 株式会社青木コンセプト事務所 が発行するオンライン・マガジンです

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /