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[画像:畳の上も悪くない]

ベッドルームはホコリの立ちやすいところです。ベッドメイキングするときには、シーツや毛布の綿ぼこりが舞う。寝起きするにも、パジャマを着たり脱いだりするにも、カーテンの開け閉めにも綿ぼこりは発生します。これらは繊維が摩擦によって切れぎれになり、空気中に浮遊するもので、麻、綿、毛などの天然素材を使っているかぎりは、紡いだ繊維の宿命なので防ぎようがありません。このような場所にはどんな床がふさわしいのでしょう。

コルクや木素材のフローリングは、床そのものがホコリの原因にならないことから、一時期はとても人気がありました。けれど実際にはホコリが床の上を這うので、掃除機をかけると舞い上がって、かえってよくないとの理由で敬遠する人もいます。あながちまちがいとはいえないけれど、理不尽な評価ですね。だいいち、フローリングに掃除機をかけるのはふさわしくありません。かた絞りの雑巾かモップ、シートつきワイパー、あるいはワイパーブラシをかけて拭き取ります。

風通しがいいことが条件のベッドルームでは、舞い降りたホコリをふたたび空中に舞い上がらせないために、それを吸着するものが必要です。その意味でカーペットは理想です。カーペットに付着したホコリを除去するには、強力な吸引力を持つ掃除機、あるいは手作業でブラッシングによる掻き取りのいずれかに頼らなければなりません。

風通しよくホコリを舞い立たせずクッション性も防音効果もあって......と考えてゆくと、畳は理想の条件をクリアします。日本人の歴史観では、畳に脚つきベッドの組み合わせは抵抗があるかもしれませんが、国際的感覚ではタタミマットはなかなかに端正な床材です。和室をベッドルームにあてる場合、あえて、既に敷いてある畳を剥がしてまで他の床材に張り変える必要はないし、障子ごしの柔らかな光もすてきです。そのほかには、紙を撚って織ったペーパーコードや竹、い草などを麻の経で織った敷物やサイザル麻やジュートなどのカーペットは、通気性がよく、ベッドルームに適しています。

すでにフローリングの場合には、上記の素材でベッドよりひと回り大きいサイズを敷物として置くアイデアはいかがですか?

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  • 細い繊維がより合わさって1本の糸となり、この糸が、経(たていと)と緯(よこいと)として織られたものが、布です。布を着て洗うことを繰り返すうちに、糸のよりはゆるみ、もろく弱く柔らかくなって摩耗して一生を終えます。ジーンズを思い出してください。新品はごわごわして、履き心地がいいとはいえません。しばらくたつと、こなれて、シワのできる部分が柔らかくなって色も褪せてきます。その後全体に柔らかく履き心地が良くなると、今度は膝やお尻などの摩耗するところから薄くなって破れてきます。摩耗するたびに繊維が切れ切れになって抜け落ちるからです。抜け落ちる繊維はごく細く短く、宙に舞うほど軽い。これが綿ぼこりです。天然繊維でも絹糸は例外で、ひとつの繭から800〜1,200メートルの長い糸がとれるために、よほど古いものでない限り、ホコリは出ません。
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