青梅雨や齢ただよふごとくあり
神蔵器
風土
199808
青梅雨の水ナ輪混みあふ遊鯉かな
大橋敦子
雨月
199808
青梅雨やとかげの耳がみつからない
寺田良治
船団
199812
青梅雨の淵に灯ともるごとき鳥
野中亮介
馬醉木
199902
青梅雨や目にちらほらと姫女苑
阿部ひろし
酸漿
199908
青梅雨の梓湖かこむ青嶺かな
阿部ひろし
酸漿
199908
青梅雨や捨身の恋の罪ひとつ
鈴鹿仁
京鹿子
199908
青梅雨や太古の森の気を貰ふ
斎藤珠子
遠嶺
199909
青梅雨や小さき胡座に本をのせ
笹家栄子
澪
199909
青梅雨や己れひたすら宥めては
斎藤珠子
遠嶺
199910
青梅雨や蘆辺のとりのこゑ細し
邑橋節夫
遠嶺
199910
青梅雨を来てベネチアングラス展
山路紀子
風土
199910
青梅雨や昼暗がりの水車茶屋
葛馬房夫
雨月
199910
青梅雨や流木に知るものゝ果て
能村登四郎
芒種
199911
青梅雨や褌白ければ部屋に干す
五十嵐研三
海程
199912
青梅雨の青を呑みたるごと濡るる
深澤鱶
ヒッポ千番地
200004
青梅雨の大宇陀の夜を寝落ちけり
大橋敦子
円虹
200008
青梅雨や不満の心包みをり
福田みさを
いろり
200008
青梅雨に滾つ坂東太郎かな
阿部ひろし
酸漿
200008
青梅雨の海より上がりたる女
田畑幸子
火星
200009
青梅雨や天守閣までスリッパで
飯塚ゑ子
火星
200009
シューベルト聴く青梅雨の日曜日
木村杏子
雨月
200009
青梅雨や老犬の眼のたぢろがず
小島とよ子
遠嶺
200011
青梅雨は推す長身尼僧らの首筋
五十嵐研三
海程
200012
青梅雨に首上げ廊下拭く僧だ
五十嵐研三
海程
200012
青梅雨の底けぶりゆく最上川
森岡正作
沖
200101
青梅雨のベランダの鉢乾きけり
木野本加寿江
火星
200107
青梅雨を来し人の背や懺悔室
外川玲子
風土
200108
青梅雨の山深く来て小六櫛
武井美代子
風土
200108
どこよりか青梅雨の夜は藻の香せり
能村登四郎
沖
200108
青梅雨や流木に知るものゝ果
能村登四郎
沖
200108
一隅のベンチ人居て青梅雨に
保坂加津夫
いろり
200108
青梅雨をよしと白杖たづさへり
村越化石
濱
200108
青梅雨の橋の眺めも枳殻邸
西村和子
知音
200108
青梅雨や萩の城下の築地塀
芝尚子
あを
200108
青梅雨やコントラバスは大男
深澤鱶
火星
200109
青梅雨やはぐれ雀が四阿に
菅美緒
百鳥
200109
青梅雨や八一旧居の煉瓦塀
森重夫
春耕
200109
青梅雨や法螺貝磨く御師の妻
阿久津都子
春耕
200109
青梅雨や木の香を放つおどけ猫
金子里美
船団
200110
青梅雨や一と日読書に費して
長山野菊
雲の峰
200206
御仏の世へ青梅雨の扉をひらく
斎藤道子
馬醉木
200208
青梅雨や振り返り見るポプラ坂
高野美佐子
雲の峰
200208
青梅雨や物を書いては目頭揉み
広渡紀子
朝
200208
青梅雨や李朝水滴口繊く
村上光子
馬醉木
200209
青梅雨や大総門の車止
関口幹雄
遠嶺
200209
青梅雨の浜辺にさがす桜貝
岡久枝
酸漿
200209
青梅雨や流澄みたる五十鈴川
岡久枝
酸漿
200209
青梅雨の合宿更けてゆきにけり
平田倫子
百鳥
200210
青梅雨や湯の香のにほふ髪を梳く
浜麻衣子
六花
200210
青梅雨や手鏡ほどの道路鏡
佐藤佐代子
朝
200210
青梅雨の本陣和宮寄りし
品川鈴子
ぐろっけ
200306
青梅雨の湯槽溢るる檜の香
水原春郎
馬醉木
200307
死者を言あぐ青梅雨の止まり木に
伊藤白潮
鴫
200307
青梅雨や鳥影失せしサンクチュアリ
大沢美智子
沖
200309
病む犬の眼の澄み青梅雨胸騒ぎ
宮川みね子
風土
200309
青梅雨の中モノレール大曲り
内山定子
築港
200309
青梅雨に鑑真和上朱の唇
長崎豊子
ぐろっけ
200309
青梅雨の浮島めけり后陵
丸山照子
火星
200311
青梅雨の元湯鋭き香を放つ
水原春郎
馬醉木
200408
青梅雨の欅大樹を見てをりぬ
中村洋子
風土
200408
青梅雨や鉄錆しるき湯本坂
高野清風
雲の峰
200408
青梅雨や始祖の達磨の目の光り
加地芳女
雨月
200409
青梅雨に田の神目鼻なかりけり
岩上とし子
鴫
200410
青梅雨の垣より垣へ四十雀
伊藤一枝
酸漿
200508
青梅雨やギプスの中に脛細る
淵脇護
河鹿
200509
青梅雨をがばりと鯉の返りけり
蓮尾あきら
風土
200509
青梅雨や「田園の憂鬱」碑の立つ
志村秀子
風土
200509
青梅雨やカチューシャ像の涙あと
小林優子
酸漿
200509
青梅雨や不戦を誓ふ慰霊の日
沼口蓬風
河鹿
200510
青梅雨や古塔はいよよ匂ひ立つ
鷹羽狩行
狩
200606
青梅雨や寂びて威を張る鬼瓦
秋葉雅治
沖
200608
青梅雨の燭まつすぐに阿弥陀堂
宇都宮滴水
京鹿子
200608
青梅雨や天金高雅美麗本
生方義紹
春燈
200609
青梅雨の夜の大阪観覧車
大山文子
火星
200609
青梅雨に浮かぶ二階の窓に顔
丸山照子
火星
200609
青梅雨の森や魚となりてをり
浅田光代
風土
200609
青梅雨や曇る硝子に指の文字
松原三枝子
万象
200609
青梅雨の茫々人を遠くせる
佐久間多佳子
京鹿子
200609
青梅雨の夜歩き地蔵深眠り
高橋将夫
槐
200610
青梅雨やダヴィンチコードにやや倦める
本城布沙女
雨月
200610
青梅雨の大方丈を開け放つ
平田紀美子
風土
200610
青梅雨の梁にねんぶつ住みつける
松崎豊
面
200706
青梅雨や蔵に二つの通気孔
田村すゝむ
風土
200707
青梅雨やふところ深き袋町
横田萌
京鹿子
200709
青梅雨の洗ひ立てたるハイウエー
阪本哲弘
苑
200710
青梅雨の板東太郎たぎつなり
阿部ひろし
二の杉
200710
青梅雨や歩行器行つたり来たりして
高尾豊子
火星
200710
青梅雨や信濃も信濃伊那平
阿部ひろし
酸漿
200710
青梅雨に髪膚染まりて庭掃除
舩越美喜
京鹿子
200710
青梅雨の本降りとなる家居かな
上林孝子
朝
200710
青梅雨の病む指なだめ厨ごと
成川和子
朝
200710
青梅雨に睦む犀星夫婦桶
河内桜人
京鹿子
200711
青梅雨や松江の友が来つつあり
坪内稔典
稔典句集
200804
みちのくの青梅雨の頃また訪はむ
鷹羽狩行
狩
200808
青梅雨やダム湖の岸の抉り痕
能村研三
沖
200808
青梅雨や枯山水の石の黙
伊東和子
璦
200809
青梅雨の冴え冴えと父葬りけり
杉山哲也
馬醉木
200809
青梅雨やあなたのことば忘れずに
木下もと子
鴫
200809
青梅雨や不断念仏の鉦の音
浅田光代
風土
200809
青梅雨に種分け薬の紙多彩
禰寝瓶史
京鹿子
200809
青梅雨の唯茫々と千枚田
塩見治郎
雨月
200809
青梅雨やフィアンセと会ふ母の頬
山崎ゆき子
炎環
200809
青梅雨や無能無才にして煙草
大坪景章
万象
200809
青梅雨の上州小幡城下町
小幡にて
風土
200810
青梅雨の水弾け合ふ芋車
小幡にて
風土
200810
青梅雨の庄屋の大黒柱かな
小幡にて
風土
200810
青梅雨の懐紙に抓む菓子のいろ
今井妙子
雨月
200810
青梅雨の園も奥なる詩碑ひとつ
水田壽子
雨月
200810
青梅雨や内より暮るる天守閣
樋口みのぶ
空
200810
青梅雨の湯元の宿に着きにけり
丑久保勲
やぶれ傘
200810
伏すもなく青梅雨を疾く消えしかな
能村研三
沖
200907
青梅雨の森夕照の鏡湖あり
小澤克己
遠嶺
200909
青梅雨に苔の起伏や武家屋敷
伊東和子
璦
200909
青梅雨やお助け蔵の階きしみ
真中てるよ
炎環
200909
青梅雨の関雪別邸昼ともし
阪上多恵子
雨月
200909
青梅雨や森は言葉をしまひたる
中谷葉留
風土
200909
青梅雨や口中熱きジャスミン茶
桐島教子
風土
200909
青梅雨の太鼓ひびけり不動堂
中島伊智子
酸漿
200909
青梅雨の無人の寺に詣でけり
中谷葉留
風土
200910
青梅雨や四面玻璃なる昇降機
佐藤淑子
雨月
200910
青梅雨や堂塔天にそびえ建つ
井口初江
酸漿
200910
青梅雨に洗ひつくされ要塞島
桑島啓司
狩
200911
青梅雨や二重に閉ざす染井門
柿沼盟子
風土
200911
青梅雨のまことに青き御苑かな
鷹羽狩行
狩
201006
青梅雨に打たるる命惜みけり
西川五郎
馬醉木
201007
青梅雨のいづこも木々に沿うて降る
鷹羽狩行
狩
201007
青梅雨や遺跡の風の彼方より
鈴鹿仁
京鹿子
201008
青梅雨のもうゆかりなき本籍地
田所節子
沖
201008
青梅雨の空降りてくる棚田村
吉田政江
沖
201009
青梅雨や野太き音で開く傘
甲州千草
沖
201009
青梅雨のちらばりぶりに南行す
豊田都峰
京鹿子
201009
青梅雨や音なく落つる砂時計
木野裕美
ぐろっけ
201009
青梅雨や匠を秘むる窯を守り
大島寛治
雨月
201010
青梅雨の垜の礎石濡れそぼつ
塩見治郎
雨月
201010
青梅雨や白雲木は実を吊れる
石井邦子
酸奬
201010
青梅雨や嬰児ごろりん寝返りす
土井くみこ
璦
201108
深しんと青梅雨の夜を魚ねむる
安立公彦
春燈
201108
青梅雨や折敷の匂ひ飯にあり
加藤みき
槐
201108
青梅雨やブックポストをすべる本
高橋道子
鴫
201109
青梅雨や黙つて鶴を折るをんな
上谷昌憲
沖
201109
青梅雨や地図を手にゆく坂の町
和田崎増美
雨月
201109
青梅雨のだらだら坂を下りけり
白石正躬
やぶれ傘
201109
青梅雨や戸袋上に忘れ鎚
瀬島洒望
やぶれ傘
201109
青梅雨や友禅齋の墓小さく
小林千草
馬醉木
201110
青梅雨や返せば戻る砂時計
?コ田千鶴子
花の翼
201111
青梅雨や地をゆく鳩の赤き足
柿沼盟子
風土
201209
青梅雨の飢へひた寄す波頭
山本耀子
火星
201210
青梅雨や開封急かす贈呈誌
布川直幸
峰
201306
青梅雨や鯉いきいきと神田川
布川直幸
峰
201306
青梅雨の通りぬけする京都御所
伊勢きみこ
火星
201309
青梅雨の墓に寄り添ふ比翼句碑
渡辺数子
火星
201309
青梅雨や宴名残りの胡蝶蘭
今井春生
空
201310
青梅雨や幹に琳派の苔模様
鳳蛮華
空
201310
青梅雨や触れてくぐもる漆器盆
不破幸夫
馬醉木
201311
青梅雨に鳥の形の水たまり
石川かおり
福袋
201404
青梅雨や鬱の除染土庭隅に
渡部良子
馬醉木
201408
青梅雨の山がすぐそこ宝塚
大山文子
火星
201408
青梅雨の海へ多感な子の一語
遠藤真砂明
沖
201408
青梅雨や瞳大きく生れし子
城台洋子
馬醉木
201409
青梅雨や縮緬波の山上湖
鈴木静恵
春燈
201409
青梅雨や厚き頁の芭蕉集
大村かし子
万象
201409
青梅雨のこめかみに置く思惟の指
渕上千津
沖
201409
青梅雨や細く巻きたるをんな傘
石橋邦子
春燈
201409
青梅雨や髭題目の碑のしとど
松本三千夫
末黒野
201410
青梅雨や傷みはげしき古語辞典
野畑さゆり
空
201410
青梅雨の森にジュラ紀の音のして
橋本順子
槐
201507
青梅雨や登りきつたる被爆坂
立石勢津子
馬醉木
201509
青梅雨や夜ごとグラスを磨き上げ
有松洋子
槐
201509
一卓一燭青梅雨のカフェテラス
上谷昌憲
沖
201509
青梅雨にボトルシップを解き放つ
森岡正作
沖
201509
青梅雨の写経に過ごすたたずまひ
齋藤晴夫
春燈
201509
青梅雨や古典講座の開講す
石橋邦子
春燈
201608
青梅雨のはぐれ鴉の胡乱なる
鈴鹿呂仁
京鹿子
201608
青梅雨や主治医のあとに研修医
田嶋洋子
春燈
201609
青梅雨や西方浄土絵解き図会
久保久子
春燈
201609
青梅雨や伽羅の匂へる維新展
今瀬一博
沖
201609
青梅雨の水槽に鯉めくれけり
上谷昌憲
沖
201609
青梅雨に備ふわかもと正露丸
都留百太郎
末黒野
201609
青梅雨や茶房の奥の硝子窓
永田万年青
六花
201609
青梅雨の家路急かさる時の鐘
水田壽子
雨月
201610
青梅雨や両岸にみる相撲絵図
都築繁子
集
201612
青梅雨や窓に貼りつく男の子
つじあきこ
瓔
201709
青梅雨や樹の活きいきと泰然と
永田万年青
六花
201709
青梅雨やうすれし夫の蔵書印
本郷公子
京鹿子
201801
青梅雨や京の蕎麦屋の自在鉤
北村梢
京鹿子
201801
青梅雨を駆る信号はずっと青
福岡貴子
船団
201805
青梅雨の夜は厚肉と赤ワイン
森岡正作
沖
201808
青梅雨のけさ踝の尖りかな
辻美奈子
沖
201808
青梅雨やガンジー像の脛細し
鈴木愛子
萱
201908
青梅雨の山迫りくる大糸線
宮内とし子
沖
201909
悼句
青梅雨の那須野へ発たれ蓑と笠
南うみを
風土
201909
青梅雨の机上に会計報告書
林いづみ
風土
201909
青梅雨の武蔵野をバスひた走り
柿沼盟子
風土
201909
青梅雨の青の際立つ姿焼
高木晶子
京鹿子
201909
青梅雨の街の夕暮灯の溶けて
山岸明子
鴻
201910
青梅雨を釣り人のゆく河川敷
安藤久美子
やぶれ傘
201910
青梅雨や旅先に買ふ軽き傘
遠藤清子
末黒野
201910
青梅雨の空の中なる白帝城
横山昭子
雨月
201911
青梅雨の池白鳥の死の告示
都築繁子
集
201912
青梅雨の足裏やわらかフラダンサー
津田このみ
船団
201912
青梅雨やつなぎたき手を求める手
菊池和子
京鹿子
202009
青梅雨や部屋に墨の香残りをり
有松洋子
槐
202009
青梅雨や地蔵の眼閉ぢしまま
西本花音
春燈
202009
青梅雨やいいこときつとありさうな
浜田久美子
六花
202010
青梅雨や雫の中の日の光
浜田久美子
六花
202010
青梅雨や並ぶ埴輪の丸い口
都築繁子
集
202011
青梅雨や表面張力すぐ転び
石田静
沖
202108
青梅雨や水ぎはに鷺の歩みをり
藤生不二男
六花
202108
青梅雨の遍く照らす吾と人
鈴鹿呂仁
京鹿子
202108
2022年7月9日
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