アフリカ Africa 2013年1月

牛肉輸出量、世界一に懸念も...その意外な国とは

【ニューデリー=田原徳容】牛を神聖視するヒンズー教徒が多数派のインドで、2012年の牛肉輸出量が160万トンを超え、初めて世界一になる見通しとなった。

インド政府が米農務省に提出した報告書に盛り込まれたもので、インド側は数字を公表していない。12年の年間推計牛肉輸出量は168万トンで、世界有数の輸出国ブラジル(139万4000トン)とオーストラリア(138万トン)を上回って1位となるという。食用として中東やアフリカ、東南アジアに輸出されており、世界の全輸出量の2割に相当する。

ヒンズー教徒が人口の約8割を占めるインドでは、牛の殺生が原則として禁じられており、輸出の大部分は水牛とみられる。水牛の肉は牛肉に比べて固く、食味で劣るとされる。水牛はヒンズー教上、牛と明確に区別され、崇拝の対象外だ。ただ水牛も含めた牛の殺生については国民の拒絶反応は非常に強く、市民団体などは輸出増に懸念を示している。

(2013年1月6日18時03分 読売新聞)

世界の食料生産の半分が無駄に、「悲劇的な水準」 英報告書

2013年01月11日 Fri posted at 18:39 JST

(CNN) 英機械工学協会はこのほど、世界が1年間に生産する食料44億トンのうち、最大で約半分が食べられずに捨てられるとの報告書を発表した。将来の食料需要を考えると、これほどの食料が廃棄される現状は「悲劇的」だと報告書は警告している。

研究チームは2010年から、途上国から先進国までの様々な国で生産、流通、消費の各段階を調査。その結果、食料廃棄は世界中で起きているものの、途上国では生産段階、先進国では卸や小売り段階に問題があることがわかったという。

途上国のうちサハラ砂漠以南のアフリカでは、非効率な収穫や輸送、インフラの未整備を問題視。貯蔵が適切に行われないことが多いと指摘した。東南アジアでは収穫された米の最大8割が廃棄されているという。

先進国では生産や輸送、貯蔵、加工施設は効率的なものの、卸や小売りが問題と分析。例えば大型スーパーマーケットは、大きさや外見が基準に合致しない農作物を仕入れないことが多く、その結果、英国では収穫されずに捨てられる野菜が最大で全体の3割に及ぶという。

また食料廃棄に関わるのは業者だけではない。消費者も購入した食料の半分を捨てていると報告書は指摘。店の販促活動が消費者に必要量以上の購入を促していることも問題だとした。

将来の食料需要を考えるとこれほどの廃棄量は「悲劇的」であり、持続可能ではないと研究チームは警告する。

トウモロコシの13年8月末在庫見通し下げ 米農務省

2013年1月12日 10:42

【シカゴ=野毛洋子】米農務省は11日に発表した1月の穀物需給で、トウモロコシの期末(今年8月末)在庫見通しを6億200万ブッシェルと前月比4500万ブッシェル減に引き下げた。17年ぶりの低水準となる見通し。ロイター通信が集計したアナリスト予想平均の6億6700万ブッシェルを大きく下回った。

飼料需要見通しが大幅に引き上げられたのが主因。市場には「予想外の低水準」(米穀物アナリスト)との声が上がり、発表直後に価格が跳ね上がった。

小麦の期末(今年5月末)在庫も前月比3800万ブッシェル減の7億1600万ブッシェルに下方修正し、アナリスト予想平均を下回った。

大豆の期末(今年8月末)在庫は、前月比500万ブッシェル増の1億3500万ブッシェルの見通し。干ばつが見舞った昨年の収穫量推定を同4400万ブッシェル増の30億1500万ブッシェルに引き上げた。

食料価格指数、12年は7%低下 FAO調べ 世界経済減速映す

2013年1月12日 11:06

【ジュネーブ=原克彦】国連食糧農業機関(FAO)が発表した2012年の食料価格指数は前年比7%低下し、211.6(02〜04年=100)と3年ぶりに下がった。年央までは米中西部での干ばつなどを背景に高止まりしていたが、世界経済の減速で後半は下落。FAOは「食料危機の再来を恐れるような状況からの転換を示す」としている。

分野別では砂糖と乳製品がそれぞれ同17%、同14%と大幅に低下した。油脂類も2ケタの下落。食肉と穀物も下がったが、下げ幅はそれぞれ1〜2%にとどまった。

同指数は11年に過去最高を記録し、さらに上昇することが懸念されていた。FAOは世界経済の後退に加え、食料需給の動向を的確に把握するための国際協調も成果を上げているとしている。ただ、12年の同指数は11年に次いで高く、10年との比較では14%上昇している。

米家庭内労働者の知られざる実態 現代の「奴隷制」か、低賃金に虐待も

2013年01月13日 Sun posted at 18:02 JST

(CNN) フィリピン出身のアンナさんは、大手企業の幹部家族が住む米ニューヨーク・マンハッタンの5番街に面した賃貸マンションで、子どもの養育もする家政婦として週7日、朝6時から夜10時まで住み込みで働いていた。多くの家事をこなし、15カ月の間1日の休みもなく、夜は子どもたちのベッドの間の床で寝る生活だった。アンナさんは、母国フィリピンで教師としての教育を受けていたため雇われたのだが、時給は1.27ドル(約100円)に過ぎなかった。

先ごろ発表された米国の家庭内労働者に関するリポート「家庭経済学」によると、アンナさんの話は珍しいケースではない。ベビーシッターや家政婦、介護人といった家庭内労働者は、多くの米国人の生活に不可欠で米国経済にとっても重要な役割を担っている。しかし、その実態はあまり知られておらず、賃金や社会保障は不十分で、虐待されることさえ珍しくないという。

同リポートでは、全米14の大都市で働く71カ国・2086人の家庭内労働者をインタビューしている。この種の調査としては初めての試みで、様々な実情が明らかになった。

米国の家庭内労働者は、その大半が女性で、アフリカ系(黒人)やヒスパニック(中南米系)の少数派(マイノリティー)であり、人種や性別で職業が分かれる奴隷制の伝統を引きずっている。最近では移民の割合も増えている。 リポートの共著者の1人でシカゴのイリノイ大のニック・セオドア准教授は、女性の労働が不当に低く評価されていると指摘する。

家庭内労働は、密室での労働で孤立しがちで、労働政策による保護も受けられない。また、雇用契約さえない場合もあり、雇い主の気まぐれに左右されやすい。セオドア准教授は、過酷な作業を強いられる現代の奴隷制みたいなケースもあると懸念を示す。

米国の家庭内労働者は、国勢調査によると過去数年で72万6437人にまで増加しているが、リポートは実際の数字はこれよりもはるかに多いだろうと指摘している。

超富裕層家庭で働いている労働者もいるが、その多くは、雑用をこなす人間を雇うのには十分な経済力がある、多忙な幹部職・専門職の中流家庭で働いている。また、より低所得の高齢者家庭で掃除や介助の仕事をする人もいる。

家庭内労働者の家族の生活は苦しく、その60%は、収入の半分以上を家賃や住宅ローンの支払いに費やしており、20%の人は、過去1カ月の間に家に食料が全くない時期があったとインタビューで答えている。

家庭内労働者には、最低賃金や残業、傷病・有給休暇などを定めている労働関連法は適用されず、その23%は得ている給料が各州別の最低賃金を下回る。住み込みの家庭内労働者に至っては67%が最低賃金未満で働いている。

リポートによれば、住み込みの場合は住み込みでない場合よりも総じて受け取る賃金が少ない。時給の中間値は、子育ても担う家政婦では、住み込みでない場合が11.55ドル、住み込みでは6.76ドルとなっている。介護職では、住み込みでない場合が10ドルで、住込みでは7.69ドルとなっている。

家庭内労働者の65%は健康保険に未加入で、社会保険料を負担している雇い主は9%に満たない。

リポートは、雇用や労働関連の法律が家庭内労働者を対象としていない状況の改善を提唱している。

イリノイ大のセオドア准教授は、家政婦や介護人なども、最低賃金を得られるようにすべきだし、福祉手当ても受けられなければならないと指摘。安全で健全な労働環境が必要だと語る。

セオドア准教授は、今回のリポートを通じ、米国内での家庭内労働者の虐待の深刻な状況に驚いたと語る。准教授によれば、雇い主にナイフを突き付けられたとインタビューで語った女性もいたという。

家庭内労働者の問題は外国での出来事だと考える人がほとんどだろうが、移民政策や経済政策にもかかわる問題である。セオドア准教授は、社会が子どもや高齢者をどのように世話するのかという問題にも影響することだと付け加えた。

http://www.cnn.co.jp/usa/35025819.html

コモディティー・アイ〜コーヒー・カカオ相場もアジアが主導へ

2013年1月15日 13:00

伝統的に欧米が世界の消費を主導してきたコーヒー豆やカカオ豆だが、最近はアジアの存在感が高まっている。債務問題を抱える欧州の消費が落ち込む一方、アジアの消費量は着実に増加しているためだ。産地の豊作もありコーヒー豆は価格の低迷が目立っているが、アジアの需要が下支えの一因となっている。

米農務省によると2012〜13年度(12年10月〜13年9月)の欧州の消費量は前年度から119万5000袋減少し4893万袋となる見込み。アジアは49万5000袋増え2596万5000袋との予想だ。この5年間で欧州は195万袋増、北米は180万4000袋増にとどどまるが、アジアは372万8000袋増えることになる。

緑茶文化の中国でもスターバックスなどのコーヒーチェーンの展開が始まっている。「アジアは1人あたりの消費量はまだまだ小さく今後の可能性は大きい」(ワタルの小沢志朗顧問)と強調する。

カカオ豆は加工する過程でカカオバターとカカオパウダーに分離されてチョコレートや飲料の原料になるが、最近はパウダーの需要増加が目立ち割高になっている。暑い地域でもべとつかずに扱いやすいこともあり「熱帯なども含まれるアジア地域の需要の増加を映している」(専門商社)といわれている。

コーヒー豆やカカオ豆は南米やアフリカ産地の作柄と欧米の需要動向が相場動向の最大の材料になってきた。しかし金属原料や穀物などの国際相場が中国の需要動向に左右されるようになったのと同様に、将来はアジアの需要動向が相場の方向性を決めるようになるのかもしれない。(商品部 桝渕昭伸)

2012年の世界の平均気温、観測史上10番目の高さ

2013年01月16日 Wed posted at 12:54 JST

(CNN) 米海洋大気局(NOAA)は15日、2012年の世界の平均気温は、観測が始まった1880年以降で10番目の高さだったと発表した。

NOAAによると、世界の気温はこれで連続36年間、20世紀の平均を上回っている。21世紀に入ってからの12年はすべて、観測開始後133年のうち上位14位以内に入る。20世紀で2012年の気温を上回ったのは、1998年だけだった。

2012年の平均気温は北南米と欧州、アフリカ、西・南・北東アジアの大部分で平年を上回った。一方アラスカ、カナダ西部、中央アジアなどでは平年に比べ、気温が目立って低かった。北極圏で記録的な氷の融解が観測されたのに対し、南極圏の氷は平年を上回った。

NOAAが最近発表したところによると、米本土では2012年の平均気温が観測史上最高を記録した。

米ミネソタ州では15日、雪不足のため、今月27日に予定されていた犬ぞりレースを3月10日に延期することが決まった。このレースは近年、雪不足による中止や延期が続いている。関係者からは「5年前に比べて雪のシーズンが1カ月も短くなった」「気候変動のせいではないか」と懸念する声が上がっている。

水銀削減:日本政府、100万ドル支援へ 条約批准促す

毎日新聞 2013年01月17日 10時45分(最終更新 01月17日 10時49分)

【ジュネーブ比嘉洋】水銀の使用を規制する新たな条約を作る国連の政府間交渉で日本政府は16日、条約批准に向けて規制準備に取り組む途上国を支援するため、100万ドル(約8800万円)相当を拠出すると表明した。

条文案によると、条約発効には50カ国以上の批准が必要だ。政府は、今年10月に熊本県で開かれる国際会議で条約が採択された後、なるべく早く発効させたい考え。資金援助は、水銀削減のかぎを握る途上国の条約批准を促し、削減への取り組みを早めると見ている。

ジュネーブで開かれている16日の交渉では、ノルウェーが100万ドル、スイスが100万スイスフラン(約9500万円)の拠出をそれぞれ表明。予算措置が確定していない日本は具体的な金額の提示を避けたが、環境省の谷津龍太郎・地球環境審議官は「(ノルウェー、スイスと)同レベルの拠出を行い、追加的な支援も検討する」と演説、拍手で迎えられた。

政府によると、資金は政府開発援助(ODA)と別枠で環境省予算から拠出する。水銀の使用量を減らす製造技術を途上国で定着させたり、途上国が規制制度を構築する際の情報収集などに使われると想定している。

国連環境計画(UNEP)によると、人の活動で大気中に排出された水銀は2010年で推定1960トン。途上国を多く含む東アジア・東南アジアが40%を占めるほか、サハラ砂漠以南のアフリカ16%、南米13%と、欧州連合(EU)の5%や北米の3%を大きく上回る。日本の排出は1.5%程度だ。

[The INDEPENDENT]

Mobiles earn out of Africa

http://www.independent.co.uk/news/business/analysis-and-features/mobiles-earn-out-of-africa-8458153.html

Africa is the world's biggest emerging market but also its most dangerous, as the uprising in Mali and the hostage-taking in Algeria have underlined in recent days. Despite these risks, foreign companies are rushing to take advantage of the boom, which is being driven by cheap mobile communications.

This largely untapped market is seeing some surprising players emerge - notably the Chinese, who have already been keen to buy up natural resources across the continent.

Apple and Samsung may dominate the premium smartphone market in developed markets but they have been less eager to enter Africa. Instead, Finland's Nokia, once the number one player around the world, is still the biggest supplier of basic devices, called "feature phones", on the continent, with around 50 per cent share. The Chinese - in the form of manufacturers ZTE and Huawei - have emerged as the next biggest, according to industry estimates.

The latest significant move has come from China's biggest internet search engine, Baidu, which this week signed a deal with France Telecom's Orange network, the third-biggest mobile operator in Africa, to appear on the homescreen of all its phones. It is thought to be the biggest such move Baidu has made in mobile outside its native country as it eyes the global search market, which is dominated by Google.

The opportunities in Africa are changing fast.

The African mobile market is forecast to grow at 6.3 per cent a year to 100ドルbn (63ドルbn) in 2015 - faster than any other region, according to the research firm Idate.

Marc Rennard, executive vice-president of Orange's operations in Africa, the Middle East and Asia, says demand for Android smartphones in Egypt doubled in the last six months of 2012. Orange has already told investors it wants to double revenues in Africa to euro7bn (6ドルbn) in 2015 from euro3.4bn in 2009 through a combination of organic growth and expansion into new countries.

Libya, Ethiopa and Algeria, all of which have been hit by war and strife, are high on Orange's wish-list of markets that it would like enter.

So it is clear that Africa is not a region for the faint-hearted, even though Mr Rennard stresses that there are big variations across the continent's 54 countries.

"Except in Mauritius and Botswana, I never know what will happen the next day," he says, speaking on a visit to London to launch the joint venture with Baidu.

He has to deal with "crises on my plate every day". But Orange has continued to see steady growth despite these challenges - even in 2011, which he describes as "the annus horribilis", because of the disruption caused by events such as the Arab Spring in North Africa.

"This business is very sustainable," he says. "The growth is still there even when you have big crises."

Africa is very different from Western markets because many areas have had little or no phone coverage, including land lines. There are swaths of the population whose first-ever phone is a mobile.

Basic feature phones, costing as little as 8,ドル dominate, while smartphone penetration is only 6 per cent.

The bulk of users are on pay-as-you-go tariffs and revenues from voice calls and SMS text messages are still rising, unlike in Europe where regulators have pushed down on prices.

But the growth is slowing - hence the need to embrace the mobile internet and partnerships such as the Orange-Baidu tie-up.

The challenge is to persuade more people to upgrade to a more expensive low-end smartphone, which might cost 50ドル.

"3G is in 15 countries," says Mr Rennard, referring to the advent of super-fast, third-generation mobile networks capable of carrying internet and data traffic.

"It was not the case three years ago. It's a big change."

In addition, Orange has a big under-sea network of submarine cables, running off the west coast of Africa, to help carry the mobile load over long distances.

The importance of 3G isn't just economic but political and cultural - witness the impact of social media and texting during the Arab Spring of 2010-11.

While smartphones are taking off, Mr Rennard believes tablet computers will not be as popular in the short term.

It's less of a cost issue and more about energy consumption - it's easier to recharge a smartphone with solar power, he explains, rather than, say, a laptop or tablet.

Similarly, the Baidu browser on the Orange phone, which features search, video service Daily Motion and games, is designed to conserve battery life. There is an option to look at the web in "text-only" mode to avoid downloading lots of large images.

Analysts believe mobile commerce, dubbed m-commerce, is also well suited to the African market where significant numbers of people have never had a bank account. Instead it's easy to load up a phone with credit. Mr Rennard cites Ivory Coast where Orange saw 550 mobile payment transactions an hour on the final day of last year.

Internet-enabled TV, via 3G, is another interesting development. Orange has launched TV set-top boxes with a mobile connection in Jordan.

One tricky issue facing all operators is their relationship with national governments.

Vodafone and Orange were among the carriers which were controversially asked by the government of Egyptian ruler Hosni Mubarak to send messages to citizens in the regime's dying days, as it clung to power.

"Everywhere in the world, in the UK, in France and in Africa, you work under public licence," acknowledges Mr Rennard.

"For security reasons you may be asked by the government to use your network for very precise reasons. We try to manage it carefully.

"If a soldier comes in [to your base station] and says you have 20 minutes to turn off the SMS, at the end of the day you stop the SMS."

During the Egyptian revolution, Orange was twice asked to send messages by the Army, he says, but the carrier made clear at the end of each message that it had been sent by the government, not Orange.

"One of our competitors has been criticised because they didn't do this," Mr Rennard says pointedly, referring to Vodafone.

For once, it's no exaggeration to describe Africa's mobile transformation as a revolution.

世界の失業者、初の2億人突破 13年2.6%増予想

ILO

2013年1月22日 2:46

【ダボス〈スイス東部〉=原克彦】国際労働機関(ILO)は22日、2013年に世界の失業者が12年見込みより2.6%増え、初めて2億人を突破するとの予想を発表した。世界の失業率は6.0%と同0.1ポイント悪化する見通し。金融危機後にいったんは改善した雇用環境が再び悪化、特に若者の失業増加が深刻になっている。

2013年版の世界雇用情勢報告によると、12年の失業者は約1億9700万人になったもようで、13年は2億200万人に増える見通し。ILOは17年まで世界の失業率が6.0%と横ばいで推移すると予想している。「政策での不十分な対応が需要を減退させ、投資や雇用を控えさせている」(ライダー事務局長)と指摘する。

特に若者の失業率が高い。15〜24歳の失業者は13年に同0.5%増の7420万人にのぼり、失業率では12.7%と同0.1ポイント上昇する見込み。同年代の失業率は17年には12.9%にまで上昇するとみている。先進国では若者の失業の長期化も進み、35%は失業期間が6カ月以上に及ぶという。

一方でILOは雇用情勢の明るい側面として、途上国の労働者に占める貧困層の割合が下がり、中間層が拡大したことに言及した。01年は途上国の労働者のうち18.1%が中間層だったが、11年には30.5%に上昇している。

ただ、ライダー事務局長は世界経済の減速は途上国の雇用の内容にも影響し始めていると指摘。「労働者が生産性の高い分野に移行するペースが鈍化している」という。これが途上国経済の構造転換が遅れる要因になると分析している。

失業問題は23日に開幕する世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でも主要議題の一つになる予定だ。ILOは12年版の同報告で12年の失業者が2億人を超えるとみていたが、今回の推計ではそれを若干下回った。

2013年1月23日20時29分

MISIAさん、アフリカ会議名誉大使に

歌姫が大使に――。歌手のMISIA(ミーシャ)さんが23日、6月に横浜市で開かれる第5回アフリカ開発会議(TICAD)の名誉大使になった。外務省はアフリカ支援への関心を高めようと、テーマソングの作成依頼も考えている。

MISIAさんはアフリカの貧困問題に取り組み、いま紛争が続くマリなどを訪問。子供を支援する団体を2008年に立ち上げ、蚊帳の配布や水の供給といった活動を続ける。昨年の紅白歌合戦にはアフリカから生中継で出演した。

asahi.com 2013年1月24日

アフリカ進出の日系企業、7割「今後、重要性増す」 ジェトロが調査

アフリカに進出した日系企業の67%がアフリカ事業の重要性が今後「増す」と考えている、と日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査でわかった。大半の企業が現地の政情不安を課題と考えている一方で、中国や韓国との競争も激しくなっている実態が示された。

「在アフリカ進出日系企業実態調査」で、アルジェリアの人質事件前の昨年8〜10月に実施された。5年ぶりの調査で、対象の333社のうち168社(アルジェリア進出企業は15社のうち4社)が答えた。

今後のアフリカ事業の重要度について、回答企業の67%が「増す」とし、「変わらない」が20%、「減る」が3%だった。「資源輸入だけでなく、商品取引も重視」「本社の重点戦略地域になった」などが事業拡大の理由にあがった。

一方で、アフリカの問題点(複数回答)は、「政治的・社会的安定性」が88%とトップ。「規制法令の整備」が78%、「労働問題」が72%、「インフラ」が61%と続いた。

進出先で競合する企業の国は「欧州」が24%と最多で、「日本」と「中国」が各17%。「中国」は前回の2007年度の4%から急増した。4位の「韓国」は13%だった。中韓は官民一体でアフリカ事業を進め、競争が激しくなっている。

日本政府の企業支援について、回答企業の74%が「強化すべきだ」とし、「現状で十分」は5%だった。求める支援内容(複数回答)は「制度改善など進出国への要望伝達」が58%、「情報提供」が47%、「二国間協定締結」が44%、「政府高官によるトップセールス」が34%だった。

ジェトロ中東アフリカ課の的場真太郎課長は「人質事件でアフリカ事業へのダメージは避けられないが、事業の機会も広がっている。企業は、従業員の安全確保など難しい判断を迫られている」と話す。(中川透)

asahi.com 2013年1月25日

アフリカ外交拡充 6月国際会議、紛争予防へ具体策

アルジェリアでの人質事件を機に、安倍政権は対アフリカ外交の拡充へ動き始めた。テロが進出企業の安全を脅かす事態に直面したためだ。6月に横浜で開く第5回アフリカ開発会議(TICAD)で紛争予防の具体策を打ち出す方針だ。

外務省は24日、人質事件を踏まえ、今後の対アフリカ外交について幹部らが協議。松山政司外務副大臣は記者会見で、アルジェリアの隣国で紛争が続くマリを支援する国際会議に参加すると発表し、「テロ行為が起こらぬよう連携を強化したい」と語った。

アルジェリアとマリの国境付近はサハラ砂漠南縁のサヘルと呼ばれ、イスラム武装勢力の活動が活発だ。日本のアフリカ支援は中国の進出への対抗や、国連安保理の常任理事国入りに向けた票固めを意識しがちで、サヘルを意識した紛争防止の効果は薄かった。

「サヘルの安定を重視する」(岸田文雄外相)として、6月上旬のTICADへ具体策を練る。インフラ整備中心の途上国援助(ODA)を国境警備のための車両やフェンス設置などにあてることを検討。武器を取り締まる通関業務での助言や、邦人保護での連携強化などを進めたい考えだ。

TICADの首脳間の合意文書でも紛争防止が重みを増すのは確実。政権はTICADの成果を6月中旬に英国で開かれるG8首脳会合で強調したい考えだ。外務省幹部は人質事件でテロを強く批判した安倍晋三首相と「議論がかみ合う」と期待する。(二階堂勇)

2013年01月25日10時44分

MISIAさん「アフリカを知ろう」訴え ダボス会議

【ダボス=前川浩之】スイス東部で開かれている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のイベントに歌手のMISIA(ミーシャ)さんが出席し、自らが取り組むアフリカ支援を訴えた。

日本を知ってもらおうと日本政府が開いたイベントの一環。MISIAさんは国際協力機構(JICA)の緒方貞子・前理事長とステージに上がり、自身のヒット曲にちなんだ「Everything−一緒なら変えられる」と題したトークショーを行った。

西アフリカのセネガルで支援によってできた給水塔を視察し、女性と子どもが水くみの負担から解放されたと知った体験を話した。「根底には貧困がある。私と一緒にアフリカをもっと知ろう」と、会場の数百人に呼びかけた。

緒方氏は「こんなに若く才能ある歌手が実際にアフリカに足を運んだことが、私にとって大きな励み。女性が世界を変えるんです」と応じた。

MISIAさんは6月に横浜市で開かれる第5回アフリカ開発会議(TICAD)の名誉大使を務める。