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4日のエントリーで紹介した、労働法グリーンペーパーをめぐる暗闘ですが、EurAvtivの続報によると、欧州委員会は18日にグリーンペーパーを発表するのは諦め、早くても11月になりそうだということです。
http://www.euractiv.com/en/socialeurope/labour-law-green-paper-delay-raises-tempers/article-158603
10月4日に関係欧州委員の会合でグリーンペーパーの原案が討議されたのですが、スカンジナビアのフレクシキュリティをもっと入れろと文句が付いて、書き直しが命じられたようですね。スカンジナビアと書いてありますが、これは要するにデンマークモデルのことです。社会保障は充実するから、雇用保護は薄くするというモデルですね。これは、これで一つのモデルであるには違いありませんが、雇用保護の手厚い独仏をはじめとする多くのヨーロッパ諸国からすると、クビを切りやすくすればいいんだという話になってしまいます。それで、先日紹介したグリーンペーパー原案も、そのあたりは実に慎重に書いているのですが、そこがネオリベに傾いている現在の欧州委員会リーダーにとっては不満なんでしょう。
デンマークモデルとかいいながら、雇用保護の代わりにどこまで社会保障を手厚くできるかといえば、財政的にそんな余裕はほとんどない国が大部分ですから、事実上クビを切りやすくするだけの規制緩和路線ということになります。これまで社会保障にカネをかけるよりは仕事だ仕事だといってきた雇用戦略とどこまで整合的でどこまで整合的でないのかも、きちんと整理し直す必要があるようにも思えますし、EU官僚もつらいところですね。
(追記)
同じEurActivに、経営側(UNICE)と労働側(ETUC)のこの問題に対するインタビュー記事が掲載されています。やっぱり、経営側としては、「労働者の定義」という形でヨーロッパ型偽装請負(実質的には労働者であるものを自営業者と偽装するもの)にEU法が入り込んでくることには過敏になっているんでしょうねえ。
http://www.euractiv.com/en/socialeurope/unice-criticism-blown-proportion/article-158519
http://www.euractiv.com/en/socialeurope/debate-flexicurity-eu-harmonisation/article-158635
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