企業価値評価のための 企業会計の基礎〔第2版〕
証券会社で長年アドバイザーを務める著者が、機関投資家の業務に必要な会計の知識を解説。本文の構成を大幅に見直した新版。
| 著者 |
大瀧 晃栄
著 |
|---|---|
| ジャンル |
会計学
> 財務会計(財務諸表論)
会計学 > 会計実務 |
| 出版年月日 | 2026年05月01日 |
| 書店発売日 | 2026年04月06日 |
| ISBN | 9784419072971 |
| Cコード | 3034 |
| 判型・ページ数 | A5・336ページ |
| 定価 | 4,840円(税込) |
| 在庫 | 在庫あり |
企業会計に関する理解が深まることで
企業価値評価の中心となる
業績予想又は将来キャッシュフローの予想の精度が高くなる
一般的な財務分析とされる売上高利益率,資産回転率や資本利益率といった財務指標を用いた同業他社比較や時系列分析は,企業価値評価において欠かせない分析手法である。しかしそれは企業の特徴を促える出発点にすぎない。
その先の企業価値評価にたどり着くには,過去分析を通じてより深く企業を理解し,そして自ら思い描く企業の将来像を適切に反映し,整合性を具備した予想損益計算書,予想貸借対照表及び予想キャッシュフロー計算書を作成しなければならない。
それぞれの章で取り上げた概要は,以下のとおりである。
【序章】
企業価値評価に向けた過去分析のアプローチを紹介している。企業価値算定のベースとなる将来業績を予想するのになぜ過去分析が必要なのか,どういう視点で過去分析をすればよいかという思考の整理と,過去分析と業績予想に必要な会計スキルを紹介している。
【第1章】
企業会計の基礎的な解説とともに,より理解を深めるために,キャッシュフローと損益との関係,貸借対照表の機能や企業会計の限界等についても取り上げている。特に企業会計の限界については,ROE にも影響することから財務分析上は常に意識しておく必要がある。
【第2章】
押さえておきたい会計基準の重要 7 テーマを取り上げている。3つの会計基準の適用状況や主な会計基準差のほか、会計固有の重要なテーマ,「企業結合会計とのれん」,減損会計」,「金融商品会計」,「リース会計」,「退職給付会計」,「税効果会計」についてポイントを絞って概説している。
【第3章】
業績予想の手法と株価算定として,具体的な業績予想の仕方や業績予想モデルの作り方を取り上げている。業績予想の手法として,多くの株式アナリストが実践している限界利益率を用いた営業利益の予想方法を紹介している。
【第4章】
企業価値評価の実務で役立つ 50 の Q & A ということで,株式アナリストの実務のなかで,知っておいて欲しい項目や機関投資家からの問い合わせの多い項目を中心にまとめている。大きく8つのカテゴリー別に分け,他の章で取り上げなかった会計に関する実務上の論点の他,企業分析に必要な法制度等を網羅的に取り上げている。会社法や東証の上場規程等,会計の書籍の枠を大きく超えた内容を含んでおり,本書の大きな特色となっている。
【第5章】
不正会計への対応を取り上げている。不正会計が起こる要因は何か,財務諸表利用者として兆候を把握するためにできることを紹介している。
【著者プロフィール】
大瀧 晃栄(おおたきこうえい)
公認会計士/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
(株)野村総合研究所でセクターアナリストを経験したのち、太田昭和監査法人(現 EY 新日本有限責任監査法人)入所。その後SMBC日興証券に移籍し、会計・制度担当アナリストとして、国内外の機関投資家向けに会計基準、開示制度、ガバナンス関連制度(監査制度、会社法や社外取締役等の機関設計)や税法等に関する情報提供や勉強会を行っている。社内では若手アナリスト育成やアナリストレポートの品質管理にも携わる。
対外的には、投資家を代表して金融庁企業会計審議会及び金融審議会、FASFや ASBJ の各委員として法制度の整備や会計基準の開発に貢献。また、日本証券アナリスト協会では、試験委員会委員として財務分析を担当する他、企業会計研究会委員として投資家の意見発信を行っている。
1 業績予想のための過去分析アプローチ
2 決算書を用いた過去分析による企業の本質の理解
3 将来の事業展開を踏まえた予想財務3表の作成
第1章 企業会計を理解する―事業活動はどのように財務諸表に表現されるのか
■しかくSection1 事業活動と企業会計
1 事業活動の成果を示す企業会計
2 キャッシュフローと損益との関係
3 事業活動を会計的に理解する
■しかくSection2 キャッシュフロー計算書と貸借対照表
1 キャッシュフロー計算書の構造
2 貸借対照表の機能
■しかくSection3 企業会計の限界
1 企業会計の限界を理解する
2 企業会計の目的は企業価値を算定することではない
3 会計の限界による財務指標への影響
■しかくSection4 企業会計のその他前提等
1 継続企業の前提
2 保守主義
3 重要性の原則
第2章 押さえておきたい会計基準の重要7テーマ
■しかくSection1 日本企業が適用する3つの会計基準
1 上場会社が適用する会計基準
2 複数の会計基準の適用状況
3 日本基準,米国基準及びIFRSの主な会計基準差
4 財務3表における表示の違い
■しかくSection2 企業結合会計とのれん
1 企業結合の手法
2 のれん発生時の会計処理
3 持分追加による連結子会社化の会計処理
4 連結子会社の持分追加取得の会計処理
5 持分一部売却(売却前後で連結子会社を維持する場合)の会計処理
6 連結子会社の支配喪失を伴う売却の会計処理
7 企業結合後のEPSへの影響を試算する
8 IFRS及び米国基準との主な会計基準差
9 関連する主な会計基準等
■しかくSection3 減損会計
1 減損会計とは
2 減損会計の仕組み
3 減損会計の留意点
4 減損損失と株価の動き
5 IFRS及び米国基準との主な会計基準差
6 関連する主な会計基準等
■しかくSection4 金融商品会計
1 資本性金融商品(政策保有株式を含む)の保有時の会計処理
2 資本性金融商品の売却時の会計処理と会計基準差
3 政策保有株式の銘柄と相互保有の状況
4 保有金融商品にかかる含み損益の把握
5 ハイブリッド金融商品(発行側)の会計処理と会計基準差
6 その他の改正論点
7 関連する主な会計基準等
■しかくSection5 リース会計
1 リース取引のオンバランス処理
2 現行の日本基準の取扱い(2026年度まで)
3 2027年度以降の日本基準の取扱い
4 IFRS及び米国基準との主な会計基準差
5 関連する主な会計基準等
■しかくSection6 退職給付会計
1 退職給付制度
2 退職給付会計の仕組み
3 退職給付会計の注記の見方
4 IFRS及び米国基準との主な会計基準差
5 ハイブリッド型退職給付制度と会計処理
6 関連する主な会計基準等
■しかくSection7 税効果会計
1 税効果会計の仕組み
2 繰延税金資産の回収可能性
3 税務上の繰越欠損金にかかる繰延税金資産
4 税効果注記の見方と税負担率の予想の仕方
5 税効果会計の副作用による弊害
6 会計基準差である留保利益の税効果について
7 関連する主な会計基準等
第3章 業績予想の手法と株価算定
■しかくSection1 限界利益率を用いた営業利益分析
1 売上高の予想
2 限界利益率を用いた営業利益の予想
3 営業利益からEPSまでの予想
■しかくSection2 業績予想モデルの構築
1 売掛金,買掛金,棚卸資産及び運転資本増減の予想
2 固定資産,設備投資,減価償却費等の予想
3 その他資産・負債項目の予想
4 財務活動キャッシュフローの予想
5 予想財務3表の整合性チェックと仕上げ
■しかくSection3 DCF法による株価算定
1 DCF法による株価算定
2 DCF法を用いた現在株価の分析
3 DCF法の留意点
4 株式市場(機関投資家)における株価算定の実務
第4章 企業価値評価の実務で役立つ50のQ&A
全般
■しかくQuestion1 過去分析にあたって留意すべき会計基準の改正は?
■しかくQuestion2 会計基準の改正はいつから適用される?
■しかくQuestion3 日本基準からIFRSに移行した場合の留意点は?
■しかくQuestion4 連結子会社の決算期が親会社と異なる場合に確認したい点は?
■しかくQuestion5 親会社と子会社で会計基準が違ったら?
■しかくQuestion6 為替前提・為替感応度とは?
■しかくQuestion7 四半期決算を見るときに注意すべき点は?
■しかくQuestion8 会計方針や会計上の見積り等の情報を確認し,利用するには?
■しかくQuestion9 重要性の基準値とは?
■しかくQuestion10 有価証券報告書の表示単位は?
■しかくQuestion11 業績見通しの修正の要件は?
損益計算書
■しかくQuestion12 「収益認識に関する会計基準」の影響と分析上の留意点は?
■しかくQuestion13 持分法会計について押さえておきたい6つ論点とは?
■しかくQuestion14 EBITDAを利用するにあたって留意点は?
■しかくQuestion15 海外で制度変更があった場合の影響を把握するには?
■しかくQuestion16 「特別損益」に表示される項目は?
■しかくQuestion17 税制改正後の法定実効税率とその影響は?
■しかくQuestion18 グループ通算制度の仕組みと税効果への影響は?
■しかくQuestion19 自社株取得に応じた場合等のみなし配当とは?
貸借対照表
■しかくQuestion20 貸借対照表の流動・固定はどのように区分する?
■しかくQuestion21 「未実現利益消去が連結損益に影響を与えてしまう」とは?
■しかくQuestion22 貸借対照表の細かい勘定科目の内容は?
■しかくQuestion23 デジタル技術の進展に追いつきたい会計基準?
■しかくQuestion24 主な借入先を知るには?
■しかくQuestion25 有利子負債には何が含まれる?
■しかくQuestion26 引当金・偶発債務・後発事象の違いは?
■しかくQuestion27 自己資本と株主資本は同じ?
■しかくQuestion28 自己株式の取得や消却の会計処理は?
■しかくQuestion29 配当可能額(=自社株式取得可能額)の算定方法は?
キャッシュフロー計算書
■しかくQuestion30 キャッシュフロー計算書に関する7つの疑問
■しかくQuestion31 「設備投資額」はどの数値を使う?
企業価値評価
■しかくQuestion32 資本コストを上回るROEが求められる理由とは?
■しかくQuestion33 ROEを高めるには?
■しかくQuestion34 ROEに影響する「その他包括利益累計額」の変動とは?
■しかくQuestion35 事業用資産の含み損益を試算する方法とは?
ガバナンス
■しかくQuestion36 TOBの成否,株主提案に必要な議決権数は?
■しかくQuestion37 3つの取締役会の仕組みの違いは?
■しかくQuestion38 社外取締役にかかる4つの課題とは?
■しかくQuestion39 着目したいガバナンス投資とは?
■しかくQuestion40 オーナー・同族企業では必ずチェックしたい関連当事者注記とは?
■しかくQuestion41 監査報告書・期中レビュー報告書・第三者保証報告書の違いは?
■しかくQuestion42 監査報告書で確認すべき事項は?
■しかくQuestion43 財務リスクの把握に役立つ監査報告書の「KAM」とは?
■しかくQuestion44 監査法人を知るには?
サステナビリティ開示
■しかくQuestion45 サステナビリティ開示基準とは?
■しかくQuestion46 日本におけるサステナビリティ開示の義務化の予定は?
その他関連制度等
■しかくQuestion47 株式公開買付制度(TOB)とはどのような制度か
■しかくQuestion48 事業再生ADRや民事再生法等による再建との違いは?
■しかくQuestion49 上場廃止基準の具体的要件は?
■しかくQuestion50 買収案件で話題となる外国為替及び外国貿易法(外為法)とは?
第5章 不正会計への対応
■しかくSection1 不正会計の要因
1 不正会計を行うヒトの資質と誘因の存在
2 未然に防止又は早期発見するための内部統制の欠如
3 コンプライアンスを軽視する社風
4 不正できる余地を与えている会計処理
■しかくSection2 主な不正会計の手口と財務諸表への影響
1 循環取引を含む架空売上による利益の水増し計上
2 不良債権の飛ばしや連結外しによる損失隠し
3 進捗に応じて収益認識する長期請負工事に関連する損失先送り
■しかくSection3 第三者委員会調査報告書の仕組みと見方
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