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【特別連載】指名漏れ大経大・林が明かす「好投手続出」の真相 「放任」の厳しさ、ENEOSで雪辱へ

[ 2024年12月31日 07:00 ]

卒業後はENEOSに入社する大経大・林(撮影・河合 洋介)
Photo By スポニチ

今秋のドラフト会議では育成を含む123人が指名を受けた。脚光を浴びた選手たちとは対照的に、プロ志望届を提出しながら指名漏れを味わい、涙をのんだ好選手も数多くいた。スポニチでは、夢を諦めずに数年後の吉報を目指す選手に迫る連載「夢をかなえるまでは――」を始動。第3回は、大経大の最速151キロ右腕・林翔大(4年)に迫る。

◇ ◇ ◇
関西No・1右腕の名前がドラフト会議で呼ばれなかった。大経大・林は、この予想外の結果を素直に受け入れていた。「プロに行けなくなったわけではない。悔しい気持ちになると思っていたけど、社会人で2年間、頑張ろうという前向きな気持ちになっていました」。関西六大学リーグで通算19勝。調子に左右されずに結果を残す安定感はNPBスカウトから高く評価されながら、指名を受けるまでには至らなかった。

好選手がズラリと並ぶ同リーグで2年春にベストナインを受賞し、頭角を現した。しかし、同年秋に2勝のみと壁にぶつかった。「"これでいけるだろう"と少し天狗になった部分があったのだと思います」。この屈辱が練習に対する意識を変えた。冬場でも数多く投げ込み、ウエートトレにも積極的に励んだ。練習の効果を考え直し、成長につながっていないと判断したものは全て捨てて改めた。

「一つ一つの練習が投球につながっているかを考えて、イメージできるようになった。練習の意識が変わると結果が変わりました」

3年春に本領を取り戻し、再び先発としてフル回転。今年6月の大学日本代表選考合宿に招集されるなどプロ注目選手に成長した。

同大学は才木海翔(22年オリックス育成2位)、津田淳哉(23年阪神6位)と2年連続でNPBに投手を輩出している。立て続けに好投手が生まれる背景には「自由放任主義」のチーム方針があると言う。投手陣は、走り込み以外全て自主練習なのだ。1年生でも投球練習の回数や球数を考えて、組み立てていかなければならない。

才木が4年生だった22年から一部が自主練習になり、昨年から全て個別メニューに変更された。林は、その効果を「練習をしなければ落ちていくだけ。後輩は津田さんの凄い練習量を見てきた。自分で考えてやるから、投手が伸びているのかなと思う」と証言する。

培った考える力は、社会人野球でも役立つだろう。卒業後は、名門のENEOSに内定している。「金丸(関大)は全ての変化球が勝負球にもなるし、中村(愛知工大)にはスライダーがあった。僕の場合は、上のレベルで通用する変化球ではなかったのだなと痛感しました」。2年後の目標は「上位指名」と即答。総合力の高い投手から突き抜けた存在になる必要性を、今回の悔しさが教えてくれた。(河合 洋介)

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