環境
化学物質の管理と取り扱い
管理体制
図1.新規化学物質等の製造・販売・輸出・輸入の管理組織体系
図2.新規化学物質等の審査フロー
図3.新規化学物質等の管理フロー
新規化学物質等の管理フロー確認事項表
ステージ | 主な確認事項 |
---|---|
1 | 1品質計画(使用条件および環境への影響,他社品質,顧客要求性能,セールスポイント), 2商標・特許,国内外法規制対応計画,3開発計画(体制・日程・研究費用・安全性試験費用等), 4製造計画(製造工程,研究・試作設備等), 5販売・輸出計画,6損益計画 |
2 | 1市場性・商品性 (機能性,安全性,容器・梱包,輸送方法,産業廃棄物対策,製造・販売コスト,販売価格,省エネルギー等)の詳細確認, 2製造工程および分析検査方法確立,3GLP,GMPの必要性調査,4特性値・反応および爆発危険性の調査, 5安全性試験費用等のチェック,6新規化学物質申請(化審法,安衛法), 7CAS,TSCA,HCS,CEPA,WHMIS,EINECS,REACH規則,FD&CAct等の調査, 8SDS,警告ラベル,表示・標識,取扱説明書,各種毒性情報の確認,9セールスマニュアル,10契約内容,11特許・商標出願, 12文書記録の保存 |
3-1 | 1クリーナープロダクション(廃棄物の減少又は発生防止)の評価,2機器・プロセス・作業(含健康障害)の安全防災SA, 3投資効果判定 |
3-2 | 1安衛法,2高圧ガス保安法,3消防法,4火薬類取締法,5石油コンビナート等災害防止法,6大気汚染防止法, 7オゾン層保護法,8省エネ関連法,9水質汚濁防止法,10騒音規制法・振動規制法,11悪臭防止法,12廃掃法, 13海洋汚染防止法,14建築基準法,15毒物及び劇物取締法,16薬機法,17食品衛生法,18化審法,19農薬取締法,20RI法, 21港則法,22航空法,23道路運送法,24工場立地法,25火災予防,環境汚染防止等の地方条令 |
4-1 | 1危険有害性の事前確認,2当該物質の法規制チェック, 3SDS,警告ラベル,表示・標識,取扱説明書他の人手確認 |
4-2 | 1建築基準法,2消防法,3火薬類取締法,4高圧ガス保安法,5石油コンビナート等災害防止法,6省エネ法, 7電気事業法・ガス事業法,8JIS,9リサイクル法,10廃掃法,11化審法, 12安衛法(第57条の4・有機則・特化則・四アルキル則・鉛則・粉じん則・電離則),13薬機法,14毒物及び劇物取締法, 15食品衛生法,16農薬取締法,17RI法,18SAの実施・SOP・健康障害措置,19PM体制, 20QA(ISO9000シリーズ・JISZ9900シリーズ),21SDS・警告ラベル・表示標識・取扱説明書等の完成 |
4-3 | 1火薬類取締法,2高圧ガス保安法,3毒物及び劇物取締法,4消防法,5RI法,6鉄道営業法,7道路運送車両法, 8道路法(水底トンネル),9船舶安全法,10港則法,11海洋汚染防止法,12海上交通安全法,13航空法, 14郵便法, 15その他(携行書類・資格・車両・容器・積載基準・表示標識) |
4-4 | 1表示・標識の注意事項確認,2貯蔵上の注意事項確認 |
5 | 1一般及び工業顧客=警告ラベル,表示標識,取扱説明書の配布 2工業顧客=SDS,品質保証書,契約書,業の登録確認等の実施 |
6 | ◎にじゅうまる運送・貯蔵 1UN,IMO(IMDG・IBC・BCの各コード),ICAO,IATA, 2欧州=ADR,RID,REACH規則/CLP規則,EC指令,3米国=49CFR,CHEMTREC,NFPA,HCS 等 ◎にじゅうまる労働安全 4HCS,SDS,警告ラベル,表示標識,取扱説明書 等 ◎にじゅうまる消費者安全 5同上およびPL保険,保証書(保証責任の限定) ◎にじゅうまる環境・公害 6米国=CAA,CWA,RCRA,CERCLA,SARA,TSCA,HCS, 7カナダ=CEPA,WHMIS, 8欧州=REACH規則,RoHS指令 等 ◎にじゅうまる貿易管理 9化学兵器原料,10麻薬原料,11有害化学物質,12戦略物資(戦略物資管理運営基準) |
化学物質管理の情報精度を高める取り組み
日油グループは、持続可能な化学物質管理に重点を置いており、以下のポイントで情報精度の向上に取り組んでいます。
日油は、自社製品に関連する危険有害性情報をお客さまや従業員が容易に入手できるように、化学物質総合管理システムを導入し、安全データシート(SDS)を提供する仕組みの確実な運用に努めています。さらに、2025年度までには、全社で化学物質データベースを構築し、化学物質総合管理システムの機能を拡充する予定です。
まず、化学物質管理プロセスをデジタル化することで、情報の正確性と迅速なアクセスを確保します。これにより、化学物質の取り扱いに関するデータを厳密に管理し、効率的な意思決定をサポートします。
また、透明性と可視化を向上させるために、化学物質の使用状況や取り扱いの履歴などの重要な情報を追跡・管理するためのシステムの機能拡充にも取り組んでいます。これにより、化学物質のリスク評価や環境への影響をより正確に評価し、持続可能な経営戦略の策定に役立てます。
さらに、パートナーシップの強化も重要な取り組みです。日油グループは、サプライヤーや顧客との協力関係を築きながら、化学物質管理の観点から適切な製品を提供するために、顧客との継続的な対話を通して、製品の改善に努めています。また、業界団体や規制機関とも連携し、情報共有とノウハウの交換に取り組んでいます。これにより、業界全体の化学物質管理の水準向上に貢献し、さらなる発展を目指しています。
最後に、持続可能性への取り組みとして、研究開発の促進を挙げることができます。日油グループは、より環境に配慮した化学物質の開発に力を入れています。環境への悪影響を最小限に抑えながら、高性能な製品を提供することを目指しています。これにより、顧客のニーズに応えつつ、持続可能なビジネスモデルの実現に取り組んでいます。
以上が、日油グループが化学物質管理の情報精度を高めるために取り組んでいる主要なポイントです。日油グループは、持続可能な経営を追求しながら、お客さまの信頼を維持し、すべてのステークホルダーの皆さまに価値あるリターンを提供することを目指しています。
化学物質総合管理システムの概要
化学物質リスクアセスメント
日油グループでは、労働災害に対するあらゆるリスクの低減を図り、災害発生防止に努めることにより、休業災害ゼロの達成を目標としています。
その中で、化学物質による労働災害を防止するために、労働安全衛生規則に基づく化学物質リスクアセスメントの実施を毎年のRC活動目標の労働安全に関する実施項目の一つとして掲げ、国内日油グループ全体の生産・研究開発・品質管理の各部門で実施しています。RC委員会が定期開催する生産箇所単位のRC監査にて、その実施状況(目標実施率100%)をチェックしており、毎年増加する化学物質リスクアセスメント実施対象物質への対応を抜け漏れなく確実に実施する体制を整えています。
グローバル枠組みへの取り組み
化学物質に関するグローバル枠組み(GFC※(注記))に 対する取り組み
日油は、化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)の重要性を深く認識しており、これに基づいた取り組みを積極的に推進しています。GFCは、化学物質の管理と規制のための国際的な協力とガイドラインを提供し、環境と人間の健康を保護することを目的としています。日油は数あるGFCターゲットの中から、特にB2(情報提供と管理)とD1(資源循環と温室効果ガス削減)に対して具体的な取り組みを実施しています。
まず、B2ターゲットに関しては、chemSHERPAを活用し、川下ユーザーに対して化学物質情報を提供することで、サプライチェーン全体での透明性と安全性を高めています。また、化学物質総合管理システムを導入し、自社製品に関連する環境安全関連データを一元管理することで、効率的かつ効果的な化学物質管理を実現しています。
次に、D1ターゲットにおいては、廃プラスチックのリサイクル化を促進し、資源循環の取り組みを強化しています。この取り組みにより、廃棄物の削減と資源の有効利用を図っています。また、温室効果ガス排出量の削減にも取り組んでおり、持続可能な発展に貢献するための具体的な目標を設定し、実践しています。
日油は今後もGFCに準じた取り組みを継続し、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて尽力していきます。
保護具の着用
2024年4月の改正「安衛法」の施行に伴い、化学物質の自律的な管理実施を職務とする化学物質管理者の選任の義務化だけでなく、化学物質を取り扱う従業員の保護具の着用や、保護具着用管理責任者による適切な保護具の選定や使用状況の管理も義務化されました。日油グループでは、以前より実施している保護具の着用を改めて徹底するとともに、法改正に合わせた管理体制を確立しています。
物流安全
日油グループは、物流の環境負荷低減の推進とともに、輸送時の安全を確保するための活動に取り組んでいます。取り扱う製品には危険物なども多く、輸送時の安全には常に細心の注意を払っています。特に「物流災害ゼロ」を目指し、全従業員が一丸となって安全対策を徹底しています。また、事故による化学物質の漏洩・流出を防ぐための管理体制も強化しています。
フォークリフト講習会(ニチユ物流(株))
イエローカード
化学物質の輸送中に、万一事故が発生すると人命、近隣、積荷または道路へ重大な影響を及ぼす可能性があります。イエローカードには輸送関係者あるいは消防・警察などが事故時に取るべき措置や連絡・通報内容などが明記されています。日油グループでは輸送事業者への配布および輸送時の携帯を徹底させています。
リーファーコンテナのコンプレッサ稼働状況・位置情報の監視により、運用の効率向上を図りながら輸送時の安全確保向上についての文書を作成しています。
イエローカード