6-1 リスクの見積りの方法
リスクの見積もりは、1.危険な状態が発生する頻度、2.危険状態が発生した時に災害に至る可能性、3.負傷又は疾病の程度の3つの要素により数値化し加算方式で行った。
1. 危険な状態が発生する頻度
頻度 |
評価点 |
基準 |
頻繁 |
4点 |
頻度 |
数回/日
頻繁に立ち入ったり接近する。 |
方法 |
突然に、不意に、予期せぬ時に、無防備の状態で立ち入ったり接近したりする。 |
時々 |
2点 |
頻度 |
1〜2回/日
トラブル・修理・調整等で立ち入ったり接近する。 |
方法 |
一定ルールのもとで、これを遵守しながら立ち入り・接近することになっている。 |
滅多にない |
1点 |
頻度 |
数回/週
一般的に危険領域に立ち入ったり接近する必要はほとんどない。 |
方法 |
立ち入りあるいは接近が事前に判るので、周到に準備したうえで実行する。 |
2. 危険状態が発生した時に災害に至る可能性
可能性 |
評価点 |
基準 |
確実である |
6点 |
ハード |
安全対策がされていない。表示や標識はあっても不備が多い状態。 |
ソフト |
安全ルールを守っていても、よほど注意力を高めないと災害につながる。安全ルールや作業標準すらない状態。 |
可能性が
高い |
4点 |
ハード |
防護柵や防護カバー、その他安全装置がない。たとえあったとしても相当不備がある。非常停止や表示・標識類は一通り設置されている。 |
ソフト |
安全ルールや作業標準はあるが守りにくい。注意力を高めていないとけがに繋がる可能性がある。 |
可能性が
ある |
2点 |
ハード |
防護柵や防護カバーあるいは安全装置等は設置されているが、
柵が低い隙間が大きい等の不備がある。危険領域への侵入や危険性又は有害性との接触が否定できない。
|
ソフト |
安全のルールや作業標準等はあるが、一部守りにくいところがある。うっかりしているとけがに繋がる可能性がある。 |
可能性は
殆どない |
1点 |
ハード |
防護柵・防護カバー等で囲まれ、かつ安全装置が設置され、危険領域への立ち入りが困難な状態。 |
ソフト |
安全のルールや作業標準等は整備されており、守りやすい。特別に注意しなくてもけがをすることはほとんどない。 |
3. 負傷又は疾病の程度
けがの程度 |
評価点 |
基準 |
致命傷 |
10点 |
死亡や永久的労働不能に繋がるけが |
重傷 |
6点 |
重傷(長期療養を要するけが)及び障害の残るけが |
軽傷 |
3点 |
休業災害及び不休災害(いずれも完治可能なけが) |
微傷 |
1点 |
手当後、直ちに元の作業に戻れる微傷のけが |
4. リスクポイントの合計を出す
1.危険な状態が発生する頻度+2.災害に至る可能性+3.負傷又は疾病の程度=4.リスクポイントの合計
5. リスク及びリスクポイント
リスク |
リスクポイント |
評価 |
優先度 |
V |
14〜20 |
直ちに解決すべき問題がある |
直ちに中止又は改善する |
IV |
12〜13 |
重大な問題がある |
優先的に改善する |
III |
9〜11 |
かなり問題がある |
見直しを行う |
II |
6〜8 |
多少の問題がある |
計画的に改善する |
I |
3〜5 |
必要に応じて、リスク低減措置を実施する |
残留リスクに応じて教育や人材配置をする |
6-2 リスク低減の実施
図:リスク低減措置の実施 対策前、対策後の比較