マイナ救急で救急搬送がスムーズに!命を守るマイナ保険証の新しい活用法
[画像:意識不明となっている高齢の男性と、その男性の妻が駆け付けた救急隊員にマイナンバーカードを提示しているイラスト。]
POINT
119番通報で駆け付けた救急隊員は、傷病者の受診歴や薬剤情報などを基に、搬送先医療機関の選定や、救急車内での処置を行います。ところが、本人が意識を失い家族が動揺していたり、意識があっても処方された薬の名前を思い出せなかったりする場合、救急隊員の情報把握が難しいことがあります。こうした「もしも」のときに役立つのが、マイナ保険証を活用した「マイナ救急」です。ここでは、その取組やメリット、利用方法について分かりやすくご紹介します。
1マイナ救急の取組とメリット
マイナ救急とは?
マイナ救急とは、救急現場において救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用し、搬送先医療機関の選定などに役立つ情報を把握することにより、救急業務の円滑化を目指す取組です。通常、これらの情報は、傷病者本人や家族から聞き取りますが、病気やけがで苦しんでいる本人や、気が動転している家族が救急隊員に正確に情報を伝えることは難しい場合もあります。
こうした場合に、救急隊員が専用端末を使い、傷病者のマイナ保険証から医療情報を閲覧し、円滑な搬送先医療機関の選定や、より適切な処置を行うことができます。
マイナ救急は以下の流れで行われます。
- 119番通報:指令員が通報者に傷病者のマイナ保険証の準備を依頼します。
- 同意の確認:救急隊員は、マイナ保険証を使った医療情報の閲覧について、傷病者本人に同意を求めます。
※(注記)傷病者が意識不明で同意取得が困難な場合は、傷病者の生命や身体を保護する必要があれば、同意なしに医療情報を閲覧することがあります。 - 本人確認:救急隊員は、傷病者の顔とマイナ保険証の写真を見て本人確認を行うため、マイナンバーカードの暗証番号の入力は原則不要です。
- 情報閲覧:救急隊員がマイナ保険証を専用のカードリーダーで読み取り、傷病者の過去の受診歴や薬剤情報などの医療情報を閲覧します。
- 処置への活用:閲覧した情報は、傷病者の円滑な搬送先医療機関の選定や処置などに活用します。
※(注記)各消防本部によって、マイナ救急の流れは若干異なる場合があります。
マイナ救急は、令和4年度(2022年度)から実証事業を開始し、令和6年度(2024年度)は67の消防本部において実証事業を行い、マイナ救急の有用性を確認しました。令和7年(2025年)10月1日には、全国にある全ての消防本部(720消防本部)、計5,334隊の救急隊(常時運用救急隊の98%)で全国一斉にマイナ救急を開始します。
マイナ救急のメリット
マイナ救急には、次のようなメリットがあります。
- 救急隊への受診歴・薬剤情報の説明など、傷病者の負担軽減
- 意識のない傷病者に付き添う家族などが、傷病者の正確な受診歴や薬剤情報を把握していなくても情報伝達が可能
- 救急隊が正確に傷病者の医療情報などを確認でき、円滑な搬送先医療機関の選定や処置が可能
- 事前に医療情報を搬送先医療機関に伝えることでより適切な受入れ準備が可能
これまでの実証事業を通じて、救急隊からは、「ご家族は気が動転しており、情報収集が困難であったが、マイナ救急により傷病者の病歴や薬剤情報の収集に役立った」、「傷病者は息苦しく会話困難な状態であったが、マイナ救急により傷病者の負担なく医療情報などの確認ができた」といった報告があります。
2事前に準備すること
マイナ保険証の登録をお早めに
マイナ救急を利用するには、マイナンバーカードを所有し、かつマイナ保険証として健康保険証の利用登録が完了している必要があります。傷病者のマイナ保険証がなければマイナ救急は実施ができないため、利用登録がまだのかたは、もしものときに備えて利用登録し、外出時にもできる限りマイナ保険証を持ち歩きましょう。
- マイナンバーカードの申請については、地方公共団体情報システム機構「マイナンバーカードを申請する」をご確認ください。
- マイナ保険証の利用登録については、マイナポータル「マイナンバーカードの健康保険証利用」をご確認ください。
[画像:マイナ救急を利用するために必要な準備として、「マイナンバーカードの取得」と「マイナ保険証の登録」と「外出時にはマイナンバーカードを持ち歩くこと」の3点を示すイラスト。]
マイナ救急で取り扱われる情報
マイナ保険証から救急隊員が閲覧できる情報は、氏名や住所などのマイナンバーカード上に記載された情報と、受診歴や薬剤情報などの医療情報に限られます。税や年金など、救急活動に関係のない情報は閲覧できません。また、マイナ保険証を読み込んだカードリーダー及びタブレット端末には、情報が記録されることもありません。なお、傷病者が意識不明で同意取得が困難な場合は、傷病者の生命や身体を保護する必要があれば、同意なしに医療情報を閲覧することがあります。なお、過去の医療情報の閲覧履歴は、マイナポータルで確認することができます。
<マイナ保険証で参照可能な主な情報>
- 過去の受診歴(5年分)
- 過去の電子処方箋情報(100日分)
- 過去の薬剤情報(5年分)
- 過去の手術情報(5年分)
- 過去の診療情報(5年分)
- 過去の特定健診の情報(5回分)
コラム:マイナ救急で一命を取り留めた事例
これまでの実証実験において、マイナ救急により一命を取り留めた事例もあります。
事例1:60代男性が心肺停止
救急隊到着時の状況
勤務先で心肺停止状態。同僚が通報したが、受診歴や薬剤情報などを把握していなかった。
救急隊の活動内容
処置と並行し、マイナ救急で脳梗塞、高血圧、大動脈疾患の受診歴や薬剤情報などを確認し、搬送先に伝達した。
マイナ救急の有用性
傷病者の処置と並行して、受診歴などを搬送先に伝えることで、早期に緊急手術を行うことができ、一命を取り留めることができた。傷病者はその後退院し、社会復帰した。
事例2:70代男性が意識もうろう・意思疎通困難
救急隊到着時の状況
意識もうろうで、意思疎通が困難だった。
救急隊の活動内容
マイナ救急で薬剤情報を確認し、消化管出血による貧血を疑い、緊急内視鏡・輸血の処置が可能な医療機関に搬送した。
マイナ救急の有用性
薬剤情報から病名を推測し、適切な搬送先で早期に緊急手術を行うことで一命を取り留めることができた。また、搬送先の医師からは「薬剤情報を事前に得られたため、緊急オペなどの事前準備ができた」とコメントがあった。
まとめ
急病になったり負傷したりすることは、誰にでも起こり得ます。しかし、そのときに、ご自身の医療情報を救急隊員に正確に伝えることは難しい場合もあります。「もしも」に備えて、マイナ保険証の登録を済ませ、マイナンバーカードを持ち歩きましょう。
(取材協力:総務省消防庁 文責:内閣府政府広報室)
関連リンク
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