マイナ保険証
2024年12月、マイナ保険証を基本とする仕組みへ
[画像:マイナンバーカードを保険証として使い、病院で診察受付をする女性]
POINT
マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証)を医療機関・薬局で利用していますか?令和6年(2024年)12月2日以降、従来の保険証は新たに発行されなくなり、「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しています。マイナ保険証の使い方やメリット、安全性について分かりやすく紹介します。
1マイナ保険証って?
医療機関や薬局の顔認証付きカードリーダーなどでマイナンバーカードを健康保険証として利用登録することで、すぐにその場で従来の健康保険証の代わりに利用することができます。利用登録されたマイナンバーカードは「マイナ保険証」と呼ばれ、令和7年(2025年)3月末時点で、すでにマイナンバーカードをお持ちのかたの8割以上が、利用登録を完了されています。
第3章で詳しく解説しますが、マイナ保険証を利用すると、患者さんご本人の同意に基づき、別の医療機関・薬局で処方されたお薬の履歴などが他の医療機関・薬局で参照できて、お薬の飲み合わせなどの調整がしやすくなったり、窓口で限度額以上の支払が不要になったりと、様々なメリットがあります。
なお、第5章では、マイナ保険証をお持ちでないかたがどのように医療機関・薬局へ受診をすればよいのか紹介しています。
2マイナ保険証の利用・登録方法
マイナ保険証は、医療機関・薬局で、次のステップで利用することができます。また、診察受付と同時に利用登録も行えます。
利用・登録の方法
STEP01受付
マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダー※(注記)1に置く。
※(注記)1:顔認証付きカードリーダーは5種類(メーカー)あります。
STEP02本人確認
「顔認証」を行うか、「暗証番号(マイナンバーカード申請時に設定した4桁の番号)」を入力する。
STEP03過去の診療・お薬情報の提供など同意事項の確認
診療・薬剤・特定健診情報などの利用について確認・選択する※(注記)2。
なお、令和6年(2024年)10月7日からは、顔認証付きカードリーダーでの待ち時間の解消や操作性の向上を目的として、3画面分の同意を1画面でまとめて行うことも可能となりました。
さらに、上記のまとめて同意する画面で、「個別に同意する」を選択した際に、これまでは同じ医療機関・薬局であってもその都度選択する必要性がありましたが、令和7年(2025年)2月から、同じ施設への再来であれば、その施設で個別に登録した前回の同意状況を引き継ぐことができるようになりました。もちろん、前回の同意状況を確認することや、「選択しなおす」を押下すれば個別選択もできます。
まとめて同意する場合
[画像:顔認証カードリーダーに表示される、過去の手術、診療、お薬、検診情報の提供同意画面。全て同意するボタンと個別に同意するボタンがある。]
前回の同意状況を引き継ぐ場合
[画像:顔認証カードリーダーに表示される画面。過去の医療情報等の提供に同意しますか。現在の同意状況をみる。現在の同意状況を引き継ぐ。選択しなおす。と書かれたイラスト。]
個別に選択する場合
[画像:顔認証付きカードリーダーに表示される、過去の診療・薬剤情報の提供などの同意確認の画面]※(注記)2:顔認証付きカードリーダーの種類によって画面は異なります。
STEP04受付完了
受付を完了したらカードを取って呼び出しを待つ。これまでは、高額療養費制度を利用する場合は、続けて「高額療養費制度を利用」を押し、限度額情報を「提供する」を選択してもらう必要がありました。しかし、令和6年(2024年)10月7日からは、「提供する」を選択しなくても、高額療養費制度をご利用いただけるようになりました。
[画像:受付完了画面。カードを取り出して、待合室でお待ちくださいと表示されている。]
補足健康保険証として登録
マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録が済んでいないかたには、マイナンバーカードを顔認証付きカードリーダーに置き本人確認を行った後に、利用登録の画面が表示されます。ここで、「登録する」を選択すれば、登録完了です。そのまま健康保険証を利用する場合には再度、診療・お薬情報の提供などの同意確認が必要です。
[画像:マイナンバーカードを健康保険証として登録する画面][画像:マイナンバーカードを健康保険証として登録する画面][画像:マイナンバーカードを健康保険証として登録する画面]
これまでの利用の流れを1つにまとめると、以下のフロー図のようになります。
[画像:マイナンバーカードの健康保険証としての利用・登録の方法。1受付、2本人確認、3診療・お薬情報の提供など同意確認、4受付完了の流れとなる。健康保険証として利用登録が必要な場合は、2本人確認を行った後に、利用登録画面が表示される。]なお、マイナ保険証の利用登録は、上記の医療機関・薬局のカードリーダーでもできるほか、マイナポータルやセブン銀行ATMでも行えます。
3マイナ保険証を使うと、どんなメリットがあるの?
マイナンバーカードでは、受付・支払・確定申告などの手続が円滑になります。安全性も十分配慮されています。マイナンバーカードを健康保険証として利用登録すると、次のようなメリットがあります。
いつもの通院などが便利に!
- 医療機関や薬局での受付をカードリーダーの顔認証機能を使って、スムーズに行えます。
- 今までに使ったお薬の情報や過去の特定健診の結果を、本人の同意があれば医師や薬剤師などと共有でき、正確なデータに基づく診療・薬の処方が受けられます。お薬の飲み合わせや分量の調整がしやすくなります。旅行や引っ越しで初めての医療機関・薬局を受診等する際にも安心です。
- 電子処方箋に対応した医療機関・薬局をマイナ保険証で受診等すると、本人の同意のもと、「直近の」薬の情報も医師や薬剤師などと共有でき、重複投薬を避けたり、一緒に飲んではいけないお薬の処方を未然に防いだりすることができます。
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薬局では、調剤を受けたい医療機関の電子処方箋を、カードリーダーで簡単に選択できます。さらに、オンライン診療やオンライン服薬指導の際にも、医療機関へ処方箋を受け取りに行ったり、薬局へ処方箋を持参したり、郵送してもらうなどの負担がなくなります。
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限度額適用認定証を提示しなくても、窓口で高額療養費制度の限度額を超えた額の一時的な支払が不要になるので、急なケガや病気で手術や入院が必要になった場合にも安心して医療を受けることができます。
こんなところも簡単・便利に!
- マイナポータルで自分の特定健診の情報やお薬の履歴、受けた治療や医療費を確認できます。
- 就職や転職、引っ越しをしても、保険証を切り替える必要がなく、マイナンバーカードを保険証としてそのまま使うことができます(医療保険者が変わる場合は、加入の届出が必要です。)。
- マイナポータルとe-Taxを連携すると、医療費控除に使用できる医療費通知情報をマイナポータル経由で取得して、確定申告書に自動入力することができます※(注記)3。
コラム:救急の患者にマイナ保険証の薬剤情報が役立った事例
マイナ保険証を利用すると、初めて受診する医療機関でも、本人の同意によって今までに使ったお薬の履歴や特定健診の結果を医師と共有できます。実際に、初診の急患が来院した際、治療に活用できる情報が搬送先の病院には何もありませんでしたが、たまたまマイナンバーカードを持っていたお陰で、ふだん飲んでいるお薬や特定健診の血液検査などの結果が判明し、早期治療につながった事例がありました。マイナ保険証は、救急や旅行先での受診といった、いざというときの安心にもつながります。
4マイナ保険証の安全性は?
マイナ保険証(マイナンバーカード)は、以下の理由から安全に利用することができます。ただし、キャッシュカードと同様に暗証番号を他人にみだりに教えたりしてはいけません。
- 他人があなたのマイナ保険証(マイナンバーカード)を使って手続きすることはできません。
- マイナンバーカードのICチップには、医療情報などのプライバシー性の高い情報は含まれていません。
- マイナ保険証を用いてアクセスできる薬剤情報等はご本人の同意を前提としています。
- 万一、マイナ保険証を紛失したときでも、マイナンバー総合フリーダイヤルでは24時間365日体制にてマイナンバーカードの一時利用停止を受け付けます。
他人があなたのマイナンバーカードを使って手続することはできません
マイナ保険証(マイナンバーカード)を使って手続きするには、顔認証か4桁の暗証番号が必要です。さらに、利用に必要な「利用者証明用パスワード(4桁の暗証番号)」は、3回間違うと機能がロックされ、パスワードの初期化・再設定が必要な仕組みとなっています※(注記)4。また、医療機関等での受付に当たっては、マイナンバーカードのICチップの中の「電子証明書」を使うため、ご自身の診療情報がマイナンバーと紐づけられることもありません。
※(注記)4:ロックがかかった場合、「利用者証明用パスワード(4桁の暗証番号)」は、市区町村の窓口及び一部のコンビニ等キオスク端末にて初期化・再設定ができます。コンビニ等キオスク端末で行う際は、「署名用パスワード(6桁から16桁の暗証番号)」が必要ですのでご留意ください。なお、4桁の暗証番号がロックされた場合でも、顔認証付きカードリーダーで顔認証を選択すれば、医療機関・薬局での受付は可能です。
マイナンバーカードのICチップには、プライバシー性の高い情報は含まれていません
マイナンバーカードのICチップには、税や年金、薬剤情報や特定健診情報などのプライバシー性の高い情報は入っていません。そのため、マイナンバーカードを落としたり失くしたりしてしまった場合でも、プライバシー性の高い情報は流出することはありません。さらに、ICチップの情報を不正に読み出そうとするとチップが壊れるセキュリティ対策も施されています。
マイナ保険証を用いてアクセスできる薬剤情報などは本人同意を前提としています
医療機関・薬局を受診した際には、医療機関・薬局側は患者本人の同意の上で、同意後24時間以内に限り、患者の過去の診療情報、薬剤情報や特定健診の結果にアクセスできます。さらに税や年金、公金受取口座情報など関係のない情報にアクセスすることはできません。
マイナ保険証を紛失したら?
万一、紛失・盗難などで、一時利用停止をしたい場合は、マイナンバー総合フリーダイヤルでは、24時間365日体制にてマイナンバーカードの一時利用停止を受け付けています(2番を選択のうえ、音声ガイダンスにしたがってお進みください。)。
コラム:マイナ保険証の登録データ点検と誤り防止策
令和5年(2023年)5月にマイナ保険証の資格情報が誤って登録された事例の報道を受け、厚生労働省では令和6年(2024年)4月までに全ての登録済みデータの点検を行いました。
また、新たな誤りの事案が発生しないよう、保険資格取得時に新しいデータを登録する際には、住民基本台帳情報との突合作業をシステムで自動的に必ず実施することとし、誤登録を防ぐ対策がとられています。
5マイナ保険証をお持ちでないかたは、資格確認書をご利用いただけます
マイナ保険証は、患者本人の健康・医療情報に基づくより良い医療の提供、緊急時の活用などのメリットがあり、医療DXを進める上での基盤です。令和6年(2024年)12月2日以降、従来の健康保険証の新たな発行は行われなくなりました。
マイナ保険証を基本とする仕組みに移行するに当たっては、全てのかたが安心して確実に保険診療を受けることができるよう、令和6年(2024年)12月2日からの最長1年間※(注記)5は、従来の健康保険証を使用可能とし、デジタルとアナログの併用期間を設けることとしています。
さらに、マイナ保険証を保有しないかたには、従来の健康保険証の有効期限内に「資格確認書」を無償で申請によらず交付することとしており、医療機関の窓口で「資格確認書」を提示することにより従来どおり保険診療を受けることが可能となっています。
また、75歳以上のかたや65歳以上75歳未満のかたで一定の障害があると後期高齢者医療広域連合から認定を受けたかた(後期高齢者医療制度の被保険者)については、令和8年(2026年)7月末までの間における暫定的な運用として、マイナ保険証の保有状況にかかわらず、資格確認書を無償で申請によらず交付することとしています。
そのため、後期高齢者医療制度の被保険者におかれては、当分の間、申請は不要です。
交付対象者
【申請によらず交付するかた】
- マイナンバーカードを取得していないかた
- マイナンバーカードを保有しているが健康保険証利用登録を行っていないかた
- マイナ保険証の利用登録解除を申請したかた・登録解除者
- マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れたかた
- 後期高齢者医療制度にご加入のかたや、新たに加入されるかた(令和8年(2026年)7月末までの暫定措置)
【申請により交付するかた】
- マイナンバーカードでの受診等が困難な要配慮者(高齢者、障害者等)であって、資格確認書の交付を申請したかた
- マイナンバーカードを紛失・更新中のかた
【更新時の申請が不要なかた】
- 申請により資格確認書が交付された要配慮者
※(注記)5:令和6年(2024年)12月2日時点で有効な健康保険証は最長1年間。有効期限が令和7年(2025年)12月1日より前に切れる場合や、転職・転居などで保険者の異動が生じた場合はその時点まで。
まとめ
令和6年(2024年)12月2日以降は、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行し、従来の健康保険証の新たな発行は行われなくなりました。まだ、マイナ保険証をお持ちでない場合も、従来の健康保険証や資格確認書により医療機関や薬局を受診できますが、マイナ保険証は診療履歴に基づいたより良い医療を受けられるなど多くのメリットがあります。便利で安全なマイナ保険証への切り替えをご検討ください。
(取材協力:厚生労働省、デジタル庁 文責:内閣府政府広報室)