ヒトは時に、暴飲暴食、浪費といった不合理な選択をしてしまうことがあります。パーキンソン病治療薬を服用している患者さんでは、副作用として高い頻度で意思決定障害(持続的に不合理な選択をしてしまう状態)が認められますが、そのメカニズムは十分にわかっていません。そこで研究グループは、同治療薬のなかでも意思決定障害を引き起こすことが多いプラミペキソールに着目。意思決定能力の検査に用いられているアイオワギャンブリング課題をマウスの行動実験に応用し、タッチスクリーン上で報酬および罰の量・頻度が異なるパネルの選択率を評価したところ、プラミペキソールを慢性投与したマウスは、ハイリスク・ハイリターンに設定されたパネルを選択する率が増加しました。脳領域の解析では、淡蒼球外節と視床の活動亢進が認められ、淡蒼球外節の活動を人工的に抑制すると、プラミペキソールによる不利な選択率の増加は改善しました。以上のことから、淡蒼球外節の活動亢進がパーキンソン病治療薬による意思決定障害に関わることが明らかになりました。
研究者
精神・神経病態解明センター
永井拓 教授
精神・神経病態解明センター
窪田悠力 助教
医学部 脳神経内科学
渡辺宏久 教授
et al.