BNM2006:
2006年9月13、14日に、Bファクトリーでの新しい物理量の観測に関するワークショップが開かれました。"International Workshop on B Factories and New Measurements"です。1999年の稼働以来、KEKのBファクトリーは順調に成果をあげてきました。B中間子の崩壊でのCP対称性の破れが発見され、やがて様々な崩壊パターンについて精度よく測られるようになったおかげで、小林益川理論が正しいことは完全に確立したといってよいでしょう。(そろそろノーベル賞が出てもいいと思う。)まったく同種の実験であり激しく競争を繰り広げてきたアメリカのスタンフォード線形加速器センター(SLAC)のBファクトリーと比べても統計量で上回り、すでに勝負ありの感があります。SLACのBファクトリーは2008年までに運転を止めることがすでに決まっています。
で、これからどうするの?というのがワークショップの主題です。当初の目的は達成したしもうやめてもいいんじゃないか、というのももっともな感じもします。うまくいっているものをやめてどうする、どんどんやれ、という考えもあります。要は、これからどんなおもしろいことがわかるかが問題で、標準模型では説明できないような驚くべき発見ができるのかが問われているわけです。
でもね。未知の粒子がみつかるとか、そういう予想もできないことを予想しろというのは本来無理なわけで、結局はやれるところまでやるしかないんです。科学上の大発見で、見つけようと思って見つけたものなんてあるのかな。そういうのは大発見とは言わない。問題は、ここ掘れワンワンをどこでやるかですね。一番可能性が高いのはもちろんエネルギーフロンティアです。でもお金も高い。
ワークショップで何がわかったかですが、いろんな進歩はありました。実験技術が進歩するごとに将来できることの予想も上方修正されていきます。そのうちまたまとめの文書を作るらしい。ちょっと目を引いたのは暗黒物質の探索です。できたはずの粒子がなくなっている、つまり暗黒物質に崩壊してしまったのを測定しようという作戦。もちろん当るも八卦の世界ですがおもしろいアイデアです。(2006年09月19日 記)
Lattice 2007, Regensburg, Jul 30 - Aug 4, 2007.
毎年恒例の格子場の理論国際会議。今年はちゃんと成果を持っていけるだろうか。
INT Lattice School, Seattle, Aug 8-28, 2007.
ワシントン大学核理論研究所で行われる格子QCDサマースクール。講師をやることになっている。大学はいい雰囲気で好きなんだけど、今回は楽しめるかどうか。
2007年9月にギリシャのどこかの島であるワークショップに参加予定。
学会・研究会の世話人など
2007年3月11日更新
2007年
KEK Symposium "Towards precision QCD Physics --- dedicated to the memory of Jiro Kodaira", at KEK, Mar. 10, 2007.
Organizing Committee. 2006年9月に急逝された故小平治郎教授の業績を偲ぶシンポジウムです。国外からも多くの方が駆け付けてくださることになりました。小平先生は、私にとって上司であっただけでなく、学生の頃の恩師でもあります。先生の突然の死が悔やまれてなりません。
大勢の方の参加をいただいて会議を無事に開催することができました。古くからの友人の方々が多くこられ、私が知っているのは先生のごく一部でしかなかったのだということを実感しました。こんなことしかできませんでしたが、お手伝いできてよかったです。(2007年3月11日記)
The third workshop on the Unitarity Triangle (CKM2005), San Diego, California, Mar 15-18, 2005.
Convener of WG2 (Determination of Vub and Vcb with semileptonic B decays, together with Thomas Mannel (Siegen),Christoph Schwanda (Vienna), Robert Kowalewski (Victoria)).