"Two-flavor lattice QCD simulation in the epsilon-regime with exact chiral symmetry,"
by JLQCD collaboration (H. Fukaya, S. Aoki, T.W. Chiu, SH, T. Kaneko, H. Matsufuru, J. Noaki, K. Ogawa, M. Okamoto, T. Onogi, N. Yamada), Feb 2007, Physical Review Letter, 98, 172001 (2007);hep-lat/0702003.
今回はかなりの自信作。厳密なカイラル対称性を保ったシミュレーションによって、QCDの自発的カイラル対称性の破れを初めて実証した。解析的にはもちろん、数値的にもこれまで誰もできなかったことをやってみせたのは自慢してもいいと思う。ただし、そんな現象はもはや当然と思われているので驚きはない。そこをどう評価されるか。
" JLQCD's dynamical overlap project," by JLQCD collaboration (T. Kaneko, S. Aoki, H. Fukaya, SH, K-I. Ishikawa, K. Kanaya, H. Matsufuru, M. Okamoto, M. Okawa, T. Onogi, A. Ukawa, N. Yamada, T. Yoshie), Oct 2006, hep-lat/0610036.
"Improvement of algorithms for dynamical overlap fermions," by
JLQCD collaboration (H. Matsufuru, H. Fukaya, SH, K. Kanaya, T. Kaneko, K. Ogawa, M. Okamoto, T. Onogi, N. Yamada), Oct 2006, hep-lat/0610026.
"Dynamical overlap fermions in the epsilon-regime," by
JLQCD collaboration (H. Fukaya, SH, K. Kanaya, T. Kaneko, H. Matsufuru, K. Ogawa, M. Okamoto, T. Onogi, N. Yamada), Oct 2006, hep-lat/0610024.
"Mobility edge and locality of the overlap-Dirac operator with and without dynamical overlap fermions," by
JLQCD collaboration (N. Yamada, S. Aoki, H. Fukaya, SH, K-I. Ishikawa, K. Kanaya, T. Kaneko, H. Matsufuru, M. Okamoto, T. Onogi), Sep 2006, hep-lat/0609073.
"Dynamical overlap fermion at fixed topology," by
JLQCD collaboration (SH, S. Aoki, H. Fukaya, K. Kanaya, T. Kaneko, H. Matsufuru, M. Okamoto, T. Onogi, N. Yamada), Oct 2006, hep-lat/0610011.
Lattice 2006 での発表の会議録(プロシーディング)。この分野では Lattice XX シリーズの会議録はそれなりの価値を持っている。たいていの人は来て最新の結果を発表するので、新しいことはまずここに出てくることになるため。多くの分野と違って、会議録は会議のあと、およそ2ヶ月後に出す。今回は JLQCD グループとして私のも含めて5編出した。締め切り間際の追い込みがいつも大変。(2006年10月3日記)
"Lattice gauge action suppressing near-zero modes of H_W," by
JLQCD collaboration (H. Fukaya, SH, K.-I. Ishikawa, T. Kaneko, H.
Matsufuru, T. Onogi, N. Yamada), Jul 2006, hep-lat/0607020.
格子ゲージ理論で厳密なカイラル対称性を実現するときに、トポロジーを定義できないような粗いゲージ配位があると問題になる。充分に連続極限に近ければ粗い配位は起りらないので問題ない。この論文は、有限の格子間隔でも問題の粗いゲージ配位が出なくなるようにする手法について。
"Topology conserving gauge action and the overlap-Dirac operator,"
by H. Fukaya, SH, T. Hirohashi, K. Ogawa, T. Onogi, Oct 2005, hep-lat/0510116, Phys. Rev. D73: 014503 (2006).
上の論文と同様に「トポロジーが変る途中」のゲージ配位が出ないように工夫したゲージ作用について。でも、厳密にトポロジーを保存するわけではないので、タイトルに偽りあり。結局、上の論文のやり方のほうが筋がよかった。
"Effect of low-lying fermion modes in the epsilon-regime of QCD,"
by K. Ogawa and SH, May 2005, hep-lat/0505017, Prog. Theor. Phys. 114: 609 (2005).
パイ中間子のコンプトン波長よりも小さな体積では、運動量ゼロで空間全体に広がったフェルミオンの固有モードが重要になる。クェンチ近似で生成したゲージ配位で固有モードを計算し、分配関数のクォーク質量依存性などを計算した。カイラル有効理論の予言と比較できる。総研大の大学院生だった小川兼司さんの学位論文の研究。
"Low-lying mode contribution to the quenched meson correlators in the epsilon-regime," Mbr> by H. Fukaya, SH, K. Ogawa, Apr 2005, hep-lat/0504018, Prog. Theor. Phys. 114: 451 (2005).
パイ中間子のコンプトン波長よりも小さな体積に押し込めると中間子の相関関数もだいぶ様子の違うものになる。一つ上の論文と同様に固有モードを計算したうえで中間子の相関関数を計算した。カイラル有効理論の計算と比較することで、カイラル凝縮やパイ中間子の崩壊定数を決めることができる。京都大学基礎物理学研究所の大学院生だった深谷英則さんの学位論文の研究(の一部)。