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出張講義


いきさつ

2006年12月19日、20日に、山口県の高校で素粒子と宇宙に関する出張講義をしてきました。昨今、サイエンスの花形はバイオやナノばかりで、実利的な研究ばかりが注目される傾向が強くなっているように感じます。素粒子の研究というと、そもそも何も知られていない、あるいは知っていても、大金を使って役にも立たないことをやっているだけと思われているのではないかという危惧があります。新聞や雑誌でもっと取り上げてほしいという気もしますが、もちろん素粒子の研究者の側で伝える努力が足りないのも事実でしょう。で、自分でもできることはないかと思って、高校生への出張講義を思い立ったわけです。大学の先生による高校への出張講義は最近各地で盛んに行われているようで、その点では新味はありません。でもまあ個別の高校としては素粒子の話を聴く機会がそうそうあるわけでもないし、私個人としても自分でやってみて高校生の皆さんの反応を見てみたいというのもあるので、とにかくまずは試してみようということです。

もちろん、出張講義をやりたいからといってすぐにやらせてもらえるわけではありません。ゆとり教育とやらで学校はスケジュールにゆとりがないようで、時間を割いてもらうのはなかなか大変です。それに有名人ならいざ知らず、私のような無名の一般の研究者がやりたいと急に言っても普通は相手にされないでしょう。なのに今回どうしてやらせてもらえたかというと、そこはやはり人のつながりです。私が大学院生のときに山口県のある高校の物理と親しくさせていただいていて、その先生が現在は山口県内の別の高校で校長先生をされているので、事情をお話ししてお願いしてみたわけです。ありがたいことに、それじゃあうちでやってみたら?と言われて、しかもお知り合いの他の高校でもやらせていただくことになりました。

さて、いざ講義を準備する段になってこれは結構難しそうだということに(今さら)気づいたわけです。お話したい内容は、高校の授業ではその前の前の段階すらも出てきていないはずなので、やはり基本的には何も知識を仮定してはいけない。また、誰でもそうだけどつまんない話を最後まで聞く気にはならないので、誰にでも面白そうな話にしないといけない。で、この講義のコンセプトは、「ぶつけてみる」。それから、「もっとど〜んとぶつけてみる」、そしたら「素粒子がじゃかじゃか」、とかなんとかという直感的な内容にしてみました。これ以上の内容はネタがばれるので内緒にしときます。各ページに絵をいっぱい入れて、しかもおみやげまで持って行ってきました。このおみやげが何かは内緒ですが、秘書さんが2、3週間夜なべして作ってくれたものです。秘書さんに感謝。

山口高校

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12月19日にお邪魔したのは山口県立山口高等学校。ここは県下随一の進学校だそうで、普通科と理数科があります。しかも今年度までスーパーサイエンスハイスクールにも選ばれています。ですから生徒さんもどちらかというと科学に興味をもっている子が多いと思われます。聞いてくれた生徒さんは理数科の1、2年生で総勢80名くらい。私も初めてのことで緊張しましたが、生徒さんたちの表情を見ると何となく歓迎されているような気がして落ち着きました。でも、前の晩にずっと考えていたオープニングジョークは場違いな気がしてやめました。講義はみんな大人しく聞いてくれましたが、質問は全然出なくて、やはりちょっと難しすぎたかなあ。でも、全員が感想を書いてくれました。それを読むとちゃんと聞いてくれていたようで少し安心。ここに全部書くのは大変ですが、少し紹介します。ここから講義の内容を想像してください。

みなさん、よいしょがお上手です。もっといっぱいあったんだけど、全部を書くのはやはり無理でした。他にも紙に小さな字でびっしり書いてくれた生徒さんもいて感激しました。高校生ともなると社交辞令も入ってくるでしょうから割り引いて考えてないといけませんが、それでも言いたいことが伝わっているようでうれしかったです。(2006年12月28日記)

熊毛北高校

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12月20日は、山口県立熊毛北高等学校にお邪魔しました。熊毛というのは、岸信介の出身地、そしてこの高校は197年にもおよぶ歴史を誇る伝統校だそうです。現在こちらは、ライフデザイン科という被服栄養関連の学科もあり、したがって女子生徒さんが多く全体の9割を占めていると伺いました。こちらでは何と体育館で全校生徒さんにお話するということになりました。理数科の生徒さんとは違って、理系の分野にはなかなか興味をもってもらえないでしょうから、私にとってはかなりのチャレンジでした。

話した内容は同じです。やはり少し難しかったかもしれません。でも皆さん静かに聞いてくれました。途中から寝ちゃった子もいたけど、寒くなかったかな? こちらの生徒さんの感想はまだ届いてないので、また後日。(2006年12月28日記)


さて、当日の様子。全校生徒の皆さんがそれぞれ椅子を持って体育館に集まって来られました。寒い冬の日の体育館は冷えます。女の子は膝掛け持参。キティーちゃんとか、かわいいのを持った子が大勢集まってきて、私はちょっと場違いなところにきてしまったと後悔してきました。何しろライフデザイン科です。こっちはファッションなんて生まれてこのかた一度も気にしたことがない。しかもスーツなんて上手に着れないのでかなり中途半端な服装。戦う前から敗けは明らかでした。

紹介されて話し始めたけど、やはり反応も感じないし表情つまんなそう。やっぱりみんな興味なかったかなぁ。でも、おみやげはワイワイ言って見てくれました。その後はちゃんと聞いてくれた子もいれば、寝ちゃった子もいたみたい。やはり、もっと巧みな話術が必要だったのかも。今後の課題です。何はともあれ、生徒さんが書いてくれた感想はこんな感じ。なにしろ数が多いのでかなり抜粋です。

ここら辺にしときましょう。やはり厳しかったみたいですね。2年生、1年生はもっと難しかったという子が多いようです。私が一番受けたのはこれ!

はい。ありがとうございます。私はとっても楽しかった。おみやげが食べ物じゃなくてごめんね。次回は水戸納豆にしようかなぁ。


以下、まじめな話。難しすぎたのは生徒さんのせいではなく、ひとえに私の力不足です。普段は理科に興味をもたない方に興味を持ってもらうにはどうすればいいのか。今回の出張講義は成功した部分もありましたが、反省すべきことも多かったように思います。伝えたかったことは、「人類はこんなに素粒子と宇宙のことを知っている。すばらしいじゃないか!」ということだったのですが、できるだけ全体像を把握してもらえるようにと考えたせいでいろんな話題がたくさん出てくることになってしまい、それが退屈だという面はあるのかもしれません。むしろ楽しいエピソードや苦労話、人間ドラマのような話にすべきだったのかも。

寒い中、一時間以上も熱心に聞いてくれた生徒の皆さん、本当にありがとうございました。いただいた感想の中に、「先生は自分のやりたいことを仕事にできて楽しそう。私も自分のやりたいことを見つけたい」という意味のことを書いてくれた子が何人もいました。熱中できるものが見つかるといいね。おじさんからのアドバイスを一つ。「どんな仕事でもいいから真剣にやってみてはどうでしょう。最初からうまくできることなんてありません。必ず改善すべきことがいくつも見つかります。毎日が試行錯誤、一年もすれば確かに去年よりも進歩したと思えるようになります。どんな仕事でも日々、研究の連続なんです。そして、研究するって楽しいですよ」。

日刊新周南新聞という地方紙で紹介していただいたそうです。12月22日版の一面左下。残念ながらウェブページには載っていませんでした。(2007年01月11日記)



まだまだ修行中です。こんな話でもいいからうちの高校でも話をさせてやるか、という先生がいらっしゃいましたら、メールでご連絡いただけましたらうれしいです。



橋本省二 shoji.hashimoto@kek.jp

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