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台風やハリケーンは、東アジアや北米などで大雨や強風をもたらし、気象災害を引き起こすことがあります。これらの被害を軽減するためには、正確な進路予報が必要です。これまで、進路予報の向上のために台風の中心部分や予報進路上での気象観測強化などが行われてきましたが、台風等の進路から離れた北極域における気象観測の効果については未解明でした。
国立極地研究所(所長:中村卓司)の佐藤和敏特任研究員(現・北見工業大学特任助教)、猪上淳准教授、海洋研究開発機構(JAMSTEC、理事長:平朝彦)の山崎哲研究員を中心とする国際研究チームは、2016年夏季に北極海の船上や周辺で特別に実施された高層気象観測が、同年8月に日本へ上陸した台風10号と、同年9月に北大西洋で発達した熱帯低気圧「イアン(Ian)」、「カール(Karl)」の進路予報にどのように影響するのかを調べました。その結果、北極域の観測の強化で台風等の進路予報の精度が向上することが分かりました。これは、北極域での観測を増やすことで、予報で使用する大気の初期データが改善され、台風等の進路に影響する数日後の上空の大気循環の予報精度が上がったためです。本成果は、北極域の気象観測が台風等の進路予報の精度を向上させ、人口の集中する中緯度域での減災に役立つ可能性を示しています。
これらの成果は、2018年8月14日、英国の科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
詳細は国立極地研究所のサイトをご覧下さい。