タックスヘイブン狩りの実情。
世界の国税当局の「つながり」とは?
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・パナマ文書、タックスヘイブンとは何か?
・富裕層はどんな税金対策をしているか?
・世界ではどのような脱税行為が行われているか?
国税最強部門、「資料調査課」(税務署では調査できない困難案件、例えば大口、悪質、海外、宗教事案などを扱う部署)出身であり、タックスヘイブンの実情を描いた最新刊、『税金亡命』の著者でもある佐藤氏が、本連載で実情を語る。
キーワードは、
租税条約
いわゆる租税条約の主な目的は、「国家間の二重課税の調整」と「脱税・租税回避への対応」である。
先進国の多くでは、「全世界所得課税」を採用しているので、各国が勝手に課税し始めると二重課税など、自国企業に迷惑がかかるので調整が必要となる。放っておくと、国と国との「税金のぶん取り合戦」になりかねない。
それと、脱税や租税回避への取組を行うということも重要な目的である。二重課税の調整は、ある程度の積み上げをしてきたので、これからは租税回避の封じ込め、それとタックスヘイブンと言われる国・地域などでの隠れた所得の摘発が行われることになるだろう。
租税条約(二重課税の回避、脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約)を締結しているのは、54条約、65ヵ国・地域(平成28年7月現在)に及んでいる。
ここ数年の特色として、旧来タックスヘイブンと言われた香港、マン島(情報交換協定)、ケイマン諸島、バハマ、バミューダなどが相次いで条約に署名してきた。また署名から発効までの期間が極端に短いというのが目立った。
租税条約で何ができるのか?
国家間の二重課税の防止については、関係国税務当局が「相互協議」というテーブルについて、二重課税や多重課税を回避することになる。
一方、脱税や租税回避への対応について、大きな役割を果たすのが「情報交換制度」があげられる。情報交換は大きく次の3つのモデルがある。
(1)自動的交換資料
例えば、利子、配当などに関して、条約の相手国に「自動的に送付する」もの。国内の支払調書や源泉徴収票をイメージしていただければと思う。日本居住者で、外国の銀行口座を開設している人は、この制度により国税に通報されることになる。
(2)個別的情報交換資料
特定の事案に関連して「情報提供を要請し、取引内容の解明を条約相手国の税務当局に求める」ものである。日本の納税者を調査している最中、外国口座についての情報収集を委託したり、必要に応じて相手国に調査実施をしてもらい、課税情報を得る制度である。ここが「国際税務の要」となる。
(3)自発的情報交換資料
条約相手国からの要請がない場合でも、「他国に有効な情報と判断」した場合に、自発的に情報提供するもの。信頼がある国家間でないと、自発的交換はなかなかされない。
国税最強部門、
「資料調査課」出身だから書けたこと
私の本業は税理士です。顧客の税務相談、税務申告の代理、税務調査の立会などを生業としています。 そんな私が、なぜ本を書くようになったのか? 拙著「税金亡命」が誕生するまでのお話をさせてください。
この「税金亡命」は日本と香港が舞台になっています。香港はアジアでトップクラスのタックスヘイブン地域です。日本居住者が、資産運用、資産回避、ときには脱税のために利用しているタックスヘイブンです。物語は租税回避から始まり、キャピタルフライト、そして脱税者自身までもフライトしてしまう「タックスエグザイル」に展開します。
仕事で香港に行くことが多く、現地のファンドハウス、プライベートバンカー、公認会計士、保険会社、日本からアウトバウンドで香港に進出した経営者などと、数多くのミーティングを重ねてきました。租税スキームのリーガルチェックも受任してきましたが、クオリティの高いものばかりではなく、なかには、ただの脱税に近い残念なものが散見されました。
本来の「租税回避スキーム」は、A国の税法で考え、B国の税法で考え、A国とB国との租税条約で考え(3か国以上に及ぶものもある)、そこにある「ループホール」を見つけて構築します。いわゆる、「国際二重非課税」となる利益移転を仕組む訳です。どこの国からも、あるいは高税率国から課税されない仕組みを作って、納税者の利益最大化を図るわけです。
小説を読まれる方は、専門家だけではありません。したがいまして、高度な租税回避スキームを作品の中で展開しても、理解どころが一般専門書になりかねません。そこに注意して出来るだけ身近にありそうな、専門家以外でも想像しやすいような材料で書き上げました。「税金亡命」は国際税務事件などの入門書として興味をもっていただけたらと思います。
「へぇ、そんなことがあるんだね」という本にしたかった。国税、富裕層(脱税者)、国税OB税理士という対立軸の中で、それぞれの思いが交錯し、グローバルな物語が描けたと思います。
【タックスヘイブンの実情に迫る衝撃作】
国税最強部門、「資料調査課」出身の著者が描く、衝撃のリアルノベル。
知られざるタックスヘイブンの真実とは?
<ストーリー概要>
日本とアジア一のタックスヘイブン、香港を舞台にした脱税事件の物語。
・脱税を取り締まる国税
・脱税に手を染める富裕層
・脱税の手引きをする国税OB税理士
この三者の攻防戦が描かれる。
事実、マルサでも手出しできない巨悪脱税事件では、国税OBが裏で糸を引いていることもある。虚々実々の駆け引きの末、最後に笑うのは誰だ!?
ハンドキャリーによるキャピタル・フライト、金融システムを活用した脱税資金の出口戦略など、オフショア利用者の「常識」が散りばめられている。
マルサでも手出しできないような、大口、悪質、海外、宗教事案を調査してきた著者だからこそ描ける圧倒的臨場感。その衝撃のストーリーとは?
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国税か、富裕層か、はたまた国税OB税理士か? 最後に笑うのは誰だ? 「日本―香港」で起きた巨額の脱税事件。国税最強部隊出身の著者が圧倒的な臨場感で描く! 知られざるタックスヘイブンの真実